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ともにつくるケアノート— あなたらしさを支える訪問看護のかたち —

在宅看取りのチェックリスト|最期を自宅で迎えるための準備と家族の心構え

「最期は自宅で過ごしたい」という本人の希望。家族として、その願いを叶えてあげたいと思う一方で、「自分たちだけで本当に看取れるのか」「何を準備すればいいのかわからない」と不安を感じている方は多いと思います。

在宅看取りは、医療・介護のチームがしっかりサポートすれば、多くの場合で実現できます。ただし、いざというときに慌てないためには、事前の準備と心構えが欠かせません

この記事では、在宅看取りを考え始めたご家族に向けて、準備しておくべきことをチェックリスト形式でまとめました。OUR訪問看護ステーションが実際に関わってきた在宅看取りの経験も交えながら、具体的にお伝えします。

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在宅看取りとは。自宅で最期を迎えることの現状と意味

在宅看取りとは、病院ではなく自宅(または住み慣れた場所)で、医療・介護のチームに支えられながら人生の最終段階を過ごし、自宅で亡くなることを指します。

厚生労働省「人口動態統計」によると、日本人の死亡場所は長年にわたって病院が約7割を占めていますが、近年は在宅死亡の割合が緩やかに増加しており、2022年には約17%が自宅で亡くなっています。同省の調査では、「最期は自宅で過ごしたい」と希望する人が約6割にのぼる一方、実際に自宅で亡くなる人は約2割にとどまっており、希望と現実の間に大きなギャップがあります。

このギャップを埋めるために重要な役割を担うのが、訪問診療(在宅医)と訪問看護です。

在宅看取りと病院での看取りの違い

比較項目在宅看取り病院での看取り
場所自宅・慣れた環境病棟・個室
面会家族がいつでも傍にいられる面会時間・人数に制限がある場合も
医療処置点滴・痛みの管理など必要最小限積極的な延命処置も可能
本人の自由度食べたいもの・好きな時間に起きる等、自分らしい生活ができる病院のルールに従う必要がある
家族の関わり日常的にケアに参加できるケアは基本的に医療スタッフが担う
緊急時の対応訪問診療・訪問看護の24時間体制が必要院内ですぐ対応可能

どちらが良い・悪いではありません。本人と家族の意思・生活環境・病状を踏まえて選択することが大切です。

在宅看取りができる条件

在宅看取りを実現するには、以下の条件が揃っていることが求められます。

  • 本人が「自宅で過ごしたい」という意思を持っている(または家族が本人の意思を推定できる)
  • 24時間対応の訪問診療医(在宅医)が確保できる
  • 24時間対応の訪問看護が利用できる
  • 介護・見守りができる家族や協力者がいる
  • 自宅の療養環境が整えられる(ベッド・衛生設備など)

宮崎市でも在宅医・訪問看護・ケアマネジャーが連携することで、がん末期・神経難病・老衰など、さまざまな状況での在宅看取りが実現されています。

在宅看取りの準備チェックリスト|医療・環境・書類・気持ちの4分野

在宅看取りの準備は、大きく4つの分野に分けて考えると整理しやすくなります。一度にすべてを揃える必要はありません。今できることから始めてください。

【医療体制の準備】

  • [  ] 訪問診療(在宅医)を依頼した

在宅看取りには、24時間連絡が取れる在宅医の存在が不可欠です。かかりつけ医が訪問診療を行っていない場合は、ケアマネジャーや病院の退院支援担当者に相談して探します。

  • [  ] 訪問看護ステーションと契約した

看護師が定期的に来て、体の状態を確認し、痛みや呼吸困難などの症状をコントロールします。緊急時にも対応できる24時間体制のステーションを選ぶことが重要です。

  • [  ] 痛みや苦しさへの対応方針を在宅医と決めた

「痛みは取ってほしい」「意識が保てる範囲でお願いしたい」など、本人・家族の希望を事前に伝えておきます。医療用麻薬(オピオイド)の使い方や、点滴をどこまで行うかも確認します。

  • [  ] 緊急時の連絡先と対応手順を確認した

「急に呼吸が乱れたとき」「意識がなくなったとき」など、状況別に誰に連絡すべきかを整理しておきます。訪問看護ステーションの緊急連絡先は必ず目につく場所に貼っておきましょう。

