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ともにつくるケアノート— あなたらしさを支える訪問看護のかたち —

腹膜透析のまま施設に入れますか?現状と在宅で続ける選択肢を正直に解説

「腹膜透析を続けながら施設に入れませんか?」。この問いを主治医やケアマネジャーに投げかけた方は少なくありません。週3回の通院が必要な血液透析ではなく、自宅で行える腹膜透析を選んだのは、「できるだけ自分らしく生活したい」「施設に入ってもこの透析の形を変えたくない」という強い思いがあるからです。その気持ちは、私たち訪問看護師もしっかり受け止めています。

一方で、現在の日本における施設(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・有料老人ホームなど)での腹膜透析の受け入れは、非常に限られているのが実情です。この記事では、なぜ施設での腹膜透析が難しいのかを正直にお伝えしたうえで、受け入れ可能な条件の確認方法と、在宅で腹膜透析を続ける選択肢を解説します。


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腹膜透析のQOL:「この透析の形を続けたい」という思いの背景

腹膜透析(PD:Peritoneal Dialysis)は、お腹の中(腹腔)に透析液を入れ、腹膜を通じて老廃物や余分な水分を除去する透析法です。連続携行式腹膜透析(CAPD)では1日3〜5回の透析液交換を自分で行い、夜間に機械が透析を行う自動腹膜透析(APD)も選択できます。

血液透析との最大の違いは、週3〜4回・1回4〜5時間の施設への通院が不要なことです。この違いは、患者本人の生活の自由という点で非常に大きな意味を持ちます。

腹膜透析が生活に与えるメリット

項目腹膜透析血液透析(参考)
通院頻度月1〜2回程度(外来管理)週3回(1回4〜5時間)
食事制限比較的緩い(カリウム・水分制限が少ない)より厳格な管理が必要
旅行・外出透析液を持参すれば可能施設との事前調整が必要
透析の時間帯夜間(APD)または日中のスキマ時間週3回の固定時間帯
残腎機能への影響比較的維持されやすい低下が早い傾向がある

「血液透析に変えると週3回通院しなければならない。本人にも家族にも大きな負担になる」──この現実的な理由から、腹膜透析のまま施設へ移れないかを家族が模索するのは、ごく自然なことです。QOLを守るためにこの透析の形を選んだのであれば、施設に入っても続けたいと思うのは当然の希望です。

施設での腹膜透析が難しい現実──3つの壁

現在の日本において、施設に入居したまま腹膜透析を継続できているケースは全国的にも非常に少ないというのが現実です。日本透析医学会の統計によると、日本の腹膜透析患者は全透析患者の約2〜3%にとどまっており、欧米諸国と比較して低い水準です。自宅での管理が前提のこの透析法を施設入所後も継続するためには、特別な体制が必要なため、特養・老健・有料老人ホームなどの多くが受け入れを断らざるを得ない背景には3つの構造的な壁があります。

壁①:透析液交換は「医療行為」:介護職員は実施できない

腹膜透析の透析液交換は医療行為です。実施できるのは医師・看護師、または患者本人(適切な指導を受けた場合)、もしくは指導を受けた家族に限られます。

特別養護老人ホーム(特養)の夜間帯は、介護職員のみが在勤していることがほとんどです。看護師は日勤帯のみ在籍する施設が多く、夜間の透析液交換が必要なCAPDには実質的に対応できません。APD(夜間自動透析)であれば機械が行いますが、接続・切り離し操作やトラブル対応には看護師の関与が求められます。

壁②:感染管理の難しさ(腹膜炎リスク)

腹膜透析の最大のリスクは腹膜炎です。透析液交換時の清潔操作が不十分になると感染を起こし、場合によっては腹膜透析の継続が困難になります。また、腹腔カテーテルの出口部(おなかの皮膚を貫くチューブが出ている箇所)のケアを怠ると出口部感染を引き起こします。

感染管理には専門的な知識と継続的なケアが必要です。腹膜透析の経験が少ないスタッフが多い施設環境では、このリスクを適切に管理することが難しく、「何かあったときに対応できない」という理由で受け入れを断る施設が多いのが現状です。

