
「顔が赤い・息が荒い・呼びかけても反応が薄い」。高齢者の熱中症は急速に進行することがあります。「暑い部屋で元気がなかっただけ」と思っていたら、数時間後に意識が低下していた、というケースは珍しくありません。
この記事では、熱中症の症状チェック・重症度の見分け方・在宅での応急処置・救急を呼ぶべきラインを、OURの訪問看護師が実践的に解説します。夏の前に読んでおくことで、いざというときに迷わず動けます。
宮崎市全域、国富町、高岡町、綾町対応
“あなたらしい”在宅生活を、24時間・365日サポートします
☎ 0985-77-8266受付時間:9時〜17時
熱中症の症状チェックリスト:今すぐ確認する10項目
以下の項目を確認してください。
軽度のサイン(Ⅰ度)
- めまい・立ちくらみがある
- 筋肉がこむらがえりを起こしている
- 気分が悪い・吐き気がある
- 汗が止まらない・大量の発汗
中等度のサイン(Ⅱ度):病院受診を検討
- 頭痛が強い
- 倦怠感・全身の脱力感が著しい
- 意識が少しぼんやりしている(質問に答えるが反応が遅い)
- 嘔吐している
- 自力で水分が飲めない
重症サイン(Ⅲ度):すぐに119番
- 呼びかけても反応しない・意識がない
- けいれんが起きている
- 体温が40℃以上で、肌が熱く乾いている(汗が出ていない)
- まっすぐ歩けない・体がふらふらして支えが必要
- 言動がおかしい・会話がかみ合わない
重症のサイン(Ⅲ度)が1つでも当てはまれば、迷わず119番してください。
熱中症の重症度分類:軽症・中等症・重症の違い
| 分類 | 症状 | 処置の目安 |
|---|---|---|
| Ⅰ度(軽症) | めまい・立ちくらみ・こむらがえり・大量発汗 | 涼しい場所で安静・水分補給。改善しなければ受診 |
| Ⅱ度(中等症) | 頭痛・嘔吐・全身倦怠感・判断力の低下 | 病院受診。点滴が必要なことがある |
| Ⅲ度(重症) | 意識障害・けいれん・体温40℃超・高体温 | 救急搬送。ICU管理が必要なことがある |
高齢者はⅡ度からⅢ度へ急速に移行することがあります。「少し元気がない」程度でも、室内の温度・水分摂取量・発汗の有無を確認してください。
高齢者の熱中症が見逃されやすい理由
熱中症は「屋外・炎天下」のイメージがありますが、高齢者の熱中症の約半数は室内で起きています(総務省消防庁の調査より)。
高齢者に特有の熱中症リスク
- のどの渇きを感じにくい:脱水が進んでも「飲みたい」という感覚が起きにくい
- 体温調節機能の低下:暑くても発汗が少ない・発汗開始が遅い
- エアコン・扇風機を使わない:「もったいない」「寒い」という理由でエアコンをつけない
- 薬の影響:利尿薬は脱水を促進。向精神薬・抗ヒスタミン薬は発汗を抑える
- 一人暮らし・見守り不足:異変に気づかれないまま悪化する
室内熱中症が起きやすい環境
- 締め切った部屋・風通しの悪い部屋
- 西日が当たる部屋でのカーテンなし
- 夜間〜早朝:外気温が下がっても室内は高温が持続する
- 就寝中:発汗・脱水が進んでも気づかない
在宅での熱中症応急処置:7つのステップ
Ⅰ度〜Ⅱ度の熱中症と判断した場合、以下の手順で対応してください。
ステップ①:涼しい場所に移動する
エアコンの効いた部屋(室温26〜28℃目標)に移動します。外出中の場合は建物の日陰・コンビニ・公共施設に入ります。
ステップ②:衣服を緩めて体を冷やす
- 衣服のボタン・ベルトを緩め、風通しをよくする
- 首・脇の下・鼠径部(太ももの付け根)を氷嚢や保冷剤で冷やす(太い血管が通っているため効果が高い)
- 濡れタオルで体を拭き、扇風機で風を当てる
ステップ③:水分と塩分を補給する
意識がしっかりしており、自分で飲める場合は経口補水液(OS-1等)か、スポーツドリンクを少量ずつ(100〜200mLを15〜20分おき)飲ませます。
- してはいけないこと:意識が低下している・吐き気がある場合に無理に飲ませる(誤嚥・窒息のリスク)
ステップ④:体温を測り、状態を記録する
5〜10分おきに体温・意識状態・嘔吐の有無を確認します。体温が下がらない・意識が悪化する場合は、すぐに119番してください。
ステップ⑤:訪問看護師に連絡する
Ⅱ度の症状がある場合は、訪問看護師のオンコールに連絡してください。OURは24時間対応しており、電話での判断・緊急訪問の手配が可能です。
ステップ⑥:119番のタイミングを逃さない
以下のいずれかが現れたら、迷わず119番してください:
- 意識が低下した・呼びかけへの反応が鈍くなった
- けいれんが起きた
- 体温が40℃を超えた
- 自力で水分を飲めなくなった
