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ともにつくるケアノート— あなたらしさを支える訪問看護のかたち —

ホスピスとは何か。入院型ホスピスと在宅ホスピスの違い・費用・選び方を解説

「ホスピスに入れてあげたい」「在宅ホスピスという言葉を聞いたけれど、施設のこと?」ご家族が終末期を迎えたとき、こうした疑問を抱える方は少なくありません。ホスピスという言葉は広く知られていますが、「入院する場所」「宗教的な施設」といった誤解も多く、在宅での緩和ケアという選択肢が見えにくい現状があります。この記事では、ホスピスの正確な意味から入院型と在宅型の違い・費用・選び方まで、宮崎市で在宅緩和ケアを支援するOUR訪問看護ステーションがわかりやすく解説します。

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ホスピスとは何か。「治癒」ではなく「苦痛の緩和と穏やかな最期」を目的とした場所・ケアの総称

ホスピスとは、治癒を目指す治療をやめ、痛みや呼吸苦・不安などの症状をやわらげながら、その人らしく残りの時間を過ごすことを目的とした「場所」または「ケアの考え方・体制」の総称です。

「ホスピス=宗教系の施設」「ホスピス=死を待つだけの場所」というイメージを持つ方がいますが、現在の日本では医療保険が適用される緩和ケア病棟(入院型)と、自宅で受ける在宅緩和ケア(在宅ホスピス)の2種類が一般的です。宗教系の施設も一部存在しますが、保険診療で利用できる緩和ケア病棟は全国に500か所以上あります(厚生労働省「医療施設調査」参照)。

ホスピスと緩和ケアは何が違うか

緩和ケアは「がんと診断されたその日から始まる苦痛のケア」であり、ホスピスは「緩和ケアを主体的に行う場所・体制」の呼び方です。つまり緩和ケア病棟に入院することもホスピスケアの一形態であり、訪問診療と訪問看護で自宅を「ホスピス環境」にすることも在宅ホスピスと呼ばれます。

緩和ケアについての詳しい解説は緩和ケアとは何か。痛みを取り除く治療と、在宅でのQOL向上を解説をご覧ください。

ホスピスに入れる対象者の条件

日本の保険診療上の緩和ケア病棟(ホスピス)に入院できるのは、主に以下の状態の方です。

  • 悪性腫瘍(がん)または後天性免疫不全症候群(AIDS)の患者
  • 積極的な抗がん治療を終了し、緩和的なケアを希望している
  • 入院加療が必要な症状がある、または在宅療養が困難な状況

なお病院によっては、がん以外の疾患(慢性心不全・COPD末期など)を受け入れるケースも増えています。主治医への確認が必要です。


入院型ホスピス(緩和ケア病棟)の種類と特徴:がん専門・一般・教会系・公立病院

入院型ホスピスとは、緩和ケア病棟(PCU:Palliative Care Unit)として厚生労働省に届け出を行い、緩和ケア病棟入院料を算定している病棟のことです。医療保険が適用されるため、高額療養費制度も使えます。

入院型の主な種類

がん専門病院の緩和ケア病棟 がん治療から緩和ケアへの移行がスムーズで、担当医との連携が取りやすいのが特徴です。都市部に多く、宮崎県では宮崎大学医学部附属病院などが緩和ケアに対応しています。

一般病院の緩和ケア病棟 地域の総合病院に設置された緩和ケア病棟です。専門病院より入院しやすい場合もあり、地域のかかりつけ医と連携しやすい面があります。

教会・宗教法人系ホスピス キリスト教系の医療法人が運営するホスピスが多く、スピリチュアルケア(魂のケア)に力を入れているのが特徴です。宗教・信仰に関わらず利用できる施設がほとんどです。

公立病院の緩和ケア病棟 地域の中核的な公立病院に設置されたもので、行政との連携が取りやすく、地域連携パスが整備されているケースが多いです。

入院するまでの流れ

  1. 主治医に緩和ケア病棟への転院を相談する
  2. 希望する病院の緩和ケア相談窓口や地域連携室に問い合わせる
  3. 入院前カンファレンス(面談)で本人・家族の意向を確認する
  4. 入院基準を満たしていれば入院(待機期間がある場合もある)

