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ともにつくるケアノート— あなたらしさを支える訪問看護のかたち —

末期がんの親が急に変わった。最期が近いサインと、家族が今夜すべきこと

昨日まで話せていたのに、今日は目を開けない。呼吸の音が変わった。手足が冷たくなってきた。

末期がんの在宅療養を続けてきた家族が「いよいよかもしれない」と感じる瞬間は、予告なくやってきます。「今すぐ救急を呼ぶべきか」「訪問看護師に電話すべきか」「側にいるだけでいいのか」。判断を迫られる中で、正確な知識がないと大切な時間を混乱の中で過ごすことになります。

この記事では、末期がんの終末期に体に起きること、最期が近いときのサイン、そして家族が今夜すべきことを、OURの訪問看護師の経験からお伝えします。

宮崎市全域、国富町、高岡町、綾町対応

“あなたらしい”在宅生活を、24時間・365日サポートします

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末期がんが「急に悪化した」。何が起きているのか

がんの終末期は、比較的安定した時期が続いたあと、ある時点から急速に変化することがあります。この「急変」にはいくつかのパターンがあります。

急変のパターン

①がんの急速な進行

腫瘍が重要な臓器・血管・神経を圧迫・閉塞することで、急激な症状の変化が起きます。

  • 腹部の大血管への浸潤 → 急な腹痛・出血
  • 脊椎・脊髄への転移 → 突然の下肢麻痺・尿閉
  • 脳転移の増大 → 急な意識変化・片側麻痺・痙攣

②感染症の合併

免疫力が低下しているがん患者さんは肺炎・尿路感染・蜂窩織炎などに罹患しやすく、通常より急速に重篤化することがあります。

③臓器不全の進行

肝臓・腎臓・心臓などの臓器に転移または機能低下が進むと、意識レベルの低下・尿量の減少・むくみの急増などが現れます。

④薬の影響

オピオイド(医療用麻薬)の過剰投与・代謝異常による蓄積、あるいは突然の服薬中断も意識変化・呼吸抑制の原因になります。


最期が近いときのサイン:段階別に知っておく

終末期の変化は段階的に現れることが多く、「死前喘鳴(しぜんぜんめい)」と呼ばれる最終段階の変化は数時間〜数日以内に訪れることがあります。

数日〜1週間前のサイン

  • 食事・水分をほとんど受け付けなくなる
  • ほとんどの時間を眠って過ごす
  • 会話が短く・支離滅裂になる
  • トイレに行けなくなる・失禁が増える
  • 手足がむくんでくる

数時間〜1日前のサイン

  • 呼びかけても目を開けない・反応が極めて乏しい
  • 呼吸が不規則になる(チェーン・ストークス呼吸:深い呼吸と止まる呼吸を繰り返す)
  • 喉でゴロゴロという音がする(死前喘鳴)
  • 手足・唇・爪床が青紫色になる(チアノーゼ)
  • 皮膚が蒼白になり、斑状の紫色の模様が出る(網状皮斑)
  • 体温が下がり、手足が冷たくなる

「死前喘鳴」について

喉からゴロゴロ・ゼーゼーという音がするのは、意識が低下して飲み込みや咳の反射が弱まり、分泌物が喉に溜まるためです。本人が苦しんでいるわけではありません。しかし家族にとって心理的につらい変化の一つです。

この音が出たら、ほとんどの場合は数時間〜24時間以内のことが多いです。


今夜すべきこと:家族のための行動指針

①訪問看護師・訪問医に連絡する

様子がいつもと違うと感じたら、まず訪問看護師または担当の訪問医に連絡してください。「こんな状態になっています」と伝えるだけで、電話越しに状態のアセスメントができます。OURでは24時間オンコールで対応しています。

②本人の側にいる

意識が低下しても、聴覚は最後まで残ると言われています。声をかけ続けてください。「ここにいるよ」「ありがとう」——その声は届いています。

③救急を呼ぶかどうかの判断

在宅での看取りを選んでいる場合、一般的に以下のことを事前に決めておきます。

  • DNAR(Do Not Attempt Resuscitation)の確認:心肺停止時に蘇生処置を行わない意思確認
  • 「急変時は119番を呼ばずに訪問看護師・訪問医に連絡する」というルール

これを事前に取り決めていない場合、「救急を呼ぶべきか」という問いに答えられません。できるだけ早い段階で、訪問医・訪問看護師・家族全員で話し合っておくことが重要です。

④看取った後の手順を知っておく

自宅で亡くなった場合:

  1. 訪問医(かかりつけ医)に連絡する
  2. 医師が死亡確認・死亡診断書を発行する
  3. 葬儀社に連絡する

119番に電話する必要はありません(在宅での看取りで、担当医師がいる場合)。ただし、担当医が連絡取れない・事前に取り決めがない場合は119番に連絡します。


末期がんの急変に備えるために:事前準備のリスト

確認事項担当状態
訪問診療医・訪問看護師の緊急連絡先を手元に置く家族
DNAR・急変時の方針を医師と話し合った家族+医師
「119を呼ばずに看取る」方針を全家族で共有した家族全員
葬儀社の目星をつけた家族
本人の「最期にしたいこと・会いたい人」を確認した家族
痛みや苦痛の緩和薬(医療用麻薬等)が手元にある訪問看護師確認