  • [  ] 救急車を呼ばないことを家族全員で共有した

救急搬送すると蘇生処置が行われ、本人の希望する最期と異なる状況になることがあります。看取りの方針が決まったら、家族全員で「救急車は呼ばない」という共通認識を持つことが大切です。

【療養環境の準備】

  • [  ] 介護ベッド(レンタル)を手配した

体を起こしやすく、介護する側も腰への負担が少なくなります。介護保険の認定を受けていれば、1〜3割負担でレンタルできます。

  • [  ] 床ずれ(褥瘡)予防のためのマットレスを準備した

長期間同じ姿勢でいると皮膚が傷みます。エアマットなどの体圧分散マットレスも介護保険でレンタルできます。

  • [  ] ポータブルトイレや尿器・紙おむつを準備した

トイレまで移動が難しくなったときのために、早めに準備しておくと安心です。

  • [  ] 吸引機や酸素吸入器が必要な場合は手配した

呼吸が苦しくなってきたとき、在宅酸素療法(HOT)や痰の吸引が必要になることがあります。在宅医・訪問看護師と相談しながら準備します。

  • [  ] 療養する部屋を決め、家族が介護しやすい動線にした

できれば、家族の生活動線に近い部屋を選びます。夜間の様子が確認しやすいかどうかも確認ポイントです。

【書類・制度の準備】

  • [  ] ACP(アドバンス・ケア・プランニング)を話し合った

本人が元気なうちに「どんな医療を受けたいか」「どこで最期を過ごしたいか」を本人・家族・医療チームで話し合うプロセスをACPといいます。書面(エンディングノート・事前指示書など)に残しておくと、いざというときに家族の判断の拠り所になります。

  • [  ] 死亡診断書の発行を誰がするかを確認した

在宅死亡の場合、在宅医が死亡診断書を発行します。「かかりつけ医がいない状態で亡くなると検視になる」ことがあるため、必ず在宅医を確保しておくことが必要です。

  • [  ] 葬儀社の目星をつけておいた

亡くなった後、すぐに連絡が必要になります。事前に複数の葬儀社に相談し、費用・流れを確認しておくと、落ち着いた状態で対応できます。

  • [  ] 遺言書・財産・相続について家族で話し合った

本人が意思を伝えられるうちに、財産・相続・通帳・保険証書の場所などを確認しておきます。

【気持ちの準備】

  • [  ] 「これで良かった」と思えるために、今できることを考えた

看取りを経験した家族から最もよく聞くのは「もっと話せばよかった」という言葉です。今、本人が話せるうちに、伝えたいことを伝えておくことが後悔を減らします。

  • [ ] 家族の中で役割分担を決めた

介護・夜間の対応・食事準備・他の兄弟姉妹への連絡担当など、役割を明確にしておくと一人への負担集中を防げます。

  • [  ] 介護者自身の休息(レスパイト)を確保することを決めた

介護しながら仕事・子育てをしている方も多くいます。ショートステイや訪問介護を活用し、介護者自身が倒れないよう計画的に休む仕組みを作ることも大切な準備です。

最期が近づいたとき家族が知っておくべきサイン

在宅看取りの現場では、「どんな変化が出たら最期が近いのか」を事前に知っておくことが、家族が慌てずに本人の傍に寄り添えることにつながります。

数週間前から見られる変化

  • 食欲が著しく落ち、水分しか摂れなくなる
  • 一日のほとんどを眠って過ごすようになる
  • 体重が急に落ちる
  • 会話の量が減り、反応が遅くなる

数日前から見られる変化

  • 口から食事・水分がほとんど摂れなくなる
  • 尿量が急激に減り、尿の色が濃くなる
  • 手足が冷たくなり、膝から下に紫色のまだら(死斑)が出てくる
  • 「下顎呼吸(したあごこきゅう)」と呼ばれる、あごを動かすような特徴的な呼吸になる

