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ともにつくるケアノート— あなたらしさを支える訪問看護のかたち —

在宅での血糖測定とインスリン注射。訪問看護師ができるサポートとは

「測定の手順は覚えているけれど、毎回の数値をどう活かせばよいか分からない」「インスリンを自分で打てているが、注射する場所がどんどん硬くなってきた」。OUR訪問看護ステーションで糖尿病のある利用者を担当していると、こうした声をよく聞きます。血糖測定とインスリン注射は糖尿病管理の中核をなすセルフケアですが、在宅では医療者の目が届きにくく、知らないうちに手技が崩れたり、リスクのある状況が続いたりすることがあります。この記事では、在宅での血糖管理の実際と、訪問看護師がどのような支援を行うのかを具体的に解説します。


宮崎市全域、国富町、高岡町、綾町対応

“あなたらしい”在宅生活を、24時間・365日サポートします

☎ 0985-77-8266受付時間:9時〜17時

血糖測定には「指先採血式」と「持続血糖測定(CGM)」の2種類があり、在宅ではそれぞれの特性を理解して使うことが重要です。

指先採血式血糖測定器(SMBG)

最も一般的な方法で、指先に専用の穿刺器具で小さな傷をつけ、にじみ出た血液を測定チップに触れさせて血糖値を測ります。機器本体・穿刺器具・測定チップ・記録ノートがセットです。

特徴

  • 保険適用(インスリン使用中は月に一定枚数のチップが処方される)
  • 1回ずつ測定するため、測定タイミングが大切
  • 測定値はその瞬間の血糖を示す(トレンドは分からない)

持続血糖測定器(CGM・リアルタイムCGM・フラッシュグルコースモニタリング)

腕や腹部に小型センサーを貼り付け、皮下の間質液グルコース値を数分おきに自動測定するシステムです。代表的なものにFreeStyleリブレ(FGM)やDexcom G7(リアルタイムCGM)があります。

特徴

  • 血糖の「動き(上昇・下降のトレンド)」が分かる
  • 低血糖アラートが設定できる機種もある
  • 保険適用には条件があり、インスリン使用中の方が主な対象
  • センサーは1〜2週間ごとに交換が必要
比較項目指先採血式(SMBG)CGM・FGM
痛みあり(穿刺のたびに)ほぼなし
血糖トレンド分からないリアルタイムで分かる
費用(保険)インスリン使用者に処方条件を満たす場合に保険
操作の簡便さ手順が多いスキャンするだけ(FGM)
在宅での向き不向き認知症がなければ可手順の簡便さから高齢者向け

指先採血による血糖測定は、正確な結果を得るために毎回同じ手順で行う必要があります。

血糖測定の正しい手順

  1. 手を石けんで洗い、よく乾かす:アルコール消毒のみでは測定値に誤差が出ることがある。水分が残っていると数値が低く出る
  2. 穿刺部位を指先ではなく「指の側面」にする:指先の中央は感覚が敏感で痛みが強い。指の側面(腹側ではなく、爪のやや下の側面)が望ましい
  3. 毎回穿刺する指を変える(ローテーションする):同じ場所を繰り返すと皮膚が硬くなり、採血しにくくなる
  4. 測定チップを機器に正しくセットしてから採血する
  5. 血液をチップの先端に自然に吸わせる:搾り出すと組織液が混じり、数値が低く出ることがある
  6. 数値を記録する:測定日時・食前・食後・就寝前などのタイミングを必ず記録する

測定のタイミングの基本

タイミング目的
朝食前(空腹時)基礎血糖の把握。前日の食事・インスリンの効き具合を確認
食後2時間食事による血糖上昇を確認。食事内容を振り返る材料に
就寝前夜間低血糖リスクを確認。就寝前に低値なら補食が必要
低血糖症状があるとき症状確認。15mg/dL以下は速やかに補食
主治医から指示されたタイミング各自の治療方針に従う

血糖の目標値と「受診・連絡すべき数値」を家族も把握しておくことが、在宅での安全管理につながります。

一般的な血糖目標値(主治医の指示が優先)

測定タイミング目標値の目安
空腹時血糖80〜130 mg/dL
食後2時間血糖180 mg/dL 未満
HbA1c7.0% 未満(高齢者は個別目標)

高齢者の目標値は年齢・認知機能・合併症の状態によって「緩やかな管理目標」が設定されます。詳細は「高齢者の糖尿病管理。低血糖リスクと訪問看護師が行う支援」をご覧ください。

すぐに連絡・対応が必要な血糖値の目安

状態血糖値の目安対応
低血糖(軽症)70 mg/dL 未満、症状ありブドウ糖10g(またはジュース150mL)を摂取し15分後に再測定
低血糖(重症)症状で意識が薄れる・呼べない救急要請(119)。口に何も入れない
高血糖300 mg/dL 超が続く主治医・訪問看護師に連絡
発熱・嘔吐・食欲不振(シックデイ)通常より高い・測定困難インスリンを自己判断でやめない。主治医に連絡

