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ともにつくるケアノート— あなたらしさを支える訪問看護のかたち —

在宅透析は可能?血液透析・腹膜透析の自宅生活とトラブル時の対応を解説

「透析が必要になったら、もう自宅には帰れないのでは」。初めて透析を勧められたとき、多くの方がそう感じます。実際には、透析をしながら自宅で生活を続けている方は大勢いますし、通院での血液透析であっても、訪問看護を組み合わせることで在宅生活は十分に成り立ちます。

この記事では、血液透析・腹膜透析それぞれの在宅生活の実際、起こりやすいトラブルとその対応、訪問看護が果たす役割を、宮崎市でOUR訪問看護ステーションが提供している視点から解説します。

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在宅透析とは、通院での血液透析と自宅で行う腹膜透析の両方を含む、自宅生活を前提とした透析の形

在宅透析というと「自宅で透析機械につながる」イメージを持たれがちですが、実際には2つの異なる形があります。1つは、週3回程度クリニックや病院に通いながら自宅で生活する血液透析(HD)。もう1つは、透析液の交換を自宅で行う腹膜透析(PD)です。どちらも「自宅での生活を中心に、透析と付き合っていく」という点は共通しています。

日本透析医学会の2024年末の統計調査によると、国内の透析患者数は337,414人、そのうち腹膜透析(他治療との併用含む)を行っている方は10,774人で全体の約3.2%です。腹膜透析の患者数は2017年以降増加傾向にあり、高齢化が進む中で在宅での透析継続を望む方が増えていることがうかがえます。

血液透析(HD)と腹膜透析(PD)の違い

項目血液透析(HD)腹膜透析(PD)
実施場所通院(クリニック・病院)自宅(一部は職場・外出先でも可)
頻度週3回程度、1回4〜5時間毎日(手動交換または夜間自動)
体への負担短時間で効率的だが、通院日に体力を使う身体への急激な負荷は少ないが毎日の管理が必要
食事・水分制限やや厳しめ(カリウム・リン・水分)HDよりやや緩やか(ただし糖分管理は必要)
主な合併症リスクシャントトラブル、透析後の血圧低下・倦怠感腹膜炎、カテーテル出口部感染

どちらを選ぶかは、本人の生活スタイル、介助者の有無、医療機関との距離、残存腎機能などを踏まえて主治医と相談しながら決めます。一方が優れているというものではなく、その人の暮らし方に合うかどうかが基準になります。

血液透析をしながらの在宅生活。通院日と非通院日でリズムをつくる

血液透析を選択した場合、週3回の通院日以外は自宅での生活が中心になります。透析直後は血圧低下や倦怠感が出やすいため、通院日の訪問スケジュールは本人の体力に合わせて調整することが大切です。

通院日に気をつけたいこと

透析直後は除水(体内の余分な水分を抜く処置)によって血圧が下がりやすく、ふらつきや転倒のリスクが高まります。通院後すぐに入浴したり、無理に外出したりすることは避け、しばらく安静にする時間を設けることをお勧めします。

非通院日の体調管理

水分・カリウム・リンの管理は、透析間の体重増加や検査値に直結します。「〇〇を食べてはいけない」という制限だけでなく、「どのくらいなら食べられるか」を具体的に把握できると、生活の質を保ちながら管理を続けやすくなります。訪問看護師は、体重・血圧・むくみの変化を確認しながら、本人の生活実態に合わせた管理方法を一緒に考えます。

シャントトラブルへの注意

血液透析では、血管に針を刺して血液を体外に循環させるための「シャント」(動静脈瘻)をつくります。シャント部分の皮膚が赤くなる、熱を持つ、拍動が弱くなる、といった変化は、閉塞や感染のサインである可能性があります。訪問時にシャント音(血流音)を確認し、変化があれば早期に主治医・透析施設に連絡することが、シャントを長く使い続けるために重要です。

腹膜透析(PD)の在宅生活。毎日の透析液交換と、カテーテル管理がポイントになる

腹膜透析は、お腹の中に入れたカテーテルを通じて透析液を出し入れし、腹膜を使って老廃物や余分な水分を取り除く方法です。通院は月1〜2回程度で済むため、通院の負担が少ないという特徴があります。

