
在宅療養中は、感染症への備えがとても大切です。高齢者や基礎疾患のある方は感染症が重症化しやすく、自宅という環境は病院や施設と違い、プロのスタッフが常駐しているわけではありません。「何に気をつければいいのか」「もし感染の疑いがあったらどうすればいいのか」この記事では、在宅療養中の感染対策の基本をわかりやすく解説します。
宮崎市全域、国富町、高岡町、綾町対応
“あなたらしい”在宅生活を、24時間・365日サポートします
☎ 0985-77-8266受付時間:9時〜17時
感染症が起きる「3つの条件」を知ろう
感染症は、次の3つの条件がすべて揃ったときに起こります。
- ①病原体(ウイルスや細菌):感染症の原因となる微生物
- ②感染経路:病原体が人の体に入る経路(接触・飛沫・空気など)
- ③宿主(しゅくしゅ:感染を受ける人):免疫力が低下していると感染しやすくなる
感染対策の基本は、この3つのうちひとつでも取り除くことです。とりわけ「感染経路の遮断」は、在宅でも取り組みやすく、効果の大きい対策です。具体的には次の3点を意識しましょう。
- 病原体を持ち込まない:外から帰ったら手洗い・うがい。体調の悪い人は面会を控える
- 病原体を持ち出さない:療養者が感染した場合、周囲への広がりを防ぐ
- 病原体を拡げない:ケア中の手袋・マスクの使用、汚染物の適切な処理
在宅ケアの基本:「標準予防策」とは
医療・介護の現場で使われる「標準予防策(スタンダードプリコーション)」という考え方があります。これは、すべての血液・体液・排泄物・傷の分泌物などは感染源になりうるという前提で扱う、感染対策の基本的な姿勢です。
在宅でケアをする方にも、この考え方はとても重要です。「相手が感染症にかかっていなくても、体液などには常に注意する」というスタンスを持つことで、感染リスクを大きく下げられます。
場面別の対応ポイント
| 場面 | 対応 |
|---|---|
| 血液・体液・排泄物に触れるとき | 手袋を着用。終わったら必ず手指消毒 |
| 嘔吐物・排泄物が飛び散る可能性があるとき | 手袋・マスク・エプロン・ゴーグルを着用 |
| 使用済みの器具・ガーゼなどを扱うとき | 手袋を着用し、感染性廃棄物として処理 |
| 注射針などの鋭利なものを扱うとき | 針刺し事故防止のため、リキャップは禁止 |
手袋などを外した後は、必ず手指消毒を行ってください。手袋をしていても、外すときに手が汚染されることがあります。
感染対策の要:正しい手洗い・手指消毒
手洗いは、感染対策のなかでもっともシンプルで効果的な方法です。在宅ケアの場面では特に、次のタイミングで手洗い・手指消毒を行いましょう。
- 療養者に触れる前と後
- 食事の準備・配膳の前後
- 排泄介助の前後
- 外出から帰ったとき
- 療養者の周囲の物(ドアノブ・手すり・ベッド柵など)に触れた後
アルコール消毒と石けん手洗い、どちらを使う?