壁③:腎臓専門医との連携体制

腹膜透析患者は定期的な腎臓内科専門医のフォローアップが必要です。透析効率の評価・処方液の調整・合併症の管理のために、月1〜2回は専門医の外来受診が求められます。

老健には常勤医師がいますが、腎臓内科を専門とする医師が常勤している老健は全国でもほとんどありません。特養は非常勤医師が定期訪問する体制が多く、透析専門医との密な連携が保ちにくい構造です。

宮崎の現状

宮崎市内・県内でも、腹膜透析患者を継続的に受け入れている施設の情報は公的には整理されていません。施設入所の相談時に「腹膜透析はお断りしています」という回答を受けるケースが多いのが実情です。

施設入所を検討する場合に確認すべきこと

施設での腹膜透析が「絶対に不可能」というわけではありません。条件が整った施設では継続できるケースもあります。入所を検討する際は、以下の3点を施設・主治医・ケアマネジャーと確認することが出発点になります。

確認①:患者自身が自己管理できるか

最も重要なのは、本人が透析液交換を安全に自力で行えるかです。施設スタッフが代わりに行うことは原則できないため、患者本人の自己管理が前提になります。認知機能の低下や手指の機能制限がある場合、このハードルは高くなります。

確認②:24時間看護師が常駐する施設か

24時間看護師が常駐する施設(医療型の有料老人ホーム、一部の老健など)では、緊急時の対応や出口部ケアの補助が可能になります。入居を検討する際は「夜間も看護師がいますか?」を必ず確認してください。

確認③:腹膜透析患者の受け入れ実績があるか

過去に腹膜透析患者を受け入れた実績がある施設は、透析の仕組みへの理解と体制が整っている可能性が高いです。「腹膜透析の方を受け入れたことがありますか?」と直接聞くことが、情報収集の早道です。病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)に相談すると、地域内で受け入れ実績のある施設を教えてもらえる場合があります。

在宅腹膜透析を続ける選択肢:施設に移らなくてもできること

施設への入所だけが選択肢ではありません。現在の自宅環境を整えながら腹膜透析を継続するという道は、本人のQOLを最もよく守れる可能性があります。

在宅継続が「施設よりも本人に合う」ケース

「施設に入れないか」を検討される背景には、「在宅生活が立ちゆかなくなってきた」「介護する家族の負担が大きい」という事情があることがほとんどです。このような場合、施設への転居ではなく、訪問看護・訪問介護・デイサービスなどを組み合わせて在宅ケアの体制を強化することで、住み慣れた自宅での生活を続けられる可能性があります。

特に、以下のようなケースでは在宅継続が施設入所より本人の生活を守れることがあります。

  • 本人が自己管理できている(APDまたはCAPDを安全に実施できている)
  • 家族の介護負担を訪問看護・訪問介護で分散できる
  • 通い慣れた透析クリニックとの関係を維持したい
  • 認知機能が保たれており、自宅環境に安心感がある

OURが行う在宅腹膜透析サポート

OUR訪問看護ステーションは、在宅腹膜透析(CAPD・APD)の管理に対応しています。在宅透析患者の支援実績を持つ看護師が、透析に伴う医療管理と日常生活のサポートを一体的に行います。

  • カテーテル出口部ケア:感染の早期発見・予防的処置
  • 透析液管理の確認:残液の観察・交換記録の補助
  • バイタル・体重・浮腫のモニタリング:透析効率の変化を早期に察知
  • 腎臓内科との情報共有:受診前に状態を整理してお伝えする連携支援
  • 24時間・365日オンコール対応:夜間・休日の急変時にも相談できる体制

透析以外にも、食事・服薬・動作のサポートをまとめて一つの訪問看護チームが担うため、複数の事業者が入れ替わる負担が軽減されます。

在宅腹膜透析の支援内容について、詳しくは在宅透析は本当にできる?自宅での透析生活と訪問看護が支えることもご覧ください。


よくある質問

腹膜透析をしながら特養(特別養護老人ホーム)に入所できますか?

