
「訪問看護でリハビリが受けられると聞いたけれど、実際に何をしてくれるのかわからない」「理学療法士と作業療法士では何が違うの?」「訪問リハビリステーションとどう違うの?」——在宅でのリハビリを検討し始めた方やご家族、ケアマネジャーの方から、こうした質問をよくいただきます。
この記事では、訪問看護ステーションに所属する理学療法士(PT)・作業療法士(OT)が行うリハビリの内容、対象となる方、利用の流れ、他職種との連携まで、宮崎市のOUR訪問看護ステーションが実務の視点から解説します。
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訪問看護のリハビリとは、看護師と理学療法士・作業療法士が連携して自宅で行う機能訓練とADL支援です
訪問看護のリハビリとは、訪問看護ステーションに所属する理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)が自宅を訪問し、身体機能の維持・向上と日常生活動作(ADL)の自立を支援するサービスです。「訪問看護からのリハビリ」という位置づけのため、医療的なリスク管理を担う看護師と情報を共有しながら進められる点が特徴です。
脳卒中治療ガイドライン2021(改訂2023、日本脳卒中学会)では、十分なリスク管理のもとで発症後できるだけ早期から座位・立位訓練や歩行訓練を開始することが推奨されています。在宅でも同様に、体調の変化を見ながら段階的にリハビリの強度を上げていく進め方が基本になります。
訪問看護のリハビリでできることは、機能訓練・ADL訓練・住環境の提案・家族指導の4つに分けられます
機能訓練(理学療法士が中心)
関節可動域訓練、筋力トレーニング、バランス訓練、歩行訓練など、身体機能そのものへのアプローチです。脳卒中後の片麻痺、骨折後の筋力低下、パーキンソン病の姿勢反射障害など、疾患ごとに訓練内容は異なります。
ADL訓練(作業療法士が中心)
更衣、入浴、トイレ動作、食事など、実際の生活動作の中で「できること」を増やしていく訓練です。自助具の提案や動作方法の工夫も含まれます。
住環境の提案
手すりの位置、段差の解消、ベッドや椅子の高さ、動線の見直しなど、自宅の環境そのものへの提案です。介護保険の住宅改修・福祉用具貸与の仕組みと合わせて検討します。
家族への指導
移乗介助や体位変換の方法、自主トレーニングの伝え方など、リハビリ専門職が訪問していない時間帯もリハビリの効果を維持できるよう、家族が無理なく続けられる方法を一緒に考えます。
OURでは、これら4つの視点を1人の理学療法士・作業療法士がすべて担うのではなく、看護師とも情報を共有しながら、生活全体を見て優先順位をつけて関わることを大切にしています。「まず何から取り組むか」を利用者・家族と一緒に決めることが、実際に生活が変わる第一歩になります。
訪問看護のリハビリと訪問リハビリステーションの違いは、看護師によるリスク管理が常に伴うかどうかです
どちらもPT・OT・STが自宅でリハビリを提供する点は同じですが、訪問看護からのリハビリは「看護サービスの一環」として提供されるため、体調の変化があった際に看護師と直接情報共有ができ、必要に応じて看護師が訪問に切り替えることも可能です。医療依存度が高い方(在宅酸素、人工呼吸器、terminal期など)は、訪問看護からのリハビリの方が対応しやすいケースが多くなります。
実際の相談では、「今は訪問リハビリを使っているが体調が不安定になってきた」といったタイミングで、訪問看護への切り替えを検討されるケースもあります。どちらのサービスも一長一短があるため、状態の変化に応じて見直していくものだとお考えください。
対象となるのは、疾患や年齢を問わず「医師がリハビリの必要性を認めた」すべての方です
脳血管疾患、骨折後、パーキンソン病などの神経難病、心不全、COPD、がん、認知症など、対象疾患は多岐にわたります。利用には主治医の訪問看護指示書が必要で、年齢や病状によって医療保険・介護保険のどちらが適用されるかが変わります(65歳以上で要介護認定を受けている方は原則介護保険が優先されます)。
「うちの親は対象になるのか分からない」という場合も、まずはケアマネジャーや主治医、あるいはOURに直接ご相談いただければ、保険の種類や利用条件を含めて確認します。
リハビリの流れは、評価から目標設定、実施、再評価というサイクルを繰り返しながら進みます
初回訪問では、身体機能・生活動作・生活環境・ご本人とご家族の希望を評価したうえで、短期目標(1〜3か月で目指す状態)と長期目標(半年〜1年で目指す生活の姿)を一緒に設定します。目標は専門職が一方的に決めるのではなく、「何のためにリハビリをするのか」をご本人の生活の希望から逆算して決めることを大切にしています。数か月ごとに再評価を行い、目標の見直しや訓練内容の調整を行います。
評価には、握力や歩行速度といった身体機能の測定に加えて、「トイレに一人で行けるか」「調理を再開できているか」といった実際の生活動作の変化も含めます。数値だけでは見えない「その人らしい生活が戻ってきているか」を確認することを重視しています。
他職種との連携は、ケアマネジャー・主治医・看護師との情報共有によって支えられています
リハビリの内容や進捗は、訪問看護報告書・リハビリ実施記録としてケアマネジャーや主治医に共有されます。サービス担当者会議では、リハビリ専門職の視点から生活上の課題や今後の方針を提案することもあります。デイケアや通所リハビリを併用している場合は、訓練内容が重複・矛盾しないよう調整します。
宮崎市内では、退院直後の在宅移行期にケアマネジャー・主治医・訪問看護が密に連携する場面が多く、リハビリ専門職が生活の変化にいち早く気づき、他職種に共有する役割を担うこともあります。
よくある質問
訪問看護のリハビリは週に何回、何分くらい受けられますか?