低血糖の詳しい対応については「高齢者の糖尿病管理。低血糖リスクと訪問看護師が行う支援」をあわせてご確認ください。


インスリン注射には複数の種類があり、それぞれ効き始める時間・持続時間・注射タイミングが異なります。

インスリンの主な種類と特徴

種類代表的な製剤名効き始め最大効果持続注射タイミング
超速効型ノボラピッド・ヒューマログ・アピドラ10〜20分1〜3時間3〜5時間食直前(食事の直前)
速効型ノボリンR・ヒューマリンR30分〜1時間1〜3時間5〜8時間食前30分
中間型ノボリンN・ヒューマリンN1〜3時間4〜12時間18〜24時間朝・就寝前(1〜2回/日)
持効型溶解トレシーバ・ランタス・グラルギン1〜2時間ほぼフラット24時間以上毎日同じ時刻に1回
混合型ノボミックス・ライゾデグ製剤による製剤による製剤による食前(製剤指示に従う)

インスリンの種類・量・タイミングは主治医の処方に必ず従ってください。自己判断での中断・変更は高血糖・低血糖の原因になります。


インスリン注射は、正しい部位・手技・ローテーションで行うことが安全性と効果の安定につながります。

注射部位の特徴と選び方

部位吸収速度特徴
腹部(へそ周り5cm以外)速い最も安定・吸収が速く、超速効型に適している
大腿外側(太もも前外側)やや遅い自己注射しやすい。運動後は吸収が速くなる
上腕外側中程度自己注射は難しい。訪問看護師が補助する場面が多い
臀部(お尻)遅い吸収が安定。自己注射は難しい

インスリン注射の正しい手順

  1. 手を洗う(石けんで)
  2. インスリン製剤を確認する:種類・単位数・有効期限・濁りの有無(混合型以外は透明であること)
  3. 混合型は10回以上ゆっくり転倒混和する(振らない)
  4. 注射部位の皮膚をアルコール綿で消毒し、乾かす
  5. 針を装着し、空打ちで針先に薬液が来ることを確認する(2単位空打ち)
  6. 皮膚をつまむ(必要に応じて)か、皮膚を軽く伸ばす
  7. 45〜90度で針を刺す(体型・針の長さによる)
  8. ゆっくり薬液を注入し、10秒待ってから針を抜く:すぐに抜くと薬液が逆流する
  9. 針を外して専用廃棄容器に入れる
  10. 単位数・部位・日時を記録する

ローテーションの重要性

同じ部位に注射を続けると、皮下脂肪が硬く盛り上がる「リポハイパートロフィー(脂肪肥大)」が生じます。この部位に注射するとインスリンの吸収がばらつき、血糖コントロールが不安定になります。

ローテーションの目安:同じ部位に注射する場合でも、前回と2〜3cm以上離れた場所に刺す。腹部を使う場合はグリッド(縦横のマス目)を決めて順番に。


在宅でのインスリン管理には、認知機能の低下・視力低下・手の巧緻性の低下という3つのリスクがあります。

糖尿病のある高齢者の在宅療養では、インスリン自己注射の継続が困難になるケースが少なくありません。

リスク具体的な問題対応の例
認知機能の低下打ったかどうか忘れる・二重打ち・打ち忘れ注射記録ノート・残量確認・介護者が見守り
視力低下単位数の目盛りが見えない・針の装着を誤るメモリ付きペン・拡大鏡・訪問看護師が確認
手の巧緻性の低下針の装着・キャップの開閉が困難デバイスの変更提案(オートインジェクター等)・家族補助

特に「打ったかどうか分からない」は二重投与につながり、重篤な低血糖を引き起こす可能性があります。訪問看護師が訪問のたびにインスリンの残量を確認し、前回訪問からの使用量と処方単位数を照らし合わせることで、問題を早期に発見できます。


訪問看護師は血糖測定・インスリン注射を「一緒に確認しながら支える」役割を担います。

OUR訪問看護ステーションの訪問看護師が在宅での血糖管理に関して行う具体的な支援を紹介します。

血糖測定のサポート

  • 毎回の訪問時に血糖記録を確認:低血糖・高血糖のパターン、食事・活動との関係を分析
  • 測定手技の確認:自己流になっていないか、搾り出しをしていないか定期的に確認
  • 測定器・チップの管理確認:有効期限切れのチップ使用、機器の誤作動チェック
  • CGM・FGMのスキャン支援:スキャンを忘れがちな方への声かけ、センサー交換の補助

