
「退院したらリハビリはどうなるの?」「病院でのリハビリが終わった後、自宅でも続けられるのか不安」脳梗塞や脳出血を経験した方の家族から、こうした声を多く聞きます。退院後は回復が止まるわけではありません。生活の場でリハビリを続けることが、その後の回復と日常生活の維持に大きく影響します。
この記事では、脳卒中(脳梗塞・脳出血)後の在宅リハビリについて、訪問看護ステーションの理学療法士(PT)・作業療法士(OT)が行うこと、費用・保険・頻度の実際、そして宮崎市でのサポート体制まで、OUR(アワー)訪問看護ステーションが詳しく解説します。退院後の不安を、ひとつひとつ解消していきましょう。
宮崎市全域、国富町、高岡町、綾町対応
“あなたらしい”在宅生活を、24時間・365日サポートします
☎ 0985-77-8266受付時間:9時〜17時
脳卒中後のリハビリはいつまで続けるべきか:「生活期」を知る
急性期・回復期・生活期、リハビリの3段階
脳梗塞や脳出血を発症した後のリハビリは、大きく3つの時期に分けて考えられています。
急性期(発症直後〜約1か月)
入院直後から始まる時期です。病状が落ち着いたら、できるだけ早くリハビリを開始します。ベッド上での関節可動域訓練や坐位・立位の練習など、動かすことで二次的な障害(関節拘縮・筋力低下・肺炎など)を予防しながら、回復の土台を作ります。
回復期(発症後1〜6か月ごろ)
回復期リハビリテーション病棟などで集中的なリハビリが行われる時期です。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士がチームで関わり、歩行・食事・更衣・入浴など、日常生活に必要な動作の再獲得を目指します。この時期が最も回復の速い段階と言われています。
生活期(維持期):退院後、自宅での時期
病院や施設でのリハビリを経て、自宅に戻ってからの時期を「生活期」または「維持期」と呼びます。回復期のような急激な改善は減っていきますが、リハビリをやめてしまうと機能が落ちる(廃用)可能性があり、日常生活の質を保つために継続が重要です。
訪問看護によるリハビリが最も力を発揮するのは、この生活期です。
生活期のリハビリをやめると何が起きるか
「退院したら、もうリハビリはしなくていい」と思われる方も少なくありません。しかし、脳卒中後の麻痺や機能障害は、使わないでいると悪化していく性質があります。
筋力や関節の柔軟性は、使わなければ低下します。特に麻痺側の手足は動かす機会が減りがちで、放置すると関節が固まる「拘縮」が進みます。拘縮が起きると、後から動かそうとしても痛みが伴い、介護の場面でも支障が出てきます。
また、歩行や移乗の練習をしないままでいると、徐々に自分で動ける範囲が狭まります。最初は「少し麻痺があるだけ」だった方が、数か月後には寝たきりに近い状態になってしまうケースもあります。
生活期のリハビリには「回復させる」だけでなく「現状を維持する」「悪化を防ぐ」という重要な役割があります。
自宅でリハビリを行う意味:病院との違い
病院でのリハビリは、決まった訓練室や道具を使って行われます。一方、自宅でのリハビリは、その人が実際に生活する環境のなかで行われます。
たとえば病院で「廊下を歩く練習」をしていた方が、自宅に帰ると「段差が多い」「廊下が狭い」「手すりがない」といった問題に直面することがあります。訪問のPT・OTは、その方の実際の生活空間を見ながら、「この段差の上り方」「この台所での立ち方」など、生活に直結した動作を一緒に練習します。
さらに、「できる動作」を増やすだけでなく、「生活の中でどう使うか」まで一緒に考えられるのが在宅リハビリの強みです。
訪問看護のPT・OTが行うリハビリの内容
理学療法士(PT)が担うこと::歩く・動く・転ばない
