コラム一覧に戻る
ともにつくるケアノート— あなたらしさを支える訪問看護のかたち —

心不全の訪問看護|自宅での浮腫・体重管理と看護師の役割

執筆:OUR訪問看護ステーション 看護・リハビリチーム / 監修:中田富久(認定作業療法士・OUR代表) / 最終更新:2026年5月13日

「退院してから息切れがひどくなった」「足のむくみが毎日ある」「また入院するのが怖い」心不全と診断されてから、こんな不安を抱えているご本人・ご家族は少なくありません。心不全は完治が難しい病気ですが、自宅での適切な管理によって症状を安定させ、再入院を防ぐことができます。この記事では、訪問看護師や理学療法士が自宅でできるサポート内容を、宮崎市のOUR訪問看護ステーションがわかりやすく解説します。

宮崎市全域、国富町、高岡町、綾町対応

“あなたらしい”在宅生活を、24時間・365日サポートします

☎ 0985-77-8266受付時間:9時〜17時

心不全とは|なぜ自宅での管理が重要なのか

心不全は「治る」病気ではなく「管理する」病気

心不全とは、心臓のポンプ機能が低下し、全身に必要な血液を送り出せなくなった状態です。一時的な症状改善は可能ですが、心不全そのものは完治しない慢性疾患です。国立循環器病研究センターも「風邪のように治療によって完治する病気ではなく、長く付き合っていく病気」と説明しています。

参照:国立循環器病研究センター/心不全

心不全の怖いところは、退院後に症状が悪化して再入院するケースが非常に多いことです。自宅での体重・浮腫・服薬の自己管理が不十分になると、気づかないうちに心臓への負担が積み重なり、急激に状態が悪化します。だからこそ、訪問看護師による定期的な「プロの目でのチェック」が重要です。

NYHA分類で理解する心不全の重症度

心不全の重症度は、日常生活でどの程度の症状が出るかを示すNYHA(ニューヨーク心臓協会)分類で評価されます。

NYHA分類症状の目安日常生活への影響
Ⅰ度日常的な身体活動で症状なしほぼ制限なし
Ⅱ度日常的な身体活動でわずかに息切れ・倦怠感軽度の制限あり
Ⅲ度軽い動作(着替え・歩行)でも症状が出る著明な制限あり
Ⅳ度安静時でも症状が出るほぼすべての活動が制限

訪問看護の介入が特に効果を発揮するのはⅡ〜Ⅲ度の段階です。症状が比較的軽いうちから定期的な管理を行うことで、Ⅳ度への悪化を防ぎます。

訪問看護でできること|看護師・PTが自宅でサポートする内容

① バイタルサイン確認と全身状態の評価

訪問のたびに血圧・脈拍・体温・酸素飽和度(SpO₂)を測定し、心臓への負担や循環の状態を確認します。心不全では血圧の急激な変動や脈の乱れが再入院のサインになることがあるため、「数字の変化を見る習慣」を訪問看護師が担います。

② 浮腫(むくみ)のアセスメントと管理

心不全では心臓のポンプ機能低下により、余分な水分が体内にたまって足首・すね・お腹などにむくみが出ます。看護師は視診・触診でむくみの程度(ピッティング浮腫の有無・指圧跡の深さ)を評価し、主治医への報告タイミングを判断します。

浮腫が強い日は、足を心臓より高くする体位の工夫や、弾性ストッキングの着脱サポートも行います。

③ 体重測定と水分バランスの管理

心不全管理で最も重要な自己管理指標のひとつが体重の毎日測定です。国立循環器病研究センターのガイダンスでは、1週間で2〜3kg以上体重が増加した場合は心不全悪化のサインとされています。

訪問看護師は体重記録表を一緒に確認し、増加傾向があれば早めに主治医に連絡するよう調整します。「どこまで様子を見てよいか分からない」という不安を、専門職が判断することで解消できます。

④ 服薬確認と薬の効果のモニタリング

心不全の治療薬(利尿薬・β遮断薬・ACE阻害薬・SGLT2阻害薬など)は、自己判断でやめると急激に症状が悪化するリスクがあります。「調子がよいから飲まなかった」という薬の飲み忘れや自己中断は、再入院の大きな原因のひとつです。

訪問看護師は残薬の確認・一包化の提案・お薬カレンダーの活用など、その方に合った服薬管理の方法を一緒に考えます。

⑤ 心臓リハビリ(理学療法士による訪問リハビリ)

「心不全なのに運動していいの?」と思われる方も多いですが、適切な運動は心不全の予後改善に有効です。OURでは理学療法士(PT)が訪問し、個人の体力・心臓の状態に合わせた運動指導を行います。

  • ベッド〜椅子への移乗練習(転倒予防)
  • 室内歩行・安全な歩行距離の設定
  • 息切れが出にくい動作の練習
  • 階段昇降・入浴動作の省エネ技術
  • 自覚症状(ボルグスケール)を使った運動強度の自己管理方法

在宅で気をつけるべき「悪化サイン」

以下のサインが出たときは、すぐに主治医や訪問看護ステーションに連絡が必要です。

サイン考えられる状態
1週間で体重が2〜3kg以上増加体液貯留(心不全悪化)
横になると息苦しくて眠れない(起座呼吸)肺うっ血の悪化
足・お腹のむくみが急に強くなった体液貯留の増悪
平地歩行でも息切れが強くなった心機能の低下
脈が飛ぶ・脈が速すぎる・遅すぎる不整脈の出現
血圧が普段より著しく高い・低い循環動態の変化
ふらつき・失神心拍出量の低下

