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ともにつくるケアノート— あなたらしさを支える訪問看護のかたち —

高次脳機能障害の社会的行動障害とは?感情や対人関係の変化を解説

「怒りっぽくなった」「何に対しても意欲がない」「場をわきまえない発言をする」脳卒中や頭部外傷の後、こうした変化が見られることがあります。これは高次脳機能障害の中でも社会的行動障害と呼ばれる症状群です。

この記事では、社会的行動障害にどのような種類があるのか、記憶障害や遂行機能障害とは異なる特徴も含めて整理して解説します。

社会的行動障害とは、感情や欲求のコントロールが難しくなり対人関係に影響が出る症状の総称です

厚生労働省・国立障害者リハビリテーションセンターの高次脳機能障害診断基準では、社会的行動障害は記憶障害・注意障害・遂行機能障害と並ぶ代表的な認知障害のひとつとされています。感情の起伏、意欲、対人行動の調整に関わる脳の機能が影響を受けることで現れる、多様な症状を含む症状群です。

易怒性・情動失禁は、些細なことで怒りや涙が抑えられなくなる症状です

些細なきっかけで急に怒り出す、あるいは涙もろくなり感情の切り替えが難しくなるといった症状です。本人の意思でコントロールしようとしても抑えられないことが多く、周囲からは「性格が変わった」ように見えることがあります。

意欲低下・自発性の低下は、何に対してもやる気が起きなくなる症状です

以前は好きだったことにも興味を示さなくなる、声をかけられないと自分から行動を起こさない、一日中ぼんやり過ごす時間が増える、といった様子です。うつ状態と似ていますが、気分の落ち込みというより、行動を起こすきっかけ自体が乏しくなっている状態と理解されています。

脱抑制は、状況にそぐわない発言や行動を抑えられなくなる症状です

思ったことをそのまま口にしてしまう、初対面の人に馴れ馴れしく接する、順番を待てない、といった様子が見られます。本人に悪気はなく、状況を判断して行動を抑制する脳の働きが影響を受けていることが背景にあります。

依存性・退行は、周囲に過度に頼るようになる症状です

自分でできるはずのことも他人に頼ろうとする、子どものように振る舞う場面が増えるといった様子です。遂行機能障害による「何をすればいいか分からない」状態が背景にある場合もあり、単純な「甘え」として片付けず、症状として理解することが対応の第一歩になります。

これらの症状は「性格が変わった」のではなく脳損傷による症状であるという理解が対応の土台になります

社会的行動障害は、本人の人格そのものが変わったのではなく、感情や行動を調整する脳の機能が損傷を受けた結果として現れる症状です。この理解がないまま接すると、家族関係の悪化やご家族自身の疲弊につながりやすくなります。易怒性への具体的な対応方法については、関連記事でさらに詳しく解説しています。

対応には、原因となっている状況を取り除くことと、専門職との連携が重要です

感情的な反応の背景には、疲労、見通しの立たない不安、伝わらないもどかしさが隠れていることが少なくありません。頭ごなしに注意するのではなく、原因となっている状況(疲れている時間帯、苦手な場面など)を把握し、できるだけ避ける工夫が有効です。対応が難しいと感じる場合は、一人で抱え込まず、訪問看護や主治医、精神科・心療内科への相談も選択肢になります。

よくある質問

社会的行動障害は薬で治療できますか?

症状によっては、易怒性や気分の波に対して薬物治療が検討されることがあります。ただし薬だけで解決するものではなく、環境調整や関わり方の工夫と組み合わせることが基本です。主治医にご相談ください。

怒りっぽさが強く、家族だけでは対応が難しいです。相談先はありますか?

主治医やリハビリ専門職に加えて、地域の高次脳機能障害支援拠点機関、訪問看護に相談することができます。ご家族だけで抱え込まないことが大切です。

意欲がない様子は、うつ病とは違うのですか?

見た目は似ていますが、高次脳機能障害の意欲低下は、気分の落ち込みというより行動を起こす脳の働き自体が影響を受けている状態とされています。判断が難しいため、専門医による評価が必要です。

脱抑制のある本人に、どう注意すればいいですか?

人前で強く叱ると自尊心を傷つけ、かえって症状が悪化することがあります。落ち着いた場面で、具体的な場面を挙げながら穏やかに伝える、専門職と一緒に対応方法を考えるといった関わり方が望まれます。

まとめ

今日できる一歩:気になる言動があったとき、どんな状況・時間帯で起きやすいかを記録してみてください。パターンが見えると、原因への対応を考えやすくなります。

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参考文献一覧

  • 「高次脳機能障害」診断基準(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部、国立障害者リハビリテーションセンター)
  • 高次脳機能障害情報・支援センター(国立障害者リハビリテーションセンター)

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この記事を監修した人

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看護・リハビリチーム

看護師7名・理学療法士1名・作業療法士3名 / 宮崎市

宮崎市を中心に24時間・365日の訪問看護を提供。在宅透析・人工呼吸器・CV管理などの高度医療処置から生活期リハビリまで対応。「あなたらしさをともにつくる」を理念に、認定作業療法士・中田富久が代表を務め、医師・ケアマネジャーと連携し利用者一人ひとりの在宅生活を支援している。帝人ファーマ「みんなの訪問看護アワード2026」大賞受賞。