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ともにつくるケアノート— あなたらしさを支える訪問看護のかたち —

冬の在宅療養を安全に過ごすガイド|感染症・ヒートショック・低体温を防ぐ具体的な対策

冬は在宅療養者にとって、夏とは異なる種類の危険が増える季節です。インフルエンザや肺炎などの感染症、入浴時のヒートショック、室内でも起きる低体温症など、「家にいるのに突然体調が悪化する」という事態が起きやすいのが冬です。

特に高齢者・慢性疾患のある方・免疫が低下している方は、こうしたリスクに対して早めに備えることが大切です。

この記事では、冬の在宅療養で起きやすいリスクと、家族が今すぐできる具体的な対策を、OUR訪問看護ステーションの現場の経験をもとにわかりやすく解説します。

宮崎市全域、国富町、高岡町、綾町対応

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冬の在宅療養で起きる5つのリスク|高齢者・慢性疾患者に特有の危険を理解する

冬の在宅療養でとくに注意すべきリスクは次の5つです。

  1. 感染症(インフルエンザ・RSウイルス・肺炎球菌感染など):気温低下と乾燥で飛沫感染しやすくなる
  2. ヒートショック:室温の急変による血圧の急激な変動(脱衣所・浴室・トイレで起きやすい)
  3. 低体温症:室内でも暖房不十分・意識の低下・脱水などで体温が下がる
  4. 転倒:厚着による動きにくさ・寒さによる筋肉の硬直・霜・結露による床の滑りやすさ
  5. 心不全・呼吸器疾患の急性増悪:寒冷刺激・感染症により慢性疾患が一気に悪化

これらは「冬特有のリスク」ではなく、在宅療養中の方が年間を通じて注意すべき要因が冬に集中しやすいという性質があります。

宮崎市は温暖な地域ですが、冬の朝晩の冷え込みは強く、寒暖差が激しい日もあります。「宮崎だから大丈夫」という過信は禁物です。OURの訪問看護師が冬に最もよく受ける緊急相談の一つが、「朝起きたら体調が急変していた」というものです。


インフルエンザ・感染症の在宅予防対策|訪問看護で行う感染管理の実際

感染症は在宅療養者にとって入院につながる重篤な事態を引き起こすリスクがあります。特に高齢者・免疫抑制状態の方(がん治療中・ステロイド使用中など)・慢性肺疾患や心不全のある方は重症化リスクが高くなります。

ワクチン接種の重要性

インフルエンザワクチン・肺炎球菌ワクチンは、在宅療養者・高齢者にとって最も効果的な予防手段の一つです。

  • インフルエンザワクチン:毎年10〜11月頃の接種が推奨。接種後2週間程度で効果が出る
  • 肺炎球菌ワクチン:65歳以上の方は定期接種(一部自治体で費用助成あり)の対象。一生に一度(または一部は2回)の接種

「去年打ったから今年はいい」という思い込みは危険です。特にインフルエンザワクチンは毎年の接種が必要です。

手洗い・うがい・室内の湿度管理

基本的な感染予防として、以下を徹底することが重要です。

  • 手洗い:外出後・食事前・介護前後に30秒以上の丁寧な手洗いを習慣化する
  • 室内の湿度管理:湿度40〜60%を維持することで飛沫の拡散を抑える。加湿器の活用・定期的な換気
  • マスク着用:免疫が低下している方の訪問時はマスク着用が基本

OURの訪問看護師は、感染症の流行期(12月〜3月)には特に感染対策に配慮した訪問を行います。スタッフ自身の体調管理・訪問前後の手指消毒・必要に応じたマスク・ガウンの着用を徹底しています。

家族・ヘルパーからの感染に注意

在宅療養者が感染症にかかる経路として意外に多いのが、同居の家族・介護スタッフからの持ち込みです。「自分は軽い風邪だから大丈夫」と思って介護を続けることで、本人に重症感染症を引き起こすことがあります。

家族が発熱・咳・下痢などの症状がある場合は、可能な限り距離を置き、緊急の介護が必要な場合はマスク着用・手指消毒を徹底してください。


ヒートショック予防:入浴・トイレ・起き上がりの危険を減らす具体策

ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が大きく変動し、脳卒中・心筋梗塞・意識消失などを引き起こす現象です。消費者庁・内閣府のデータによると、入浴中の事故死は年間約19,000人と推計されており、その多くが冬の入浴関連とされています。

