
「トイレに行こうとして転んだ」「何もないところでつまずいた」「立ち上がろうとしたら膝から崩れた」。高齢者の転倒は、「ちょっとした転び方」でも骨折・頭部打撲・その後の廃用症候群へとつながる、決して軽視できない出来事です。
日本では65歳以上の約3人に1人が年1回以上転倒するとされています(国立長寿医療研究センター)。転倒した後の初動対応と、次の転倒を防ぐための環境整備・体づくりが、在宅生活の継続に直結します。
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転倒直後の対処:まずやること・やってはいけないこと
転倒を発見したとき・転倒直後に家族がすべきことを順番に説明します。
やってはいけないこと:すぐに立たせる
転倒直後に「大丈夫?立って」と急いで立ち上がらせることは危険です。骨折がある場合に動かすと転位(骨のズレ)が悪化します。まず状態を確認してから動かしてください。
転倒直後の確認手順
- 意識の確認:「聞こえますか?名前を言えますか?」と声をかける。反応がなければ即119番
- 頭部打撲の確認:頭・首を打ったか確認。嘔吐・意識の変化があれば救急搬送
- 骨折の可能性を確認:以下のサインがあれば動かさずに救急・主治医に連絡
– 股関節・足・腕に激しい痛みがある – 左右で足の長さが違う(大腿骨頸部骨折のサイン) – 変形している・腫れている
- 痛みがなく動けそうであれば:ゆっくりと本人のペースで起き上がりを介助する
24〜48時間以内の観察
頭を打った場合は、24〜48時間後に「頭蓋内出血(硬膜下血腫)」が起きることがあります。
- 頭痛が強くなっていく
- 嘔吐する
- 意識がぼんやりする・話しかけても反応が鈍い
- 片側の手足が動きにくい
これらのサインが出たら即救急搬送してください。
なぜ高齢者は転倒しやすいのか。原因を知ることが予防の第一歩
内的要因(体の変化)
| 要因 | 具体的な変化 |
|---|---|
| 筋力低下 | 特に下肢の筋力(大腿四頭筋・ふくらはぎ)が落ちる |
| バランス機能の低下 | 感覚神経・前庭機能の衰え |
| 視力低下 | 段差・障害物が見えにくくなる |
| 起立性低血圧 | 立ち上がったときに血圧が下がりふらつく |
| 薬の副作用 | 睡眠薬・降圧薬・抗不安薬などがふらつきを起こす |
| 認知機能の低下 | 危険を認識できず、不安定な動きをする |
外的要因(環境)
- 段差(敷居・浴室の縁・玄関の上がりかまち)
- 滑りやすい床(浴室・廊下の水濡れ)
- 不安定な家具(キャスター付き椅子・滑るマット)
- 暗い廊下・夜間のトイレ動線
- 適切でない靴下・スリッパ(滑り止めなし)
在宅での転倒予防:環境と体の両面から
環境を整える
最も転倒が多い場所:トイレ・浴室・玄関・寝室からトイレへの動線
- 廊下・トイレ・浴室に手すりをつける(介護保険の住宅改修で最大20万円の補助)
- 段差をなくす(スロープ化・段差解消マット)
- 夜間の足元灯をつける(センサーライトが便利)
- 滑り止めマットをトイレ・浴室の床に敷く
- 不安定な家具・ラグを撤去する
- 本人がよく使う椅子・ベッドの高さを最適化する
体を鍛える
転倒予防に最も効果的な運動は「バランス練習+下肢筋力強化」の組み合わせです。
| 運動 | 方法 | ポイント |
|---|---|---|
| 片足立ち | 壁や椅子に手をつき、片足で1分立つ | 転倒注意(必ず支え物あり) |
| かかと上げ | 椅子の背を持ちかかとを上げ下げ | ふくらはぎ強化 |
| 椅子スクワット | 椅子から立って座る動作を繰り返す | 下肢全体の強化 |
| 歩幅を広げて歩く | 大股で10〜20歩歩く | バランス向上 |