理学療法士(PT)は、身体の運動機能の専門家です。脳卒中後の在宅リハビリでは、主に以下のようなことを行います。
筋力・バランスの訓練
麻痺側の筋力を少しずつ回復させるための運動や、転倒しないためのバランス訓練を行います。立つ・歩くという基本動作の安全性を高めることが主な目的です。片麻痺がある場合、健側(麻痺のない側)への過度な負担を避けながら、両側のバランスを整えていきます。
歩行訓練
自宅内の廊下・居間・トイレへの動線など、実際に歩く場所での練習を行います。杖や歩行器の使い方、玄関の段差の越え方、急な方向転換のやり方なども、生活の実態に合わせて一緒に確認します。
移乗動作の練習
ベッドから車椅子へ、車椅子からトイレへ、といった移乗動作の安全なやり方を本人・介護者に指導します。間違った移乗の仕方は転倒・転落のリスクになるため、介護者への指導も重要な役割です。
拘縮予防・関節可動域訓練
麻痺した手足の関節を定期的に動かし、拘縮を予防します。すでに固まりが始まっている場合は、痛みに配慮しながら少しずつほぐしていきます。
住環境のアドバイス
転倒しやすい場所、不安定な段差、手すりが必要な箇所などを確認し、福祉用具の導入や住宅改修の提案を行います。ケアマネジャーや住宅改修業者と連携して、安全な環境づくりをサポートします。
作業療法士(OT)が担うこと:手を使う・日常生活を整える
作業療法士(OT)は、日常生活動作(ADL)の専門家です。特に「手や腕の機能」と「認知・生活全体の再建」に強みがあります。
上肢機能訓練
脳卒中後に麻痺が残りやすい手・腕の機能を回復させるための訓練を行います。箸を持つ・ボタンを留める・コップを持つといった、生活で必要な細かい動作の練習です。脳のリハビリという性質もあり、反復して練習することで神経回路が少しずつ再構築されていきます。
日常生活動作(ADL)の練習
食事・更衣・整容・入浴といった日常生活の動作を、実際に行いながら練習します。「できるADL」と「しているADL」の差を埋めることを意識して関わります。たとえば「やれば着替えられるのに、時間がかかるから家族が全部やってしまっている」という状況を見直し、本人ができることを一緒に増やしていきます。
高次脳機能障害へのアプローチ
脳卒中後には、麻痺だけでなく記憶の問題・注意力の低下・物事の手順がわからなくなる(遂行機能障害)・半側空間無視(視野の半分が認識しにくい)といった症状が現れることがあります。作業療法士はこうした高次脳機能障害にも対応し、生活の中での支障を減らすための工夫を一緒に考えます。
家族・介護者への指導
介護する家族が疲弊しないよう、効率的で安全な介護方法を指導します。「やりすぎない介護」——本人ができることは本人にやってもらう——というバランスの取り方も、OTが伝えられる大切なポイントです。
自助具・福祉用具の提案
片手でも食事ができる食器、滑り止め付きのカッティングボード、ループ付きの靴下など、生活をより便利にする道具を提案します。使ってみて合わない場合は別の方法を探すなど、実生活に合わせた柔軟な対応ができます。
看護師との連携——体調管理と医療処置
訪問看護ステーションからPT・OTが訪問する場合、同じステーションの看護師と情報を共有しながら関わります。
脳卒中後の方には血圧管理が非常に重要です。高血圧の状態でリハビリを無理に進めると、再発リスクが高まります。看護師が血圧・脈拍・全身状態を定期的にチェックし、「今日はリハビリの強度を下げよう」「医師に報告が必要」といった判断を共有することで、安全なリハビリを続けられます。
また、内服管理・褥瘡(床ずれ)の予防・嚥下(食べること・飲み込むこと)への対応なども看護師が担い、PT・OTが身体機能に集中できる環境を整えます。訪問看護ステーション全体でチームとして関わることが、利用者・家族の安心につながります。