入院型ホスピスの費用:差額ベッド代・食費・高額療養費制度の使い方

入院型ホスピス(緩和ケア病棟)の費用は、保険点数(医療費)+差額ベッド代+食費の3つで構成されます。高額療養費制度が使えるため、自己負担額は所得に応じて上限が設定されます。

医療費(保険点数)の目安

緩和ケア病棟入院料は1日あたり約5,000〜6,000点(1点=10円換算で50,000〜60,000円相当)が設定されています。これは保険適用されるため、患者の自己負担は1割〜3割です。

自己負担割合医療費の自己負担(1日)月額概算(30日)
1割(75歳以上)約5,000〜6,000円約15〜18万円
2割(70〜74歳一部)約10,000〜12,000円約30〜36万円
3割(70歳未満)約15,000〜18,000円約45〜54万円

差額ベッド代(特別療養環境室料)

個室・2人部屋などを使用する場合に発生します。緩和ケア病棟では個室を用意している病院が多く、差額ベッド代が1日あたり5,000円〜30,000円程度かかることがあります。保険外のため、高額療養費制度の対象外です。

ただし「治療上の必要性」や「本人の同意なし」の場合は差額ベッド代を請求できないルールがあります(厚生労働省通知)。不明な場合は病院の相談員に確認しましょう。

食費

1食あたり約460〜640円(低所得者は減額制度あり)。

高額療養費制度の計算例

70歳未満・年収370〜770万円の方の場合、1か月の医療費自己負担上限は約87,000円です(80,100円+(総医療費−267,000円)×1%)。

医療費が月に30万円かかっても、高額療養費制度を使うと自己負担が約87,000円に収まります。ただし差額ベッド代・食費は対象外です。

訪問看護の料金の詳細については訪問看護の料金はいくら?医療保険・介護保険別の費用と自己負担の目安を解説もご参考ください。


在宅ホスピス(在宅緩和ケア)とは。訪問看護・在宅医・ヘルパーが自宅を「ホスピス」にする

在宅ホスピスとは、「施設」ではなく「ケアの体制」であり、訪問診療医・訪問看護師・薬剤師・ヘルパーなどが連携して自宅をホスピス環境にすることです。

「ホスピスに入れないなら自宅で何もできない」と思っている方が多いのですが、実際には在宅でも入院ホスピスと同等の緩和ケアを受けられます。医療用麻薬による疼痛管理・点滴・在宅酸素など、かつては入院でしか受けられなかった医療処置が、現在は訪問診療と訪問看護の連携により自宅で行えます。

在宅ホスピスを支える3つの柱

在宅医(訪問診療医) 週1〜2回の定期訪問と、緊急時の往診に対応します。医療用麻薬の処方・調整、病状の評価、死亡診断書の発行も担当します。

訪問看護師 週複数回の訪問で、症状の観察・疼痛コントロールの補助・医療処置・家族へのケア指導を行います。24時間対応の事業所であれば、夜間・休日の緊急相談にも応じます。OUR訪問看護ステーションは24時間・365日のオンコール体制を整えており、「夜中に急に息苦しそう」「痛みが強くなった」という緊急連絡にも対応しています。

ヘルパー(訪問介護) 入浴・排泄介助・食事の準備など、日常生活のサポートを担当します。訪問看護と組み合わせることで、家族の負担を大幅に軽減できます。

在宅ホスピスで受けられる緩和ケアの内容

  • 疼痛管理(医療用麻薬の調整・貼り薬・持続注入器の管理)
  • 呼吸困難・倦怠感・嘔気・浮腫などの症状コントロール
  • 褥瘡予防・口腔ケア・浮腫ケア
  • 精神的なサポート(傾聴・不安へのケア)
  • 家族への介護指導とグリーフケア

在宅でのターミナルケアについては在宅でターミナルケアはできる?最期を自宅で過ごすための準備と訪問看護の役割で詳しく解説しています。


入院型 vs 在宅:それぞれに向いている状況と家族の負担の違い

入院型ホスピスと在宅ホスピス、どちらが「正解」かではなく、その方の状況・希望・家族の状況に合わせて選ぶものです。

入院型ホスピスが向いている状況

  • 痛みや呼吸苦などの症状がコントロールしにくく、24時間の医療的管理が必要
  • 家族が同居しておらず、在宅での介護体制が整えにくい
  • 家族が仕事を抱えており、介護に専念できない
  • 本人が「家族に負担をかけたくない」と在宅を希望しない
  • 夜間の急変リスクが高く、家族が不安を強く感じている

