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ともにつくるケアノート— あなたらしさを支える訪問看護のかたち —

課題分析標準23項目とは?ケアプラン作成の基礎と訪問看護が貢献できること

ケアマネジャーが居宅サービス計画(ケアプラン)を作成する際、最初に行うアセスメント(課題分析)には、法令上の根拠がある「課題分析標準23項目」という基準があります。この23項目はケアプランの質を左右する出発点ですが、「なぜこの項目が必要か」「どこまで掘り下げれば十分か」について迷うケアマネジャーも少なくありません。

この記事では、課題分析標準23項目の内容・根拠・各項目のポイント、そしてアセスメントの質を上げるための視点を解説します。訪問看護師・医療職との連携によってアセスメントがどう深まるかについても、OURの現場経験からお伝えします。

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課題分析標準23項目とは何か:法令上の根拠と位置づけ

課題分析標準23項目とは、居宅介護支援の運営基準に定められた、ケアプラン作成のためのアセスメントで必ず収集・評価しなければならない情報の最低基準です。

法令上の根拠

「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」(厚生省令第38号)に基づき、課題分析には「利用者の有する能力、既に提供を受けている指定居宅サービス等のその他の保健医療サービス又は福祉サービスの状況及び問題点の把握」が義務付けられています。

23項目はこの基準の具体的な内容として示されたもので、ケアマネジャーはいずれかのアセスメントツールを用いて全23項目を満たす情報収集をする必要があります。

ケアプラン作成における位置づけ

課題分析 → ケアプラン原案作成 → サービス担当者会議 → ケアプラン確定・交付、という流れの最初の工程がアセスメントです。ここで収集した情報の質が、ケアプラン全体の質を決めます。

「なんとなくいつも同じプランになる」「利用者の本当の希望が反映されていない」という場合、多くはアセスメントの段階に課題があります。

「標準」の意味:他のアセスメントツールとの関係

「標準23項目」は最低基準です。実際の現場では、MDS-HC・CARE・ライフ形式など、23項目をすべて網羅した様式(アセスメントツール)を使います。どのツールを選んでも、23項目がすべてカバーされていれば問題ありません。重要なのは「ツールの形式」より「情報の中身」です。


課題分析標準23項目:全項目の内容と着目ポイント

23項目を4つのグループに分けて解説します。

グループA:基本情報・サービス利用状況(項目1〜4・8・9)

項目1:基本情報(受付・利用者等基本情報)

氏名・生年月日・住所・緊急連絡先・主治医などの基本情報。「情報収集の形式的な第一歩」と捉えず、キーパーソンは誰か・連絡体制はどうなっているかを確認する機会として活かします。

項目2:生活状況

現在の生活の全体像を把握します。誰と住んでいるか、一日の過ごし方、外出の状況など。生活歴(職業歴・趣味・信仰・価値観)もここで把握することで、のちのプランに「その人らしさ」を反映できます。

項目3:利用者の被保険者情報

要介護(要支援)認定の状況・有効期間・保険者情報などを確認します。更新時期の管理にも活用します。

項目4:現在利用しているサービスの状況

医療・介護・インフォーマル(家族・近所・ボランティア)を含めた、現在のサポート体制全体を把握します。「すでに何があって、何がないか」を把握することがケアプランの起点です。

項目8:認定情報

認定調査の内容・要介護度・審査結果を確認します。認定時の状態と現在の状態のギャップ(認定後に悪化していないか)にも注目します。

項目9:課題分析(アセスメント)理由

今回アセスメントを行う理由・きっかけを記録します。「初回」「更新」「状態変化」「サービス変更」など、アセスメントの文脈を残しておくことで、将来の比較に活かせます。


グループB:心身の状態(項目5・6・10〜14・16〜19)

項目5:障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)

