
「手術は成功したけれど、退院後のリハビリはどうすればいいか」「自宅に帰っても歩けるようになるか不安」「また転んで骨折しないか心配で、家族も疲弊している」大腿骨頸部骨折の後、こうした声を多く聞きます。
大腿骨頸部骨折は、高齢者の転倒で最も多い重篤な骨折のひとつです。手術を受けてリハビリ病棟で訓練をしても、自宅に帰った後にリハビリを続けられるかどうかが、その後の生活の質を大きく左右します。退院後に動かなくなれば、体力や筋力はどんどん落ちていきます。
この記事では、大腿骨頸部骨折後の在宅リハビリの重要性・訪問看護のPT(理学療法士)が行うこと・転倒予防・費用と保険の使い方を、宮崎市のOUR(アワー)訪問看護ステーションが解説します。
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☎ 0985-77-8266受付時間:9時〜17時
大腿骨頸部骨折とは:なぜ「その後の生活」が問題になるか
高齢者に多い、転倒による股関節の骨折
大腿骨頸部とは、太ももの骨(大腿骨)の上端、股関節に近い部分のことです。この部分は骨が細く、血流も少ないため、骨折すると自然にくっつきにくい特徴があります。高齢者では骨粗鬆症による骨の脆弱化が重なるため、わずかな転倒でも骨折が起きやすくなります。
治療の多くは手術(人工骨頭置換術や骨接合術)で行われ、術後はリハビリ病棟や回復期病院でのリハビリを経て退院します。しかし、退院後も在宅でのリハビリを続けることが、歩行能力の回復と生活の自立を維持するうえで欠かせません。
「退院後に動かなくなる」が最大のリスク
大腿骨頸部骨折後に最も懸念されるのが、退院後の活動量の低下です。「痛いから動きたくない」「また転んだら怖い」という気持ちから、自宅で横になって過ごす時間が増えると、筋力・体力・バランス機能が急速に低下します。この状態を「廃用症候群」と呼びます。
廃用症候群が進むと、病院でせっかく回復した歩行能力が失われ、最終的に寝たきりに近い状態になってしまうケースがあります。退院後の在宅リハビリは「回復を続ける」だけでなく「回復を維持して廃用を防ぐ」という意味でも非常に重要です。
再骨折のリスクを下げることも重要
大腿骨頸部骨折を経験した方は、再び転倒して反対側の股関節や別の部位を骨折するリスクが高い状態にあります。「転ばない体をつくる」「転びにくい生活環境を整える」という取り組みが、在宅リハビリの重要な柱のひとつです。
訪問看護のPTが行う在宅リハビリの内容
筋力・バランス訓練:歩ける体を維持・向上させる
理学療法士(PT)は、退院時の状態を踏まえて個別の訓練プログラムを組みます。骨折した側の股関節・太もも・お尻の筋肉を中心に、安全な範囲で少しずつ負荷をかけていきます。
立ち上がり動作・その場での足踏み・壁を使ったスクワットなど、自宅でできる運動を指導します。「ベッドから立ち上がる→歩く→座る」という一連の動作を繰り返すことで、生活に必要な基本動作を確実に回復させます。
バランス訓練では、片足立ちの練習・足首の動きの改善・体重移動の練習を行い、「ふらつかない体」をつくります。
歩行訓練——自宅の中を安全に歩けるようにする
病院のリハビリ室と、自宅の廊下・居間・トイレへの動線は異なります。自宅での歩行訓練では、実際に使う場所を歩く練習をします。
杖・歩行器の使い方の確認・微調整も行います。「どちらの手に持てばいいか」「段差の越え方は合っているか」を実際の動作で確認し、安全な歩き方を定着させます。
移乗・日常動作の練習:生活の自立を高める
ベッドから車椅子へ、浴槽への出入り、玄関の段差の越え方など、日常生活で必要な動作を実際に練習します。「手すりのどこを持てばいいか」「足をどちらから出せばいいか」を一緒に確認し、安全な方法を体に覚えさせます。
転倒予防のための環境アドバイス