費用・保険・訪問頻度の実際
介護保険と医療保険、どちらで使えるか
訪問看護でPT・OTによるリハビリを受ける場合、使う保険は状況によって異なります。
介護保険が使えるケース(原則)
65歳以上で要介護認定を受けている方は、原則として介護保険が優先されます。40〜64歳の方でも、脳梗塞・脳出血などの「特定疾病」に該当する場合は介護保険を使うことができます。介護保険の訪問看護(理学療法士等による訪問)は、ケアプランの単位数の範囲内で利用します。
医療保険が使えるケース
介護保険を持っていない方(64歳以下で特定疾病非該当など)は医療保険での利用となります。また、介護保険を持っていても、急性増悪(状態の急な悪化)・退院直後・特定の疾患がある場合など、医師の特別指示書に基づいて医療保険での訪問看護が優先されることがあります。
退院直後は医療保険が適用されるケースも多く、主治医・担当ケアマネジャー・訪問看護ステーションが連携して確認します。
どちらを使うか迷ったら相談を
ご自身がどちらの保険で利用できるかは、担当のケアマネジャーや訪問看護ステーションに相談するのが最も確実です。保険の種類によって自己負担額や利用回数の上限が異なるため、開始前に整理しておくことをおすすめします。
訪問頻度の目安と1回の時間
介護保険の場合
ケアプランの単位数の範囲内であれば、週に何回でも訪問を組むことができます(単位数の上限による制約あり)。1回の訪問時間は20分以上が対象となります。一般的には週1〜3回、1回30〜60分というペースで利用される方が多いです。
医療保険の場合
原則として週3回まで(週6時間まで)が上限です。ただし、厚生労働大臣が定める疾病(ALS・筋ジストロフィー等)や急性増悪の場合は上限を超えて利用できます。
回復期から生活期に移った直後は週2〜3回から始め、安定してきたら週1〜2回に調整するケースが多く見られます。頻度はその方の状態・目標・生活リズムに合わせて、主治医・ケアマネジャー・ステーションが一緒に決めます。
自己負担額の目安
介護保険の場合
利用者負担は1〜3割(収入によって異なります)です。1割負担の方で、週1回(月4〜5回)の訪問リハビリを利用した場合の自己負担は、月あたりおおよそ1,000〜2,000円台となるケースが多いです。ただし、ケアプラン全体の単位数や他のサービスとの組み合わせによって異なります。
医療保険の場合
年齢・所得・加入保険によって異なりますが、70歳未満の方は原則3割負担です。月に複数回の訪問がある場合は、高額療養費制度の対象になることもあります。
具体的な自己負担額については、訪問看護ステーションや担当ケアマネジャーに確認することをおすすめします。「費用が心配で相談しにくい」という方も多いですが、使える制度や軽減策も含めて一緒に考えられますので、遠慮なく聞いてみてください。
医師の「訪問看護指示書」が必要
訪問看護(PT・OTによる訪問を含む)を始めるには、かかりつけ医や主治医が発行する「訪問看護指示書」が必要です。退院後に訪問看護を希望する場合は、入院中の担当医や退院支援担当者に早めに相談しておくとスムーズです。退院前カンファレンス(多職種が参加する会議)の場で、訪問看護ステーションへの引き継ぎを行うことも増えています。
宮崎市で脳卒中後のリハビリを考えているなら——OUR訪問看護ステーションについて
PT・OT・看護師のチーム体制
OUR(アワー)訪問看護ステーションには、看護師・理学療法士(PT)・作業療法士(OT)が在籍しており、脳卒中後のリハビリにチームで対応しています。
PT・OTがリハビリを担当し、看護師が体調管理・医療処置・服薬状況の確認を行います。「リハビリの専門家」と「医療の専門家」が同じステーションにいることで、情報共有がスムーズで、状態が変化したときの対応も迅速です。
