
「また倒れるのではないか」脳梗塞や脳出血を一度経験した方と家族にとって、再発への恐怖は在宅生活のなかに常につきまといます。脳卒中は再発しやすい病気です。一方で、適切な管理を続けることで再発リスクを大きく下げることができます。
再発予防の柱は、血圧のコントロール・服薬の継続・生活習慣の見直しです。しかし退院後の自宅では、病院のような管理体制がなく、「薬をきちんと飲めているか不安」「血圧が高い日が続いているがどうすればいいか」という状況が生まれやすくなります。
この記事では、脳卒中の再発予防のために在宅で何をすべきか、訪問看護がどう関わるかを、宮崎市のOUR(アワー)訪問看護ステーションが詳しく解説します。
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脳卒中はなぜ再発しやすいのか
再発率と時期:退院後が最も危険
脳卒中は再発率が高い病気です。脳梗塞では発症後1年以内の再発率は約10%、5年以内では約30〜40%にのぼるとされており、特に退院後早期、退院後数週間から数か月が最もリスクの高い時期です。
再発すると、初回より重い後遺症が残ることが多く、回復もより困難になります。「一度助かったから大丈夫」ではなく、「再発を防ぐことが最重要課題」と位置づけることが、在宅での療養管理の第一歩です。
再発の主なリスク要因
脳卒中の再発には、以下のリスク要因が関わっています。
高血圧は最大のリスク要因です。血圧が高い状態が続くと、血管壁にかかる負担が増し、再び詰まったり破れたりするリスクが高まります。
心房細動(脈が不規則になる不整脈)は、心臓内に血栓ができやすく、それが脳に飛んで脳梗塞を引き起こします。心房細動のある方には抗凝固薬が処方されており、服薬の継続が非常に重要です。
糖尿病・脂質異常症・喫煙も血管を傷めるリスク要因です。これらへの対策も再発予防の一部です。
服薬の自己中断も再発の大きな要因のひとつです。「症状が落ち着いたから薬をやめた」「副作用が気になってやめてしまった」というケースが少なくありません。主治医に相談せずに服薬をやめることは非常に危険です。
在宅での再発予防:3つの柱
①血圧管理:毎日の測定と記録
高血圧の管理は、脳卒中の再発予防において最も重要な取り組みのひとつです。家庭での血圧測定を習慣にすることが、管理の基本となります。
家庭血圧の目標値は、一般的に収縮期血圧(上の血圧)130mmHg未満、拡張期血圧(下の血圧)80mmHg未満とされています(主治医の指示に従ってください)。
測定のポイントは、毎日同じ時間・同じ条件で測ることです。朝起きてトイレを済ませた後・夜寝る前に測る習慣が推奨されています。測定値を手帳やアプリに記録し、受診時に持参することで、主治医が状態を把握しやすくなります。
「血圧が高い日が何日も続く」「めまいや頭痛がある」「いつもと様子が違う」という場合は、主治医や訪問看護師に早めに連絡することが重要です。
②服薬管理:飲み忘れ・自己中断をなくす
脳卒中後に処方される薬には、抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)・降圧薬・脂質異常症治療薬などがあります。これらは症状がなくなっても続ける必要があり、自己判断でやめると再発リスクが跳ね上がります。
在宅での服薬管理でよくある問題が、飲み忘れと飲み間違いです。特に複数の薬を飲んでいる場合や、記憶に問題がある場合は、管理が難しくなります。
一包化(1回分ずつ袋に分けること)・お薬カレンダー・服薬ボックスの活用が有効です。家族と一緒に確認する習慣をつけることや、服薬の時間をスマートフォンのアラームで管理する方法もあります。
「副作用が気になる」「薬が多すぎて管理できない」という場合は、主治医や薬剤師に相談することで、種類を整理したり飲み方を工夫したりできることがあります。自己判断でやめる前に、まず相談することが大切です。
③生活習慣の見直し:できる範囲から継続する
食事・運動・禁煙・飲酒の管理も再発予防の重要な要素です。ただし、退院直後はすべてを一度に変えようとすると続かないため、優先順位をつけて取り組むことが現実的です。
食事では、塩分の摂りすぎを避けることが血圧管理に直結します。加工食品・漬物・ラーメンの汁などに含まれる塩分に注意し、調理時は減塩を意識します。野菜・魚・大豆製品を中心にしたバランスのよい食事が基本です。
適度な運動は、血圧・血糖・コレステロールのコントロールに役立ちます。ただし、脳卒中後は過度な負荷が危険な場合もあるため、主治医の指示のもと、訪問のPTが安全な運動方法を指導します。
