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ともにつくるケアノート— あなたらしさを支える訪問看護のかたち —

認知症の徘徊対策。原因・危険性・GPS活用と在宅でできる予防策を解説

「夜中に気づいたら姿がない」「散歩に出たまま戻ってこない」。認知症の徘徊は、介護家族にとって最も不安なBPSD(行動・心理症状)のひとつです。この記事では、徘徊がなぜ起きるのか、どのように危険を減らすか、GPS機器や環境整備の具体策を、OUR訪問看護師の視点から解説します。

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認知症の徘徊はなぜ起きるのか。「困らせたい」わけではない

認知症の徘徊とは、認知症の方が自分の意志や目的を持って動き出しているにもかかわらず、帰れなくなったり危険な状況に陥ったりする状態を指します。単なる「目的のない歩き回り」ではなく、本人なりの理由があることが多いです。

厚生労働省の認知症施策推進大綱(2019年)では、認知症の行動・心理症状(BPSD)の一つとして位置づけられ、適切なケアと環境整備で軽減できるとされています。

徘徊の主な背景

  • 見当識障害:「ここがどこかわからない」「今が何時かわからない」という感覚から、帰ろうとして出てしまう
  • 不安・焦り:「子どもを迎えに行かなければ」「仕事に行かなければ」など、過去の役割が呼び起こされる
  • 睡眠リズムの乱れ:夜間に覚醒してしまい、昼夜逆転から夜間の外出につながる
  • 身体的不快感:痛みや便意・尿意を適切に伝えられず、動き回ることで解消しようとする
  • 刺激不足・退屈:日中の活動量が少なすぎると夜間に覚醒しやすくなる

家庭でできる徘徊予防と安全対策

環境を整える(物理的な安全策)

環境整備は「閉じ込める」ためではなく、「安全に出かけられる範囲を確保する」ための工夫です。

玄関・出入り口の工夫

  • ドアセンサーや開閉チャイムを設置して外出に気づけるようにする
  • 鍵の位置を変える(認知症の方が見つけにくい高さに移動する)
  • 「入口ではありません」などの貼り紙も効果がある場合がある

鍵を二重にかけて完全に出られないようにするのは、緊急時の脱出ができなくなる危険があります。完全ロックよりも「気づける仕組み」を優先してください。

服装・持ち物への工夫

  • 衣服の内側に名前・電話番号を書いたタグを縫い付ける
  • 靴に名前シールを貼る(発見時に本人確認しやすくなる)
  • 常に連絡先カードを入れたポーチを持たせる

日中の活動でリズムを整える

日中に適度に体を動かし、生活リズムを整えることが夜間徘徊の予防につながります。

  • デイサービスへの参加(社会的刺激・運動・集団活動)
  • 散歩・軽体操など日中の活動量を増やす
  • 好きなことや役割(庭の水やり・簡単な家事)を日課にする
  • 昼寝は30分以内にとどめて夜間の睡眠を確保する

近所への声かけ・協力依頼

地域のコンビニ・近隣住民に「もし一人で歩いているのを見かけたら連絡してください」とあらかじめ伝えておくことが、迷子になった際の早期発見につながります。宮崎市では地域包括支援センターが徘徊SOSネットワーク(地域見守り連携)の案内を行っています。

GPS・見守り機器の選び方と活用

GPSの種類

種類特徴
小型GPS端末(月額サービス)ポケット・靴・ランドセル等に入れる。リアルタイム位置確認が可能
GPS付き靴本人が端末を持たなくても追跡できる。スムーズに使いやすい
スマートウォッチ型見た目が自然で抵抗が少ない。通話機能付きの製品もある
自治体の見守り事業市区町村が貸し出すGPS機器。費用が低く抑えられる

宮崎市でもGPS見守り機器の助成制度を行っている場合があります。詳しくは地域包括支援センターに確認してください。

GPS使用上の注意

GPSはあくまで「発見を早める」ツールであり、「出ていかなくなる」ものではありません。GPSで位置が把握できていても、発見まで時間がかかれば危険です。センサーとGPSを組み合わせ、外出に気づいた段階で早期に対応する仕組みが重要です。

