
「最近、背中がかゆくて眠れない」「お風呂上がりに全身がかゆくなる」秋になると、このような相談が増えます。
高齢者の皮膚は乾燥しやすく、秋冬は特にトラブルが起きやすい季節です。「年をとれば仕方ない」と思われがちですが、適切なケアで大幅に改善できます。かゆみで眠れない夜は、皮膚だけでなく体全体の体力を消耗します。
この記事では、訪問看護師が現場で実践している皮膚ケアの知識と、家族でもできる毎日のケア方法をお伝えします。
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高齢者の皮膚はなぜ乾燥しやすいのか
高齢者の皮膚が乾燥しやすい理由は、皮膚の構造そのものの変化にあります。
皮膚の表面には「皮脂膜」があり、水分の蒸発を防いでいますが、加齢とともに皮脂の分泌が減り、皮脂膜が薄くなります。また、皮膚の中の天然保湿因子(NMF)やヒアルロン酸も減少するため、水分を保持する力が弱くなります。
その結果、外気の乾燥・エアコンの風・入浴後の水分蒸発などで、あっという間に皮膚が乾燥してしまうのです。
乾燥が引き起こす問題
| 問題 | 具体的な症状 | 放置すると |
| 老人性皮膚掻痒症 | 全身のかゆみ(特に下腿・背中) | 掻き傷→感染 |
| 接触性皮膚炎 | 湿疹・赤み・かぶれ | 範囲拡大 |
| 褥瘡(床ずれ)の進行 | 皮膚がもろくなり摩擦に弱くなる | 深部へ悪化 |
| 真菌感染(カンジダなど) | 陰部・股間・指の間の赤み | 広範囲感染 |
毎日の保湿ケア|家族でできる基本の手順
入浴後3分以内の保湿が鉄則
入浴後は皮膚が水分を含んでいますが、放置すると急速に蒸発します。お風呂上がりから3分以内に保湿剤を塗ることが、最大の効果を生みます。
タオルで拭くときも「こすらず押さえるように」が基本です。特に内股・脇の下など皮膚が重なる部分は、乾燥だけでなく蒸れにも注意が必要です。
保湿剤の選び方
| 種類 | 特徴 | 向いている方 |
| ローション | さらっとしている・塗りやすい | 比較的乾燥が軽い方 |
| クリーム | 適度なしっとり感 | 一般的な乾燥肌 |
| 軟膏 | 油分が多く保湿力が高い | 重度の乾燥・ひび割れ |
| ヘパリン類似物質(保険適用可) | 医療用の保湿剤・処方が必要 | 医師が必要と判断した場合 |
ドラッグストアで手軽に使えるものとしては、ワセリン(白色ワセリン)・ニベアクリーム・ユースキンなどが手頃でよく使われます。アルコール入りのローションは乾燥を悪化させることがあるため避けましょう。
かゆみへの対処
かゆいからといって掻いてしまうと、皮膚が傷つき感染リスクが上がります。夜間のかゆみで眠れない場合:
- 保湿剤を塗る前に、濡れタオルで患部を冷やす(冷感でかゆみが和らぐ)
- 爪を短く切っておく(掻いても傷つきにくくする)
- 綿素材の肌着を選ぶ(刺激の少ない素材)
- 室内の湿度を50〜60%に保つ(加湿器の活用)
かゆみが強い場合や湿疹が広がる場合は、皮膚科への受診をおすすめします。
床ずれ(褥瘡)の予防|特に注意したい部位とケア
褥瘡が起きやすい部位
褥瘡は骨が出っ張った部分の皮膚に起きやすいです。
- 仙骨部(お尻の真ん中):寝たきりの方で最多
- かかと:足を伸ばして寝る方
- 肘・肩・耳の後ろ:横向きに寝る方
「長く同じ姿勢でいる」「皮膚が乾燥している」「栄養状態が悪い」「体重が軽い」方はリスクが高くなります。
褥瘡予防の3原則
- 体位変換:2時間ごとに姿勢を変える。自力では難しい方は家族が介助するか、体圧分散マットレスを利用する
- 皮膚を清潔・乾燥から守る:おむつ使用の方は排泄後すぐに交換し、陰部を清潔に保つ
- 栄養状態を整える:タンパク質・亜鉛・ビタミンCは皮膚の修復に必要な栄養素
「お尻が赤くなっている」と気づいたら早めに対処が必要です。白くなったり、傷ができていたりする場合は訪問看護師に相談してください。
