
がん患者が自宅で最期を迎えることは、適切な医療・看護体制があれば実現できます。訪問診療医・訪問看護師が連携し、24時間対応できる体制を整えることで、最期まで住み慣れた場所で過ごすことが可能です。
厚生労働省「令和4年(2022年)人口動態統計」では、自宅での死亡は全死亡の約17%に達し増加傾向にあります。また厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン(2018年改訂)」では、本人の意思に基づく在宅看取りの選択を支援することが医療・ケアチームの責務として明記されています。
参考:厚生労働省「令和4年(2022年)人口動態統計(確定数)」 / 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(2018年改訂)
この記事では、在宅看取りを選ぶための準備・家族が知っておくべきこと・訪問看護の具体的な関わり方を、宮崎市で24時間対応するOUR(アワー)訪問看護ステーションが解説します。
宮崎市全域、国富町、高岡町、綾町対応
“あなたらしい”在宅生活を、24時間・365日サポートします
☎ 0985-77-8266受付時間:9時〜17時
在宅看取りとは何か|病院看取りとの違い
在宅看取りの定義と現状
在宅看取りとは、病院や施設ではなく、自宅で最期を迎えることを指します。「住み慣れた場所で、家族に囲まれて最期を迎えたい」という本人の意思を実現する選択肢です。
厚生労働省の調査では、約70%の人が「最期は自宅で過ごしたい」と希望しているにもかかわらず、実際に自宅で亡くなる割合は約17%(2022年)にとどまっています。この「希望と現実のギャップ」を埋めるのが、訪問診療・訪問看護を中心とした在宅医療の体制です。
病院看取りとの比較
| 項目 | 在宅看取り | 病院看取り |
|---|---|---|
| 場所 | 住み慣れた自宅 | 病院・施設 |
| 家族との時間 | 自由・24時間そばにいられる | 面会時間の制限がある場合も |
| 医療処置 | 痛みの緩和が中心 | 延命処置が行われる場合も |
| 看護体制 | 訪問看護(定期+24時間電話対応) | 病院の看護師が常駐 |
| 費用 | 訪問診療・訪問看護の保険適用 | 入院費用 |
| 看取り後の手続き | 訪問診療医が死亡診断書を発行 | 担当医が対応 |
どちらが「正しい」ということはありません。本人の意思・家族の状況・医療体制の整備状況を踏まえて、チームで一緒に考えることが重要です。
在宅看取りを選べるかどうかの判断基準
在宅看取りを検討するにあたって、次の3点が揃っていることが重要です。
- 本人の意思:自宅で最期を迎えたいという意思が確認できている(意思表示が難しい場合は家族が代理)
- 訪問診療医の確保:24時間対応できる在宅専門医がいること(死亡診断書の発行に必要)
- 訪問看護の体制:24時間オンコール対応できる訪問看護ステーションが関与していること
この3点が整えば、在宅看取りは現実的な選択肢になります。
在宅看取りの準備|家族が知っておくこと
「看取りの場を自宅に」と決めたときに動くこと
在宅看取りを選択した場合、できるだけ早い段階で準備を始めることが大切です。「もう少し落ち着いてから」と先送りにしているうちに、急変して準備が整わないまま救急搬送になるケースも少なくありません。
準備のステップ:
- 主治医・病院に意思を伝える:退院時または外来診察時に「自宅で最期を迎えたい」と明確に伝える
- 訪問診療医を探す・契約する:担当医から紹介を受けるか、病院の医療ソーシャルワーカーに相談する
- 訪問看護ステーションと契約する:24時間対応できるステーションを選ぶ
- ケアマネジャーと相談する(介護保険を使っている場合):在宅看取りに向けたケアプランの調整
- 家族で話し合う:「急変したとき救急を呼ぶかどうか」「延命処置をするかどうか」を事前に決めておく
特に「急変時に救急を呼ばない」という選択をする場合は、DNAR(心肺蘇生不実施指示)について担当医と話し合い、文書化しておくことが重要です。救急を呼んだ場合、救急隊員は蘇生処置を行うことが原則であるため、意思の文書化が必要です。
最期の時期に起こる体の変化
看取りが近づくにつれて、体には特有の変化が現れます。「これは何が起きているのか」を事前に知っておくことで、家族が慌てずに対応できます。
