
執筆日: 2026年1月15日
執筆: OUR訪問看護ステーション
高齢者の転倒は、骨折や要介護状態につながる重大な事故です。厚生労働省の調査によると、高齢者の介護が必要になった原因の約13%が骨折・転倒であり、そのほとんどが自宅内で発生しています。本記事では、転倒予防のための住環境整備とバリアフリー化のポイントを解説します。
高齢者の転倒リスクと住環境
高齢者の転倒は、身体機能の低下と住環境の両方が関係しています。
転倒が起こりやすい場所
国土交通省の「高齢期の健康で快適な暮らしのための住まいの改修ガイドライン」によると、高齢者の転倒事故は以下の場所で多く発生しています:

– 居室(寝室・リビング): 約45%
– 階段: 約18%
– 玄関: 約11%
– トイレ・浴室: 約10%
転倒の原因
転倒の原因は、身体的要因(筋力低下、バランス能力の低下、視力低下など)と環境的要因(段差、照明不足、滑りやすい床など)が複合的に関係しています。
転倒による影響
転倒により大腿骨頸部骨折などの重大な怪我を負うと、長期間の入院やリハビリが必要となり、生活の質が大きく低下します。また、転倒への恐怖から活動量が減少し、さらに身体機能が低下する悪循環に陥ることもあります。
段差の解消
住環境における転倒予防の第一歩は、段差の解消です。
玄関の段差
玄関の上がり框は、高齢者にとって大きな障害となります。以下の対策が有効です
– 段差解消スロープの設置
– 上がり框の高さを低くする工事
– 式台(中間段)の設置
– 手すりの設置
室内の段差
室内の段差は転倒リスクとなるため、以下の対策が推奨されます。
– 敷居の段差を解消する
– カーペットやマットの段差をなくす
– ドアの敷居を平らにする
浴室・トイレの段差
浴室やトイレの出入口の段差は特に危険です。すのこやスロープを使って段差を解消し、手すりを設置することが重要です。
手すりの設置
手すりは、転倒予防と移動の安全性向上に最も効果的な設備です。
廊下・階段の手すり
廊下や階段に手すりを設置することで、歩行時のバランスを保ちやすくなります。厚生労働省の「福祉用具ヒヤリハット事例集」によると、手すりの高さは床から75〜80cm程度が標準的です。
トイレの手すり
便器の横に縦手すりと横手すりを設置することで、立ち座りが楽になり、転倒を防ぐことができます。
浴室の手すり
浴槽への出入り、洗い場での立ち座り、浴槽内での姿勢保持のために、複数箇所に手すりを設置します。
玄関の手すり
靴の着脱時にバランスを崩しやすいため、玄関にも手すりの設置が推奨されます。
床材の見直し
滑りにくく、つまずきにくい床材を選ぶことも重要です。
滑りにくい床材
– フローリングの場合: 滑り止めワックスの使用
– タイルの場合: 滑り止め加工されたタイルへの変更
– カーペットの場合: しっかりと固定し、めくれを防ぐ
浴室の床
浴室の床は特に滑りやすいため、滑り止めマットや滑りにくい床材への変更が有効です。
マットやカーペット
国土交通省のガイドラインでは、マットやカーペットの端がめくれて転倒する事故が多いため、しっかりと固定するか、段差のないものを選ぶことを推奨しています。
照明の改善
適切な照明は、転倒予防に大きく貢献します。
明るさの確保
高齢になると視力が低下するため、若い頃よりも明るい照明が必要です。厚生労働省の調査では、高齢者は若年者の2〜3倍の明るさが必要とされています。
夜間照明
夜間のトイレへの移動時に転倒する事故が多いため、以下の対策が有効です:
– 足元灯の設置
– 人感センサー付きライトの活用
– 廊下や階段への常夜灯の設置
影を作らない照明配置
階段や玄関では、照明の位置によって影ができると段差が見えにくくなります。複数の照明を組み合わせて、影を作らないようにすることが重要です。
家具の配置と整理整頓
家具の配置や整理整頓も転倒予防に重要な要素です。
動線の確保
家具と家具の間隔を十分に取り、車椅子や歩行器でも通れるスペースを確保します。最低でも80cm、できれば90cm以上の幅を確保することが推奨されます。
コード類の整理
電気コードや延長コードが床に這っていると、つまずきの原因となります。コードカバーを使ったり、壁沿いに配線したりして、動線上にコードが出ないようにします。
床に物を置かない
新聞や雑誌、バッグなどを床に置くと、つまずきの原因となります。常に整理整頓を心がけ、床には物を置かないようにします。
まとめ
転倒予防のための住環境整備は、段差の解消、手すりの設置、床材の見直し、照明の改善、家具の配置など、多岐にわたります。これらの対策を総合的に行うことで、安全で快適な在宅生活を送ることができます。
住環境の改修には、介護保険の住宅改修費や自治体の助成制度が利用できる場合があります。OUR訪問看護ステーションでは、訪問時に転倒リスクのアセスメントを行い、必要な住環境整備についてアドバイスしています。住環境の改善についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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参考文献・出典
- 国土交通省「高齢期の健康で快適な暮らしのための住まいの改修ガイドライン」
https://www.mlit.go.jp/common/001282247.pdf - 厚生労働省「高齢者向け住まいにおける事故予防及び虐待予防の対応方策に関する調査研究事業 報告書」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/73_aruteppu.pdf - 厚生労働省「福祉用具ヒヤリハット事例集」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000620595.pdf - 日本転倒予防学会「居住環境と転倒予防」
https://www.tentouyobou.jp/content/files/gakkaishi_tokusyu/vol12/1010No_12-KANN-TOKUSYU-2P21-26.pdf
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医療アドバイスを提供するものではありません。具体的な健康上の懸念や医療的な問題については、必ず医師や専門家にご相談ください。本記事の情報に基づいて行動する前に、必ず公式の医療機関や専門家の意見を確認してください。
執筆者: OUR訪問看護ステーション 看護師チーム