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ともにつくるケアノート— あなたらしさを支える訪問看護のかたち —

排便困難のアセスメントと看護計画|訪問看護師が実践するポイントを解説

排便困難は「便が出ない」という結果だけでなく、原因・随伴症状・生活背景まで含めて評価しないと、有効な看護計画にはつながりません。訪問の現場では、限られた時間の中でどこまでアセスメントし、何を看護目標に設定するかが問われます。

この記事では、排便困難のある利用者への看護計画の考え方を、アセスメントの視点から看護目標の立て方まで整理して解説します。

アセスメントの出発点は、排便回数減少型か排便困難型かを見極めることです

便通異常症診療ガイドライン2023(慢性便秘症)では、便秘症を「排便回数減少型」と「排便困難型」に分類することが基本とされています。排便回数だけを記録するのではなく、「便意はあるか」「いきんでも出ないのか」「出た後の残便感があるか」を具体的に聞き取ることで、どちらの要素が強いかを見極めます。この見極めが、その後の看護計画の方向性を左右します。

排便困難型を疑う場合、原因の背景にある身体機能を評価します

排便困難型の背景には、腹圧をかける力(腹筋力・呼吸機能)、骨盤底筋群と肛門括約筋の協調運動、直腸の感覚、臥床時間の長さ、麻痺や神経疾患の有無などが関わります。ADLの評価(座位保持の可否、移乗の可否)と合わせて確認することで、体位変換や排便姿勢の調整による改善の余地があるかを判断できます。

服薬状況の確認は、薬剤性便秘を見逃さないために欠かせない項目です

医療用麻薬(オピオイド)、抗コリン作用のある薬剤(一部の抗うつ薬・過活動膀胱治療薬など)、鉄剤、一部の降圧薬などは便秘を助長することが知られています。お薬手帳や訪問看護指示書の情報をもとに服薬状況を確認し、便秘の原因が薬剤性である可能性を主治医・薬剤師と共有することも、アセスメントの重要な要素です。

ブリストル便形状スケールを使うと、経過を客観的に記録・共有しやすくなります

便の性状を「硬い」「普通」といった主観的な表現だけで記録すると、担当者間で評価がぶれやすくなります。便の硬さ・形状を7段階で分類するブリストル便形状スケールを用いることで、経過を客観的に記録し、他職種(主治医・ケアマネジャー)とも共有しやすくなります。

看護問題の例としては、「排便困難」「排便に関連した苦痛」「摘便を要するリスク状態」などが挙げられます

  • 排便困難(便秘):機能性便排出障害に関連したもの
  • 排便に関連した苦痛:腹部膨満感・残便感によるもの
  • 皮膚統合性リスク:便失禁・おむつ使用に伴うもの
  • セルフケア不足:排便姿勢を自力で取れないことに関連したもの

看護問題は、原因(関連因子)とセットで記載することで、看護目標や具体策が立てやすくなります。「排便困難」だけでなく「臥床時間が長く腹圧をかけにくいことに関連した排便困難」のように、背景要因まで含めて記載することが望まれます。

看護目標は、「排便回数」だけでなく「苦痛の軽減」や「本人の安心」も含めて設定します

看護目標を「3日に1回は排便がある」のような回数だけの指標にすると、排便困難型特有の「出しにくさ」「残便感」への対応が見落とされがちです。「いきむ際の苦痛が軽減する」「本人が排便に対する不安を訴えなくなる」といった、生活の質に関わる目標も併せて設定することが望まれます。

看護計画には、体位調整・腹部マッサージ・水分摂取・排便リズムの記録を具体的に盛り込みます

具体策としては、可能な範囲での座位保持・前傾姿勢の確保、決まった時間での腹部マッサージ、水分摂取量の確認、排便日誌による記録などが挙げられます。介入内容は、本人・家族が無理なく継続できる形に落とし込み、定期的な評価のタイミングで見直すことが大切です。

よくある質問

排便日誌には何を記録すればいいですか?

排便の有無・時間、便の性状(ブリストルスケールなど)、いきみの程度、残便感の有無、服薬状況(下剤使用の有無)を記録すると、経過の評価や医師への報告に役立ちます。

摘便が必要かどうかの判断基準はありますか?

肛門付近に硬い便が触れて自力で排出できない状態(便塞栓)が疑われる場合に検討されます。実施は医療的な処置にあたるため、訪問看護師など有資格者が、指示のもとで行う必要があります。

家族への指導で気をつけることは何ですか?

「毎日排便がなければならない」という思い込みを和らげ、本人の普段のリズムに合わせた排便習慣を目指すことを伝えると、過度な下剤使用や不安の軽減につながります。

多職種連携で共有すべき情報は何ですか?

排便パターンの変化、使用している下剤の種類と効果、便性状の変化、腹部症状(張り・痛み)の有無を、ケアマネジャー・主治医と定期的に共有することで、薬剤調整や生活支援の見直しがスムーズになります。

まとめ

今日できる一歩:担当している利用者の排便記録が「回数」だけになっていないか見直し、便の性状・いきみの程度・残便感の有無まで記録項目に加えてみてください。

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参考文献一覧

  • 便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症(日本消化器病学会関連研究会「慢性便秘の診断・治療研究会」編)
  • 慢性便秘症診療ガイドライン2017(日本消化器病学会関連研究会編)

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この記事を監修した人

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看護・リハビリチーム

看護師7名・理学療法士1名・作業療法士3名 / 宮崎市

宮崎市を中心に24時間・365日の訪問看護を提供。在宅透析・人工呼吸器・CV管理などの高度医療処置から生活期リハビリまで対応。「あなたらしさをともにつくる」を理念に、認定作業療法士・中田富久が代表を務め、医師・ケアマネジャーと連携し利用者一人ひとりの在宅生活を支援している。帝人ファーマ「みんなの訪問看護アワード2026」大賞受賞。