
執筆日: 2026年1月1日
執筆: OUR訪問看護ステーション
最終更新: 2026年1月1日
はじめに
冬はインフルエンザやノロウイルスなどの感染症が流行しやすい季節です。特に高齢者や小さなお子さんがいるご家庭では、感染予防と早期対応が大切です。
本記事では、冬に気をつけたい感染症の基礎知識と、ご家庭でできる予防対策、万が一感染した場合の対応方法をご紹介します。
【重要な注意事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としています。消毒方法や対策には個人差があり、体調や環境によって適切な方法は異なります。実践にあたっては、製品の取扱説明書を必ず確認し、不明な点は医師や薬剤師などの専門職にご相談ください。
冬に流行する主な感染症
1. インフルエンザ
特徴
- 突然の高熱(38度以上)
- 全身の倦怠感、関節痛、筋肉痛
- のどの痛み、咳、鼻水
感染経路
- 飛沫感染(咳やくしゃみによる)
- 接触感染(ウイルスが付いたものを触った手で口や鼻を触る)
潜伏期間: 1〜4日(通常2日程度)※1
高齢者のリスク 高齢者がインフルエンザに感染すると、肺炎などの合併症を引き起こすリスクが高くなります※2。
2. ノロウイルス
特徴
- 突然の激しい嘔吐、下痢
- 腹痛
- 軽度の発熱(37〜38度程度)
感染経路
- 経口感染(ウイルスに汚染された食品や水を摂取)
- 接触感染(ウイルスが付いたものを触った手で口を触る)
- 飛沫感染(嘔吐物が飛び散る)
潜伏期間: 24〜48時間※3
注意点 ノロウイルスは感染力が非常に強く、少量のウイルスでも感染します。また、アルコール消毒が効きにくいため、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が必要です※4。
3. 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
特徴
- 発熱、咳、のどの痛み
- 倦怠感
- 味覚・嗅覚障害(オミクロン株では少ない)
感染経路
- 飛沫感染
- エアロゾル感染(密閉空間での空気感染)
- 接触感染
注意点 新型コロナウイルスは変異株が出現するため、最新の情報を確認することが大切です※5。
基本的な予防対策
1. 手洗いの徹底
正しい手洗いの方法※6
- ① 流水で手を濡らす
- ② 石鹸をよく泡立てる
- ③ 手のひら、手の甲をこする
- ④ 指の間、指先、爪の間を念入りに洗う
- ⑤ 親指をねじり洗いする
- ⑥ 手首まで洗う
- ⑦ 流水でしっかりすすぐ
- ⑧ 清潔なタオルやペーパータオルで拭く

手洗いのタイミング
- ・帰宅時
- ・食事の前
- ・トイレの後
- ・調理の前後
- ・鼻をかんだ後、咳やくしゃみをした後

2. マスクの着用
効果的なマスクの使い方※7
- 鼻と口をしっかり覆う
- 隙間ができないよう顔にフィットさせる
- マスクの表面には触れない
- 使用後は、ゴム紐を持って外し、すぐに捨てる
- マスクを外した後は手を洗う

マスク着用が推奨される場面
- 混雑した場所、換気の悪い場所
- 医療機関や高齢者施設を訪問する時
- 咳やくしゃみなどの症状がある時
3. 換気の実施
換気の目安※8
- 2時間に1回、5〜10分程度
- 窓を2か所以上開けて空気の流れを作る
- 寒い時期は、暖房を使いながら短時間でも換気する
4. 適度な湿度を保つ
推奨湿度: 40〜70%(厚生労働省「建築物環境衛生管理基準」)※9
加湿の方法
- 加湿器を使用(水は毎日交換、フィルター清掃を定期的に)
- 濡れタオルを室内に干す
- 室内に洗濯物を干す
- 観葉植物を置く
注意: 加湿器の水は毎日交換してください。古い水や不衛生な状態では、雑菌が繁殖し、かえって健康を害する可能性があります。
5. 予防接種
インフルエンザワクチン※10
- 接種時期: 10月〜12月(流行前)
- 効果: 発症予防、重症化予防
- 高齢者は定期接種の対象(市区町村により費用助成あり)
新型コロナウイルスワクチン
- 最新の接種情報は厚生労働省や市区町村のサイトを確認
※ワクチン接種については、主治医にご相談ください。
正しい消毒方法
1. アルコール消毒
効果のあるウイルス
- インフルエンザウイルス
- 新型コロナウイルス
効果の限られるウイルス
- ノロウイルス(アルコールは効きにくい)
使い方※11
- 手指消毒用アルコール(濃度70〜95%)を使用
- 手のひらに適量(約3ml)を取り、手全体にすり込む
- 乾くまでしっかりすり込む
注意点
- 火気の近くで使用しない
- 目や口に入らないよう注意
- 手荒れがある場合は、保湿も併せて行う
2. 次亜塩素酸ナトリウム消毒