特に高血圧・不整脈・糖尿病・心臓疾患のある方はリスクが高くなります。

浴室でのヒートショック予防チェックリスト

  • 脱衣所を暖める:浴室の入口・脱衣所に小型ヒーターを置き、入浴前に事前に温めておく
  • 浴槽のお湯の温度は40℃以下:熱いお湯は血圧の急激な変動を起こしやすい
  • 浴室に入る前にシャワーで体を慣らす:いきなり浴槽に入らない
  • 入浴時間は10〜15分以内:長湯は体温・血圧の変動が大きくなる
  • 飲酒後・食事直後の入浴を避ける
  • 一人での夜間入浴を避ける:可能であれば家族が近くにいる時間帯に

宮崎市でも冬は朝晩の気温が5℃以下になる日があります。脱衣所と室内の温度差が10℃以上になるケースでは、ヒートショックのリスクが一気に高まります。

トイレでのリスクにも注意

トイレは、力むこと(怒責)によって血圧が急上昇する場所です。加えて、夜中にトイレに起きる際の「布団の中の温かい環境から寒い廊下・トイレへ」という温度変化もリスクになります。

夜間の廊下・トイレの暖房確保、ポータブルトイレの検討(寒い廊下を歩かずに済む)が有効な対策です。


室内での低体温症:「家にいるのになぜ?」を防ぐポイント

低体温症とは、深部体温(直腸温)が35℃以下に低下した状態をいいます。山岳での遭難事故のイメージが強いですが、室内でも起きることがあります。

高齢者・認知症の方・褥瘡(床ずれ)のある方・栄養状態が悪い方は、室温が15〜18℃程度の「寒いが命に関わるほどではない」と思われる環境でも低体温症になるリスクがあります。

室内低体温症が起きやすい状況

  • 暖房が壊れている・節約のために暖房をつけていない
  • 長時間動かずにいる(ベッド上・椅子に座ったまま)
  • 認知症があり、寒さを感じにくい・適切に暖房を操作できない
  • 低栄養・脱水状態にある

予防のための室温管理

厚生労働省の指針では、冬の室内温度は18℃以上が目安とされています。高齢者の場合、20〜23℃に保つことが快適な療養環境とされています。

暖房の設定温度を確認するだけでなく、「本人が寒がっているかどうか」を確認することも重要です。認知症の方は寒さを言葉で表現できない場合があるため、手足・腹部の冷たさを確認する習慣が大切です。


冬の栄養・水分管理:感染症・寒さに負けない体づくり

冬は「汗をかかないから水を飲まなくていい」と思いがちですが、暖房による乾燥・不感蒸泄(皮膚や呼吸からの水分蒸発)によって、冬でも脱水になるリスクがあります。脱水は血液をドロドロにして血栓・脳梗塞・心筋梗塞のリスクを高めます。

冬の水分補給の目安

一般的な目安として、食事から摂る水分を含めて1日1,500〜2,000mL程度の水分摂取が必要です(腎臓疾患・心不全など制限がある方は医師の指示に従ってください)。

「喉が渇いてから飲む」では間に合わない場合があります。朝起きた時・食事のたび・寝る前に意識的に飲む習慣をつけることが大切です。

感染症に負けない栄養摂取

免疫力を維持するためには、たんぱく質・ビタミン・ミネラルのバランスが重要です。特に冬は外出が減り、食欲が落ちて栄養摂取が減る高齢者が多くなります。

「食事量が減ってきた」「体重が減った」という変化に早めに気づき、担当看護師・管理栄養士に相談することで、経口補助食品の導入や食事内容の工夫ができます。


訪問看護師が冬に特に注意していること:OURの現場から

OURの訪問看護師が冬の訪問で特に気にしていることをお伝えします。

訪問のたびに確認していること

  • バイタルサイン(血圧・体温・SpO2)の変化
  • 室温・暖房の状況(入室時に冷えていないか)
  • 水分摂取量と食事量
  • 皮膚の乾燥・ひび割れ(特に足底・踵)
  • 咳・痰・発熱などの感染症の初期症状
  • 心不全患者さんでは体重増加(浮腫の指標)

家族に伝えていること

「OURが来る日だけ大丈夫なわけではない」という認識をもってもらうことが大切です。訪問のない日の観察ポイントを家族に伝え、「いつもと違う」と感じたらすぐに連絡してもらえるよう、具体的な目安をお伝えしています。

宮崎市では冬の気温変化が予想以上に体に影響することがあります。「大丈夫そうだからと様子を見ていたら急激に悪化した」という状況を防ぐために、普段からの観察習慣と、変化に気づいたときの早めの相談が大切です。


よくある質問(FAQ)

高齢の親が「寒くない」と言っても、実際には体が冷えていることはありますか?