「ランクJ・A・B・C」で移動能力・日常生活の自立状況を評価します。身体機能の全体像を把握する出発点です。

項目6:認知症である老人の日常生活自立度

「ランクⅠ・Ⅱa・Ⅱb・Ⅲa・Ⅲb・Ⅳ・M」で認知機能の状態を評価します。同じ要介護度でも認知症の程度によって必要なサービスが大きく異なります。

項目10:健康状態

疾患・治療状況・服薬内容・主治医の指示内容などを把握します。訪問看護が関与している場合は、看護師からの情報が最も信頼性の高いインプットになります。バイタルの安定度・症状の変動・医療処置の内容など、ケアマネが直接観察しにくい情報を共有することがOURの重要な役割です。

項目11:ADL(日常生活動作)

食事・整容・口腔清潔・入浴・更衣・排泄・移乗・移動・階段昇降・家族など9〜10の動作について「自立・一部介助・全介助」を評価します。「できる(能力)」と「している(実際)」の両方を記録することが質の高いアセスメントのポイントです。

評価の視点内容
できる(capacity)最大限の状態でできるか
している(performance)実際の生活の中でしているか
している理由の分析「できるのにしていない」なら理由を探る

項目12:IADL(手段的日常生活動作)

調理・掃除・買い物・洗濯・金銭管理・服薬管理・電話使用・交通機関の利用などを評価します。IADLは在宅生活の継続に直結するため、「どこが崩れたら在宅継続が難しくなるか」を予測する観点が重要です。

項目13:認知(意思決定能力)

日常の意思決定を行うための認知能力を評価します。MMSE・HDS-Rなどの認知機能検査の数値だけでなく、実際の生活場面での判断力・理解力を観察することが重要です。訪問看護師は訪問のたびに認知機能の変化を観察しており、ケアマネとの情報共有が早期発見につながります。

項目14:コミュニケーション能力

視力・聴力・言語表現・理解の状況を把握します。失語症・構音障害・難聴など、コミュニケーションの障壁があると、アセスメント自体が「本人の声」を拾えなくなります。代替コミュニケーション手段(文字・ジェスチャー・YES/NOカード等)の有無も確認します。

項目16:排泄

排尿・排便の状態、失禁の頻度・時間帯、使用している補助具(パッド・リハビリパンツ等)を評価します。排泄は尊厳に直結する領域です。「失禁があるから全介助」ではなく「どの部分を自分でできるか」を細かく評価することで、本人の残存能力を活かしたケアにつながります。

項目17:褥瘡・皮膚の問題

褥瘡のリスク・既存の褥瘡・スキントラブルの状況を評価します。訪問看護師が処置している場合は、その状況・使用材料・改善経過をケアマネに共有することで、サービス調整に活かせます。

項目18:口腔衛生

口腔内の状態・義歯の有無・口腔ケアの状況を評価します。口腔機能は誤嚥性肺炎の予防・栄養摂取・QOLに直結します。「歯科受診が必要か」「口腔ケアを誰が担うか」をプランに反映させることが重要です。

項目19:食事摂取

食事の摂取量・内容・形態(きざみ・とろみ等)・食欲の変化・体重の変動を評価します。体重は在宅療養の指標として非常に重要で、心不全・腎不全・がん等の方では体重変動を毎回記録することが求められます。


グループC:生活・環境・社会参加(項目15・21・22)

項目15:社会との関わり

近所づきあい・友人関係・趣味・ボランティア・宗教活動など、社会的なつながりを把握します。「閉じこもりがちになっていないか」「デイサービスへの参加意欲はあるか」を含め、社会参加の状況が生活の張りにつながります。

項目21:介護力(介護者情報)

主たる介護者の年齢・健康状態・介護への理解と意欲・介護負担度・就労状況を把握します。「老老介護」「介護者の体調不良」「介護離職の可能性」など、介護者側のリスクアセスメントも同時に行う必要があります。

介護者が限界に達すると在宅継続が突然崩れます。 介護者の状態は本人と同じくらい重要な評価対象です。

項目22:居住環境

住宅の種類・段差・バリアフリーの状況・浴室・トイレ・寝室の配置・緊急時の避難経路などを評価します。訪問看護師・理学療法士・作業療法士は毎回の訪問で居住環境を直接観察しているため、「転倒リスクの高い場所はどこか」「住宅改修が必要か」「福祉用具で対応できるか」について専門的な意見をケアマネに提供できます。