看取り前数週間〜数日の変化:
- 食欲・水分摂取が著しく低下する
- 眠っている時間が増える(傾眠傾向)
- 手足が冷たくなる(末梢循環不全)
- 口呼吸・下顎呼吸(あごを上下させる呼吸)が増える
- 尿量が減る・尿の色が濃くなる
- 意識が薄れ、話しかけへの反応が減る
これらは自然な経過であり、「何か処置をしなければ」ということではありません。訪問看護師がこの変化を観察・説明しながら、家族が「今どの段階にいるか」を理解できるよう関わります。
「点滴で水分を補給すべきか」という判断
看取り期に「点滴をしてあげたい」と考える家族は多いです。しかし看取り期の輸液補給は、必ずしも本人の苦痛を和らげるとは限りません。むしろ余分な水分が体内にたまり、浮腫・腹水・呼吸困難を悪化させることがあります。
「水を飲めなくなっている=苦しんでいる」ではなく、「体が自然な最終段階に入っている」状態です。口腔ケア(口を湿らせる・唇を保湿する)で苦痛を和らげながら、穏やかな最期を迎える方針が多く選ばれています。
訪問看護師と訪問診療医が、輸液をするかどうかの判断を家族と一緒に行います。「これでいいのか」という迷いがあれば、いつでも相談してください。
看取り当日の対応|家族がすべきこと
亡くなったとき、救急を呼ぶ必要はない
在宅看取りで最も大切な知識が「亡くなっても救急(119番)を呼ばなくてよい」ということです。訪問診療医が死亡診断書を発行するため、救急を呼ぶ必要はありません。
呼吸・心拍が止まったとき家族がすること:
- 訪問看護ステーションに電話する(24時間対応)
- 訪問診療医に連絡する(看護師が代わりに連絡することも多い)
- 看護師・医師が到着するまで、そばにいてあげる
慌てて救急を呼んでしまうと、救急隊員が蘇生処置を開始し、本人の意思とは異なる最期になってしまうことがあります。「何かあったら訪問看護に電話する」という1点を家族全員で共有しておくことが重要です。
亡くなる前後に訪問看護師がすること
看取り直前・看取り後に訪問看護師は次のことを行います。
- 定期訪問を増やし、苦痛のない状態を保つ
- 家族に「今どの段階か」を伝え、心の準備を支援する
- 亡くなった後、エンゼルケア(清拭・整容)を行う
- 家族の悲嘆(グリーフ)に寄り添う
「最期の瞬間に間に合わなかった」と自分を責める家族がいますが、看取りの瞬間はひとりになったときに起きることも多く、それは自然なことです。「そばにいた時間」が大切なのであって、「瞬間に立ち会えたかどうか」で介護の質は決まりません。
宮崎市でのがん在宅看取り|OURの対応体制
24時間オンコール体制と緊急訪問
OURでは24時間・365日のオンコール体制を整えており、夜間・休日を問わず電話相談・緊急訪問が可能です。看取り期には訪問頻度を増やし、「急変したときにすぐ来てもらえる」安心感を家族に提供します。
「夜中に呼吸が変わった気がする」「手足が冷たくなっている」——こうした変化に気づいたとき、いつでも電話で看護師に相談できます。「これで電話していいのか」という遠慮は不要です。
訪問診療医との連携
在宅看取りには訪問診療医(在宅専門医)の関与が不可欠です。OURは宮崎市内の訪問診療医と連携しており、訪問看護からの紹介・調整も行っています。「訪問診療医をどこに頼めばいいかわからない」という場合も、OURにご相談ください。
在宅での疼痛管理については「がんの痛みは在宅でコントロールできる|医療用麻薬の管理と訪問看護の役割」、在宅療養全体の流れは「がん患者が自宅で療養するには?退院後の訪問看護の役割と準備」もあわせてご覧ください。
ターミナルケア全般については「在宅でターミナルケアはできる?最期を自宅で過ごすための準備と訪問看護の役割」もご参照ください。
家族のグリーフケア
看取りの後、家族は深い悲しみ(グリーフ)の中に入ります。OURでは看取り後も家族への関わりを大切にしています。「あのとき、もっとこうしてあげればよかった」という後悔の気持ちを話せる場として、訪問看護師との関係が継続できます。
「自宅で看取れた」という経験は、家族にとって深い意味を持つことが多いです。「最期まで一緒にいられた」「本人が望んだ場所で見送れた」という事実は、後の悲嘆を和らげる力を持ちます。
よくある質問(FAQ)
Q1. がんの在宅看取りは、どのくらいの期間を見込めばいいですか?
