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ともにつくるケアノート— あなたらしさを支える訪問看護のかたち —

「とろみ」はなぜ必要?嚥下障害がある方への食事・水分の工夫を在宅看護師が解説

「お茶を飲むとむせる」「食事中によく咳き込む」「食事に時間がかかるようになった」。これらは嚥下(えんげ)障害のサインです。

嚥下障害とは、食べ物や水分をうまく飲み込めない状態のことです。高齢者の誤嚥性肺炎の多くは、この嚥下障害が背景にあります。「とろみをつける」「食形態を変える」という対応は、命に関わる誤嚥を防ぐための大切なケアです。

この記事では、嚥下障害の見分け方・とろみの正しいつけ方・在宅でできる食事の工夫をOURの訪問看護師の経験からお伝えします。

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嚥下障害とは何か。なぜ起きるのか

嚥下とは、食べ物・飲み物を口から食道・胃へ送り込む一連の動作です。この動作には30以上の筋肉と複数の神経が関わっており、脳・神経・筋肉のいずれかに問題が起きると障害が生じます。

嚥下障害が起きやすい疾患

  • 脳卒中(脳梗塞・脳出血)後
  • パーキンソン病・神経難病(ALS・多系統萎縮症)
  • 認知症の進行
  • 頭頸部がん術後
  • 加齢による筋力・反射の低下(老嚥:ろうえん)

在宅で気づくべきサイン

  • 食事中・食後によくむせる
  • 「ごろごろ」「がらがら」した声になる(湿性嗄声:しつせいさせい)
  • 食事に1時間以上かかる
  • 食事量が減った・体重が落ちた
  • 食後に発熱することが続く(誤嚥性肺炎の可能性)
  • お茶・水でむせるのにとろみなしで飲んでいる

「とろみ」の役割と正しいつけ方

なぜとろみが必要か

水やお茶のような「サラサラした液体」は最も誤嚥しやすい形態です。嚥下反射が遅れる高齢者・嚥下障害のある方では、気道に入る前に飲み込む動作が間に合いません。

とろみをつけることで液体の流れる速度を遅くし、誤嚥のリスクを下げます。

とろみの濃度:3段階

日本摂食嚥下リハビリテーション学会の学会分類2021に基づく3段階:

濃度名称特徴対象
薄いコード0j(とろみあり)スプーンで飲める・少し傾けると流れる軽度の嚥下障害
中間コード1jスプーンを傾けてもゆっくり流れる中等度
濃いコード2スプーンから落ちない重度

濃くすればいいわけではありません。 濃すぎるとろみは逆に飲み込みにくく、口の中に残って誤嚥することがあります。言語聴覚士(ST)による嚥下評価で適切な濃度を決めることが理想です。

とろみの正しいつけ方

  1. 飲み物をコップに注ぐ
  2. とろみ剤を計量して加える(メーカー指定量を守る)
  3. よくかき混ぜる(混ぜ不足はダマになる)
  4. 2〜3分待つ(粘度が安定してから飲む)

注意点:

  • 熱い飲み物・炭酸・酸性飲料はとろみがつきにくい種類がある(製品の説明書を確認)
  • ゼリー飲料・とろみつき飲料はとろみ剤不要

嚥下食の食形態:食べやすい形に整える

嚥下障害の程度に合わせて食形態を変えます。日本摂食嚥下リハビリテーション学会の学会分類2021(嚥下調整食):

コード名称特徴目安の料理
コード0jゼリー(均質)飲み込みやすいゼリー状果汁ゼリー・ムース
コード1jピューレ・ペーストなめらかにつぶれた状態ペースト食
コード2-1ピューレ・ペースト不均質でも可豆腐・茶碗蒸し
コード3マッシュ・ソフト舌でつぶせるほぐした魚・軟飯
コード4ソフト食箸やスプーンで崩れる普通食に近い

在宅で作りやすい嚥下食の工夫

  • だし・あんかけ:料理にだしやとろみあんをかけると飲み込みやすい
  • 卵豆腐・茶碗蒸し:タンパク質が摂れて柔らかい
  • ミキサー食+固め直し:見た目を元の料理に近づける型がある
  • 市販の介護食:手間なく安全な食形態の食品が多数ある