在宅ホスピスが向いている状況

  • 本人が「最期は自宅で」と強く希望している
  • 同居または近くに介護できる家族がいる
  • 訪問診療・訪問看護の体制が整えられる地域に住んでいる
  • 症状が比較的安定しており、緊急入院のリスクが許容範囲内
  • 自分らしい環境・ペット・家族との時間を大切にしたい

家族の負担の違い

項目入院型在宅
介護の身体的負担少ない多い(ヘルパー活用で軽減可)
精神的負担「施設に任せた」罪悪感の人も「一緒にいられた」という満足感
費用(月額概算)医療費+差額ベッド代+食費(10〜20万円以上)訪問診療+訪問看護+介護費(3〜10万円)
急変時の対応病院スタッフが対応訪問看護師・在宅医に連絡

OUR訪問看護ステーションへのご相談では「在宅でやっていけるか不安」という方が最も多いです。まず一度訪問看護師と話してみることで、在宅でできることとできないことが整理できます。「やってみて無理なら入院に切り替える」という柔軟な考え方で取り組む方も多くいらっしゃいます。

末期がんのご家族の最期のサインや対応については末期がんの親が急に変わった——最期が近いサインと、家族が今夜すべきことも参考にしてください。


宮崎市でホスピス・在宅緩和ケアを始めるには

宮崎市で在宅ホスピス・在宅緩和ケアを始めるには、次のステップを踏むことで比較的スムーズに体制を整えられます。

STEP1:主治医への相談

入院中の方であれば、担当医または退院支援看護師・地域連携室に「在宅での緩和ケアを希望している」と伝えましょう。「退院したい」という意思表示が第一歩です。

STEP2:在宅医(訪問診療医)を探す

宮崎市内には訪問診療に対応している医療機関が複数あります。病院の地域連携室やケアマネジャーに相談すると、在宅対応可能な医師を紹介してもらえます。

STEP3:訪問看護ステーションへの相談

訪問診療医からの訪問看護指示書が出れば、訪問看護を開始できます。OUR訪問看護ステーション(tel:0985-77-8266)では、在宅緩和ケアの相談を随時受け付けています。「まだ具体的に決まっていない」という段階でのご相談も歓迎です。

STEP4:ケアマネジャー・介護サービスの調整

要介護認定を受けている方は、ケアマネジャーにヘルパーや福祉用具のプランを組んでもらいましょう。訪問入浴・訪問介護・福祉用具(介護ベッド・エアマットなど)を組み合わせると、家族の負担が大きく減ります。

STEP5:緊急時の対応方針を家族で話し合う

「急変したときにどうするか」「救急車を呼ぶか・呼ばないか」「入院に切り替えるタイミングは」という話し合いを事前に行っておくことで、いざというときの混乱を減らせます。

在宅での看取りについてはがんで自宅での看取りを選ぶには?準備と訪問看護の役割をわかりやすく解説もあわせてご覧ください。


まとめ

  • ホスピスとは「治癒ではなく苦痛の緩和と穏やかな最期」を目的とした場所・ケア体制の総称
  • 入院型(緩和ケア病棟)は医療保険適用で高額療養費制度が使え、差額ベッド代が別途かかる
  • 在宅ホスピスは「施設」ではなく「ケアの体制」:訪問診療・訪問看護・ヘルパーの連携で自宅をホスピス環境にする
  • どちらが正解かではなく、本人の希望・家族の状況・症状の程度で選ぶ
  • 「在宅でやっていけるか不安」な段階でも、まず訪問看護師に相談することで選択肢が広がる

今日できる一歩:「在宅でも緩和ケアを受けたい」と思ったら、今日OUR訪問看護ステーション(tel:0985-77-8266)に電話またはメールで相談してみてください。「まだ決まっていない」という段階で構いません。


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FAQ

ホスピスと緩和ケア病棟は同じものですか?