通常はアルコール含有の手指消毒薬で十分です。ただし、手に目に見える汚れがついている場合は、まず液体石けんと流水でしっかり洗い流してから消毒しましょう。
手洗いで洗い残しが起こりやすい部位は、指先・爪の間・指の間・親指・手首です。特にノロウイルスはアルコール消毒が効きにくいため、石けんと流水による手洗いが有効です。
咳エチケット:飛沫感染を防ぐための基本
咳やくしゃみの飛沫は、1〜2メートル飛ぶと言われています。インフルエンザや風邪など、飛沫で広がる感染症を防ぐために、同居する方全員で「咳エチケット」を習慣にしましょう。
- 咳やくしゃみをするときはマスクを着用し、鼻からあごまでしっかり覆う
- マスクがない場合はティッシュやハンカチで口と鼻を覆い、他の人から顔をそらす
- 使ったティッシュはすぐにゴミ箱へ捨てる
- 咳を手でおさえた後は、ドアノブや手すりを触る前に必ず手洗い
- 同じマスクを何度も使いまわさず、こまめに取り替える
咳やくしゃみを手でおさえてしまうと、その手を介してウイルスが周囲に広がります。「手ではなくティッシュやマスクで覆う」という習慣が、感染拡大防止の第一歩です。
インフルエンザ:在宅療養者が注意すべきポイント
インフルエンザは、高齢者や免疫力の低い方にとって特に重症化リスクが高い感染症です。在宅療養中の方だけでなく、周囲で関わる方全員での予防が大切です。
疑うべき症状
- 急な発熱・悪寒
- 頭痛・腰痛・筋肉痛・全身のだるさ
- 鼻水・のどの痛み・咳などの呼吸器症状
- 腹痛・嘔吐・下痢を伴う場合もある
在宅での予防と対応
- ワクチン接種:療養者本人・同居する方ともに、毎年接種を検討しましょう。接種の意義・有効性・副反応については、主治医や訪問看護師にご相談ください
- 十分な休養とバランスの良い食事:宿主の免疫力を高めることが感染予防の基本です
- こまめな換気:窓を開けて新鮮な空気を入れることで、空気中のウイルス濃度を下げられます
- 体調変化を見逃さない:普段のバイタルチェックを続け、顔色・食欲・表情の変化にも気を配りましょう
- 感染疑いがあれば早めに受診:「いつもと違う」と感じたら、早めに主治医や訪問看護師に連絡してください
ノロウイルス:嘔吐・下痢が出たときの対処法
ノロウイルスは冬に流行しやすく、感染力がとても強い感染症です。嘔吐物や下痢便の処理を誤ると、周囲の方全員に広がることがあります。療養者に嘔吐・下痢の症状が出たら、以下の手順で対応しましょう。
疑うべき症状
- 噴射するような激しい嘔吐
- 水様便(水のような下痢)
- 吐き気・嘔吐・下痢・発熱
嘔吐物の処理手順
- マスク・ガウン(エプロン)・手袋を着用する
- 嘔吐物を濡れたペーパータオル等で覆う
- 外側から内側に向かって、面を覆うように静かに拭き取る
- 最後に次亜塩素酸ナトリウム液で拭き取る(ノロウイルスにはアルコールより塩素系が有効)
- 使ったペーパータオルや手袋はビニール袋に密封して廃棄する
- マスク・ガウン・手袋を外し、石けんと流水で手洗いする
- 換気を十分に行う
ノロウイルスは、症状が治まった後も最大4週間程度は便の中にウイルスが残ることがあります。回復後も手洗いを続け、排泄物の取り扱いには注意しましょう。
疥癬(かいせん):見落としやすい皮膚の感染症
疥癬は、ヒゼンダニという小さなダニが皮膚に寄生することで起こる感染症です。インフルエンザやノロウイルスほど知名度はありませんが、在宅療養中の高齢者に見られることがあります。感染力があるため、早期発見・早期治療が大切です。
こんな症状があったら疥癬かも
- 夜間に強くなる皮膚のかゆみ(特に夜、かゆみが激しくなる)
- 皮膚の赤い湿疹・丘疹・鱗屑(かさかさした皮膚)
- 手のひらや指の間に「疥癬トンネル」と呼ばれる線状の皮疹
疑わしい症状があれば、早めに皮膚科を受診してください。初期段階では診断が難しいこともあるため、「疥癬の可能性があるか」を医師に明示的に確認することも大切です。
ケア時の注意点
- 疥癬の疑いがある療養者のケア時は、手袋と使い捨てガウンを着用する
- 入浴できる方は毎日入浴し、皮膚の観察と清潔保持を続ける
- ケアをした方自身にかゆみや湿疹が出た場合は、すぐに皮膚科を受診する
- 特に重症の「痂皮型疥癬」は感染力が非常に強いため、診断がついた場合は訪問看護師・主治医と対応を相談する
感染の疑いがあるとき、まず訪問看護師に連絡を
在宅療養中の療養者に感染症の疑いがある場合、「病院に連れて行けるかどうか」「どの程度深刻なのか」の判断は、在宅でひとりで行うにはとても難しいものです。
そのようなときは、まず訪問看護師や主治医に電話でご相談ください。症状の聞き取りをもとに、「様子をみてよい状態か」「受診が必要な状態か」「緊急対応が必要か」を一緒に判断します。
OUR訪問看護ステーションでは24時間・365日のオンコール体制を整えています。夜中に「いつもと様子が違う」と感じたときも、電話一本でご相談いただけます。感染症の早期発見・早期対応は、在宅療養を長く安心して続けるための大切な鍵です。