禁煙は再発予防に非常に効果が高く、喫煙している場合は禁煙支援を積極的に活用することをおすすめします。
訪問看護が再発予防をサポートするしくみ
訪問ごとのバイタル測定と異常の早期発見
訪問看護師は毎回の訪問時に血圧・脈拍・体温・酸素飽和度などを測定します。「先週より血圧が高い」「脈が不整脈気味」「いつもより元気がない」という変化を早期に察知し、主治医への報告・受診調整につなげます。
家庭での血圧測定が難しい方や記録が続かない方でも、訪問のたびに専門家が計測・管理します。
服薬状況の確認と調整サポート
訪問時に薬の残数を確認し、飲み忘れや残薬の溜まり方から服薬の実態を把握します。「飲めていない日がある」とわかれば、理由を一緒に考えて改善策を提案します。お薬カレンダーや一包化の活用が必要な場合は、ケアマネジャー・薬剤師と連携して環境を整えます。
副作用が心配な場合は、主治医に代わりに伝える・受診に同行するなどの対応もできます。「自分では言い出しにくい」という服薬の悩みを、訪問看護師に話してもらうことが第一歩です。
再発の前兆を見逃さない
脳卒中の再発には、前兆となるサインが現れることがあります。一過性脳虚血発作(TIA)と呼ばれる一時的な症状突然の片麻痺・言語障害・視野の異常・激しいめまいなどは、本格的な脳卒中の前触れである可能性があります。これらの症状が数分〜数十分で治まっても、必ず医療機関を受診する必要があります。
訪問看護師は、こうした再発の前兆サインを家族に事前に伝え、「このような症状が出たらすぐ連絡・救急車を呼んでください」という対応を確認しておきます。
「FAST」を家族全員で覚える

脳卒中の再発に気づくためのサインとして、「FAST」という覚え方があります。
F(Face):顔の片側がゆがんでいる、片方の口角が下がっている 。
A(Arm):片腕に力が入らない、上げようとすると片側だけ下がる 。
S(Speech):言葉がうまく出ない、ろれつが回らない、話が理解できない。
T(Time):これらの症状が出たらすぐに119番を呼ぶ
訪問看護師は、このFASTの内容を家族に伝え、緊急時に慌てず対応できるよう一緒に確認します。
宮崎市でのサポート:OUR訪問看護ステーション
退院直後からの継続した管理体制
再発リスクが高い退院直後から、訪問看護が定期的に関わることで、血圧・服薬・生活の変化を逃さず把握できます。「退院してすぐ訪問看護を始めたい」という場合でも、入院中のうちから退院前カンファレンスを通じて引き継ぎを受け、退院当日から支援を開始することができます。
主治医・ケアマネジャーとのスムーズな連携
「血圧が高い状態が続いている」「服薬の調整が必要かもしれない」という場合、OURは主治医への報告を迅速に行います。必要に応じて受診の同行・連絡調整も行い、「問題が見つかったが受診できない」という状況を防ぎます。
家族の不安を一緒に抱える
再発への不安は、本人だけでなく介護する家族にとっても大きな精神的負担です。「何かあったらどうすればいいか」という不安に対して、訪問看護師は緊急時の対応を一緒に確認し、「いざとなれば連絡できる」という安心感を届けます。
よくある質問
脳卒中の再発予防には、血圧の毎日の管理・服薬の継続・生活習慣の見直しという3つの柱が重要です。退院後の自宅では管理体制が薄くなりがちですが、訪問看護が定期的に関わることで、バイタルの変化・服薬の状況・生活の様子を継続的に確認できます。「また倒れるのが怖い」という不安を抱えながら在宅生活を送っている方、宮崎市で再発予防の支援を探している方は、OUR訪問看護ステーションにご相談ください。
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この記事を監修した人
株式会社OUR 代表取締役
中田 富久
認定作業療法士
昼は工場、夜は専門学校という4年間を経て作業療法士に。総合病院のICU・SCUから回復期、地域包括ケア病棟まで10年以上、脳卒中・難病・整形疾患の患者さんに関わり続けた。学会発表・座長を複数経験し、宮崎県内でも数名しかいない認定作業療法士として地域ケア会議やフレイル予防の場でも活動中。「病院を出ても、その人らしく生きてほしい」——その思いが、2022年のOUR設立につながった。「あなたらしさをともにつくる」を理念に、妻(看護師)とともに宮崎市で24時間365日の在宅ケアを届けている。帝人ファーマ「みんなの訪問看護アワード2026」大賞受賞。