末期がんの痛み・苦痛を在宅で和らげるために

医療用麻薬の在宅管理

在宅で医療用麻薬(オキシコドン・モルヒネ・フェンタニルなど)を使用している場合、訪問看護師が服薬確認・副作用(便秘・嘔吐・眠気)の管理・用量調整の医師への連絡を担います。

「麻薬を使うと寿命が縮む」は誤解です。適切に使用された医療用麻薬は、痛みを和らげることで本人のQOLを高めます。

息苦しさへの対応

末期がんで多い症状のひとつが呼吸困難です。

  • 体位:ベッドの頭部を30〜45度上げる、横向きで楽な姿勢を探す
  • 窓や扇風機で顔に風を当てる(三叉神経を刺激し呼吸感覚を和らげる)
  • 医師の指示により少量のオピオイドが呼吸困難にも有効

口の渇きへの対応

食事・水分が取れなくなると口腔内が乾燥します。

  • 少量の水を綿棒で唇・口内に塗る(口腔ケア)
  • 氷を口に含む
  • リップクリームで唇の乾燥を防ぐ

訪問看護師が家族にできること

OURは末期がんの在宅療養において、医療処置だけでなく「家族が不安にならないための関わり」を大切にしています。

  • 「今夜どうなるか」を正直に、できる範囲でお伝えする
  • 急変時の連絡・対応を24時間受ける
  • 亡くなった後の対応(エンゼルケア)も担当看護師が行う
  • 「家で最期を迎えさせてあげられた」という家族の思いを支える

看取りは「終わり」ではなく、家族が「ちゃんとできた」と思えるプロセスです。OURはその時間を一緒に作ります。


よくある質問

末期がんで急に意識が落ちました。救急を呼ぶべきですか?

在宅看取りの方針が決まっている場合は、まず訪問看護師・訪問医に連絡してください。意識の低下はがんの終末期では起こりうる変化であり、救急搬送が本人の意思に反する場合があります。事前に「急変時の対応」を医師・家族で話し合っておくことが、こうした場面での混乱を防ぎます。

「死前喘鳴」が出ています。本人は苦しいですか?

死前喘鳴は本人が苦痛を感じているサインではありません。意識が低下した状態で、飲み込みや咳の反射が弱まって分泌物が喉に溜まる音です。「苦しそうに聞こえる」ことで家族がつらくなりますが、本人の苦痛を反映しているわけではありません。口腔ケア・体位変換で音が和らぐことがあります。

自宅で亡くなった場合、警察に届けなければいけませんか?

担当の訪問医(かかりつけ医)が定期的に診ており、病死と判断できる場合は警察への届け出は不要です。医師が死亡診断書を発行します。ただし、担当医が「死因がわからない」「異状死が疑われる」と判断した場合は警察に届け出る義務があります。

医療用麻薬を使うと死期が早まりますか?

適切に使用された医療用麻薬が寿命を縮めるという証拠はありません。むしろ痛みや呼吸困難を和らげることで、本人が穏やかに過ごせる時間を延ばすことにつながります。日本緩和医療学会のガイドラインでも、適切な緩和薬の使用は推奨されています。

宮崎市で末期がんの在宅看取りに対応していますか?

はい。OURは末期がんの在宅療養・緩和ケア・在宅看取りに対応しています。「病院からの退院を考えている」「家で最期を迎えさせたい」という段階からご相談ください。24時間・365日オンコールで対応しています。


まとめ

  • 末期がんの急変には「がんの進行」「感染症」「臓器不全」「薬の影響」など複数の原因がある
  • 最期が近いサインは「食事ができない→眠り続ける→呼吸が不規則→チアノーゼ→手足が冷たくなる」という流れで現れることが多い
  • 「死前喘鳴」は本人の苦痛を示すものではない。家族が側にいることが何より大切
  • 在宅看取りを選ぶなら、急変時の方針(DNAR・連絡先・119を呼ばない取り決め)を事前に決めておく
  • OURは末期がんの24時間対応・緩和ケア・看取り後のエンゼルケアまで一貫して支援する

参考文献一覧

この記事を監修した人

OUR
TEAM

OUR訪問看護ステーション

看護・リハビリチーム

看護師7名・理学療法士1名・作業療法士3名 / 宮崎市

宮崎市を中心に24時間・365日の訪問看護を提供。在宅透析・人工呼吸器・CV管理などの高度医療処置から生活期リハビリまで対応。「あなたらしさをともにつくる」を理念に、認定作業療法士・中田富久が代表を務め、医師・ケアマネジャーと連携し利用者一人ひとりの在宅生活を支援している。帝人ファーマ「みんなの訪問看護アワード2026」大賞受賞。

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