インスリン注射のサポート

  • 手技の定期チェック(月1〜2回の重点確認):空打ちの有無、角度・注入速度・待ち時間が正しいか
  • 注射部位の視診:リポハイパートロフィー(脂肪肥大)の有無、発赤・硬結・内出血
  • ローテーション記録の確認と指導:記録ノートを使った部位管理を支援
  • インスリン残量の確認:使用量から打ち間違い・打ち忘れを早期発見
  • 認知機能が低下した方への補助注射:医師の指示のもと、訪問時に介助として注射を実施する場合もある
  • シックデイ対応の指導:発熱・嘔吐時のインスリン管理について事前に家族へ説明

主治医・薬剤師との連携

  • 血糖の傾向に変化がある場合、記録を持参して主治医への受診を調整
  • インスリン製剤の変更・増減の提案を主治医に伝達
  • 薬剤師との情報共有(残薬・服薬管理の問題を共有)

インスリン注射に使用した針・チップの廃棄は、在宅では医療廃棄物のルールを守る必要があります。

使用済みの注射針・採血チップは「鋭利な医療廃棄物」であり、一般ゴミとして袋にそのまま入れることは危険です。

在宅での針廃棄の方法

  • 製薬会社や薬局から提供されている専用の針廃棄容器(シャープスコンテナ)に入れる
  • 容器がいっぱいになったら、薬局・クリニック・医療廃棄物回収業者へ返却
  • 地域によっては自治体が回収する場合もある(事前に確認)

訪問看護師は廃棄方法が適切かどうかも確認し、容器の交換時期を利用者・家族に伝えます。


よくある質問

Q. インスリンを忘れて打たなかったときはどうすればよいですか? A. 製剤の種類によって対応が異なります。食前に打つ超速効型は「食事を始めた直後」であれば打てることがありますが、食事が終わって時間が経っている場合は打たない方が安全な場合もあります。主治医や訪問看護師に「忘れた場合の対応」を事前に聞いておき、メモしておくことをお勧めします。自己判断で2回分まとめて打つことは絶対に避けてください。

Q. インスリンを冷蔵庫で保管しています。冷たいまま打っていますか? A. 開封前のインスリンは冷蔵保管が基本ですが、開封後は室温(25℃以下)での保管が一般的で、使用期間(製剤により4週間前後)内であれば常温保管が推奨されます。冷蔵庫から出したばかりの冷たいインスリンを打つと注射部位に痛みが出やすく、吸収もばらつくことがあります。注射前に手のひらで30秒ほど温めてから使うと良いでしょう。

Q. 注射した部位が硬くなっています。どうすればよいですか? A. リポハイパートロフィー(皮下脂肪肥大)の可能性があります。その部位への注射は避け、主治医・訪問看護師に相談してください。硬くなった部位は徐々に回復しますが、完全に元に戻るまで数ヶ月かかることがあります。その間は別の部位にローテーションしてください。

Q. 血糖の記録はどのようにつければよいですか? A. 紙の記録ノート(市販のもの、または医療機関で提供されるもの)か、スマートフォンのアプリを使う方法があります。記録する項目は:測定日時・測定値・食前・食後の区別・インスリン単位数(打った場合)・気になった症状。受診時に持参することで主治医が治療方針の調整に活用できます。

Q. 訪問看護師にインスリン注射を手伝ってもらえますか? A. 医師の訪問看護指示書に基づき、訪問看護師がインスリン注射の補助・確認を行うことができます。「自己注射が難しくなってきた」「正しく打てているか確認してほしい」という場合は、まずかかりつけ医(主治医)にご相談ください。OUR訪問看護ステーション(宮崎市・国富町・高岡町・綾町対応)では、血糖管理・インスリン管理のサポートを行っています。

Q. FreeStyleリブレ(フラッシュグルコースモニター)を使っていますが、訪問看護師は確認してもらえますか? A. はい。訪問看護師がFGM・CGMのスキャンデータを確認し、血糖のトレンドを一緒に見ながら食事・活動・インスリンとの関係をお伝えすることができます。センサーの交換補助も対応しています。


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参考: 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」・日本糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会「糖尿病標準診療マニュアル2026」

この記事を監修した人

OUR
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OUR訪問看護ステーション

看護・リハビリチーム

看護師7名・理学療法士1名・作業療法士3名 / 宮崎市

宮崎市を中心に24時間・365日の訪問看護を提供。在宅透析・人工呼吸器・CV管理などの高度医療処置から生活期リハビリまで対応。「あなたらしさをともにつくる」を理念に、認定作業療法士・中田富久が代表を務め、医師・ケアマネジャーと連携し利用者一人ひとりの在宅生活を支援している。帝人ファーマ「みんなの訪問看護アワード2026」大賞受賞。

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