- 20〜30分の応急処置後も症状が改善しない
ステップ⑦:救急隊員への情報提供
119番した際・救急隊員に伝えること:
- いつから症状があったか
- 体温(測定値)
- 今日の水分摂取量
- 飲んでいる薬の名前
- 既往歴(心臓病・腎臓病・糖尿病など)
熱中症予防:在宅療養者への実践的な対策
エアコンの正しい使い方
- 室温28℃以下を目標に設定する(外気温が高い日は27℃以下を目指す)
- 「涼しければOK」ではなく、温湿度計で数値を確認する(温度28℃・湿度70%以下が目安)
- エアコンの風が直接体に当たらないよう、風向きを調整する
- 夜間・就寝中もエアコンを使用する(「夜は涼しくなるから」は禁物。室温30℃以上が続くことがある)
水分補給の目安と工夫
- 1日の水分摂取目標:体重50kgで1,500〜1,750mL
- のどが渇く前に定期的に飲む(1時間に1回・コップ半分)
- スポーツドリンク・麦茶・みそ汁・フルーツも水分補給になる
- 利尿薬・下剤を服用している場合は、1日の水分量を特に意識する
外出・デイサービス利用時の注意
- 外出前・帰宅後に必ず水分を補給する
- 送迎車内は早めにエアコンをつけてもらうよう伝える
- 炎天下の外出は10〜14時を避ける
訪問看護師ができること(熱中症の早期発見と予防支援)
OURは以下のサポートを提供しています。
毎回の訪問での熱中症リスク評価
訪問のたびに室温・水分摂取量・皮膚の乾燥・口腔内乾燥・バイタルサインを確認します。「室温が高い」「今日は水分をほとんど飲んでいない」という段階で、ケアマネジャーや家族に情報共有します。
薬と熱中症の関係の確認
利尿薬・向精神薬・抗ヒスタミン薬など熱中症リスクを高める薬を服用している方には、特に水分補給の指導を行います。主治医への薬の見直し提案も行います。
24時間オンコールによる緊急対応
夜間・休日の急変にも対応します。「なんか変」という段階での電話相談も歓迎しています。
よくある質問
熱中症かどうか、脱水との違いはありますか?
脱水は水分・塩分の不足そのものを指し、熱中症は体温上昇を伴う状態です。両者は密接に関連しており、脱水が進むと熱中症になりやすくなります。体温が高い(38℃以上)・ぼんやりしている・汗が止まっている場合は熱中症として対応してください。
「水を飲んでいる」と言っています。それでも熱中症になりますか?
なります。水だけでは塩分が補えず、低ナトリウム血症(水中毒)の状態になることがあります。特に発汗が多い時期は、塩分も一緒に補給することが重要です。経口補水液・スポーツドリンク・みそ汁を組み合わせてください。
「寒い」と言ってエアコンをつけません。どうすればいいですか?
室温が30℃を超えていても高齢者は「寒い」と感じることがあります(体温感覚の低下)。「寒い・暑いの感覚ではなく、温度計の数値で管理してほしい」と伝える方法が効果的です。温湿度計を目の見える場所に置き、「28℃を超えたらエアコンをつける」というルールを作ることをお勧めします。
熱中症で入院した後、在宅での再発予防はどうすればいいですか?
退院後は訪問看護師による水分・室温管理の支援が有効です。過去に熱中症で入院したことがある方はリスクが高く、夏の期間中の訪問頻度を上げることも検討します。
宮崎市で熱中症予防・在宅ケアの訪問看護に対応していますか?
はい。OURは宮崎市を中心に24時間対応しています。宮崎市は高温多湿で5月〜10月は特に熱中症リスクが高く、早めの対策支援を行っています。宮崎市全域・国富町・高岡町・綾町に対応しています。
まとめ
- 高齢者の熱中症の約半数は室内で起きる。エアコンをつけない・のどの渇きを感じにくいことが主な原因
- Ⅲ度サイン(意識障害・けいれん・体温40℃超)が1つでもあれば迷わず119番
- 応急処置:涼しい場所に移動→衣服を緩める→首・脇・鼠径部を冷やす→自力で飲める場合は経口補水液
- 「意識が低下した」「20〜30分改善しない」は救急のサイン
- OURは訪問のたびに室温・水分・バイタルを確認し、熱中症の早期発見と予防支援を24時間体制で行っている
参考文献一覧
- 総務省消防庁「熱中症情報」 https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/
- 環境省「熱中症予防情報サイト(WBGT)」 https://www.wbgt.env.go.jp/
- 国立長寿医療研究センター https://www.ncgg.go.jp/
この記事を監修した人
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