訪問看護・専門職に相談できること

OURが提供する認知症ケアのサポート

徘徊が始まった段階で、OUR訪問看護師は次のような支援を行います。

  • 徘徊の背景・パターンを把握して対策を一緒に考える
  • 睡眠・排泄・痛みなど身体的要因の評価と改善
  • 家族への声かけ・関わり方のアドバイス
  • ケアマネジャー・地域包括支援センター・主治医との連携
  • 夜間のオンコール対応(夜中に「いなくなった」という相談も可能)

徘徊に関するBPSDについては、認知症の徘徊・夜間不眠・幻覚に困っています(シリーズ②)でより詳しく解説しています。また、「認知症介護でもう限界」と感じたとき(シリーズ③)も合わせてご参照ください。

よくある質問

認知症の徘徊はいつ頃から始まりますか?

アルツハイマー型認知症では、中等度以降(MMSE換算でおおむね20点以下)に出現しやすいとされています。ただし個人差が大きく、初期から起きる方もいます。「見当識が低下した」「夜に眠れなくなった」というサインが出始めたら早めに準備を始めることをおすすめします。

徘徊防止のためにドアに鍵をかけてもいいですか?

外から鍵をかけて完全に出られなくする方法は、火事などの緊急時に逃げられなくなる危険があります。チャイムやセンサーで「出ようとしていることに気づく」仕組みを優先し、完全施錠は避けてください。施設でも同様のガイドラインがあります。

GPS機器は嫌がる場合はどうすればいいですか?

「これをつけると心配しなくて済む」と伝えても嫌がる方が多いです。靴の中敷きに入れるタイプや、普通の時計やポーチに見えるものを選ぶと受け入れやすいことがあります。本人に「追跡されている」と感じさせないデザインや形状を選ぶことが大切です。

夜間の徘徊が激しい場合はどうすればいいですか?

夜間の覚醒・徘徊が続く場合は、睡眠薬の調整を含めて主治医に相談することをおすすめします。同時に、日中の活動量を増やす・昼寝を制限するなどの生活リズム整備が根本的な対策になります。OUR訪問看護の夜間オンコールでもご相談いただけます。

徘徊が始まったら施設入所を考えるべきですか?

徘徊があるからといって、すぐに施設入所が必要なわけではありません。GPS・センサー・デイサービスの活用・訪問看護の支援を組み合わせて在宅継続が可能なケースは多くあります。ただし、一人での夜間介護が限界に達している場合は、ショートステイの活用や施設入所を検討することも大切です。

宮崎市で徘徊対策の相談ができる窓口はありますか?

地域包括支援センター(宮崎市には各地域に設置)が一次相談窓口です。GPS機器の助成制度・徘徊SOS登録・デイサービスの案内など、具体的な支援につないでもらえます。OUR訪問看護でも在宅での対策を一緒に考えます。

まとめ

  • 認知症の徘徊は本人なりの理由(不安・見当識障害・身体的不快感)から起きる
  • まず「出てしまったことに気づける仕組み」(センサー・GPS)を整えることが優先
  • 完全ロックは緊急時の危険があるため避ける
  • 日中の活動とリズムを整えることが夜間徘徊の予防につながる
  • OUR訪問看護では夜間のオンコール相談も含め、在宅での徘徊対策を一緒に考えます

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参考文献一覧

  • 認知症施策推進大綱(厚生労働省・2019年)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000076236_00002.html
  • 認知症介護情報ネットワーク(認知症介護研究・研修センター)https://www.dcnet.gr.jp/

この記事を監修した人

OUR
TEAM

OUR訪問看護ステーション

看護・リハビリチーム

看護師7名・理学療法士1名・作業療法士3名 / 宮崎市

宮崎市を中心に24時間・365日の訪問看護を提供。在宅透析・人工呼吸器・CV管理などの高度医療処置から生活期リハビリまで対応。「あなたらしさをともにつくる」を理念に、認定作業療法士・中田富久が代表を務め、医師・ケアマネジャーと連携し利用者一人ひとりの在宅生活を支援している。帝人ファーマ「みんなの訪問看護アワード2026」大賞受賞。