
執筆日: 2026年1月17日
執筆: OUR訪問看護ステーション
訪問看護師にとって、コミュニケーション力は医療技術と同様に重要なスキルの一つです。利用者様やご家族との信頼関係を築き、多職種と効果的に連携するためには、高いコミュニケーション能力が求められます。本記事では、訪問看護師に必要なコミュニケーション力とその実践方法をご紹介します。
訪問看護におけるコミュニケーションの重要性
訪問看護では、在宅という生活の場で支援を行う特性上、利用者様・ご家族との関係づくりや多職種連携のために、コミュニケーションが重要になります[2]。
利用者様との信頼関係
訪問看護では、利用者様の生活の場であるご自宅に伺います。訪問看護の質評価では、利用者・家族の視点(満足度、意思決定支援、情報共有や関係者間の連携など)も重要な観点として扱われています[1]。そのため、利用者様・ご家族の思いを丁寧に把握し、必要な説明や相談対応につなげるコミュニケーションが、実践の基盤になります。
ご家族とのコミュニケーション
在宅療養では、ご家族の協力が不可欠です。ご家族の不安や悩みに耳を傾け、必要に応じて情報提供やサポートにつなげることが望まれます。
多職種連携
訪問看護師は、医師、ケアマネジャー、介護士、薬剤師など多職種と連携します。訪問看護では、ステーションを核として多職種・関係機関と連携・協働し、情報共有を行いながら支援することが重要だと整理されています[2][1]。
傾聴のスキル
傾聴は、訪問看護の現場でも重要視されるコミュニケーションの一つです。以下は一般的に用いられる工夫例です。
積極的傾聴(アクティブリスニング)
単に話を聞くだけでなく、相手の言葉の背景にある感情や思いを理解しようとする姿勢が重要です。具体的には以下のような技法があります:

– 相手の目を見て話を聞く
– うなずきや相槌で理解を示す
– 相手の言葉を繰り返す(反復)
– 相手の感情を言葉にする(感情の反映)
沈黙を活用する
沈黙を恐れずに、相手が自分の気持ちを整理する時間を与えることも大切です。沈黙の中で、利用者様が本当に伝えたいことを見つけることができます。
非言語コミュニケーション
表情、視線、姿勢、声のトーンなど、言葉以外の要素も重要なメッセージを伝えます。温かい笑顔や優しい声のトーンは、利用者様に安心感を与えます。
わかりやすい説明のスキル
医療の専門知識をわかりやすく伝えることも重要です。以下は一般的な工夫例です。
専門用語を避ける
医療用語をそのまま使うのではなく、日常的な言葉に置き換えて説明します。例えば「褥瘡」ではなく「床ずれ」、「服薬コンプライアンス」ではなく「お薬をきちんと飲むこと」というように表現します。
具体的な例を使う
抽象的な説明ではなく、具体的な例を示すことで理解しやすくなります。「水分をたくさん摂ってください」ではなく「コップ1杯の水を1日8回飲むようにしましょう」と具体的に伝えます。
図や写真を活用する
言葉だけでなく、図や写真を使って視覚的に説明することで、理解が深まります。褥瘡の予防方法や体位変換の方法などは、実演しながら説明すると効果的です。
理解度の確認
説明した後は、「何か分からないことはありますか?」と尋ね、理解度を確認します。また、「今日お話ししたことを、ご家族に説明していただけますか?」と尋ねることで、理解度をさらに確認できます。
困難な状況でのコミュニケーション
訪問看護では、様々な困難な状況に直面することがあります。以下は一般的な工夫例です。
悪い知らせを伝えるとき
病状の悪化など、悪い知らせを伝える際には、以下のポイントが重要です:
– プライバシーが守られる環境で話す
– 段階的に情報を伝える
– 感情を受け止める時間を取る
– 今後の対応について一緒に考える姿勢を示す
拒否や抵抗があるとき
治療やケアを拒否される場合は、まず拒否の理由を丁寧に聞きます。利用者様の価値観や生活習慣を尊重しながら、代替案を一緒に考えます。
認知症の方とのコミュニケーション
認知症の方とのコミュニケーションでは、以下のような工夫が有効です:
– ゆっくりと明瞭に話す
– 短い文章で伝える
– 一度に一つのことだけを伝える
– 否定や訂正を避け、共感的に接する
– 非言語コミュニケーション(笑顔、優しいタッチ)を活用する
