
「リハビリの先生が来ているとき以外、何をすればいいのか分からない」週1〜2回の訪問だけでは、リハビリの効果を十分に引き出すことはできません。専門職が訪問していない時間の過ごし方が、実は回復のスピードを大きく左右します。
この記事では、訪問看護のPT・OTがご家族にどのような指導を行っているのか、その具体的な内容を解説します。
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家族への指導とは、専門職が訪問していない時間もリハビリの効果を維持するための橋渡しです
週に数十分〜数時間の訪問だけでは、身体機能や生活動作の改善には限界があります。ご家族に無理のない範囲で自主トレーニングや適切な介助方法を身につけていただくことで、24時間の生活の中でリハビリの効果を積み重ねていくことができます。
専門職が関わる時間は、1週間全体からすればごくわずかです。だからこそ、残りの時間をどう過ごすかが、リハビリの成果を左右すると言っても過言ではありません。
自主トレーニングは、無理のない「続けられる量」に絞って伝えることを大切にしています
「1日に何十回もやってください」という指導は、かえって続かなくなる原因になります。訪問看護のリハビリでは、生活の中の決まったタイミング(食事の前、テレビを見ている間など)に組み込める、少ない回数のメニューから提案することが多くあります。回数よりも「毎日続けられるかどうか」を優先します。
無理な目標を立てて数日で挫折するより、「これなら続けられる」というラインを本人・家族と一緒に見つけることを大切にしています。慣れてきたら少しずつ回数を増やしていきます。
移乗・移動介助では、家族自身の腰を守るための基本的な体の使い方を伝えています
ベッドから車椅子への移乗など、介助には正しい体の使い方(ボディメカニクス)があります。膝を曲げて重心を落とす、相手の体を自分の体に近づける、といった基本を知らないまま介助を続けると、介助する側の腰を痛める原因になります。実際の介助場面を一緒に行いながら、無理のない介助方法を伝えています。
特に体格差がある場合(小柄な家族が大柄な方を介助する場合など)は、力任せの介助では長続きしません。福祉用具(スライディングボードなど)の活用も含めて提案します。
転倒予防のために、ご家族ができる見守りのポイントがいくつかあります
夜間のトイレ移動、浴室の出入り、立ち上がり動作など、転倒が起きやすい場面はある程度パターン化できます。「見守りが必要な場面」と「一人でも大丈夫な場面」を分けて伝えることで、家族の負担を減らしながら安全を確保できます。
「常に付き添わなければ」という思い込みが、かえって家族の負担を大きくしてしまうこともあります。安全な範囲を明確にすることで、ご家族自身の生活も守られます。
誤嚥予防の食事介助では、食事の姿勢と一口の量がポイントになります
食事中にむせる、食べこぼしが多いといった場合、食事の内容だけでなく、姿勢(あごを引く角度、椅子の高さ)や一口の量、飲み込みのペースが影響していることが多くあります。ご本人の状態に合わせた食事介助の方法を、実際の食事場面で確認しながら伝えます。
早食いの癖がある方には、一口ごとに箸やスプーンを置いてもらう、といった具体的な工夫も併せて提案します。テレビを見ながらの「ながら食べ」も誤嚥のリスクを高めるため、注意を促すことがあります。
良かれと思って行う「やりすぎる介助」も、実は回復を妨げることがあります
ご本人を思うあまり、できることまで先回りして手伝ってしまう「過介助」は、本人の残っている力を使う機会を奪い、かえって機能低下(廃用)を早めてしまうことがあります。「見守りながら待つ」「できるところは本人にやってもらう」という関わり方も、家族への指導の大切な内容のひとつです。
時間がかかっても本人にやってもらうことが、結果的に機能の維持・回復につながります。忙しい中では難しい場面もありますが、「見守る時間」を確保することの意味を、繰り返しお伝えしています。
よくある質問
自主トレーニングをサボってしまう日があっても大丈夫ですか?
毎日完璧にやる必要はありません。継続することが目的なので、できなかった日があっても気にしすぎず、次の日にまた再開していただければ問題ありません。
介助方法が家族によってバラバラだと良くないですか?
できれば統一した方が、ご本人も混乱せず安全です。訪問時に、複数のご家族が介助に関わっている場合はまとめて指導を行うこともできますので、遠慮なくご相談ください。
家族が介助に自信が持てません。どうすればいいですか?
自信が持てないまま無理に介助を続けるのは危険です。訪問時に「この動作に自信がない」と伝えていただければ、実際に一緒に行いながら安全な方法を確認します。
食事中にむせることが増えました。訪問看護に相談できますか?
相談できます。むせが増えた場合は誤嚥性肺炎のリスクにもつながるため、早めに主治医・訪問看護へご相談ください。姿勢や食事形態の見直しで改善することがあります。
まとめ
今日できる一歩:今行っている介助方法や自主トレーニングについて不安な点があれば、次回の訪問時にPT・OTへ率直に伝えてください。一緒に、より安全で続けやすい方法を探していきます。
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参考文献一覧
- 脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2023〕(日本脳卒中学会、2023年)
- 成人肺炎診療ガイドライン2024(日本呼吸器学会、2024年)
- 介護保険制度について(厚生労働省)
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