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ともにつくるケアノート— あなたらしさを支える訪問看護のかたち —

糖尿病とは何か。種類・症状・診断基準をわかりやすく解説

「健康診断でHbA1cが引っかかったけど、糖尿病ってどんな病気なの?」「親が糖尿病と診断されたが、これから何に気をつければいい?」。OUR訪問看護ステーションには、ご本人や家族から、こうした相談が毎月のように届きます。糖尿病は日本に約1,000万人の患者がいると言われる身近な病気ですが、正しく理解している方は意外に少ないのが現状です。この記事では、糖尿病の定義・種類・症状・診断基準を、日本糖尿病学会の最新ガイドライン(2024年版)と糖尿病標準診療マニュアル2026をもとに、わかりやすく解説します。


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糖尿病とは、インスリンの作用が不足することで慢性的な高血糖状態が続く代謝疾患です。放置すると目・腎臓・神経などに深刻な合併症を引き起こします。

私たちが食事をとると、血液中のブドウ糖(血糖)が増えます。このとき、膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、血糖を細胞に取り込んで、血糖値を正常範囲に戻す働きをします。

糖尿病は、このインスリンの「分泌量が足りない」「うまく働かない(インスリン抵抗性)」「その両方」という状態が続き、血糖値が慢性的に高くなる病気です。血糖が高い状態が長く続くと、全身の血管や神経が傷つき、さまざまな合併症が起きます。

糖尿病の定義と血糖が高い状態が続くとどうなるか

血糖値が高い状態(高血糖)は、短期的には目立った症状がないことも多く、「静かな病気」とも呼ばれます。しかし数年〜十数年の間に、以下のような深刻な合併症が現れてきます。

合併症の分類代表的な病態
細小血管症(三大合併症)糖尿病網膜症(視力低下・失明)、糖尿病腎症(透析)、糖尿病神経障害(しびれ・痛み)
大血管症心筋梗塞、脳梗塞、末梢動脈疾患
足病変足潰瘍、壊疽、切断
その他歯周病、骨粗鬆症、がんリスク上昇、認知症

合併症の詳細は、本シリーズの関連記事「糖尿病の三大合併症(網膜症・腎症・神経障害)と在宅での早期発見」および「糖尿病のフットケア。足病変・壊疽を予防するために家族ができること」をあわせてご覧ください。


糖尿病には1型・2型・その他の種類があり、原因と治療法がそれぞれ異なります。日本では患者の95%以上が2型です。

糖尿病はひとつの病気ではなく、原因によって大きく分類されます。

1型糖尿病(インスリン依存型)

1型糖尿病は、自己免疫反応によって膵臓のβ細胞(インスリンを作る細胞)が破壊されることで、インスリンがほとんど分泌されなくなる病気です。子どもや若い世代に多いですが、中高年以降に発症する「緩徐進行型(LADA)」もあります。

インスリンが体内で作られないため、生きていくためにインスリン注射が不可欠です。自己免疫が関与しているため、食生活や生活習慣が直接の原因ではありません。突然症状が出て救急搬送されるケースも珍しくありません。

2型糖尿病(インスリン非依存型)

日本の糖尿病患者の95%以上を占めるのが2型です。遺伝的な素因に、過食・運動不足・肥満・加齢・ストレスなどの生活習慣が積み重なって発症します。インスリンの分泌は低下しているものの完全にゼロではなく、またインスリンが出ていても細胞に効きにくい「インスリン抵抗性」も関与しています。

2型は初期に症状が出にくく、健康診断で初めて気づくケースが多いのが特徴です。生活習慣の改善と薬物療法を組み合わせることで管理できますが、長期にわたる継続的なケアが求められます。

その他の型と妊娠糖尿病

分類主な特徴
妊娠糖尿病妊娠中に初めて発見された糖代謝異常。出産後に正常化することが多いが、将来の2型糖尿病リスクが上がる
二次性糖尿病膵炎・膵がん・クッシング症候群など他の疾患や薬剤(ステロイドなど)が原因で起きる
遺伝子異常による糖尿病MODY(若年発症成人型糖尿病)など