グループD:課題整理・特別事項(項目7・20・23)

項目7:主訴(本人・家族の希望)

「本人が何を望んでいるか」と「家族が何を望んでいるか」を分けて記録することが最も重要なポイントのひとつです。

よくある落とし穴は、家族の希望が「本人の意向」として記録されてしまうことです。認知症があっても、本人の言葉・表情・行動からその人の希望を読み取る努力が求められます。「本人に聞けなかった」ではなく「どう聞いたか・どう表現されたか」まで記録することが質の高いアセスメントです。

項目20:問題行動

徘徊・暴言・暴力・拒否・睡眠障害・昼夜逆転などのいわゆるBPSD(行動・心理症状)を評価します。「問題行動」というラベルで終わらせず、何がトリガーか・どんな状況で起きやすいか・本人はどう感じているかを掘り下げることで、対応策に具体性が生まれます。

項目23:特別な状況

虐待(疑いを含む)・ターミナル期・精神疾患・難病・医療依存度の高い状況など、通常のケアマネジメントに加えて特別な対応が必要な状況を記録します。この項目に該当する場合は、多職種連携・行政との連携がより重要になります。


アセスメントの質を高める5つの視点

①「できること」と「できないこと」の両方を記録する

ADL・IADLの評価で「全介助」と書くだけでは不十分です。「食事は食具の持ち直しが必要だが、口まで運ぶことは自分でできる」という残存能力の記録が、リハビリ目標・サービス内容の設定に活きます。

②本人の言葉をそのまま残す

「〜とのこと」「〜と思われる」という要約ではなく、本人が実際に使った言葉を引用することで、その人らしさと意思が記録に残ります。「歩けるようになりたい」より「孫の運動会を見に行きたい」という言葉の方が、プランに魂が入ります。

③家族の意向と本人の意向を分ける

「本人・家族ともに在宅継続を希望」という記録は、実際には「家族が在宅を希望し、本人は施設を考えていた」という状況を隠してしまうことがあります。両者の意向が異なる場合は、そのまま記録し、調整のプロセスを残します。

④生活歴・価値観を反映させる

現在の「困りごと」だけを見るのではなく、その人がどんな人生を歩んできたかを知ることでプランに厚みが出ます。職業・趣味・信仰・人との関わり方の好みなどが、「なぜこのサービスが必要か」の根拠になります。

⑤多職種からの情報を統合する

訪問看護師・主治医・リハビリ職・ヘルパーはそれぞれ異なる角度から利用者を観察しています。ケアマネジャーはこれらの情報を統合して「全体像」を描く役割を担います。サービス担当者会議だけでなく、日常的な情報交換の仕組みを作ることがアセスメントの継続的な更新につながります。


訪問看護師がアセスメントに貢献できる情報

OURの訪問看護師・作業療法士・理学療法士は、毎回の訪問で利用者の状態を直接観察しています。ケアマネジャーのアセスメントに以下の情報を提供できます。

健康状態・医療情報(項目10・17・19)

  • バイタルサイン(血圧・脈拍・体温・SpO2)の推移
  • 服薬状況・残薬の有無・副作用の観察
  • 褥瘡・皮膚の状態と処置内容
  • 体重変動・栄養状態の変化
  • 主治医との連絡内容・指示変更

身体機能の現場観察(項目11・12・22)

訪問看護師・OT・PTは実際の生活場面でADL・IADLを観察します。「評価表の数字」より「浴室での実際の動作」「台所での姿勢と危険性」「夜間のトイレまでの動線」など、現場でなければわからない情報を提供できます。

認知・コミュニケーション・精神状態(項目13・14・20)

毎週継続して関わることで、認知機能の微妙な変化・会話の流暢さの変化・気分の波・BPSDの出現パターンを観察できます。「先週は良かったが今週は混乱が強い」という変化の記録が、プランの見直しタイミングの判断に直結します。

OURは精神科訪問看護の経験を持つスタッフが在籍しており、認知症・高次脳機能障害・精神疾患のある方の行動・心理症状の評価と対応についても専門的な意見を共有できます。