自宅内の転倒リスクを確認し、手すりの設置場所・カーペットの固定・滑り止めマットの活用・ベッドの高さ調整などを提案します。福祉用具(歩行器・シャワーチェア・手すり等)の選定・導入についても、ケアマネジャーと連携して調整します。
住宅改修(手すりの設置等)は介護保険で20万円を上限に助成(1〜3割自己負担)が受けられます。必要性があれば、導入の手続きもサポートします。
看護師との連携:術後の状態管理も大切
傷の確認・感染予防
手術後の傷がきちんと回復しているか、感染の兆候がないかを看護師が確認します。「傷が少し赤い気がする」「汁が出てきた」といった変化も、早期に対応することで重症化を防げます。
痛みの管理
退院後しばらくは、動作時の痛みが残ることがあります。痛みが強い状態で無理に動くと、リハビリへの意欲が低下します。鎮痛薬の服薬状況を確認しながら、「痛みをコントロールしながら動く」バランスを主治医と連携して整えます。
骨粗鬆症の管理:次の骨折を防ぐ
大腿骨頸部骨折の背景には骨粗鬆症があることが多く、適切な治療(薬・カルシウム・ビタミンD補給など)を続けることが再骨折予防に直結します。服薬状況の確認・主治医への報告を訪問看護師が担います。
費用・保険の使い方
介護保険(要介護認定がある場合)
65歳以上で要介護認定を受けている方は、介護保険での訪問看護が原則です。1回の訪問時間に応じた単位数で計算され、自己負担は1〜3割です。
週1〜2回(30〜60分)の訪問を目安として、月の自己負担は概ね3,000〜10,000円程度(1割負担の場合)が多いです。ケアプランの単位数の範囲内で、ヘルパー・デイサービスなど他のサービスと組み合わせることができます。
医療保険(退院直後・特定条件)
退院直後や状態が不安定な場合は、医師の指示によって医療保険での訪問看護が優先されることがあります。また、特定の条件を満たす場合、訪問回数の上限が緩和されます。
どちらの保険が適用されるかは、主治医・ケアマネジャー・訪問看護ステーションが連携して確認します。
退院前から動くことが、在宅生活を成功させる鍵
大腿骨頸部骨折後の在宅生活を安心して始めるために、退院前から訪問看護ステーションを決めておくことをおすすめします。
退院前カンファレンスに参加することで、入院中のリハビリの内容・歩行能力の状態・自宅で注意すべき点を病院スタッフから直接引き継ぎ、退院当日から訪問を開始できます。「帰ってから探す」より「帰る前に決める」ほうが、安心して在宅生活をスタートできます。
OURでは宮崎市内の医療機関との連携実績があり、退院前カンファレンスへの参加にも対応しています。「もうすぐ退院だが、その後が心配」という段階でも、遠慮なくご連絡ください。
よくある質問
大腿骨頸部骨折後の在宅リハビリは、退院後の廃用症候群を防ぎ、歩行能力と日常生活の自立を維持するために欠かせません。訪問看護の理学療法士は、筋力・バランス・歩行・日常動作の訓練と転倒予防の環境整備を、自宅という実際の生活の場で行います。看護師が傷・痛み・骨粗鬆症の管理を担い、チームで在宅生活を支えます。宮崎市で大腿骨頸部骨折後の在宅リハビリをお探しの方は、OUR訪問看護ステーションにお気軽にご相談ください。
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この記事を監修した人
株式会社OUR 代表取締役
中田 富久
認定作業療法士
昼は工場、夜は専門学校という4年間を経て作業療法士に。総合病院のICU・SCUから回復期、地域包括ケア病棟まで10年以上、脳卒中・難病・整形疾患の患者さんに関わり続けた。学会発表・座長を複数経験し、宮崎県内でも数名しかいない認定作業療法士として地域ケア会議やフレイル予防の場でも活動中。「病院を出ても、その人らしく生きてほしい」——その思いが、2022年のOUR設立につながった。「あなたらしさをともにつくる」を理念に、妻(看護師)とともに宮崎市で24時間365日の在宅ケアを届けている。帝人ファーマ「みんなの訪問看護アワード2026」大賞受賞。