ほぼ同じ意味で使われていますが、厳密には異なります。緩和ケア病棟とは、厚生労働省が定める施設基準を満たした病棟の公式名称です。ホスピスは元来キリスト教の宿の意味を持つ言葉で、終末期ケアを行う場所・体制の総称として使われています。日本では「緩和ケア病棟」と「ホスピス」がほぼ同義語として混用されており、「緩和ケア病棟のことをホスピスと呼んでいる施設」も多くあります。在宅での緩和ケア体制は「在宅ホスピス」「在宅緩和ケア」と呼ばれます。

ホスピスに入院するにはがんでなければいけませんか?

保険診療上の緩和ケア病棟(ホスピス)の入院対象は「悪性腫瘍(がん)またはAIDS」が基本です。ただし近年は、慢性心不全・慢性閉塞性肺疾患(COPD)末期など、がん以外の患者を受け入れる緩和ケア病棟も増えています。受け入れ基準は病院によって異なりますので、希望する病院の相談窓口に直接確認することをおすすめします。

ホスピスに入ると、もう積極的な治療はできないのですか?

緩和ケア病棟に入院すると積極的な抗がん治療(化学療法・放射線療法)は原則行いません。ただし、痛みや症状を和らげるための医療処置(医療用麻薬・点滴・輸血など)は引き続き行えます。「治療をやめる=何もしない」ではなく、「苦痛を取り除くことに医療の焦点を移す」という考え方です。

入院型ホスピスの費用の目安を教えてください。

1か月の費用は、医療費の自己負担+差額ベッド代+食費で構成されます。医療費は高額療養費制度が適用されるため、70歳未満・標準報酬月額が53万円未満の方は自己負担上限が月約87,430円です。差額ベッド代は個室の場合1日5,000〜30,000円程度、食費は1食460〜640円程度かかります。高額療養費制度を使った場合、月の総支払い額は10〜25万円程度になることが多いですが、施設・部屋の種類・所得によって大きく異なります。事前に病院の相談員に見積もりを依頼することをおすすめします。

在宅ホスピスで最期まで自宅にいられますか?

在宅ホスピスで自宅での看取りまで行えます。ただし「症状が急に悪化した」「家族の介護が困難になった」など状況の変化によって、一時的な入院または入院型ホスピスへの転院が必要になることもあります。在宅での看取りを最初から目標にするのも一つの考え方ですが、「最初は在宅でがんばって、必要であれば入院に切り替える」という柔軟な方針で進める家族が多いです。在宅緩和ケアの担当医・訪問看護師とよく話し合いながら方針を決めましょう。

ホスピスに入ったら面会はできますか?

緩和ケア病棟は一般病棟と比べて面会時間・面会人数の制限が緩やかなことが多いです。ペットとの面会ができる病院もあります。コロナウイルス感染拡大時に制限が設けられた時期もありましたが、現在は各病院の方針に従います。面会の頻度・方法については、入院前の相談時に確認しておくと安心です。

ホスピスの入院を断られることはありますか?

緩和ケア病棟には入院の基準があり、「積極的な治療を続けたい」「症状のコントロールが比較的できている」「入院の必要性が低い」などの状態では受け入れを断られる場合があります。また、満床で待機期間が発生することも多いです。待機中の在宅療養を支えるためにも、訪問看護・訪問診療を早めに始めておくことが大切です。


参考文献一覧

  • 緩和ケア病棟入院料の施設基準(厚生労働省)
  • 人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン(厚生労働省・2018年改訂)
  • がん対策基本計画(厚生労働省)
  • 緩和ケア研修会テキスト(日本緩和医療学会)
  • 医療施設調査(厚生労働省)

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執筆:OUR訪問看護ステーション 看護・リハビリチーム 監修:中田富久(認定作業療法士・OUR代表)

この記事を監修した人

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看護・リハビリチーム

看護師7名・理学療法士1名・作業療法士3名 / 宮崎市

宮崎市を中心に24時間・365日の訪問看護を提供。在宅透析・人工呼吸器・CV管理などの高度医療処置から生活期リハビリまで対応。「あなたらしさをともにつくる」を理念に、認定作業療法士・中田富久が代表を務め、医師・ケアマネジャーと連携し利用者一人ひとりの在宅生活を支援している。帝人ファーマ「みんなの訪問看護アワード2026」大賞受賞。