個人差が大きいため一概には言えませんが、「在宅看取りを選んで準備を始めてから数週間〜数か月」という方が多いです。病状が安定していれば数か月自宅で過ごせる場合もありますし、退院後数日で看取りになるケースもあります。訪問診療医・訪問看護師が定期的に状態を評価しながら、今後の見通しを家族と共有します。
Q2. 一人暮らしでもがんの在宅看取りはできますか?
難しいケースが多いですが、不可能ではありません。訪問診療・訪問看護の頻度を高め、訪問介護・デイサービスも組み合わせることで、一定期間の在宅療養は可能です。ただし看取りの瞬間を一人で迎えることへの備えが必要であり、「急変時にすぐ駆けつけられる家族や知人がいるか」も重要な判断要素です。担当チームと十分に相談してください。
Q3. 看取り期に痛みや苦しみが出た場合、どう対処しますか?
医療用麻薬(オピオイド)による疼痛管理を行います。最期の時期に痛みや呼吸困難が強くなった場合は、皮下注射や持続皮下注射で薬を投与し、苦痛を取り除きます。「痛みで苦しみながら最期を迎える」ことを避けるのが緩和ケアの目標であり、適切な体制があれば穏やかな最期が実現できます。
Q4. 「病院で看取った方が安心」という気持ちがあります。在宅を選ぶ必要はありますか?
選ぶ必要はありません。在宅看取りは「希望する人が選べる選択肢」であり、強制されるものではありません。「自宅では不安すぎる」「家族への負担が心配」という場合は病院・ホスピス・緩和ケア病棟という選択肢もあります。大切なのは「本人が何を望むか」「家族がどこまで支えられるか」を正直に話し合うことです。
Q5. 看取り後、死亡診断書はどうやってもらいますか?
訪問診療医が自宅に来て死亡を確認し、死亡診断書を発行します。救急を呼ぶ必要はなく、警察が来ることもありません(かかりつけの訪問診療医が関与している場合)。死亡診断書を受け取った後、市区町村に死亡届を提出する手続きに進みます。
Q6. 自宅で亡くなった場合、葬儀社にはいつ連絡すればいいですか?
訪問診療医が死亡確認・死亡診断書を発行した後に連絡するのが一般的です。訪問看護師やケアマネジャーに相談すれば、連絡の手順・タイミングを案内します。事前に「どの葬儀社に依頼するか」を家族で話し合っておくと、当日の混乱を防げます。
Q7. がんの親を自宅で看取った後、後悔する家族が多いと聞きました。どう向き合えばいいですか?
「もっとこうすればよかった」という後悔はほぼすべての家族が経験します。それは愛情の裏返しであり、「懸命に介護した証拠」です。訪問看護師は看取り後も家族の話を聞く場を持ちます。後悔の気持ちを一人で抱え込まず、話せる相手を持つことが大切です。グリーフカウンセリングなどの専門的なサポートが必要な場合も、OURから適切な機関を紹介できます。
Q8. OURに在宅看取りを相談したい。どこに連絡すればいいですか?
お電話またはお問い合わせフォームからご連絡ください。「在宅看取りを考えている」「今後どうすればいいかわからない」という段階でのご相談も歓迎します。宮崎市内の訪問診療医・医療ソーシャルワーカーとの連携を含め、在宅看取りに向けた体制づくりをご一緒に考えます。
まとめ
がんの在宅看取りは、訪問診療医・訪問看護師・ケアマネジャーが連携し、24時間対応できる体制を整えることで実現できます。大切な準備は「本人の意思確認」「急変時に救急を呼ばないという家族の合意」「訪問診療・訪問看護との契約」の3点です。
「自宅で最期を」という本人の希望を実現するために、早い段階から専門職に相談することをためらわないでください。宮崎市でのがん在宅看取りについて、OURにご相談ください。
この記事を監修した人
宮崎市全域、国富町、高岡町、綾町対応
“あなたらしい”在宅生活を、24時間・365日サポートします
☎ 0985-77-8266受付時間:9時〜17時