訪問看護が入ることで、こうした悪化サインをご本人・ご家族が気づく前にプロが察知できるのが大きなメリットです。「何かおかしいな」という段階で対処できれば、救急搬送を防げる可能性が高まります。

生活管理の3本柱|塩分・体重・服薬

心不全の在宅管理で特に重要な3つの柱を解説します。

塩分制限:1日6g未満が目安

塩分を摂りすぎると体内に水分がたまりやすくなり、心臓への負担が増します。国立循環器病研究センターは1日6g未満の塩分摂取を推奨しています。醤油・味噌・漬物・加工食品は特に注意が必要です。

訪問看護師が食事の聞き取りをしながら、無理のない範囲での塩分管理をアドバイスします。

体重管理:毎朝同じ条件で計測

毎朝、起床後・トイレ後・食前・同じ服装で体重を測ることが重要です。日によって測るタイミングが違うと比較できません。記録表やスマートフォンアプリを使って継続することで、変化に気づきやすくなります。

服薬管理:「調子がよい日」も飲み続ける

心不全の薬は症状が落ち着いているときも継続することが大切です。特に利尿薬は「むくみがない日に飲むのが面倒」と自己中断されやすいですが、急な中断は症状の急激な悪化を招きます

介護保険・医療保険どちらで利用できる?費用の目安

心不全での訪問看護は、状態によって介護保険または医療保険のどちらかで利用します。

介護保険医療保険
対象要介護・要支援認定を受けた方(原則)主治医が必要と判断した方(要介護認定なしでも可)
週の訪問回数ケアプランで設定(一般に週1〜3回)原則週3回まで(特別指示書で毎日も可)
自己負担1〜3割(所得による)1〜3割(所得・年齢による)
心不全での適用要介護認定がある高齢者に多い退院直後・急性増悪時など

どちらの保険が適用されるかは、主治医やケアマネジャーが判断します。OURでは利用開始前の相談・書類手続きのサポートも行っていますので、お気軽にお問い合わせください。詳しい費用については訪問看護の料金についての解説記事もご覧ください。

宮崎市で心不全の訪問看護を始める5つのステップ

初めての利用で「どこから動けばいいかわからない」という方のために、利用開始までの流れを整理します。

  1. 主治医・担当ケアマネジャーに訪問看護の希望を伝える
    「在宅で体重やむくみを管理してほしい」と伝えるだけで大丈夫です。
  2. 訪問看護指示書の発行
    主治医が訪問看護ステーションに指示書を発行します(利用者さんは特別な手続き不要)。
  3. 訪問看護ステーションへの連絡・契約
    OURに直接お電話いただいても構いません。サービス内容・費用・訪問スケジュールを確認します。
  4. 初回訪問・アセスメント
    看護師が自宅を訪問し、現在の状態・生活環境・ご本人の希望を丁寧に確認します。
  5. 定期訪問の開始
    週のスケジュールを決め、定期訪問をスタートします。

よくある質問

心不全で訪問看護を使うとき、介護保険と医療保険どちらが優先されますか?

原則として、要介護認定を受けている方は介護保険が優先されます。ただし、急性増悪時や退院直後に主治医が「特別訪問看護指示書」を発行した場合は、医療保険で毎日訪問することが可能です。どちらが適用されるかは主治医・ケアマネジャーにご確認ください。

体重やむくみ以外に何を見てもらえますか?

血圧・脈拍・酸素飽和度などのバイタルサイン確認、服薬管理、食事・塩分制限のアドバイス、理学療法士による心臓リハビリ、緊急時の主治医への連絡調整なども行います。

週に何回来てもらえますか?

介護保険の場合はケアプランで決まります(一般に週1〜3回)。医療保険の場合は原則週3回が上限ですが、主治医が急性増悪と判断した場合は特別指示書により最長14日間、毎日の訪問が可能です。

家族が「また入院するのでは」と毎日心配しています。訪問看護で安心できますか?

はい。訪問看護師が定期的に状態を確認し、悪化サインを早期に発見することで再入院リスクを下げることができます。また、ご家族への状態説明や介護負担の相談も行います。「一人で不安を抱え込まなくていい環境づくり」も訪問看護の大切な役割です。

心不全で自宅での運動は危険ではないですか?

適切な強度での運動は心不全の予後改善に有効であることが示されています。OURの理学療法士が個人の状態に合わせた安全な運動プログラムを作成し、息切れを最小限に抑えながら体力を維持・回復するお手伝いをします。

宮崎市で心不全の在宅管理・訪問看護をお考えの方へ

「退院後の生活が不安」「体重やむくみの管理を専門家に見てほしい」「また入院したくない」――そのような思いをお持ちの方・ご家族の方は、OUR訪問看護ステーションにご相談ください。

宮崎市・国富町・綾町・新富町エリアを担当する看護師・理学療法士・作業療法士チームが、あなたらしい在宅生活を支えます。

参考:国立循環器病研究センター「心不全」

関連記事

この記事を監修した人

OUR
TEAM

OUR訪問看護ステーション

看護・リハビリチーム

看護師7名・理学療法士1名・作業療法士3名 / 宮崎市

宮崎市を中心に24時間・365日の訪問看護を提供。在宅透析・人工呼吸器・CV管理などの高度医療処置から生活期リハビリまで対応。「あなたらしさをともにつくる」を理念に、認定作業療法士・中田富久が代表を務め、医師・ケアマネジャーと連携し利用者一人ひとりの在宅生活を支援している。帝人ファーマ「みんなの訪問看護アワード2026」大賞受賞。

宮崎市全域、国富町、高岡町、綾町対応

“あなたらしい”在宅生活を、24時間・365日サポートします

☎ 0985-77-8266受付時間:9時〜17時