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ともにつくるケアノート— あなたらしさを支える訪問看護のかたち —

台風・停電のとき在宅酸素や人工呼吸器はどうなる?備えと対応を訪問看護師が解説

「また台風が来る」——ニュースの速報を見るたびに、在宅酸素を使うご家族のそばにいる方は胸が締め付けられる思いをされているのではないでしょうか。「停電になったら酸素が止まる」「訪問看護師が来られなくなったらどうしよう」——その不安は、宮崎で在宅医療を担うOURの訪問看護師も毎年、利用者・家族と一緒に向き合ってきた問いです。

この記事では、台風・停電時に在宅酸素療法(HOT)・人工呼吸器・吸引器はどう対応するか、訪問看護はどうなるか、そして宮崎市での支援制度も含めて具体的に解説します。

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台風前に確認したい在宅医療チェックリスト|酸素・薬・連絡先の備えを1週間前から始める

台風・停電前の備えは「1週間前から動く」が鉄則です。気象情報を確認したら、以下の項目を利用者・家族・訪問看護師で共有しましょう。

1週間前〜3日前にやること

  • 在宅酸素業者(帝人ファーマ・エア・ウォーター等)に台風接近を連絡し、携帯ボンベの本数を確認・補充予約
  • 人工呼吸器の内部バッテリー残量を確認し、外部バッテリーの充電状況をチェック
  • 吸引器のバッテリーをフル充電
  • 処方薬の残量確認(最低3〜5日分は手元に確保)
  • 訪問看護ステーションへ台風時の訪問スケジュール変更について事前確認の連絡
  • かかりつけ医・訪問診療医への連絡(急変時の相談先を再確認)
  • 市区町村の「避難行動要支援者名簿」への登録状況を確認
  • 停電時のライト・ラジオ・モバイルバッテリーを準備

台風直前(前日〜当日)にやること

  • 酸素ボンベの本数・流量設定を再確認し、残量計を目視
  • 停電に備えてインスリン等の冷蔵保存薬の保冷対策(保冷剤とクーラーボックス)
  • OURオンコール番号をすぐかけられる場所に貼る
  • スマートフォンとモバイルバッテリーをフル充電

OURでは台風接近時に担当利用者へ事前電話確認を行い、必要に応じて訪問前倒しや薬の残量確認補助を実施しています。「今回は大丈夫かな」という油断が一番危ない——これが毎年台風シーズンを現場で経験してきた私たちの実感です。


在宅酸素療法(HOT)の停電対応|酸素濃縮器は止まる。すぐボンベに切り替える

在宅酸素療法を受けている方にとって、停電は命に直結するリスクです。手順を知っておくことで、パニックなく行動できます。

停電になると酸素濃縮器は止まる

在宅で使う酸素濃縮器(ホームユース型)は電力で動くため、停電と同時に動作が止まります。機種によっては停電時に警告音が鳴ります。停電を確認したら、すぐに携帯用酸素ボンベに切り替えてください。

携帯ボンベへの切り替え手順

  1. 酸素濃縮器の電源をオフにする
  2. 携帯ボンベのバルブを開き、流量を主治医の指示通りに設定する(安静時と労作時で異なることが多い)
  3. 残量計を確認する
  4. 在宅酸素業者の24時間緊急番号に状況と残量を連絡し、ボンベ追加手配を依頼する

携帯ボンベ1本の持続時間の目安(Lサイズ500L):

流量持続時間の目安
0.5L/分約16時間
1L/分約8時間
2L/分約4時間
3L/分約2.5時間

台風で複数日の停電が続く可能性がある場合、ボンベは最低2〜3本の備蓄を酸素業者と相談しておきましょう。

SpO2が低下したとき

ボンベに切り替えてもSpO2が普段より3%以上低い・息苦しさが増す場合は、OURオンコールか119番にすぐ連絡してください。台風で救急搬送が難しい状況でも、電話で状態を伝えながら指示を受けることが最優先です。


人工呼吸器・吸引器・輸液ポンプの停電対応|バッテリー時間と事前確認の重要性

人工呼吸器や吸引器を使用している場合、停電対応は酸素よりさらに緊急性が高くなります。

人工呼吸器の内部バッテリー

主な在宅用人工呼吸器の内部バッテリー持続時間の目安(設定・使用状況により異なります):

  • PHILIPS Trilogy シリーズ:約2〜4時間
  • ResMed Lumis シリーズ:約4〜8時間
  • NIPPY シリーズ:約2〜6時間

内部バッテリーだけでは数時間しか持ちません。 外部バッテリー(専用品または外部電源)の準備と、機器メーカーへの事前登録が不可欠です。購入・準備方法は主治医・機器メーカーのサービス担当者に事前に相談しておきましょう。

吸引器のバッテリー

電動吸引器には充電式バッテリー内蔵型が多く、フル充電で30分〜2時間程度使用可能です。台風前に必ずフル充電してください。吸引チューブ・カテーテルの予備も多めに準備しておきましょう。