あります。高齢者は加齢とともに体温調節機能が低下し、寒さを感じにくくなることがあります。また認知症がある場合は、寒さを正確に言葉で表現できないことがあります。「本人が寒くないと言っている」という理由で暖房を弱くしていると、気づかないうちに体が冷えていることがあります。手足・腹部・背中の触診で実際の体温を確認する習慣が大切です。

在宅酸素療法(HOT)を使っている場合、暖房や加湿器の使用に注意することはありますか?

在宅酸素療法(HOT)で酸素濃縮器を使用している場合、周囲に可燃物・引火物を置かないことが最重要です。暖房器具は電気ヒーター・エアコンの使用が推奨されます。開放式ガス暖房(石油ファンヒーター等)は酸素と組み合わせると火災・爆発のリスクがあるため使用を避けてください。加湿器の使用自体は問題ありませんが、チューブや機器への水の侵入に注意が必要です。詳細は担当医・訪問看護師に確認してください。

インフルエンザにかかってしまったときの在宅での対応は?

主治医に連絡して指示を受けることが最初のステップです。タミフルなどの抗ウイルス薬は発症から48時間以内の服用が有効とされています。在宅療養者が発熱した場合、水分補給・安静・解熱剤の使用(主治医の指示に従って)が基本です。脱水・呼吸困難・意識の変化がある場合は、救急受診の検討が必要です。訪問看護ステーション(OUR)に連絡することで、判断のサポートができます。

ヒートショックが疑われる症状はどんなものですか?

入浴中・入浴後・トイレ後に「気分が悪い」「ふらつく」「頭が痛い」「胸が痛い」「意識がぼんやりする」といった症状が出た場合はヒートショックの可能性があります。意識消失・呼吸停止の場合はすぐに119番通報してください。軽度の症状であっても、バスタブで溺れる危険があるため、浴室では一人で様子を見させないことが重要です。

訪問看護師が来ない日の体調変化はどう対応すればいいですか?

「訪問のない日にどう判断するか」は在宅療養の重要なテーマです。OURでは、訪問時に家族に「こんな変化があったら連絡を」という具体的な目安をお伝えしています。また、24時間のオンコール体制があるため、夜間・休日でも電話で相談できます。「大丈夫かな?」と思ったときは、遠慮なく連絡してください。

冬の入浴をシャワーだけにしてもいいですか?

浴槽に入ることが難しい場合や、ヒートショックのリスクが高い場合、シャワー浴に切り替えることは合理的な選択です。シャワー浴でも清潔は十分に保てます。ただし、シャワーの際もヒートショックのリスクがゼロではありません(特に脱衣所と浴室の温度差がある場合)。浴室・脱衣所を暖めてからシャワーを浴びることを忘れずに。


まとめ:冬の在宅療養を安全に過ごす5つの習慣

  • 感染症予防:ワクチン接種・手洗い・室内湿度管理・家族の感染症状がある場合の距離確保
  • ヒートショック予防:脱衣所・浴室・トイレの温度差を減らす・お湯は40℃以下・一人での夜間入浴を避ける
  • 低体温症予防:室温18〜23℃の維持・暖房の確認・長時間の不動状態を避ける
  • 水分・栄養管理:冬も水分補給を意識・感染症に負けない栄養摂取
  • 変化に気づいたら早めに相談:「なんかいつもと違う」は信頼できる観察。迷ったらOURに連絡を

今日できる一歩:今日の室温を確認してみてください。20℃を下回っているなら、暖房の設定を見直すことから始めましょう。

宮崎市全域、国富町、高岡町、綾町対応

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☎ 0985-77-8266受付時間:9時〜17時

参考文献一覧

  • 高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/seikatsu-habits/hoken-jigyou/index.html
  • 消費者庁「高齢者の事故情報(入浴中の事故)」https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/
  • インフルエンザQ&A(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html

この記事を監修した人

OUR
TEAM

OUR訪問看護ステーション

看護・リハビリチーム

看護師7名・理学療法士1名・作業療法士3名 / 宮崎市

宮崎市を中心に24時間・365日の訪問看護を提供。在宅透析・人工呼吸器・CV管理などの高度医療処置から生活期リハビリまで対応。「あなたらしさをともにつくる」を理念に、認定作業療法士・中田富久が代表を務め、医師・ケアマネジャーと連携し利用者一人ひとりの在宅生活を支援している。帝人ファーマ「みんなの訪問看護アワード2026」大賞受賞。