効果のあるウイルス
- ノロウイルス
- インフルエンザウイルス
- 新型コロナウイルス
濃度の目安※12
- 通常の消毒: 0.02〜0.05%(200〜500ppm)
- 嘔吐物・便の処理: 0.1%(1000ppm)
作り方(市販の塩素系漂白剤 濃度約5%の場合)
0.05%(500ppm)の消毒液
- 水500mlに対して、漂白剤キャップ半分(約2ml)
0.1%(1000ppm)の消毒液
- 水500mlに対して、漂白剤キャップ1杯(約5ml)
使い方
- 消毒液を布やペーパータオルに含ませる
- ドアノブ、手すり、スイッチなどを拭く
- 5〜10分後、水拭きする(金属は腐食防止のため必ず)
❌ 絶対にやってはいけないこと
- 酸性の製品と混ぜない(有毒ガスが発生)
- 直接肌につけない(手荒れ、皮膚障害の原因)
- 噴霧しない(吸引すると有害)※13
- 衣類の色落ちに注意(色柄物には使用しない)
保管上の注意
- 子どもの手の届かない場所に保管
- 誤飲防止のため、ペットボトルに入れない
- 希釈した液は、その日のうちに使い切る(効果が低下)
嘔吐物・便の処理方法(ノロウイルス対策)
嘔吐物や便には大量のウイルスが含まれます。適切な処理をしないと、家族に二次感染が広がる危険があります※14。
準備するもの
- 使い捨てのマスク
- 使い捨ての手袋(2重にする)
- 使い捨てのエプロンまたはガウン
- ペーパータオル
- ビニール袋(2重)
- 次亜塩素酸ナトリウム消毒液(0.1%)
処理の手順
- 換気する: 窓を開け、空気の流れを作る
- 防護する: マスク、手袋、エプロンを着用
- 汚物を取り除く: ペーパータオルで外側から内側へ静かに拭き取る
- ビニール袋に密閉: 拭き取った汚物と使用したペーパータオルをビニール袋に入れる
- 消毒液で拭く: 汚染された床や周辺を、0.1%の次亜塩素酸ナトリウム液で拭く
- 10分待つ: 消毒液を浸透させるため、10分程度待つ
- 水拭きする: 最後に水拭きする
- 廃棄: 手袋、マスク、エプロンもビニール袋に入れ、袋の口をしっかり縛る
- 手洗い: 処理後、石鹸でしっかり手を洗う
注意: 汚染された衣類は、他の洗濯物と分けて洗濯し、85度以上の熱湯で1分以上加熱するか、次亜塩素酸ナトリウムで消毒します※15。
感染した場合の対応
1. 早めに医療機関を受診
以下のような症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。
高齢者が特に注意すべき症状
- 38度以上の高熱
- 呼吸困難、息苦しさ
- 意識がもうろうとしている
- 水分が摂れない、尿が出ない(脱水の兆候)
- 持病(心臓病、糖尿病、呼吸器疾患など)がある場合
受診前に
- 電話で症状を伝え、受診の指示を仰ぐ
- マスクを着用して受診
2. 家庭内での隔離
感染者は、できるだけ個室で過ごし、家族との接触を最小限にします。
隔離のポイント
- 個室で療養(難しい場合はカーテンなどで仕切る)
- タオルや食器は共用しない
- トイレは分ける(難しい場合は使用後に消毒)
- ゴミは別のビニール袋に入れて密閉
3. 水分補給と栄養
脱水予防
- こまめに水分補給(経口補水液、スポーツドリンク、お茶など)
- 嘔吐や下痢がある場合は、特に注意
栄養
- 無理に食べる必要はない
- 食欲があれば、消化の良いもの(おかゆ、うどん、バナナなど)
4. 家族の健康観察
感染者と接触した家族も、体調の変化に注意し、症状が出たら早めに対応します。
やってはいけないこと(禁止事項)
冬の感染症対策では、以下の行為は避けてください。
❌ 絶対に避けるべきこと
- 次亜塩素酸ナトリウムと酸性の製品を混ぜる
- 有毒な塩素ガスが発生し、命の危険があります
- 次亜塩素酸ナトリウムを直接肌につける
- 手荒れ、皮膚炎の原因になります
- 次亜塩素酸ナトリウムを噴霧する
- 吸引すると呼吸器に有害です
- 手洗いを省略する
- アルコール消毒だけでは不十分な場合があります
- 症状があるのに無理をする
- 早めの受診と休養が大切です
- 加湿器の水を交換しない
- 雑菌が繁殖し、健康を害する可能性があります
OURのサポート
OUR訪問看護ステーションでは、感染症予防のアドバイスや、感染時の在宅ケアをサポートしています。
サービス内容
- 感染症予防のための環境整備のアドバイス
- 手洗い・消毒方法の実地指導
- 高齢者の健康管理と早期発見
- 感染時の在宅ケア(主治医の指示のもと)
- 家族への感染対策指導
- 予防接種の相談・サポート
お問い合わせ
感染症対策やご不明な点がありましたら、お気軽にご相談ください。
OUR訪問看護ステーション
