
「認知症」と一口に言っても、アルツハイマー型・レビー小体型・血管性・前頭側頭型では、症状の出方も進行の仕方も在宅ケアで注意すべき点も異なります。「認知症だからBPSDが出る」「認知症だから記憶障害がある」という一括りの理解では、その方に本当に合ったケアができません。
この記事では、認知症の主な種類ごとの特徴と、在宅ケア・訪問看護の関わり方の違いを整理します。担当している方の診断名を確認しながら読んでいただくと、「なぜあのような症状が出るのか」「何に気をつければいいのか」の理解が深まります。
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【シリーズ】認知症と訪問看護
- 認知症の在宅ケアに訪問看護は使える?基本と全体像
- 認知症の徘徊・夜間不眠・幻覚に困っています。訪問看護でできるBPSD対応
- 認知症介護で「もう限界」と感じたとき
- ケアマネジャーが認知症の利用者に訪問看護を勧めるべきタイミング
- アルツハイマー・レビー小体・血管性…認知症の種類別 在宅ケアの違い(この記事)
認知症の主な種類と割合
4つの主要な認知症
厚生労働省「認知症施策推進大綱」(2019年6月閣議決定)の推計では、日本の認知症患者は2025年時点で約700万人にのぼるとされており、65歳以上の約5人に1人に相当します。主な種類と割合(久山町研究ほか複数の疫学研究に基づく目安)は以下の通りです。
| 種類 | 割合(目安) | 主な特徴 |
|---|---|---|
| アルツハイマー型 | 約67〜68% | 記憶障害から始まり、ゆるやかに進行 |
| 血管性認知症 | 約15〜20% | 脳梗塞・脳出血後に発症。段階的に悪化 |
| レビー小体型 | 約4〜5%(実際はもっと多い可能性) | 幻視・パーキンソン症状・変動する認知機能 |
| 前頭側頭型 | 約1〜2% | 人格変化・脱抑制・常同行動が特徴 |
これらが単独または複数組み合わさって(混合型)現れることもあります。診断名だけでなく、症状のパターンを観察しながら個別のケアプランを立てることが在宅では重要です。
種類別の特徴と在宅ケア・訪問看護のポイント
アルツハイマー型認知症:ゆるやかな進行に長期的な支援を
特徴
アルツハイマー型は、脳内のアミロイドβタンパクの蓄積によって神経細胞が徐々に失われていくことで起きます。初期は「もの忘れ」から始まり、ゆるやかに進行します。
- 初期:近い記憶の喪失(昨日のことは忘れるが昔のことは覚えている)、同じことの繰り返し
- 中期:日付・場所・人の名前がわからなくなる(見当識障害)、BPSD(徘徊・妄想)の出現
- 後期:言葉が出なくなる、歩行困難、嚥下障害、寝たきり状態へ
在宅ケアで注意すべき点
- 服薬管理:「飲んだかどうか忘れる」問題が必ず出現する。一包化・服薬カレンダー・看護師による確認の仕組みをつくる
- 迷子・徘徊への備え:中期以降は徘徊リスクが高まる。GPS機器の検討や地域の見守りネットワークの活用を早めに準備する
- 家族の長期的なサポート:進行がゆるやかな分、介護期間が長くなる。家族の燃え尽きを防ぐための早期のレスパイトサービス導入が重要
訪問看護の関わり方
アルツハイマー型では「長期戦に備えた体制づくり」が鍵です。初期の段階から訪問看護が入り、本人の状態変化を継続して観察しながら、病期の変化に応じてサービスを調整していく役割を担います。特に服薬管理と家族サポートは、初期から継続して関わることで大きな効果を発揮します。
レビー小体型認知症:幻視とパーキンソン症状への特別な配慮
特徴
レビー小体型は、アルツハイマー型の次に多い認知症です。しかし診断が難しく、実際の有病率はもっと高いと言われています。
最大の特徴は以下の3点です。
- 幻視(リアルな視覚的幻覚):「小さな子どもがいる」「虫が壁を這っている」など、具体的でリアルな幻視が繰り返し現れる
- パーキンソン症状:動作が遅くなる、小股歩行、手のふるえ、前傾姿勢による転倒リスクの高さ
- 認知機能の変動:一日の中でも「しっかりしている時間」と「混乱している時間」が激しく変動する
さらに、レビー小体型は薬物への過敏性が特徴的です。多くの抗精神病薬に対して重篤な副作用が出やすいため、BPSDへの薬物対応は非常に慎重に行う必要があります。
在宅ケアで注意すべき点
- 転倒・骨折リスクが非常に高い:パーキンソン症状による歩行障害と、認知機能変動による判断力低下が重なる
- 幻視を否定しない:「そんなものはいない」と強く否定すると混乱が増す。「怖いですね」と共感しつつ、安全を確認する
- 薬の変更には特に注意:薬が変わったとき、訪問看護師が副作用(過鎮静・筋硬直など)を早期に察知することが重要
訪問看護の関わり方
レビー小体型では、理学療法士(PT)によるパーキンソン症状へのリハビリが特に重要です。転倒予防・歩行訓練・住環境の安全確認を行います。また、薬の変更があった際の副作用モニタリングは訪問看護師の重要な役割です。認知機能の変動が大きいため、「今日の状態」を正確に記録・報告し、主治医・ケアマネジャーとのリアルタイムな情報共有が求められます。
