
「薬が多すぎて全部飲めているか心配」「飲んだかどうか忘れてしまう」「副作用が出ているかもしれない」在宅で高齢者の服薬を管理する家族から、こういった相談は非常に多く聞かれます。
高齢者は複数の疾患を持つことが多く、1日に5〜10種類以上の薬を飲んでいる方も珍しくありません。多剤併用(ポリファーマシー)は薬の相互作用・副作用のリスクを高め、飲み忘れも増えます。
この記事では、在宅での服薬管理の工夫と、訪問看護師ができるサポートについてOURの看護師が解説します。
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高齢者の服薬管理で起きやすい3つの問題
問題①:飲み忘れ・飲み過ぎ
認知症・記憶力の低下がなくても、高齢になると「飲んだかどうか」の確認が難しくなります。毎食後・就寝前など複数回のタイミングが必要な薬は、管理がさらに複雑になります。
飲み忘れが続くと病状管理が不十分になり、飲み過ぎると副作用が起きます。どちらも在宅療養の大きなリスクです。
問題②:多剤併用(ポリファーマシー)
厚生労働省の指針では、6種類以上の薬を使用している状態をポリファーマシーと定義しており、有害事象(副作用・相互作用)のリスクが高まるとされています。
「急に転びやすくなった」「食欲がなくなった」「ぼんやりするようになった」という変化が、薬の影響であるケースは少なくありません。
問題③:本人が副作用を「年のせい」と思い込む
薬による眠気・めまい・便秘・食欲低下は「歳のせいだ」と本人・家族が思い込み、報告されないことがあります。この状態が続くと、副作用が悪化・蓄積します。
在宅での服薬管理:実践的な工夫5つ
工夫①:一包化(いっぽうか)を薬局に依頼する
1回分の薬をまとめて1袋に入れる「一包化」は、管理を大幅に簡単にします。薬局(調剤薬局)に依頼すれば対応してもらえることがほとんどです。「朝食後」「昼食後」「夕食後」「就寝前」と印刷してもらえるため、誰が管理しても迷いません。
工夫②:お薬カレンダーを使う
壁掛け型・手帳型のお薬カレンダーは、「今日の分が残っているか」を目で確認できます。飲み忘れ・飲み過ぎの両方を防ぐ効果があります。訪問看護師も毎回訪問時に確認します。
工夫③:毎食の食事と薬のセットにする
「食後に飲む」薬は、食事の準備と同時に薬を出しておく習慣を作ります。「食事が終わったら飲む」という流れを日課にすることで、飲み忘れが減ります。
工夫④:副作用のチェックリストを作る
担当医から処方された薬ごとに、「主な副作用」をまとめた手書きのメモを作っておくと、変化があったときに比較できます。訪問看護師に依頼することもできます。
工夫⑤:かかりつけ薬剤師を決める
「かかりつけ薬剤師制度」を使うと、薬の管理・副作用の確認・医師への報告をサポートしてもらえます。在宅への薬剤師訪問(居宅療養管理指導)も介護保険で利用できます。
よくある質問
薬が多すぎて「どれを飲んでいいかわからない」という状態になっています
主治医への「薬を減らせないか」の相談が最初の一歩です。訪問看護師が「飲み忘れが増えている」「副作用が疑われる」という観察情報を医師に報告し、処方の見直しにつなげることができます。
訪問看護師は服薬管理をしてくれますか?
訪問看護の内容として、服薬確認(飲んだかどうかの確認)・内服支援・副作用の観察・医師への報告が含まれます。毎回の訪問時にお薬カレンダーを確認し、残薬があれば記録します。
まとめ:「薬の管理」が在宅療養の安定に直結する
- 飲み忘れ・多剤併用・副作用の見逃しが在宅での服薬管理の3大問題
- 一包化・お薬カレンダー・食事とのセットが基本の工夫
- 「薬が多すぎる」と感じたら主治医・訪問看護師への相談が最初の一歩
- 訪問看護師は服薬確認・副作用観察・医師報告を毎回実施できる
今日できる一歩:お薬カレンダーを購入して、今日から一包化・曜日ごとに薬をセットしましょう。薬局に「一包化をお願いできますか?」と一言伝えることが始まりです。
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参考文献一覧
- 高齢者の医薬品適正使用の指針(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000208946.html
- ポリファーマシーに関する定義と問題点(日本老年医学会)https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/