- 📞 電話: 0985-77-8266(平日8:30-17:30)
- 🌐 お問い合わせフォーム: https://our-co.jp/contact/
- 📧 24時間受付: LINEまたは緊急電話
- 📍 対応エリア: 宮崎市全域、国富町、綾町、新富町
まとめ
冬の感染症対策のポイントは以下の通りです。
予防対策
- 手洗いの徹底
- マスクの適切な着用
- 換気の実施
- 適度な湿度を保つ
- 予防接種
消毒方法
- インフルエンザ・コロナ: アルコール消毒
- ノロウイルス: 次亜塩素酸ナトリウム消毒(0.05〜0.1%)
感染時の対応
- 早めに医療機関を受診
- 家庭内での隔離
- 水分補給と栄養
- 家族の健康観察
個人差への配慮
本記事でご紹介した対策は一般的な目安です。体調や環境、持病などによって適切な方法は異なります。消毒液の使用方法は、必ず製品の取扱説明書を確認してください。不明な点は、医師、薬剤師、訪問看護師などの専門職にご相談ください。
参考文献・出典
※1 厚生労働省「今冬の急性呼吸器感染症(ARI)総合対策」
https://www.mhlw.go.jp/stf/index2025.html
※2 厚生労働省「高齢者介護施設における感染対策マニュアル」
https://www.mhlw.go.jp/content/000500646.pdf
※3 厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html
※4 政府広報オンライン「ノロウイルスに要注意!」
https://www.gov-online.go.jp/article/201811/entry-7449.html
※5 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
※6 厚生労働省「感染対策の基礎知識」
https://www.mhlw.go.jp/content/000501120.pdf
※7 厚生労働省「マスクの着用について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kansentaisaku_00001.html
※8 厚生労働省「換気の悪い密閉空間を改善するための換気について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15102.html
※9 厚生労働省「建築物環境衛生管理基準」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei10/
※10 厚生労働省「インフルエンザ(総合ページ)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/index.html
※11 厚生労働省「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/syoudoku_00001.html
※12 厚生労働省「身のまわりを清潔にしましょう」
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000645359.pdf
※13 厚生労働省「次亜塩素酸ナトリウムの噴霧について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/syoudoku_00001.html
※14 厚生労働省「介護現場における感染対策の手引き」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001149870.pdf
※15 厚生労働省「ノロウイルス等の食中毒予防のための適切な手洗い」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/01_00008.html
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医学的助言や治療を提供するものではありません。消毒方法や感染対策は、製品の取扱説明書を必ず確認し、正しく使用してください。
消毒液の誤った使用(混合、噴霧、直接肌につけるなど)は、健康被害を引き起こす危険があります。不明な点は、医師、薬剤師、訪問看護師などの専門職にご相談ください。
本記事の内容を実践したことによる事故、損害、健康被害等について、執筆者および運営者は一切の責任を負いかねます。制度や推奨事項は変更される可能性がありますので、最新の情報は各公的機関の公式サイトをご確認ください。
体調異変時には、速やかに医療機関を受診してください。
執筆日: 2026年1月1日
執筆: OUR訪問看護ステーション