
「骨折の手術は成功したのに、退院したら別人みたいに弱っていた」「1か月の入院で、足が全然動かせなくなった」。これは廃用症候群(生活不活発病)と呼ばれる状態です。
廃用症候群は、治療がうまくいった後に起きる二次的な問題です。「安静にしていれば回復する」という思い込みが、むしろ機能を奪います。この記事では、廃用症候群とは何か・どこまで回復できるか・在宅でできることをOURの理学療法士・作業療法士の経験からお伝えします。
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廃用症候群とは何か:安静が引き起こす全身の衰え
廃用症候群とは、身体を動かさない状態(不活動・安静)が続くことで起きる全身のあらゆる機能低下の総称です。
「使わなければ失う」——筋肉・骨・心肺機能・関節・脳の認知機能まで、あらゆる臓器が不活動によって衰えます。
廃用症候群で起きること(主な症状)
| 部位 | 変化 | 具体的な問題 |
|---|---|---|
| 筋肉 | 1週間の安静で10〜15%低下 | 立てない・歩けない |
| 骨 | 骨密度の低下 | 骨折リスクが増える |
| 心肺機能 | 心拍数増加・持久力低下 | 少し動くだけで息切れ |
| 関節 | 関節拘縮(固まる) | 正常な可動域が失われる |
| 皮膚 | 血流低下 | 床ずれ(褥瘡)ができやすい |
| 認知機能 | 刺激が減ることで低下 | せん妄・認知症の悪化 |
| 排泄 | 腸の蠕動低下 | 便秘・尿閉 |
高齢者では特に筋肉量の低下(サルコペニア)が急速で、「1日の安静で約1%の筋力低下」が起きるとされています。
廃用症候群が起きやすい場面
- 骨折・手術後の入院
- 肺炎・心不全・脳梗塞などの急性期入院
- 認知症の進行による活動量低下
- 長期の発熱・療養
どこまで回復できるか:リハビリの現実
廃用症候群の回復は「いつから・どのくらい動かしているか」に大きく左右されます。
回復の見通し
- 若い人・短期の廃用:比較的早く回復(数週間〜数か月)
- 高齢者・長期の廃用:回復に時間がかかる。完全回復は難しいケースもある
- 認知症合併:認知機能の完全な回復は難しいが、身体機能の改善は可能
重要なのは「全ての機能が発症前に戻ること」を目標にするのではなく、「自宅での生活を続けられる機能を取り戻すこと」をゴールにすることです。
回復に向けて最も大切なこと:早期離床
廃用症候群の予防・回復に最も効果的なのは、早期に安静を解除し体を動かし始めることです。「痛みがあるから」「疲れるから」という理由で安静を続けることは廃用を悪化させます。医師の許可のもとで、無理のない範囲で動き始めることが大切です。
在宅でできること:廃用を防ぎ、回復を促す
毎日の基本動作を続ける
「起きる・座る・立つ・歩く」という基本動作を安全な範囲で毎日続けることが最も重要なリハビリです。
- 朝は必ずベッドから出る(寝たままにしない)
- 食事はテーブルで座って食べる
- トイレは自分で(できる限り介助しすぎない)
- 1日2〜3回、短時間でも立ち上がり・歩行の練習をする
筋力維持のための簡単な運動
| 運動 | 方法 | 効果 |
|---|---|---|
| 足首の運動 | 足首を上下に動かす | 血流改善・ふくらはぎの筋力維持 |
| 膝の屈伸 | 椅子に座って膝を伸ばす | 大腿四頭筋の維持 |
| 立ち座り練習 | 椅子から立ち上がりを繰り返す | 下肢筋力・バランス |
| 腕の挙上 | 壁に手をついて腕を上げる | 上肢・体幹の機能維持 |
栄養管理
廃用症候群の回復に筋肉の材料となるタンパク質が不可欠です。体重1kgあたり1.2〜1.5gのタンパク質摂取が目安(卵・肉・魚・豆腐・乳製品)。食欲が落ちているときは栄養補助食品の活用も有効です。
訪問看護・訪問リハビリで何が変わるか
OURは看護師に加えて理学療法士(PT)・作業療法士(OT)が在籍し、訪問リハビリを提供しています。
訪問リハビリ(PT/OT)ができること
- 機能評価:筋力・関節可動域・バランス・歩行能力を定期的に測定し、回復の記録をつける
- 個別の運動メニュー作成:その人の状態に合った、安全な運動プログラムを作成する
- 家族への介助技術指導:安全な起き上がり・移乗・歩行介助の方法を家族に指導する
- 住環境の評価・提案:手すりの設置場所・段差解消・福祉用具の選定
訪問看護師ができること
- 廃用に伴う合併症(褥瘡・便秘・誤嚥性肺炎)の予防と早期発見
- バイタル管理(心肺機能の悪化を見逃さない)
- 回復の目標設定と家族への情報共有
よくある質問
廃用症候群はどのくらいで回復しますか?
発症前の機能に戻るまでの時間は、安静期間の3〜5倍かかるとされています。1か月の安静であれば3〜5か月のリハビリが目安です。ただし高齢者では完全な機能回復が難しい場合もあり、「在宅での生活が続けられる機能を回復する」ことを目標にするのが現実的です。
認知症がある場合、廃用症候群は回復しますか?
認知機能自体の完全な回復は難しいですが、身体機能(歩行・立ち上がり・食事動作)は適切なリハビリで改善できます。認知症の方でも継続的なリハビリで生活機能の維持・改善が可能です。
「安静にするよう言われている」が廃用が進んでいる気がします。
まず主治医に「廃用が心配」と伝え、どの程度の活動が許可されるか確認してください。医師から「安静」と言われていても、全身を動かさないという意味ではないことが多いです。訪問看護師・訪問リハビリが介入することで、安全な範囲でのリハビリを開始できます。
廃用症候群と「老化」はどう違いますか?
老化は不可逆な変化ですが、廃用症候群は不活動によって起きるものであり、適切な介入で改善可能です。「歳だから仕方ない」と諦めるのではなく、廃用症候群として捉えてリハビリを始めることが大切です。
宮崎市で廃用症候群の訪問リハビリに対応していますか?
はい。OURは理学療法士(PT)・作業療法士(OT)が在籍し、訪問リハビリに対応しています。「退院後から急に歩けなくなった」「筋力が落ちて在宅生活が不安」という段階からご相談ください。宮崎市全域・国富町・高岡町・綾町に対応しています。
まとめ
- 廃用症候群は安静・不活動によって起きる全身機能の低下。高齢者では特に急速に進む
- 1週間の安静で筋力が10〜15%低下。早期離床が最重要
- 回復のゴールは「発症前に戻ること」ではなく「在宅での生活を続けられる機能を回復すること」
- 毎日の基本動作(起きる・座る・立つ・歩く)を続けることが最善のリハビリ
- OURはPT・OT在籍の訪問リハビリ・24時間対応の訪問看護で廃用症候群の回復を支援する
参考文献一覧
- 日本リハビリテーション医学会 https://www.jarm.or.jp/
- 国立長寿医療研究センター https://www.ncgg.go.jp/
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/gaiyo/index.html
この記事を監修した人
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