介護者・居住環境(項目21・22)

訪問時に家族の疲弊度・介護手技の習熟度・住宅のリスク箇所を直接観察します。「介護者が腰を痛めている」「浴室の段差が危険」「夜間の介護で睡眠が取れていない」といった情報を早めにケアマネジャーと共有することで、サービス調整のタイミングを逃しません。


ケアマネジャーとOURの情報共有の方法

OURでは、担当ケアマネジャーとの情報共有を以下の形で行っています。

  • 訪問看護報告書:月1回、主治医宛に提出。ケアマネジャーへの副本送付も可
  • 随時連絡:状態変化・転倒・入院時は速やかに電話・FAXで連絡
  • サービス担当者会議への参加:可能な限り看護師・療法士が参加
  • 「こんな状況だけど受け入れてもらえるか」という相談:どんな段階でも歓迎

「新規の方で医療依存度が高くて受け入れ先が見つからない」という場合も、まずご相談ください。OURは在宅透析・人工呼吸器・難病など高度医療処置に対応しており、「断らない」ことを基本姿勢としています。


よくある質問

課題分析標準23項目はどの書式でも使えますか?

はい。居宅介護支援の事業所が使用するアセスメントツール(MDS-HC・CARE・ライフ方式等)はいずれも独自の様式ですが、23項目を満たしていれば問題ありません。自治体が独自の様式を指定している場合もありますので、所属事業所・保険者に確認してください。

アセスメントは初回だけ行えばよいですか?

いいえ。ケアプランの見直しを行うたびに(少なくとも年1回、または状態変化時)再アセスメントが必要です。「最初にやったから大丈夫」ではなく、利用者の状態・生活状況・希望は変化するため、定期的な更新が求められます。

本人が認知症でうまく聞き取りができない場合はどうすればよいですか?

認知機能に低下があっても、表情・行動・過去の発言・家族からの情報などを総合して「本人の意向を推測・代弁する」努力が求められます。「意思確認ができなかった」ではなく「どのような方法でどこまで意向の把握を試みたか」を記録することが重要です。訪問看護師・作業療法士からの観察情報も有効です。

訪問看護の情報をケアプランにどう活かせますか?

訪問看護師が把握している健康状態・ADL・認知・居住環境の情報を、アセスメントの各項目に照らして整理することで、より実態に近いプランを作成できます。「訪問看護報告書を読む」だけでなく、訪問前後の短い電話・担当者会議での発言を積み重ねることが有効です。OURはいつでも相談を歓迎しています。

宮崎市でケアマネジャーから相談・新規依頼を受け付けていますか?

はい。電話・FAX・お問い合わせフォームのいずれでも受け付けています。「こんな状況だけど受け入れてもらえるか」という段階からでも構いません。宮崎市全域・国富町・高岡町・綾町に対応しています。


まとめ

  • 課題分析標準23項目は、居宅サービス計画作成のために収集すべき情報の法令上の最低基準
  • 「できないこと」だけでなく「できること・本人の希望・生活歴」を組み込むことが高品質なアセスメントの鍵
  • 訪問看護師・OT・PTは健康状態・ADL・認知・居住環境について現場ならではの情報を持っており、ケアマネジャーのアセスメントを補完できる
  • OURは精神科訪問看護・高度医療処置・24時間対応の体制で、医療依存度の高い利用者の情報共有にも対応

参考文献一覧

この記事を監修した人

OUR
TEAM

OUR訪問看護ステーション

看護・リハビリチーム

看護師7名・理学療法士1名・作業療法士3名 / 宮崎市

宮崎市を中心に24時間・365日の訪問看護を提供。在宅透析・人工呼吸器・CV管理などの高度医療処置から生活期リハビリまで対応。「あなたらしさをともにつくる」を理念に、認定作業療法士・中田富久が代表を務め、医師・ケアマネジャーと連携し利用者一人ひとりの在宅生活を支援している。帝人ファーマ「みんなの訪問看護アワード2026」大賞受賞。

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