数時間前〜直前

  • 呼吸のリズムが不規則になる(チェーンストークス呼吸)
  • 目が半開きになり、反応がなくなる
  • 呼吸間隔が長くなり、最後は止まる

これらのサインが出たとき、まず連絡するのは救急車ではなく、担当の在宅医か訪問看護ステーションです。事前に取り決めた手順に従って連絡し、指示を待ちます。

OUR訪問看護ステーションでは、利用者様が最期のときを迎える際、ご家族から連絡をいただいた後、可能な限り迅速に訪問し、看護師がご家族の傍に寄り添うよう努めています。

「本当に自宅で看取れるの?」よくある不安への正直な答え

「家族だけで対応できる自信がない」

これは在宅看取りを検討するすべての家族が感じる不安です。在宅看取りは、家族が一人で抱え込むものではありません。在宅医・訪問看護師・ケアマネジャー・訪問介護員がチームで支えます。家族の役割は「傍にいること」「本人が安心できる環境を作ること」です。医療行為は医療チームが担います。

「死亡確認はどうするの?」

在宅医が自宅に来て死亡を確認し、死亡診断書を発行します。事前に担当の在宅医に「亡くなったとき何時でも来てもらえるか」を確認しておくことが重要です。夜間・休日でも対応してもらえる在宅医を選ぶ理由がここにあります。

「亡くなった後に後悔しないか」

看取りを経験したご家族からよく聞くのは「病院より自宅の方が本人らしかった」「家族で看取れて良かった」という言葉です。一方で「もっとこうすればよかった」という後悔は、在宅・病院問わず生じることがあります。今できることを精いっぱい行うことが、後悔を最小限にします。

「費用はどのくらいかかるの?」

在宅看取りにかかる主な費用は、訪問診療・訪問看護の利用料(医療保険または介護保険の自己負担分)、介護用品のレンタル代、訪問介護の利用料などです。介護保険を使っていれば1〜3割負担が基本です。がん末期や特定の難病の場合、医療保険で週4回以上の訪問看護を受けられることもあります。詳しくは訪問看護の料金についての記事をご覧ください。

「子どもに死を見せてもいいの?」

在宅看取りの現場で「孫に看取らせてよかった」とおっしゃるご家族は多くいます。子どもが「人の死」に立ち会うことは、命の重さを実感し、人生を深く考えるきっかけになります。子どもの年齢や状況に合わせて、事前に「おじいちゃん(おばあちゃん)のことを一緒に見守ろう」と話しておくと、子どもも心の準備ができます。

OUR訪問看護ステーションの在宅看取り支援

OUR訪問看護ステーションは、宮崎市を中心に24時間・365日体制で在宅看取りの支援を行っています。

OURが在宅看取りで担う役割

定期訪問による症状管理:疼痛・呼吸困難・浮腫など、終末期に起こりやすい症状を的確にアセスメントし、在宅医と連携して対応します。本人が「できるだけ苦しくない状態で過ごせること」を最優先に支援します。

ご家族へのケア指導と精神的サポート:体位変換・清拭・口腔ケアなど、家族が日常的に行うケアの方法を丁寧にお伝えします。また、介護する家族の不安や悲しみにも寄り添い、「一人じゃない」と感じていただける関わりを大切にしています。

看取り直前・直後の対応:「息が変わってきた」というご連絡をいただいたとき、可能な限り迅速に訪問し、最期の時間を一緒に過ごします。亡くなった後のご家族のグリーフ(悲嘆)にも丁寧に向き合います。

多職種連携:担当ケアマネジャー・在宅医・訪問介護員・薬剤師と定期的に情報共有し、在宅看取りのチーム全体で方針を揃えます。

代表の中田富久(認定作業療法士)を中心に、OURのスタッフは「最期まで、その人らしく」を支えることを信念としています。在宅看取りを考え始めた方は、まずお気軽にご相談ください。

よくある質問

在宅看取りを選んだ後でも、やっぱり病院に変更できますか?

はい、変更できます。在宅看取りは「病院を拒否する」ことではなく、「まず自宅で過ごすことを選ぶ」という方針です。途中で症状が急変したり、家族の介護力が限界になったりした場合は、在宅医や訪問看護師と相談の上、入院に切り替えることができます。「取り消せない決断」ではないので、まずは試してみることが大切です。

在宅で看取るために必要な医師の同意は何ですか?