誤嚥性肺炎を防ぐ口腔ケア

食べ物の誤嚥だけでなく、口の中の細菌を含んだ唾液の誤嚥(不顕性誤嚥:ふけんせいごえん) が夜間睡眠中に起きることも多く、口腔内を清潔に保つことが肺炎予防に直結します。

在宅での口腔ケアの基本:

  • 食後・就寝前に口腔ケアをする(歯ブラシ・スポンジブラシ)
  • 入れ歯は毎日外して洗浄する
  • 乾燥を防ぐ(口腔保湿剤の使用)
  • 歯科の定期受診・訪問歯科の活用

訪問看護師ができること

OURは以下のサポートを提供しています。

嚥下状態の観察・アセスメント

毎回の訪問で食事場面を観察し、むせ・湿性嗄声・食事時間・体重変化を記録します。変化があれば主治医・言語聴覚士(ST)への相談につなぎます。

とろみ・食形態の指導

家族に正しいとろみのつけ方・食形態の選び方を実技指導します。「どのとろみ剤がいいか」「どの濃度が合っているか」の相談も受けます。

口腔ケアの実施・指導

訪問時に口腔ケアを行い、家族や介護者への手技指導を行います。

誤嚥性肺炎の早期発見

発熱・SpO2低下・痰の増加など肺炎のサインを早期にキャッチし、主治医に報告します。


よくある質問

「水でむせる」が「みそ汁は大丈夫」という場合はどう判断しますか?

みそ汁はとろみ成分(でんぷん・味噌)が入っているため水より飲み込みやすい状態になっています。水でむせるのにみそ汁は大丈夫という方は、軽度の嚥下障害の可能性があります。お茶・水には薄めのとろみをつけることが予防になります。

とろみをつけるとおいしくないと嫌がります。どうすればいいですか?

とろみ剤の種類によって味や食感が異なります。グアーガム系・キサンタンガム系など複数試して本人が受け入れやすいものを探すことが重要です。また「濃すぎるとろみ」は不快感が強いため、薄めのとろみから試してみてください。

嚥下訓練は在宅でもできますか?

はい。言語聴覚士(ST)が作成した訓練プログラムを、訪問看護師と家族が在宅で継続することができます。「あ・い・う・え・お」の発声練習・のどのアイスマッサージ・口のストレッチなど、簡単な訓練が在宅でも有効です。

「食べる意欲がない」ことも嚥下障害と関係しますか?

食べることへの恐怖感(むせるのが怖い)・疲れやすさ・認知機能の低下などが「食べる意欲の低下」として現れることがあります。嚥下障害の評価と合わせて、食事環境・食べたいものの確認・少量頻回の食事など、本人の意欲を引き出す関わりが重要です。

宮崎市で嚥下障害・とろみ食の訪問看護に対応していますか?

はい。OURは嚥下観察・口腔ケア・食形態の指導・誤嚥性肺炎予防に対応しています。また言語聴覚士(ST)や訪問歯科との連携も行っています。宮崎市全域・国富町・高岡町・綾町に対応しています。


まとめ

  • 嚥下障害のサインは「むせ・湿性嗄声・食事時間の延長・食後の発熱」。気づいたら早めに相談
  • とろみは「薄・中・濃」の3段階。濃くすれば安全ではなく、適切な濃度の選択が重要
  • 食形態は学会分類2021のコード0〜4を参考に、本人の状態に合わせて調整する
  • 口腔ケアは誤嚥性肺炎予防に直結。毎日の習慣と訪問歯科の活用を
  • OURは嚥下評価・食形態指導・口腔ケア・誤嚥性肺炎の早期発見を24時間対応で支援する

参考文献一覧

この記事を監修した人

OUR
TEAM

OUR訪問看護ステーション

看護・リハビリチーム

看護師7名・理学療法士1名・作業療法士3名 / 宮崎市

宮崎市を中心に24時間・365日の訪問看護を提供。在宅透析・人工呼吸器・CV管理などの高度医療処置から生活期リハビリまで対応。「あなたらしさをともにつくる」を理念に、認定作業療法士・中田富久が代表を務め、医師・ケアマネジャーと連携し利用者一人ひとりの在宅生活を支援している。帝人ファーマ「みんなの訪問看護アワード2026」大賞受賞。

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