
「心不全と診断されたが、塩分はどのくらいまでにすればいいか」「水分制限と言われたが、お茶やスープも含まれるのか」「カリウムを控えるとはどういう意味か」心不全の療養中の方とご家族から、こうした疑問が多く届きます。
心不全の食事管理は、再入院を防ぐうえで非常に重要です。しかし「塩分を控えて」「水分を控えて」と言われても、具体的な数値や方法がわからなければ実践できません。この記事では、心不全の食事制限の根拠と具体的な管理方法を解説します。
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なぜ心不全に食事制限が必要か
心不全では、心臓のポンプ機能が低下することで体内の水分・塩分の処理が追いつかなくなります。塩分を摂りすぎると体が水分を保持しようとし、循環血液量が増加して心臓への負荷がさらに高まります。この悪循環が「むくみ」「息切れ」「体重急増」として現れ、再入院の主な原因になります。
日本心不全学会のガイドラインでは、心不全患者に対して塩分・水分・体重のセルフモニタリングを継続することが推奨されています。
塩分制限:1日6g未満が基本目標
具体的な目標値
心不全の食事療法では、1日の塩分摂取量を6g未満に抑えることが基本です。日本人の平均塩分摂取量は1日10g程度とされており、心不全患者はその半分以下に抑える必要があります。
重症の場合はさらに制限が厳しくなることがありますが、まずは主治医の指示値を確認してください。
塩分量の目安(食品別)
| 食品 | 目安量 | 塩分量 |
| 醤油(大さじ1) | 18g | 約2.6g |
| 味噌(大さじ1) | 18g | 約2.2g |
| 食塩(小さじ1) | 5g | 5g |
| インスタントラーメン1食 | 1袋 | 約5〜6g |
| 梅干し1個 | 10g | 約2g |
| かまぼこ1切れ | 20g | 約0.5g |
実践的な塩分を減らすコツ
- だしを効かせる:かつおだし・昆布だしを使うと薄味でもおいしく感じる
- 酸味・香辛料を活用:レモン・酢・しょうがで味のメリハリをつける
- 漬物・加工食品を控える:塩分が多い食品の代表格
- 汁物は1日1杯まで:みそ汁1杯でも塩分1〜2gを含む
- 外食時は汁を残す:ラーメンのスープ・定食の汁を飲まない
水分制限:病状に応じて1日500ml〜1.5Lが目安
水分制限が必要な場合とは
すべての心不全患者に水分制限が必要なわけではありません。軽症の場合は特別な制限が不要なこともあります。水分制限は主治医の指示に従ってください。
一般的に中等症以上の心不全では1日1〜1.5L以下の水分摂取に制限することが多いです。
「水分」に含まれるもの
水分制限は「飲み物」だけではありません。以下をすべて合計して管理します。
- お茶・水・コーヒー・ジュース
- みそ汁・スープ
- アイスクリーム・ゼリー・プリン
- 果物(水分を多く含む)
水分を管理する方法
- 計量カップで1日分を朝にセット:その日飲める量を視覚的に確認する
- 口が渇いたらうがいで対応:水を飲まずに乾燥感を和らげる
- 氷を少量なめる:少ない量で口の渇きを解消できる
カリウム制限:腎機能が低下している場合に必要
なぜカリウムを控えるのか
心不全ではACE阻害薬・ARB・利尿薬などが処方されることが多く、これらの薬剤は血液中のカリウム値を上昇させることがあります。また腎機能が低下していると、カリウムが排出されにくくなります。
カリウムが高くなりすぎると不整脈の原因になるため、食事からのカリウム摂取を制限することがあります。ただしカリウム制限が必要かどうかは血液検査の結果次第です。主治医・栄養士の指示を確認してください。
カリウムが多い食品
| 多い食品 | 少ない食品 |
| バナナ・キウイ・メロン | リンゴ・ぶどう・桃 |
| ほうれん草・小松菜・里芋 | キャベツ・もやし・白菜 |
| 豆類・海藻類 | 精白米・うどん |
| コーヒー・緑茶(濃いもの) | 紅茶(薄め) |
カリウムを減らす調理法