たとえば「最近、血圧が不安定でリハビリの強度を調整したほうがいい」「本人が意欲をなくしている様子がある」といった情報が、スタッフ間で共有されます。それぞれが別々に動くのではなく、同じ方向を向いてケアができるチーム体制が、安心して在宅リハビリを続けられる土台になります。
退院前カンファレンスからの早期介入
OURでは、退院前カンファレンスからの参加にも対応しています。病院の担当理学療法士・作業療法士と情報共有を行い、「入院中はここまで回復した」「自宅で特に心配な点はここ」という引き継ぎを受けた上で、退院後のリハビリ計画を立てます。
「退院してから探す」よりも「退院前から決める」ほうが、帰宅直後から安定したサポートを受けられます。入院中に「退院後のリハビリはどうすればいいか」という相談があれば、入院先のソーシャルワーカー・退院支援看護師・ケアマネジャーを通じてご連絡ください。
宮崎市内全域・24時間対応
OURは宮崎市全域・国富町・高岡町・綾町に対応しており、24時間365日のオンコール体制を整えています。
脳卒中後の在宅生活では、「夜中に急に血圧が上がった」「転倒した」「言葉がおかしい(再発かもしれない)」など、緊急事態が起きることがあります。その際に「夜でも電話できる」「すぐに来てもらえる」という安心感は、本人だけでなく介護する家族にとっても大きな支えになります。
日中のリハビリを担うPT・OT、夜間のオンコールに対応する看護師、そして主治医・ケアマネジャーとの連携——これらがそろって、初めて安心して自宅でのリハビリを続けられます。
脳卒中以外の疾患にも対応
OURは、脳梗塞・脳出血に限らず、パーキンソン病・大腿骨頸部骨折後・廃用症候群・脊髄損傷など、さまざまな疾患・状態に対する在宅リハビリに対応しています。「うちの親のケースは複雑で、対応できるか不安」という場合でも、まずはご相談ください。対応の可否を含めて、一緒に考えます。
関連記事
よくある質問
脳梗塞・脳出血後のリハビリは、退院後も継続することが回復と生活の質の維持に直結します。訪問看護ステーションのPT・OTは、自宅という実際の生活の場で、歩行・移乗・日常生活動作・上肢機能などにアプローチします。保険は介護保険または医療保険が使え、利用者負担は原則1〜3割です。宮崎市でのリハビリを検討している方は、退院前から訪問看護ステーションに相談することで、帰宅直後からスムーズなサポートを受けられます。「退院後もリハビリを続けたい」「在宅でどこまでできるか知りたい」という方は、ぜひOUR訪問看護ステーションにご相談ください。
▶ あわせて読みたい
脳卒中後の高次脳機能障害とは?
家族が困りやすい症状と在宅での関わり方を解説
麻痺より見えにくい「記憶が続かない」「段取りができない」「怒りっぽくなった」という変化。これは高次脳機能障害かもしれません。症状の種類と在宅でのOTの関わり方を詳しく解説しています。
宮崎市全域、国富町、高岡町、綾町対応
“あなたらしい”在宅生活を、24時間・365日サポートします
☎ 0985-77-8266受付時間:9時〜17時
この記事を監修した人
株式会社OUR 代表取締役
中田 富久
認定作業療法士
昼は工場、夜は専門学校という4年間を経て作業療法士に。総合病院のICU・SCUから回復期、地域包括ケア病棟まで10年以上、脳卒中・難病・整形疾患の患者さんに関わり続けた。学会発表・座長を複数経験し、宮崎県内でも数名しかいない認定作業療法士として地域ケア会議やフレイル予防の場でも活動中。「病院を出ても、その人らしく生きてほしい」——その思いが、2022年のOUR設立につながった。「あなたらしさをともにつくる」を理念に、妻(看護師)とともに宮崎市で24時間365日の在宅ケアを届けている。帝人ファーマ「みんなの訪問看護アワード2026」大賞受賞。