「血圧が160になっていた」「薬を飲んでいるのに下がらない」「朝の血圧と夜の血圧でこんなに違う」——高血圧は日本で最も患者数の多い生活習慣病のひとつですが、在宅での正しい管理方法を知らないまま、不安を感じている方は少なくありません。
高血圧の怖さは、自覚症状がほとんどないまま進行し、脳卒中・心筋梗塞・腎臓病などの重大な合併症を引き起こすことです。自宅での正しい血圧測定・記録・受診の判断が、合併症を防ぐ最大の武器になります。
この記事では、高血圧の在宅管理の基本と「この数値が出たらどうする?」という判断基準を、OURの訪問看護師がわかりやすく解説します。
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家庭血圧の基準値:「正常」はいくつ?
家庭血圧(自宅で測った血圧)の基準は、病院で測る「診察室血圧」とは異なります。
| 分類 | 収縮期血圧(上) | 拡張期血圧(下) |
| 正常血圧(家庭) | 115mmHg未満 | 75mmHg未満 |
| 正常高値血圧(家庭) | 115〜124mmHg | 75mmHg未満 |
| 高値血圧(家庭) | 125〜134mmHg | 75〜84mmHg |
| 高血圧(家庭) | 135mmHg以上 | 85mmHg以上 |
日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」によると、家庭血圧で135/85mmHg以上が続く場合は高血圧と判断されます。診察室血圧の140/90mmHgより少し低い基準です。
正しい家庭血圧の測り方:5つのポイント
正確な血圧値を得るために、測定方法のばらつきをなくすことが重要です。
ポイント①:測るタイミングを固定する
- 朝:起床後1時間以内、排尿後、朝食前、薬を飲む前に測定
- 夕:就寝前(入浴・飲酒・運動の後は30分以上空ける)
朝の起床後血圧が特に重要です。起き抜けの血圧が高い場合(「早朝高血圧」)は脳卒中リスクが高まるとされています。
ポイント②:5分間の安静後に測る
動いた直後・緊張時は血圧が上がります。椅子に座って5分間安静にしてから測ってください。
ポイント③:2回連続で測り、平均をとる
血圧は1回の測定では変動が大きいため、2回測定した平均値を記録します。
ポイント④:腕帯(カフ)の位置を正しくつける
腕帯は心臓と同じ高さ(肘を机に置いた状態)につけます。ずれていると数値が不正確になります。
ポイント⑤:毎日同じ条件で記録する
日付・時刻・上/下の数値を毎日記録し、主治医・訪問看護師に見せられるよう手元に保管してください。
数値別の判断基準:いつ受診・連絡すべきか
| 血圧の状態 | 行動の目安 |
| 135/85未満が続く | 薬が効いている。次回受診時に記録を見せる |
| 135〜159/85〜99が続く | 生活習慣の見直し。次回受診時に医師に報告 |
| 160〜179/100以上が数日続く | 受診を前倒しして相談 |
| 180/110以上 | 当日中に受診または主治医に連絡 |
| 症状あり(頭痛・視野異常・手足のしびれ・言葉の障害) | 119番または緊急受診 |
「180以上が出たけれど症状はないから様子を見よう」という判断は避けてください。症状がなくても高血圧緊急症(臓器障害のリスクがある状態)の場合があります。
高血圧の在宅生活で取り組める4つの生活習慣
①塩分を1日6g未満に
日本人の食塩摂取量の平均は10g前後と、目標の6g未満を大きく超えています。「減塩しょうゆ・みそ・ポン酢」への切り替え、「汁物を1日1杯以内」「漬物・加工食品を控える」だけで2〜3g削減できます。
②適度な有酸素運動
ウォーキング・自転車・水泳などの有酸素運動を1日30分、週5日以上継続することで、収縮期血圧が4〜9mmHg低下するとされています(高血圧治療ガイドライン2019)。「ながら歩き」「買い物を徒歩で」から始めても構いません。
③禁煙・節酒
喫煙は血管を収縮させ、血圧を急上昇させます。飲酒は適量であれば影響が少ないですが、大量飲酒は血圧を上げます。アルコールは男性25g/日(ビール中びん1本相当)以下が目安です。
④ストレス管理と睡眠
精神的ストレス・睡眠不足は血圧を上げます。「毎日7時間睡眠を目標にする」「深呼吸・入浴によるリラクゼーション」など、自分に合った方法を継続してください。
OUR訪問看護ステーションによるサポート体制
OUR訪問看護ステーション(宮崎市)では、看護師・PT・OTが連携してご自宅でのケアを提供します。全スタッフが厚生労働省の精神保健研修を修了しており、身体疾患から精神疾患まで幅広い対応が可能です。24時間のオンコール体制を整え、夜間・休日でも緊急対応します。
「どんな状態でもまず相談」というスタンスで、宮崎市・国富町・綾町・高岡町エリアに対応しています。ご相談はお電話またはウェブフォームからどうぞ。
よくある質問
血圧の薬を飲み始めたら一生飲み続けなければいけませんか?