糖尿病の診断基準は4つの血糖値指標とHbA1cで構成され、複数回の確認が原則です(日本糖尿病学会2024年版)。

糖尿病の診断は、日本糖尿病学会が定めた基準に従って行われます。「なんとなく血糖が高い気がする」という感覚ではなく、数値による客観的な判定が必要です。

「糖尿病型」の判定基準(以下のいずれか1つに該当)

検査糖尿病型の基準値
空腹時血糖値126 mg/dL 以上
75gOGTT(ブドウ糖負荷試験)2時間値200 mg/dL 以上
随時血糖値200 mg/dL 以上
HbA1c6.5% 以上

※HbA1cは過去1〜2ヶ月の平均血糖値を反映する指標です。赤血球に含まれるヘモグロビンにブドウ糖が結合した割合(%)で表します。

糖尿病と診断されるには「2回の確認」が必要

血糖値は体調・食事・ストレスによって一時的に変動するため、一度の検査だけでは診断できません。以下のいずれかを満たす場合に「糖尿病」と診断されます。

  1. 別の日に行った2回以上の検査で糖尿病型が確認された(1回は必ず血糖値で)
  2. 糖尿病型(血糖値のみ)が1回確認され、かつ糖尿病の典型的症状(口渇・多飲・多尿・体重減少)または糖尿病網膜症の存在が確認された
  3. 過去に糖尿病と診断された記録がある

ただし、同一採血でHbA1cと血糖値の両方が糖尿病型であった場合は、1回の検査でも診断できます。

境界型(糖尿病予備群)とは

「糖尿病型にも正常型にも分類されない」状態が「境界型」で、いわゆる「糖尿病予備群」です。

状態空腹時血糖値OGTT 2時間値
正常型110 mg/dL 未満140 mg/dL 未満
境界型(要注意)110〜125 mg/dL140〜199 mg/dL
糖尿病型126 mg/dL 以上200 mg/dL 以上

境界型は放置すると糖尿病に移行するリスクが高く、生活習慣の改善と定期的な検査が必要です。なお、空腹時血糖値が100〜109 mg/dLの「正常高値」の方も、将来の糖尿病リスクが上昇しやすいことが日本人のデータで明らかになっており、注意が必要です。


糖尿病の症状は「気づきにくい」ことが最大の特徴です。典型的な4大症状を知り、健診結果を見逃さないことが早期発見のカギです。

糖尿病の4大症状(典型症状)

症状起きる仕組み
口渇(強いのどの渇き)高血糖により血液が濃くなり、水分を補おうとする
多飲(水をたくさん飲む)口渇を解消しようとする代償行動
多尿(尿が多い・夜間頻尿)血糖を尿に排出しようとするため、水分も一緒に失われる
体重減少エネルギーとしてブドウ糖を使えず、筋肉・脂肪が分解される

「無症状」が最も怖い

2型糖尿病の多くは長期間、これらの症状がほとんど現れません。「太っているけど元気」「疲れやすいが年齢のせいかと思っていた」という状態のまま、数年間にわたって合併症が進行するケースが珍しくありません。

健康診断でHbA1cや空腹時血糖値に異常を指摘されたときが、唯一の気づきの機会であることが多いのです。HbA1c 6.0%以上を指摘された場合は、放置せず医療機関を受診することを強くお勧めします。

その他に見られる症状

  • 倦怠感・疲れやすさ
  • 視力のかすみ(血糖の変動で水晶体が変形するため)
  • 傷が治りにくい
  • 皮膚のかゆみ・感染症を繰り返す
  • 足のしびれ・冷え(神経障害の初期)

糖尿病の危険因子を知っておくことで、自分や家族のリスクを把握し、早めに対策できます。

2型糖尿病の主なリスク因子

カテゴリー具体的な因子
遺伝的要因親・兄弟姉妹に糖尿病がいる(両親ともに糖尿病の場合リスクは5〜10倍)
体型・体重BMI 25以上の肥満(特に内臓脂肪型肥満)
生活習慣過食、高脂質食、運動不足、過度の飲酒、喫煙
加齢40歳以上から発症率が上昇。65歳以上では20〜30%が糖尿病と推計
既往・合併疾患脂質異常症、高血圧、妊娠糖尿病の既往、多嚢胞性卵巣症候群
薬剤ステロイド薬(糖尿病を誘発する可能性あり)