野菜は「ゆでこぼし」(茹でてから湯を捨てる)することでカリウム量を減らせます。電子レンジより茹でる方が効果的です。
体重管理:毎朝の計測が再入院防止の鍵
体重が増えたら心不全悪化のサイン
心不全では「水分が体内に溜まる」ことが悪化の主な原因です。自覚症状が出る前に体重増加として現れることが多く、1日で2kg以上・3日間で2kg以上増加した場合は心不全の悪化が疑われます。
毎朝の体重測定の方法
- 起床後、トイレを済ませてから計測する(毎日同じ条件で)
- 食前・服薬前に測定する
- 記録をつけて受診時に持参する
OURの訪問看護師は、体重・浮腫・血圧・息切れの状態を訪問のたびに確認し、変化があれば主治医と連携します。
在宅での食事管理でOURができること
栄養指導との連携
OURでは訪問看護師が食事状況・体重変化・服薬状況を一体的に確認します。食事内容に問題があれば管理栄養士や主治医との連携を図ります。
家族への指導
「毎日の食事を作る家族がどう対応すればよいか」という不安に対しても、訪問時に具体的な食事例を示しながら一緒に考えます。外食や中食(惣菜)の活用方法も含めて現実的な管理ができるよう支援します。
体重急増時の緊急対応
「1日で2kg増えた」「足がパンパンに腫れた」という場合は、すぐにOUR(0985-77-8266)にご連絡ください。状況を確認し、主治医への報告・緊急訪問・薬の調整の手配をします。
よくある質問
心不全でもお酒は飲めますか?
アルコールは心筋に直接毒性を示すことがあり、心不全患者には原則として禁酒または厳格な節酒が推奨されます。特に「アルコール性心筋症」が原因の心不全では禁酒が基本です。主治医に確認してください。
低塩食品・減塩醤油を使えばよいですか?
減塩食品の活用は有効ですが、「減塩だから多く使える」という誤解につながりやすいため注意が必要です。減塩醤油でも使用量が増えれば塩分量は変わりません。使用量の管理が前提です。
外食はすべてダメですか?
禁止ではありませんが工夫が必要です。定食では汁物を残す、漬物を取らない、揚げ物のソースを少なくするといった対応で塩分量を減らせます。日本食よりイタリアン・洋食系の方が比較的塩分が少ないこともあります。
心不全の悪化サインを自分で見つけるにはどうすればいいですか?
毎日同じ時間に体重を量り、2〜3日で2kg以上増えたら要注意です。足のむくみ・息切れの増加・横になると息苦しい・夜間頻尿の増加なども悪化サインです。OURが訪問時に観察・記録し、異常があれば即座に主治医へ連絡します。
心不全で入院を繰り返しています。在宅でどうすれば再入院を防げますか?
塩分・水分制限の徹底・毎日の体重測定・服薬の継続が最も重要です。OURが定期訪問で体重・血圧・浮腫を確認し、早期に異常を検知して主治医へ連絡することで入院を予防します。「少し調子が悪い」段階での早めの受診・治療調整が再入院を減らします。
心不全の方の食事で特に気をつけることは何ですか?
①塩分を1日6g未満に抑える、②水分を制限する(医師の指示による)、③カリウム制限(利尿薬を使っている場合は逆に必要なことも)、④体重増加につながる食べ過ぎに注意、の4点が基本です。OURの看護師が実際の食生活を聞いて個別に指導します。
まとめ
- 心不全の塩分制限は1日6g未満が基本。加工食品・汁物・漬物を意識して減らす
- 水分制限は中等症以上で1日1〜1.5L以下が目安。飲み物だけでなく食事中の水分も含む
- カリウム制限は腎機能・薬剤によって必要かどうかが異なる。主治医の指示を確認する
- 毎朝同じ時間に体重を測り、1日2kg以上・3日間で2kg以上増えたらすぐ連絡する
今日できる一歩:「体重が増えてきた」「食事の管理が不安」「退院後の生活指導が不十分だった」という方は、OUR(0985-77-8266)にお電話ください。訪問看護師が食事・体重・症状を一緒に確認し、安心して在宅療養を続けられる体制を整えます。
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