介護保険の場合は1回20分・40分・60分などの単位で、要介護度に応じた区分支給限度額の範囲内で回数を調整します。医療保険の場合は疾患・状態によって回数の上限が異なります。具体的な回数は、主治医の指示とケアマネジャーとの相談のうえで決まります。
理学療法士(PT)と作業療法士(OT)、どちらに来てもらえばいいですか?
歩行や筋力など身体機能そのものの回復を重視する場合はPT、入浴・更衣・調理など生活動作の自立を重視する場合はOTが中心になることが多いですが、実際には両方の視点が必要なケースがほとんどです。初回訪問での評価をもとに、ステーション側で適した専門職を調整します。
認知症があってもリハビリは受けられますか?
受けられます。認知症疾患診療ガイドライン2026(日本神経学会監修)でも、生活機能の維持を目的としたリハビリテーション的関わりの重要性が示されています。指示に従うことが難しい場合でも、生活の中の得意な動作を活かしながら関わる方法を作業療法士が提案します。
デイケアに通っていますが、訪問看護のリハビリも併用できますか?
併用は可能ですが、要介護度ごとの区分支給限度額の範囲内でサービスを組み合わせる必要があります。デイケアでの訓練内容と自宅での生活課題が異なる場合、訪問看護のリハビリで生活動作に絞って補う、といった役割分担をケアマネジャーと調整することもあります。
リハビリの目標は誰が決めるのですか?
専門職が一方的に決めるものではありません。「孫の結婚式に自分の足で歩いて参列したい」「トイレだけは自分で行けるようになりたい」など、ご本人・ご家族の生活の希望を出発点に、実現可能な目標へと専門職が翻訳していく形で決めていきます。
末期がんや終末期でもリハビリは受けられますか?
受けられます。がんのリハビリテーション診療ガイドライン第2版(日本リハビリテーション医学会)では、進行がん・末期がんの段階でも、痛みの緩和や残存機能の維持、その人らしい生活の質(QOL)を保つことを目的としたリハビリテーションが位置づけられています。「治す」ためだけでなく「支える」ためのリハビリという考え方です。
まとめ
- 訪問看護のリハビリは、看護師と連携しながら理学療法士・作業療法士が自宅で行う機能訓練とADL支援です
- 機能訓練・ADL訓練・住環境の提案・家族への指導の4つの視点で関わります
- 目標はご本人・ご家族の生活の希望から一緒に設定し、定期的に見直します
- 疾患や年齢を問わず、医師がリハビリの必要性を認めた方が対象です
今日できる一歩:今のリハビリの内容や進み方に疑問がある方、これから訪問看護のリハビリを検討したい方は、担当のケアマネジャーに相談するか、OURに直接お問い合わせください。
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参考文献一覧
- 脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2023〕(日本脳卒中学会、2023年)
- がんのリハビリテーション診療ガイドライン 第2版(日本リハビリテーション医学会、2019年)
- 認知症疾患診療ガイドライン2026(日本神経学会監修、2026年)
- 大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン2021(改訂第3版)(日本整形外科学会・日本骨折治療学会、2021年)
- 介護保険制度について(厚生労働省)
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