透析液交換の方法は2種類

手動で1日数回バッグを交換する方法(CAPD)と、就寝中に自動で交換を行う機器を使う方法(APD)があります。どちらを選ぶかは、生活リズムや手指の動かしやすさ、介助者の有無によって決まります。

カテーテル出口部のケアが感染予防の基本

カテーテルがお腹から出ている部分(出口部)を清潔に保つことは、感染予防の最も重要なポイントです。出口部の消毒、ガーゼ交換、観察を日々続けることで、感染のリスクを大きく下げることができます。訪問看護師は、出口部の状態を定期的に確認し、本人や家族が自分で行うケアの手技を一緒に確認・修正していきます。

高齢・視力低下・手指機能の低下がある場合の「アシストPD」

自分一人での透析液交換が難しくなった場合、訪問看護師が交換作業そのものを代行する「アシストPD」という形があります。認知機能の低下、視力低下、手指の巧緻性の低下などがあっても、訪問看護師が毎日の操作を担うことで、腹膜透析を継続できる場合があります。なお、透析液交換などの医療行為に該当する操作は、家族と看護師にのみ認められており、介護職員など他の職種が行うことはできません。

制度上の位置づけ

腹膜透析(在宅自己腹膜灌流指導管理)を受けている状態は、医療保険の訪問看護における「特掲診療料の施設基準等 別表第8」に該当します(厚生労働省告示第63号)。これにより、週4日以上の訪問看護が回数制限なく利用できます。訪問看護の別表7・別表8の違いとは?でも、この制度の仕組みを詳しく解説しています。

腹膜炎は腹膜透析の最大のリスク。排液の濁りを見たら、すぐに連絡を

腹膜透析を続ける中で最も注意すべき合併症が腹膜炎です。排液の混濁、腹痛、発熱(37.5度以上)、悪心・嘔吐のうち複数が見られた場合は、腹膜炎を疑う必要があります。

排液が濁って見えたら、すぐに医療機関へ連絡する

腹痛・排液の白濁・排液中の白血球数の上昇・培養検査陽性のうち2つ以上が当てはまると腹膜炎と診断されます。濁った透析液は、受診時に必ず持参してください。検査の手がかりになるためです。

抗菌薬の投与開始が1時間遅れるごとに治療失敗のリスクが約5.5%上昇するという報告があります。「少し様子を見よう」と判断を先延ばしにせず、変化に気づいた時点で速やかに連絡することが、腹膜透析を長く続けるための鍵になります。

日々の予防がもっとも効果的

腹膜炎の多くは、バッグ交換時の手技や出口部ケアの不備が原因で起こります。手洗い、交換時の清潔操作、出口部の日々の観察という基本的な積み重ねが、最も効果的な予防策です。訪問看護師が定期的に手技を確認することで、本人が気づかないうちに崩れていた手順を早期に見直すことができます。

在宅透析を続けるうえで、訪問看護が果たす具体的な役割

血液透析・腹膜透析のどちらであっても、訪問看護師が関わることで、トラブルの早期発見と生活の質の両立がしやすくなります。

  • 血液透析:シャントの観察、透析後の体調確認、水分・食事管理の支援、転倒リスクの評価
  • 腹膜透析:出口部ケア、バッグ交換の手技確認(または代行)、腹膜炎の早期発見、排液記録の確認
  • 共通:服薬管理、合併症(貧血・高血圧・骨代謝異常など)のモニタリング、主治医・透析施設との情報共有、ご家族の介護負担への配慮

OUR訪問看護ステーションでは、在宅透析・人工呼吸器・CV管理など高度な医療処置を必要とする利用者様への対応実績があります。透析施設の担当看護師や主治医と密に連携しながら、自宅での生活を支える体制を整えています。

こんな方は、まずお気軽にご相談ください。

  • 透析が必要になったが、自宅での生活を続けられるか不安
  • 腹膜透析の手技に自信がなく、サポートしてほしい
  • 高齢の家族が透析と介護を両立できるか心配
  • 透析施設からの紹介で、訪問看護の利用を検討している

訪問看護を導入するまでの流れ

  1. 主治医・透析施設に相談する:訪問看護の必要性について、透析担当医や看護師に相談します
  2. 訪問看護指示書の発行を依頼する:主治医が訪問看護ステーションに向けて指示書を発行します
  3. 訪問看護ステーションと事前面談を行う:透析の種類、生活リズム、希望する支援内容を確認します
  4. 訪問開始:透析施設と情報共有しながら、定期的な訪問を開始します

FAQ

Q1. 血液透析をしていても、訪問看護は利用できますか?