週3回以上・1回15〜30分を目安にします。
薬の見直し
ふらつきの原因になりやすい薬:睡眠薬・抗不安薬・降圧薬・抗ヒスタミン薬。
「転倒が増えた」と感じたら、薬の内容を主治医に確認してください。特に複数の薬を飲んでいる方(ポリファーマシー)は、薬の組み合わせでふらつきが起きていることがあります。
転倒を繰り返す方へ:訪問リハビリの活用
一度転倒した方は再転倒のリスクが高く、特に「転倒への恐怖(転倒恐怖感)」から活動量を下げてしまい、廃用症候群に陥るという悪循環が起きやすいです。
OURの理学療法士(PT)・作業療法士(OT)は以下を提供します。
- 転倒リスクアセスメント:バランス能力・筋力・歩行速度の定量的な評価
- 個別の転倒予防プログラム:その方の弱点に合わせた運動メニュー
- 住環境の評価と提案:どこに手すりをつけるか・どの家具を変えるかを現地で提案
- 福祉用具の選定:歩行器・杖・介護用靴の選び方
よくある質問
転倒して痛いと言っていますが、骨折かどうかどう見分ければいいですか?
骨折を示す主なサインは「体重をかけると激しく痛む」「変形している・腫れがある」「左右で足の長さが違う」です。ただし高齢者では骨折していても「痛くない」と言うことがあります(認知症・疼痛感覚の鈍化)。転倒後に歩行が不安定・自力で立てない場合は、主治医に相談するか整形外科を受診してください。
「怖くて歩けない」と言っています。どうすればいいですか?
転倒後に「また転ぶのが怖い」という転倒恐怖感は非常によく起きます。活動量を下げることで筋力がさらに落ち、転倒しやすくなるという悪循環に陥ります。恐怖感がある場合こそ、訪問リハビリで安全に体を動かす練習を始めることが重要です。
夜中のトイレで転ぶことが多いです。どうすればいいですか?
夜間の転倒は暗さ・睡眠薬のふらつき・起立性低血圧が重なって起きやすいです。対策:センサーライトの設置・ポータブルトイレのベッド横設置・ゆっくり立ち上がる(30秒かけて立つ)習慣。睡眠薬を飲んでいる場合は主治医に「転倒が増えた」と伝えて薬の調整を相談してください。
転倒予防のための手すりは介護保険で補助が出ますか?
要介護・要支援認定を受けている方であれば、住宅改修(手すりの設置・段差解消など)に最大20万円の補助が介護保険から支給されます(自己負担1〜3割)。ケアマネジャーを通じて申請できます。
宮崎市で転倒予防の訪問リハビリに対応していますか?
はい。OURは理学療法士(PT)・作業療法士(OT)が在籍し、転倒リスク評価・個別リハビリプログラム・住環境の提案に対応しています。「転倒が増えた」「怖くて歩けない」という段階からご相談ください。宮崎市全域・国富町・高岡町・綾町に対応しています。
まとめ
- 転倒直後はすぐ立たせず、骨折・頭部打撲の確認が最優先。頭を打ったら24〜48時間の観察が必要
- 転倒の原因は「筋力・バランス・薬・環境」の複合要因。原因を特定して対策する
- 転倒予防には「環境整備(手すり・段差解消)」と「体づくり(バランス運動・筋力強化)」の両輪が必要
- 転倒後の「怖くて歩けない」という恐怖感には訪問リハビリが有効
- OURはPT・OT在籍の転倒予防リハビリ・住環境評価・24時間看護対応で在宅生活を支援する
参考文献一覧
- 国立長寿医療研究センター https://www.ncgg.go.jp/
- 日本整形外科学会 https://www.joa.or.jp/
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/gaiyo/index.html
この記事を監修した人
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