日本の現状と宮崎県

厚生労働省の調査(2019年)では、糖尿病が強く疑われる成人は約1,000万人、糖尿病の可能性を否定できない「予備群」を含めると約2,000万人に上ると推計されています。宮崎県でも慢性疾患として糖尿病は非常に多く、在宅で療養を続ける方も少なくありません。


糖尿病の治療は「食事療法・運動療法・薬物療法」の3本柱が基本です。完治はしないが、適切な管理でほぼ健康な人と変わらない生活が送れます。

治療の目的は「合併症を防ぎ、QOLを維持すること」

糖尿病診療の目的は血糖値を下げることそのものではなく、合併症(特に細小血管症・大血管症)の発症と進行を抑制し、糖尿病のない人と変わらない寿命と生活の質を実現することです(日本糖尿病学会ガイドライン2024)。

血糖コントロールの目標値

一般的な血糖コントロール目標(合併症予防のための目標値)はHbA1c 7.0%未満です。ただし、低血糖を起こしやすい薬を使用している場合はHbA1c 8.0%未満が目標となります。

高齢者の方は、フレイル・認知機能・ADL・低血糖リスクを考慮した個別目標を設定することが推奨されています。 詳しくは「高齢者の糖尿病管理。低血糖リスクと訪問看護師が行う支援」をご覧ください。

薬物療法の概要

食事・運動療法で血糖管理が不十分な場合、薬物療法が開始されます。

薬の種類代表的な薬剤名特徴
ビグアナイド薬メトホルミン第1選択薬。低血糖リスク低い。体重増加なし
SGLT2阻害薬ダパグリフロジン、エンパグリフロジン心臓・腎臓保護効果あり。脱水・尿路感染に注意
DPP-4阻害薬シタグリプチン、テネリグリプチン低血糖リスク低い。日本で広く使われる
GLP-1受容体作動薬セマグルチド体重減少効果あり。注射薬と経口薬がある
インスリン製剤各種1型糖尿病では必須。2型でも血糖コントロールが不十分な場合に使用

インスリン注射や血糖測定の在宅サポートについては「在宅での血糖測定とインスリン注射。訪問看護師ができるサポートとは」で詳しく解説しています。


在宅療養中の糖尿病管理に、訪問看護師がどのように関わるかを知っておくと安心です。

在宅で生活しながら糖尿病を管理することは、1人では難しい場面があります。特に以下のような状況では、訪問看護師のサポートが力になります。

訪問看護師が糖尿病の方に行う支援の例

  • 血糖測定のサポート:血糖測定器の使い方の確認・記録の管理
  • インスリン注射の確認・指導:注射部位の確認・吸収の変化を観察
  • フットケア:毎回の訪問で足の状態を観察(傷・変色・爪の状態)
  • 食事・服薬のアドバイス:日々の生活に沿った実践的なアドバイス
  • 低血糖への対応:低血糖症状の確認・ブドウ糖の準備確認
  • 合併症の早期発見:むくみ・視力変化・しびれなどの変化を見逃さない
  • 主治医との連携:体調変化を速やかに報告し、治療調整を支援

OUR訪問看護ステーションは宮崎市・国富町・高岡町・綾町を対応エリアとしており、看護師のほか理学療法士(PT)・作業療法士(OT)も訪問できます。糖尿病による運動機能低下・転倒予防のリハビリも合わせて対応しています。


この記事のまとめ:糖尿病の基本を押さえ、家族と一緒に「管理を続ける」体制を作ることが大切です。

  • 糖尿病はインスリン作用不足による慢性高血糖が本態であり、放置すると全身に合併症が起きる
  • 診断にはHbA1c 6.5%以上または血糖値126mg/dL以上(空腹時)などの基準値があり、複数回の確認が原則
  • 2型糖尿病は長年無症状のまま進行することが多く、健診での早期発見が重要
  • 治療の目的は合併症を防ぎQOLを維持すること。HbA1c 7%未満が一般的な目標
  • 在宅療養では訪問看護師との連携が血糖管理・フットケア・低血糖対応に有効