よくある質問:家族とケアマネジャーの疑問に答えます
家族からよく寄せられる疑問
Q. 訪問看護師が来た後、部屋や触れた物の消毒は必要ですか?
通常の訪問後に、部屋全体を消毒する必要はありません。訪問看護師はケア前後の手指消毒・必要に応じた手袋着用などの標準予防策を徹底しています。気になる場合は、訪問看護師が触れたドアノブや手すりをアルコールスプレーで拭く程度で十分です。感染症が疑われる療養者のケア後は、看護師から具体的な注意事項をお伝えします。
Q. 同居の家族が風邪や発熱のとき、訪問看護師に来てもらっていいですか?
ご家族が発熱・咳などの症状がある場合は、訪問前に必ずステーションへご連絡ください。療養者が免疫力の低い状態であれば、訪問看護師と相談の上で訪問日程の調整や対応方法を決めることができます。「連絡しづらい」と思わずに、遠慮なくご相談ください。療養者を守るための情報共有を、私たちは歓迎しています。
Q. 38度以上の熱が出たとき、すぐに救急車を呼ぶべきですか?
発熱だけで即座に救急を呼ぶ必要はない場合がほとんどです。まずは訪問看護師または主治医に電話でご連絡ください。「呼吸が苦しそう」「意識がおかしい」「ぐったりして動けない」「唇や顔色が青白い」といった症状を伴う場合は、迷わず119番に連絡してください。OURでは24時間オンコール体制を整えており、夜間・休日でも電話でご相談いただけます。「様子を見ていいか、受診が必要か」を一緒に判断します。
Q. 感染対策のために、面会や外出を制限した方がいいですか?
一律に制限する必要はありません。人との関わりや外出は、療養者の精神的な健康・生活の質に大きく影響します。感染対策と生活の豊かさのバランスを取ることが大切です。感染が流行している時期や、療養者の免疫状態が特に低下しているタイミングには、主治医や訪問看護師と相談の上で対応を判断してください。「面会を完全に断るべきか」という問いには、療養者本人の意向も大切にした上で考えていきましょう。
Q. ノロウイルスの疑いがあるとき、ヘルパーさんや他のサービスへの連絡は必要ですか?
必要です。嘔吐・下痢などのノロウイルスが疑われる症状が出た場合は、訪問看護師だけでなく、ヘルパー事業所・デイサービス・担当ケアマネジャーにも速やかに連絡してください。各サービスが適切な感染対策をとるために、早めの情報共有が重要です。「誰に連絡すればいいかわからない」という場合は、まず訪問看護師に電話していただければ、必要な連絡先を一緒に整理します。
ケアマネジャーからよく寄せられる疑問
Q. 療養者が感染症にかかったとき、ヘルパーや通所サービスの利用はどう調整すればいいですか?
感染症の種類・症状の程度・他の利用者への感染リスクによって対応は変わります。訪問看護師が状態を把握しているため、「サービスを一時中断すべきか」「どの程度の感染対策が必要か」について、ケアマネジャーと情報共有しながら判断できます。疥癬・ノロウイルス・インフルエンザなど感染力の高い疾患の場合は、他の利用者への配慮から通所系サービスの一時休止が必要になることがあります。早めのご連絡をお願いします。
Q. 感染疑いが出たとき、訪問看護と医療機関の連携はどう動きますか?
訪問看護師がバイタルサインや症状を確認した上で、主治医に報告・指示を仰ぎます。主治医の判断によっては訪問診療の前倒し・往診・受診調整が行われます。ケアマネジャーには訪問後に状態を共有し、サービス調整が必要かどうかをご連絡します。OURでは医療機関との連携実績が豊富なため、「どの医療機関に連絡すればいいか」「往診は頼めるか」といった相談にも対応できます。