多職種連携のコミュニケーション
効果的な多職種連携には、明確なコミュニケーションが不可欠です[2][1]。なお、以下は現場で用いられる整理の仕方・工夫例です。
情報共有の正確性
医師やケアマネジャーへの報告では、以下の点を明確に伝えます:
– 客観的な観察事実(バイタルサイン、症状など)
– 利用者様やご家族の主観的な訴え
– 自分の判断やアセスメント
– 今後の対応についての提案
SBAR(エスバー)の活用
SBARは、医療現場で使われることのある報告・連絡の枠組みの一例です

– S(Situation): 状況 – 何が起こっているか
– B(Background): 背景 – 経緯や病歴
– A(Assessment): 評価 – 現状の評価
– R(Recommendation): 提案 – 今後の対応の提案
タイムリーな連絡
状態変化や緊急性のある事項は、速やかに関係者に連絡します。連絡のタイミングによっては、関係者間の調整に時間を要することがあります。
カンファレンスでの発言
多職種カンファレンスでは、看護の専門的視点から情報共有し、他職種と協働して支援方針を検討することが重要です[2]。
コミュニケーション力を高めるために
コミュニケーション力は、継続的な学習と実践で向上します。以下は一般的な取り組み例です。
振り返りとフィードバック
訪問後に、自分のコミュニケーションを振り返ります。「うまく伝えられたか」「相手の気持ちを十分に聞けたか」など、自己評価を行います。先輩看護師からのフィードバックも貴重な学びの機会です。
研修・勉強会への参加
コミュニケーション力を高めるには、継続的な学習機会(例:訪問看護の学習を支援するeラーニング等)を活用し、知識・技術のアップデートを行うことも有効です[3]。
ロールプレイの活用
困難な場面を想定したロールプレイを行うことで、実践的なスキルを身につけることができます。スタッフ間でロールプレイを行い、互いにフィードバックし合うことも効果的です。
自己理解を深める
自分のコミュニケーションの癖や傾向を理解することも重要です。自分がどのような場面で緊張するか、どのような言葉を使いがちかなど、自己理解を深めることで、より意識的にコミュニケーションを改善できます。
まとめ
訪問看護では、利用者様・ご家族との関係づくりや説明・相談対応、そして多職種・関係機関との連携の観点から、コミュニケーションが重要になります[2][1]。傾聴、わかりやすい説明、困難な状況での対応、多職種連携など、様々な場面でコミュニケーションの工夫が求められます。
継続的な学習と実践を通じて、コミュニケーション力を磨いていくことが、訪問看護師としての成長につながります。OUR訪問看護ステーションでは、スタッフが学び合えるよう、研修や先輩看護師によるサポート体制づくりに取り組んでいます。
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参考文献・出典
1.厚生労働省「訪問看護の質の確保と安全なサービス提供に関する調査研究事業(報告書)」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/topics/dl/130705-2/1-37.pdf
2.日本看護協会「2040年に向けた 訪問看護のビジョン」
https://www.nurse.or.jp/nursing/assets/vision_of_visiting_nurses.pdf
3.公益財団法人日本訪問看護財団「eラーニング」
https://www.jvnf.or.jp/e-learning/
4.一般社団法人全国訪問看護事業協会「ガイドライン、パンフレット等」
https://www.zenhokan.or.jp/guideline/
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医療アドバイスを提供するものではありません。具体的な健康上の懸念や医療的な問題については、必ず医師や専門家にご相談ください。本記事の情報に基づいて行動する前に、必ず公式の医療機関や専門家の意見を確認してください。
執筆者: OUR訪問看護ステーション