輸液ポンプ・疼痛管理

電動輸液ポンプはバッテリー内蔵型が多いですが、停電が長期になると動作しなくなります。かかりつけ医・訪問診療医に停電時の薬液管理方法(手動調節の可否等)を事前に確認しておきましょう。

医療機器メーカーへの登録が命綱になる

主な機器メーカー(帝人ファーマ、フィリップスジャパン、フクダ電子等)は利用者登録があれば台風・停電時に優先的に対応します。利用者登録と緊急連絡先の確認を、平時のうちに必ず行っておいてください。


台風のとき訪問看護はどうなる?OURの対応方針と家族ができること

「台風で訪問看護師が来られなくなった場合、どうすればいいか」——これはOURに最もよく寄せられる不安の一つです。

訪問の可否と判断基準

訪問看護ステーションは、スタッフの安全と移動の安全性を考慮して訪問可否を判断します。宮崎市に暴風警報または特別警報が発令されている間は、原則として訪問を中断または延期します。

OURでは台風接近が確認された段階で以下の対応を取っています。

  • 台風前日または数日前に担当利用者へ電話で状態確認
  • 急を要する処置がある方には台風前に訪問して対応
  • 台風通過後、できるだけ早い段階で訪問を再開(状況によっては台風通過当日の午後に再開)
  • オンコール体制は24時間継続(暴風警報中も電話対応は継続)

訪問ができない間に家族ができること

  • SpO2・バイタルの定時確認(数値を記録用紙に書き留めておく)
  • 薬の定時投与(事前に訪問看護師と手順を確認しておく)
  • 痰の吸引(家族が手技を習得している場合)
  • 異変を感じたらOURオンコールにすぐ連絡

オンコールでできること

電話・ビデオ通話で、痰の色・SpO2・呼吸回数・意識状態を確認できます。状況に応じて救急要請の判断支援や、救急隊への情報提供もOURが行います。「呼んでよかったのかな」という遠慮は不要です。迷ったら連絡してください。


宮崎市の災害時在宅医療支援|避難行動要支援者名簿と電力会社の登録制度

宮崎市では、在宅医療を受けている方を対象にした災害時支援の仕組みがあります。平時に登録しておくことで、いざというときの対応が大きく変わります。

避難行動要支援者名簿への登録

在宅酸素・人工呼吸器・吸引器を使用している方や、1人での避難が難しい方は、宮崎市の避難行動要支援者名簿に登録することで、災害時に行政・地域からの支援を受けやすくなります。

登録窓口:宮崎市 福祉部 高齢福祉課・障がい福祉課(電話:0985-21-1777)

福祉避難所の事前確認

通常の避難所での生活が困難な医療的ケアが必要な方のために、福祉避難所が設定されています。ただし、医療機器を持ち込む場合は施設への事前確認と相談が必要です。宮崎市のホームページで所在地を確認し、台風シーズン前に問い合わせておくことをお勧めします。

電力会社への医療機器使用登録

九州電力では、在宅で生命維持に関わる医療機器を使用している方を対象に医療用設備使用の登録制度があります。登録することで停電復旧時に優先対応される場合があります。九州電力カスタマーセンター(0120-986-810)に相談してください。

OURでは利用者が制度を活用できるよう、ケアマネジャー・主治医と連携して登録手続きのサポートを行っています。「自分でやるのが難しい」という方はOURにご相談ください。


よくあるご質問

台風の停電で在宅酸素が止まったとき、まず何をすればいいですか?

すぐに携帯用酸素ボンベに切り替えてください。ボンベの流量は主治医の指示通りに設定します。その後、在宅酸素業者の24時間緊急番号に状況を連絡し、ボンベの追加手配を依頼します。SpO2が普段より3%以上低い・息苦しさが増すなど異変がある場合は、OURオンコールまたは119番にすぐ連絡してください。パニックになりそうなときは、まず口すぼめ呼吸(鼻から吸って、唇をすぼめてゆっくり吐く)を意識することも大切です。

人工呼吸器のバッテリーが切れそうになったらどうしますか?

外部バッテリー(事前に準備している場合)に接続するか、119番に連絡して状況を伝えてください。台風で救急搬送が困難な場合でも、電話で指示を受けながら最善の対応を取ることができます。平時から主治医・機器メーカーと「停電時の対応マニュアル」を作成しておくことを強くお勧めします。OURでは利用者ごとに停電時の対応手順書を作成し、家族と共有しています。

台風のとき、訪問看護師は来てくれますか?

宮崎市に暴風警報が発令されている間は、スタッフと利用者双方の安全のため、訪問を延期または中断する場合があります。ただし、オンコール電話対応は24時間継続します。台風が通過した後、可能な限り早い段階で訪問を再開します。OURでは台風接近前に担当利用者へ事前連絡を行い、急を要する処置がある方には台風前に訪問して対応します。

台風に備えて薬はどのくらい多めに確保しておくべきですか?