Q. 感染対策について家族への説明が難しい場合、訪問看護師にサポートを頼めますか?
はい、対応しています。「ノロウイルスの嘔吐物処理の方法を家族に見せながら説明してほしい」「疥癬の感染対策を同席して家族に伝えてほしい」など、具体的な場面での説明・指導は訪問看護師の重要な役割のひとつです。サービス担当者会議や退院前カンファレンスへの参加も可能ですので、感染対策の共有が必要な場面があればご連絡ください。
Q. 感染症に関する情報を多職種でリアルタイムに共有するにはどうすればいいですか?
OURではMCS(メディカルケアステーション)等のICTツールを活用した多職種連携体制を整備しています。「療養者に発熱が出た」「嘔吐物の処理を行った」「疥癬の治療が始まった」といった情報をタイムリーに共有することで、各サービスが適切な感染対策をとれる体制を作ることができます。ICTを使った連携に関心があるケアマネジャー事務所の方は、お気軽にご相談ください。
Q. 痂皮型疥癬(ノルウェー疥癬)が診断された場合、サービス提供者側はどう対応すればいいですか?
痂皮型疥癬は通常の疥癬と比べて感染力が非常に強く、接触感染だけでなく環境(衣類・寝具・家具)を介した感染も起こります。診断が確定した場合は、訪問するすべてのスタッフ(看護師・ヘルパー・リハビリ職)が使い捨てガウン・手袋を徹底することが求められます。通所系サービスは主治医の判断が出るまで一時休止が原則です。「どこまで対応すればいいか」の判断は状況によって異なるため、必ず訪問看護師・主治医と連携して進めてください。
Q. 利用者さんのご自宅や施設に伺う際、ケアマネジャーとして気をつけるべき感染対策は何ですか?
モニタリング訪問や担当者会議などで利用者宅・施設に伺う際は、以下の点を意識してください。
- 訪問前の体調確認:発熱・咳・倦怠感など体調不良がある場合は訪問を控え、電話やオンラインに切り替える。利用者側に感染症疑いがある情報を事前に得た場合も同様に判断する
- 手指消毒の徹底:訪問先への入室前・退室後に手指消毒を行う。消毒薬を携帯しておくと安心
- マスクの着用:利用者が免疫力の低い方・感染症流行期・感染症疑いがある場合は、マスクを着用して訪問する
- 複数宅を訪問する場合の注意:1件ごとに手指消毒を行い、感染を持ち込まない・持ち出さない意識を持つ。感染症が疑われる利用者宅への訪問は、当日の訪問スケジュールの最後に回すことも選択肢のひとつ
- 施設訪問時のルール確認:介護施設は施設ごとに訪問者への感染対策ルール(体温測定・記名・マスク着用など)を設けていることが多い。事前に施設のルールを確認し、従う
- 疥癬・ノロウイルス等の情報共有:訪問先で感染症が発生・疑われている情報を得た場合は、関係するサービス事業所(訪問看護・ヘルパー等)に速やかに情報共有する。情報を持っているのにサイレントにしてしまうことが、感染拡大の原因になりやすい
「自分はただ話を聞きに来るだけだから」と感染対策を軽視してしまいがちですが、ケアマネジャーは複数の利用者宅を訪問する立場上、感染経路の媒介になるリスクがあります。利用者を守るための行動として、日常的な感染対策を習慣にしてください。不明な点や判断に迷う場面があれば、OUR訪問看護ステーションにご相談いただけます。
在宅療養中の感染対策は、「病原体を持ち込まない・持ち出さない・拡げない」という3原則が基本です。正しい手洗い・咳エチケット・ケア時の手袋着用といった日常の積み重ねが、感染症から療養者と周囲の方を守ります。インフルエンザ・ノロウイルス・疥癬など、それぞれの感染症の特徴を知っておくことで、疑いが出たときにも落ち着いて対応できます。「何かいつもと違う」と感じたら、遠慮なくOUR訪問看護ステーションにご連絡ください。
参考資料(厚生労働省・国立感染症研究所)
宮崎市全域、国富町、高岡町、綾町対応
“あなたらしい”在宅生活を、24時間・365日サポートします
☎ 0985-77-8266受付時間:9時〜17時