OUR訪問看護ステーションによるサポート体制
OUR訪問看護ステーション(宮崎市)では、看護師・PT・OTが連携してご自宅でのケアを提供します。全スタッフが厚生労働省の精神保健研修を修了しており、身体疾患から精神疾患まで幅広い対応が可能です。24時間のオンコール体制を整え、夜間・休日でも緊急対応します。
「どんな状態でもまず相談」というスタンスで、宮崎市・国富町・綾町・高岡町エリアに対応しています。ご相談はお電話(0985-77-8266)またはウェブフォームからどうぞ。
在宅療養で医療保険と介護保険をどう使い分けるか
訪問看護は医療保険と介護保険の両方で利用できますが、どちらが適用されるかは疾患・状態によって異なります。介護保険認定を受けている方は原則として介護保険が優先されますが、がん末期・難病・精神疾患・特別訪問看護指示書がある期間は医療保険での利用となります。
保険の選択を間違えると給付が受けられないケースもあるため、OURがご利用者ごとに確認し、最適な方法でサービスを提供します。不明な点はOURにご相談ください。
よくある質問
かゆみ止めの市販薬を使ってもいいですか?
抗ヒスタミン薬の内服は、高齢者では眠気・口の渇き・尿閉などの副作用が出やすいため慎重に使う必要があります。外用薬(クリーム・ローション)は比較的安全ですが、ステロイド入りのものは長期使用で皮膚が薄くなることがあります。使う場合は短期間にとどめ、改善しない場合は皮膚科を受診してください。
週に何回お風呂に入るのが皮膚に良いですか?
毎日入る必要はありません。週3〜4回程度でも十分です。お湯の温度は40度以下が理想で、長湯(15分以上)は皮脂を過剰に落とすため避けましょう。石鹸は弱酸性のものを選び、強くこすらないことが大切です。
糖尿病があると皮膚トラブルが増えますか?
糖尿病は皮膚感染症・傷の治りにくさ・神経障害による痛みやかゆみの異常と関連があります。足の傷(糖尿病足病変)は特に重篤になりやすいため、毎日足の指の間・裏側まで丁寧に観察することが重要です。訪問看護師が定期的に確認することで早期発見につながります。
OUR訪問看護ステーションはどんな方が利用できますか?
宮崎市・国富町・高岡町・綾町にお住まいで、主治医が訪問看護を必要と判断した方が対象です。年齢・疾患の種類を問わず、小児から高齢者まで幅広く対応しています。
訪問看護の費用はどのくらいかかりますか?
利用する保険・訪問回数・時間・疾患によって異なります。介護保険の場合は要介護度による区分支給限度基準額内で自己負担1〜3割、医療保険の場合も1〜3割です。詳細はOURにお問い合わせください。
夜間・休日に状態が悪化した場合の連絡先はどこですか?
OURでは24時間・365日のオンコール体制を整えており、夜間・休日でも電話(0985-77-8266)でご相談いただけます。状況によって電話指示または緊急訪問で対応します。
まとめ:秋冬の皮膚ケアは「入浴後3分」が勝負
- 高齢者の皮膚は加齢で保湿力が低下し、秋冬に特に乾燥・かゆみが悪化する
- 入浴後3分以内の保湿が最大の予防策
- かゆみで掻くと感染リスクが上がるため、冷やす・保湿するの対処を
- 床ずれは体位変換・清潔・栄養の3原則で予防する
今日できる一歩:今夜の入浴後、保湿クリームを手の届くところに出して、全身に塗る習慣を始めてみてください。
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参考文献一覧
- 褥瘡予防・管理ガイドライン(第5版)(日本褥瘡学会)https://www.jspu.org/jpn/journal/pdf/guideline5.pdf
- 高齢者の皮膚疾患(日本皮膚科学会)https://www.dermatol.or.jp/
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