死亡診断書を発行できる在宅医(生前から診療していた医師)が必要です。急に亡くなった場合や、かかりつけ医が死亡確認に来られない場合は警察が介入することがあります。「訪問診療医を事前に確保しておくこと」が、在宅看取りの前提条件です。

看取りのタイミングで、家族が全員集まれない場合はどうすればいいですか?

最期のタイミングを正確に予測することは医学的にも困難です。遠方の家族への連絡は、「数日以内かもしれない」というサインが出た時点で早めに行うことをお勧めします。もし間に合わなかった場合でも、それは家族の責任ではありません。「間に合わなかった」ことを責めないよう、家族間で事前に話し合っておくことが大切です。

在宅看取りで使える介護保険・医療保険のサービスは何ですか?

終末期の在宅看取りでは、介護保険の訪問看護・訪問介護・福祉用具レンタル、医療保険の訪問診療・訪問看護(がん末期・神経難病等は医療保険が優先)が活用できます。費用の自己負担は1〜3割です。また、ケアマネジャーを通じて地域包括支援センターや市区町村の相談窓口にもつなぐことができます。

在宅看取りを選んだ場合、死亡後に警察や救急車を呼ぶ必要がありますか?

在宅医が事前に「看取りに対応する」と確認している場合、自宅で亡くなっても救急車や警察への連絡は不要です。亡くなったら担当の在宅医(または訪問看護ステーション)に連絡し、在宅医が自宅に来て死亡を確認・死亡診断書を発行します。逆に「かかりつけ医がいない状態で亡くなった場合」は死体検案が必要になるため、在宅医の確保が最重要です。

宮崎市で在宅看取りの相談はどこにすればいいですか?

主な相談先は以下の通りです。(1)担当ケアマネジャー(最も連携しやすい窓口)、(2)かかりつけ医・病院の退院支援室(在宅医への紹介もできる)、(3)地域包括支援センター(65歳以上が対象)、(4)訪問看護ステーション(OUR訪問看護ステーション:0985-77-8266)。宮崎市では宮崎市地域包括ケア推進課でも相談を受け付けています。

子どもが小さい場合、在宅看取りに立ち会わせてよいですか?

死を子どもから遠ざける必要はありません。年齢に合わせた言葉で「おじいちゃんが最期のときを迎えようとしている」と伝え、「見守りたい人はそばにいてね」と選択肢を与えましょう。実際に在宅看取りに立ち会った子どもが「いい経験だった」と語るケースは多くあります。強制せず、子ども自身の意思を尊重することが大切です。

まとめ

  • 在宅看取りは「病院を拒否すること」ではなく、「本人が望む場所で最期を迎えるための選択肢」です
  • 実現には在宅医・訪問看護・ケアマネジャーのチームが必要です。早めに体制を整えましょう
  • 準備は「医療体制・療養環境・書類・気持ち」の4分野で整理し、できることから始めます
  • 最期が近づいたときのサインを知っておくと、慌てずに傍に寄り添えます
  • 「自分たちだけで抱え込まない」ことが、在宅看取りを続けられる最大の秘訣です

今日できる一歩は、まずケアマネジャーか訪問看護ステーションに「在宅看取りを考えている」と相談することです。OUR訪問看護ステーションでも、随時ご相談をお受けしています。

宮崎市全域、国富町、高岡町、綾町対応

“あなたらしい”在宅生活を、24時間・365日サポートします

☎ 0985-77-8266受付時間:9時〜17時

参考文献一覧

  • 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(2018年改訂)https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000197665.html
  • 厚生労働省「人口動態統計」(2022年) https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/81-1a.html
  • 厚生労働省「人生の最終段階における医療に関する意識調査報告書」(2018年) https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/saisyuiryo_a_h29.pdf

この記事を監修した人

OUR
TEAM

OUR訪問看護ステーション

看護・リハビリチーム

看護師7名・理学療法士1名・作業療法士3名 / 宮崎市

宮崎市を中心に24時間・365日の訪問看護を提供。在宅透析・人工呼吸器・CV管理などの高度医療処置から生活期リハビリまで対応。「あなたらしさをともにつくる」を理念に、認定作業療法士・中田富久が代表を務め、医師・ケアマネジャーと連携し利用者一人ひとりの在宅生活を支援している。帝人ファーマ「みんなの訪問看護アワード2026」大賞受賞。