特養は日勤帯のみ看護師が在籍しているケースが多く、夜間の透析液交換や緊急対応が困難なため、腹膜透析患者の受け入れは非常に少ないのが現状です。患者本人がAPDで自己管理でき、かつ施設が「対応可能」と判断した場合に受け入れられるケースもゼロではありませんが、まず主治医(腎臓内科)に相談し、候補施設に受け入れ実績を確認することが先決です。

老健(介護老人保健施設)なら腹膜透析でも入れますか?

老健は医師常駐・看護師24時間体制のところが多く、特養よりは受け入れられる可能性があります。ただし腎臓専門医が常勤している老健はほとんどなく、透析専門のフォローアップをどう確保するかが課題です。地域の腎臓内科と連携できる老健であれば選択肢になりえます。地域の医療ソーシャルワーカー(MSW)に相談すると、対応実績のある施設を紹介してもらえる場合があります。

腹膜透析を血液透析に変えれば施設に入りやすくなりますか?

血液透析は施設(透析クリニック)で行うため、腹膜透析より受け入れ施設の選択肢は広がります。ただし、週3回の通院が必要になること、これまで腹膜透析で守ってきた生活リズムや食事の自由度が変わること、残腎機能への影響など、本人のQOLに関わる変化を伴います。透析法の変更は主治医と十分に相談したうえで、本人の意向を最優先に決める必要があります。「施設に入るために透析を変える」という判断は、慎重に行ってください。

腹膜透析の自己管理が難しくなってきた場合はどうすればいいですか?

認知機能の低下や身体機能の変化により自己管理が難しくなってきた場合は、まず主治医・担当の訪問看護師にご相談ください。APDへの変更(夜間自動化による操作の簡略化)、家族や訪問看護師による補助体制の強化、あるいは透析法の変更を含む選択肢について、透析専門医・ケアマネジャーと一緒に検討します。判断を急がず、本人の意向を確認しながら方向性を決めることが大切です。

OURはどのような在宅腹膜透析サポートをしてくれますか?

カテーテル出口部ケア、透析液の確認補助(残液観察・バッグ管理)、体重・血圧・浮腫などのモニタリング、腎臓内科との情報連携、24時間オンコール対応を行います。訪問頻度や内容は、状態・保険種別(医療保険・介護保険)・主治医の指示内容によって異なります。まずはお電話またはフォームからご相談ください。

宮崎市で腹膜透析患者を受け入れている施設を探すにはどうすればいいですか?

現時点では、腹膜透析患者を受け入れている施設の公的なリストは宮崎市・宮崎県では公開されていません。主治医(腎臓内科)、担当ケアマネジャー、または病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)を通じて個別に問い合わせるのが現実的な方法です。宮崎県内の透析専門医・医療機関のネットワークを通じて、受け入れ可能な施設を紹介してもらえる場合があります。


まとめ

  • 腹膜透析は通院不要・生活の自由という大きなQOL上のメリットがあり、「施設に入ってもこの透析を続けたい」という思いは当然のことです
  • 現在の日本の多くの施設では、医療行為の制限・感染管理・専門医連携の壁から腹膜透析患者の受け入れが困難なのが実情です
  • 受け入れの可能性を探るには「患者本人の自己管理能力」「24時間看護師常駐か」「受け入れ実績があるか」の3点を確認することが出発点です
  • 施設入所だけでなく、訪問看護で体制を強化しながら在宅腹膜透析を続ける選択肢も、本人のQOLを守るうえで有力な方法です

「施設かどうか」を決める前に、「本人にとって最も望ましい生活はどんな形か」を軸に、主治医・ケアマネジャー・訪問看護師と一緒に考えることが、後悔のない選択につながります。OURへのご相談もお気軽にどうぞ。


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この記事を監修した人

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看護・リハビリチーム

看護師7名・理学療法士1名・作業療法士3名 / 宮崎市

宮崎市を中心に24時間・365日の訪問看護を提供。在宅透析・人工呼吸器・CV管理などの高度医療処置から生活期リハビリまで対応。「あなたらしさをともにつくる」を理念に、認定作業療法士・中田富久が代表を務め、医師・ケアマネジャーと連携し利用者一人ひとりの在宅生活を支援している。帝人ファーマ「みんなの訪問看護アワード2026」大賞受賞。

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