「一生飲まなければいけない」わけではありませんが、薬を自己判断でやめることは危険です。生活習慣の改善で血圧が十分下がった場合、医師が減薬・中止を検討することがあります。まず主治医に相談してください。
朝だけ血圧が高い(早朝高血圧)と言われました。何が危ないのですか?
早朝血圧は脳卒中・心筋梗塞が最も多く起きる時間帯(朝6〜10時)と重なります。起床後に血圧が急上昇する「モーニングサージ」は特にリスクが高いとされています。就寝前に服用する持続型降圧薬が有効な場合があります。主治医に朝の測定記録を見せて相談しましょう。
白衣高血圧(病院では高いが家では正常)は治療が必要ですか?
白衣高血圧(病院での緊張で血圧が上がる)の方は、一般的には在宅血圧が正常であれば治療の優先度は下がります。ただし、将来的に高血圧になるリスクがあるとされており、生活習慣の見直しと定期的なモニタリングが推奨されます。
訪問看護を始めるにはまず何をすればいいですか?
①主治医に「訪問看護を使いたい」と相談し、訪問看護指示書を発行してもらう、②介護保険を使う場合はケアマネジャーに連絡、③OURにお電話またはお問い合わせフォームでご連絡いただく、という3ステップです。
訪問看護でできることとできないことを教えてください。
【できること】バイタル測定・健康状態の観察、服薬管理・指導、点滴・注射・創傷処置、カテーテル管理、吸引・人工呼吸器管理、リハビリ(PT・OT)、ターミナルケア・看取りサポート、家族への介護指導。【できないこと】医師の診察・診断・処方(主治医が行う)、身の回りの生活援助のみ(訪問介護の担当)。
訪問看護師はどんな資格を持った人が来ますか?
訪問看護師は看護師(保健師・助産師を含む)または准看護師の資格を持ちます。OURではさらにPT・OTが在籍しており、リハビリが必要な方にも対応しています。全員が厚生労働省の精神保健研修を修了しています。
まとめ:「測って・記録して・相談する」が高血圧在宅管理の基本
- 家庭血圧の基準は135/85mmHg以上で高血圧(診察室より低め)
- 朝起床後1時間以内の血圧測定が特に重要
- 180以上または症状がある場合はすぐに受診・連絡する
- 塩分制限・有酸素運動・禁煙・ストレス管理の4つが生活習慣改善の柱
今日できる一歩:今日から血圧手帳(またはスマートフォンのメモ)に朝夕の血圧を記録し始めましょう。1週間の記録があるだけで、次回受診時の主治医との会話が格段に充実します。
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参考文献一覧
- 高血圧治療ガイドライン2019(日本高血圧学会)https://www.jpnsh.jp/guideline.html
- 家庭血圧測定の指針(日本高血圧学会)https://www.jpnsh.jp/
- 脳卒中と循環器病克服第二次5カ年計画(日本循環器学会)https://www.j-circ.or.jp/