最低でも3〜5日分の余分な薬を手元に確保しておくことをお勧めします。台風後は道路の冠水や物流の混乱で、薬局からの配達・処方が遅れることがあります。特にインスリン・血圧薬・抗てんかん薬など、中断すると重大なリスクがある薬は、かかりつけ医に「台風前に多めに処方してもらえるか」あらかじめ相談しておきましょう。OURの訪問看護師が処方相談の仲介をすることも可能です。

在宅酸素を使っていますが、停電が長引いた場合は避難所に行けますか?

携帯用酸素ボンベがあれば避難所への移動は可能です。ただし、避難所での酸素濃縮器の使用には電源が必要なため、施設側への事前確認が必要です。宮崎市の福祉避難所は医療的ケアが必要な方への対応が整っています。OURでは「台風時の避難先をどうするか」という相談に応じており、主治医・ケアマネジャーと連携して一緒に考えます。

停電中にインスリンや冷蔵保存の薬が心配です

インスリンは冷蔵保存が必要ですが、開封後は常温(25度以下)で28日程度使用可能なものが多いです。ただし台風シーズン(8〜9月)は室内温度が上がりやすいため、保冷剤を使ったクーラーボックスや携帯型保冷バッグで保管することをお勧めします。胃ろう用の栄養剤も常温での使用期限を確認しておきましょう。詳細はかかりつけ薬局またはOURにご相談ください。


よくある質問

訪問看護を始めるにはまず何をすればいいですか?

①主治医に「訪問看護を使いたい」と相談し、訪問看護指示書を発行してもらう、②介護保険を使う場合はケアマネジャーに連絡、③OURにお電話またはお問い合わせフォームでご連絡いただく、という3ステップです。

訪問看護でできることとできないことを教えてください。

【できること】バイタル測定・健康状態の観察、服薬管理・指導、点滴・注射・創傷処置、カテーテル管理、吸引・人工呼吸器管理、リハビリ(PT・OT)、ターミナルケア・看取りサポート、家族への介護指導。【できないこと】医師の診察・診断・処方(主治医が行う)、身の回りの生活援助のみ(訪問介護の担当)。

訪問看護師はどんな資格を持った人が来ますか?

訪問看護師は看護師(保健師・助産師を含む)または准看護師の資格を持ちます。OURではさらにPT・OTが在籍しており、リハビリが必要な方にも対応しています。全員が厚生労働省の精神保健研修を修了しています。

訪問看護師はどのくらいの頻度で来てもらえますか?

介護保険では週1〜4回程度、医療保険では週3回が原則(別表7疾患は無制限)です。特別訪問看護指示書があれば毎日(週7回)の訪問も可能です。状況に応じてOURと主治医で相談して決めます。

一人暮らしの高齢者でも訪問看護は利用できますか?

はい、むしろ一人暮らしの方こそ訪問看護が重要です。定期的な健康観察・服薬管理・転倒予防などをOURの看護師がフォローします。緊急時には24時間のオンコールで対応します。

訪問看護で精神的なサポートも受けられますか?

はい。訪問看護師は身体的ケアとともに、療養中の不安・孤独感などの精神的サポートも行います。OURでは精神科経験を持つスタッフが在籍しており、メンタルヘルスのサポートにも力を入れています。

まとめ

  • 台風前の備えは「1週間前から」が鉄則。酸素ボンベの本数・バッテリー充電・薬の残量確認を早めに行う
  • 停電時は酸素濃縮器が止まる。携帯ボンベへの切り替え手順を家族全員が把握しておく
  • 人工呼吸器の内部バッテリーは数時間が限界。外部バッテリーの準備と機器メーカーへの登録が重要
  • 暴風警報中は訪問看護の訪問が中断される場合があるが、OURオンコールは24時間継続
  • 宮崎市の避難行動要支援者名簿と九州電力の医療機器使用登録を平時から活用する

今日できる一歩:在宅酸素業者・医療機器メーカーの24時間緊急連絡先をスマートフォンに登録するか、OURに台風時の対応プランについて相談してください。

宮崎市全域、国富町、高岡町、綾町対応

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☎ 0985-77-8266受付時間:9時〜17時

参考文献一覧

  • 厚生労働省 在宅での医療・介護に関する情報(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/
  • 宮崎市 避難行動要支援者の避難に関する取り組み(宮崎市)https://www.city.miyazaki.miyazaki.jp/

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この記事を監修した人

OUR
TEAM

OUR訪問看護ステーション

看護・リハビリチーム

看護師7名・理学療法士1名・作業療法士3名 / 宮崎市

宮崎市を中心に24時間・365日の訪問看護を提供。在宅透析・人工呼吸器・CV管理などの高度医療処置から生活期リハビリまで対応。「あなたらしさをともにつくる」を理念に、認定作業療法士・中田富久が代表を務め、医師・ケアマネジャーと連携し利用者一人ひとりの在宅生活を支援している。帝人ファーマ「みんなの訪問看護アワード2026」大賞受賞。