よくある質問

Q. 糖尿病は完治しますか? A. 現時点では、1型・2型ともに「完治」する治療法はありません。ただし、2型糖尿病は生活習慣の改善・減量・薬物療法で血糖値を正常範囲に保てる「寛解」状態になることがあります。完治ではありませんが、適切に管理すれば合併症なく長期間健康に過ごすことは十分可能です。

Q. HbA1cが6.2%と言われました。治療は必要ですか? A. HbA1c 6.2%は糖尿病型(6.5%以上)の基準には達していませんが、「境界型」に近い値です。今すぐ薬物治療が必要なわけではありませんが、食事・運動習慣を見直し、3〜6ヶ月ごとに再検査することを医師に相談してみてください。放置すると糖尿病に移行するリスクがあります。

Q. 親が2型糖尿病。自分も糖尿病になりますか? A. 両親ともに2型糖尿病の場合、子どものリスクは5〜10倍とも言われます。ただし遺伝だけで発症するわけではなく、生活習慣が大きく影響します。定期的な健診でHbA1cと血糖値を確認し、適正体重の維持・運動習慣・減塩などに取り組むことでリスクを大幅に下げることができます。

Q. 糖尿病と診断されたら、すぐにインスリン注射が必要になりますか? A. 必ずしもそうではありません。2型糖尿病の多くは、まず食事療法・運動療法から始め、それで不十分な場合に経口薬(メトホルミンなど)を使用します。インスリン注射が必要になるのは、血糖コントロールが薬で改善されない場合や、手術・感染症・妊娠などの特別な状況が発生したときです。ただし1型糖尿病では診断直後からインスリンが必要です。

Q. 糖尿病の食事制限は厳しいのでしょうか? A. 「特定の食べ物を一切禁止する」という厳しい制限ではなく、「総エネルギー量を適切にし、バランスよく食べる」ことが基本です。白米やパンを急激にやめる必要はありませんが、食べる量・タイミング・組み合わせを工夫することで血糖値の急上昇を抑えることができます。管理栄養士による個別の食事指導を受けることが最も効果的で、訪問看護師も日常の食事習慣についてアドバイスしています。

Q. 糖尿病で透析になるとはどういうことですか? A. 高血糖が長年続くと、腎臓の細い血管(糸球体)が傷つき、腎臓のろ過機能が低下します(糖尿病性腎症)。腎機能が著しく低下すると、老廃物を尿として排泄できなくなるため、透析(人工的に血液をきれいにする治療)が必要になります。日本の新規透析導入患者の約40%が糖尿病性腎症によるものです。早期の血糖・血圧管理と、定期的な尿検査・腎機能検査が透析予防の要です。詳しくは「糖尿病の三大合併症(網膜症・腎症・神経障害)と在宅での早期発見」をご覧ください。

Q. 在宅で糖尿病を管理するとき、訪問看護はどう役立ちますか? A. 訪問看護師は週1〜数回、自宅を訪問して血糖測定の確認・フットケア・服薬確認・食事へのアドバイス・低血糖時の対応など、トータルな管理をサポートします。病院への通院が難しい方や、インスリン注射の手技に不安がある方、一人暮らしで体調管理が心配な方には特に有効です。OUR訪問看護ステーションでは、糖尿病の在宅管理に関するご相談を随時受け付けています。


このシリーズの他の記事も合わせてお読みください

参考: 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」・日本糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会「糖尿病標準診療マニュアル2026」

この記事を監修した人

OUR
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看護・リハビリチーム

看護師7名・理学療法士1名・作業療法士3名 / 宮崎市

宮崎市を中心に24時間・365日の訪問看護を提供。在宅透析・人工呼吸器・CV管理などの高度医療処置から生活期リハビリまで対応。「あなたらしさをともにつくる」を理念に、認定作業療法士・中田富久が代表を務め、医師・ケアマネジャーと連携し利用者一人ひとりの在宅生活を支援している。帝人ファーマ「みんなの訪問看護アワード2026」大賞受賞。

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