血管性認知症:脳血管疾患の管理と再発予防が要
特徴
脳梗塞や脳出血の後に発症する認知症です。脳のどの部位が損傷を受けたかによって、症状が大きく異なるのが特徴です。
- アルツハイマー型のようにゆるやかではなく、「階段状に悪化する」パターンが多い(脳血管イベントごとに症状が悪化する)
- 損傷部位によっては、記憶より先に「実行機能(段取り・判断)」「感情コントロール」「歩行」が障害されることが多い
- 「まだらな症状」が出やすい:ある機能は保たれているのに別の機能は障害されている
在宅ケアで注意すべき点
- 脳血管イベントの再発予防:高血圧・糖尿病・心房細動などのコントロールが在宅生活継続の鍵
- 服薬管理(抗血栓薬など):薬を飲み忘れると再梗塞リスクが上がる。確実な服薬確認が不可欠
- 感情コントロールの障害(易怒性・感情失禁):突然泣き出す、些細なことで怒るという症状は、家族が傷つきやすい。「脳の損傷による症状」と理解することが重要
訪問看護の関わり方
血管性認知症では、脳血管疾患の合併症管理(血圧・血糖値の定期測定・服薬確認)が訪問看護の中心的な役割です。また、身体麻痺を伴うケースも多いため、PTによるリハビリと看護師による身体管理が連携して行われます。再発のリスクサインを早期に察知し、主治医への報告・緊急受診の調整も重要な役割です。
前頭側頭型認知症:人格変化への対応が最も難しい
特徴
記憶よりも先に「人格・行動・言語」が変化する認知症です。比較的若い年齢(50〜60代)で発症することが多く、以下のような特徴的な症状が現れます。
- 脱抑制:社会的に不適切な行動(万引き・性的逸脱行為・他人への失礼な言動)
- 常同行動:毎日同じ時間に同じルートを歩く、同じ食べ物しか食べないなどの固定した行動パターン
- 共感能力の低下:家族が悲しんでいても気にしない、他者の感情がわからない
- 言語の障害:言葉が出にくくなる(進行性非流暢性失語)、言葉の意味がわからなくなる(意味性認知症)
在宅ケアで注意すべき点
- 家族の精神的ダメージが大きい:「性格が変わってしまった」「別人のようだ」という喪失感は、アルツハイマーとは異なる特有の苦しさ
- 問題行動への対応が難しい:叱責・制止が効かないため、環境を整えて問題行動が起きにくくする工夫が必要
- 若年発症のため、家族への経済的・社会的影響が大きい
訪問看護の関わり方
前頭側頭型では、行動変化の観察と記録・家族への精神的サポートが特に重要な役割です。「どのような状況で問題行動が起きやすいか」「どんな声かけなら本人が受け入れやすいか」を継続して観察し、ケアの方針を家族・ケアマネジャーと共有します。必要に応じて精神科との連携も行います。
宮崎市で、どの種類の認知症にも対応できる訪問看護を
疾患の種類を問わず対応できる体制
OUR訪問看護では、アルツハイマー型・レビー小体型・血管性・前頭側頭型のいずれの認知症についても、看護師とPT・OTがチームで対応します。在宅透析・人工呼吸器・CV管理など高度な医療処置が必要な合併症についても対応可能であり、「この症状があるから在宅は無理」とお断りするケースはほぼありません。
「診断名は○○型認知症だが、どんなケアが合うか相談したい」という場合も、気軽にご相談ください。
薬の変化・認知機能変動を継続的に観察
レビー小体型の薬剤過敏性・血管性の再発リスクなど、認知症の種類によって注意すべき医療的ポイントは異なります。OUR訪問看護では定期訪問のたびにバイタルチェックと状態観察を行い、変化があれば主治医にすぐ報告する体制を整えています。「薬が変わったが様子がおかしい気がする」「最近調子が波打っている」といった変化も、見逃さずに対応します。
このシリーズで認知症ケアの全体像をつかむ
このシリーズ5本を読むことで、認知症と訪問看護に関する基本から実践的な知識まで、一通り理解できるようになっています。「訪問看護って何をしてくれるの?」という入口から始まり、BPSDの対応・家族支援・ケアマネ連携・種類別の違いまで、認知症ケアに関わるすべての方に役立つ内容を網羅しました。訪問看護の活用に少しでも迷いが晴れたなら、まずはお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。
よくある質問
認知症の主な種類(アルツハイマー型・レビー小体型・血管性・前頭側頭型)は、症状の出方も在宅ケアのポイントも異なります。アルツハイマーは長期的な服薬管理と家族の燃え尽き防止、レビー小体型は転倒・薬剤過敏性への注意、血管性は再発予防と合併症管理、前頭側頭型は行動変化への対応と家族支援がそれぞれの重点です。種類を正しく理解したうえで、その方に合った在宅ケアを組み立てることが、在宅生活の継続につながります。
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認知症の在宅ケアに訪問看護は使える?家族が知っておくべきサポート内容・利用手順を解説
訪問看護が認知症ケアでできること・保険の仕組み・利用開始の流れなど、このシリーズの基礎となる総論記事です。
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