はい。血液透析は週3回程度の通院が必要ですが、通院日以外の体調管理、シャントの観察、生活面の支援として訪問看護を利用できます。通院による疲労が大きい方や、高齢で生活管理に不安がある方には特に有効です。

Q2. 腹膜透析の訪問看護は、週にどのくらい利用できますか?

腹膜透析(在宅自己腹膜灌流指導管理)は医療保険の訪問看護における別表第8に該当するため、週4日以上、回数の制限なく利用できます。状態に応じて主治医と相談しながら頻度を決めます。

Q3. 自分で透析液交換ができなくなったら、腹膜透析は続けられませんか?

訪問看護師が交換作業を代行する「アシストPD」という方法があります。認知機能や手指の動きに不安が出てきても、訪問看護師のサポートによって腹膜透析を継続できる場合があります。まずは主治医・訪問看護ステーションに相談してください。

Q4. 排液が少し濁っている気がしますが、様子を見てもいいですか?

様子を見ることはお勧めしません。排液の混濁は腹膜炎のサインである可能性があり、治療開始が遅れるほど治療失敗のリスクが高まるという報告があります。濁りに気づいた時点で、速やかに主治医・透析施設・訪問看護ステーションに連絡してください。

Q5. シャントの音が聞こえにくくなった気がします。これは異常ですか?

シャント音(血流音)の変化は、シャントの狭窄や閉塞のサインである可能性があります。普段との違いに気づいたら、自己判断せず、早めに透析施設や訪問看護師に確認してもらってください。早期対応により、シャントを長く使い続けられる可能性が高まります。

Q6. 高齢の家族が透析をしています。介護する側の負担をどう減らせますか?

透析患者さんのケアは、食事管理・通院の付き添い・体調の観察など、介護する家族の負担が大きくなりやすい領域です。訪問看護を利用することで、専門職が定期的に状態を確認し、家族だけで抱え込まない体制をつくることができます。負担が大きいと感じたら、早めに相談することをお勧めします。

Q7. 宮崎市で在宅透析の方への訪問看護を依頼したい場合、どうすればいいですか?

まずは主治医や透析施設に、訪問看護の利用を希望していることを伝えてください。訪問看護指示書が発行されれば、OUR訪問看護ステーションにご連絡いただくことで、事前面談を経て訪問を開始できます。指示書がまだない段階でも、まずはご相談ください。

まとめ:透析をしながらの在宅生活は、訪問看護と組み合わせることで十分に成り立つ

  • 在宅透析には、通院で行う血液透析(HD)と、自宅で透析液を交換する腹膜透析(PD)の2つの形がある
  • 腹膜透析は医療保険の訪問看護における別表第8に該当し、週4日以上・回数制限なく利用できる
  • 腹膜炎は腹膜透析の最大のリスク。排液の濁りに気づいたら様子を見ずに速やかに連絡することが重要
  • 自分での透析液交換が難しくなっても、訪問看護師が代行する「アシストPD」で継続できる場合がある
  • OUR訪問看護ステーションは在宅透析・人工呼吸器・CV管理などの高度医療処置に対応した実績がある

今日できる一歩:透析を控えている方、すでに透析をしながら在宅生活を続けている方は、主治医や透析施設に訪問看護の利用について相談してみましょう。宮崎市内でのご相談は、OUR訪問看護ステーションにもお気軽にお問い合わせください。


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参考文献一覧

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監修:中田富久(認定作業療法士・OUR代表) 執筆:OUR訪問看護ステーション 看護・リハビリチーム

この記事を監修した人

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TEAM

OUR訪問看護ステーション

看護・リハビリチーム

看護師7名・理学療法士1名・作業療法士3名 / 宮崎市

宮崎市を中心に24時間・365日の訪問看護を提供。在宅透析・人工呼吸器・CV管理などの高度医療処置から生活期リハビリまで対応。「あなたらしさをともにつくる」を理念に、認定作業療法士・中田富久が代表を務め、医師・ケアマネジャーと連携し利用者一人ひとりの在宅生活を支援している。帝人ファーマ「みんなの訪問看護アワード2026」大賞受賞。