コラム一覧に戻る
ともにつくるケアノート— あなたらしさを支える訪問看護のかたち —

在宅での安全な服薬管理〜ミスを防ぐチェックリスト

カテゴリー:ケアの知恵袋
執筆:OUR訪問看護ステーション


在宅療養において、服薬管理は利用者様の健康を守る上で最も重要なケアの一つです。しかし、病院とは異なり、ご自宅では看護師が常にそばにいるわけではありません。だからこそ、訪問看護師として、また利用者様やご家族として、確実で安全な服薬管理の方法を知っておくことが大切です。

この記事では、OUR訪問看護ステーションの現場経験をもとに、服薬ミスを防ぐための実践的なチェックリストと具体的な工夫をご紹介します。


📋 目次

  1. なぜ在宅での服薬管理が難しいのか
  2. 服薬管理の基本「6R」を押さえる
  3. 訪問看護師のための服薬管理チェックリスト
  4. 利用者様・ご家族のための服薬管理チェックリスト
  5. 服薬ミスを防ぐ実践的な工夫
  6. ICTツールの活用〜最新の服薬管理アプリ
  7. 服薬ミスが起きてしまった時の対応
  8. まとめ

なぜ在宅での服薬管理が難しいのか

在宅療養における服薬管理には、病院とは異なる特有の課題があります。

在宅特有の課題

環境面の課題

  • 複数の医療機関から処方された薬が混在している
  • 薬の保管場所が統一されていない
  • 家族が代わりに管理するケースでの情報共有不足
  • 訪問看護師が常にそばにいるわけではない

利用者様側の課題

  • 高齢による認知機能の低下
  • 視力・聴力の低下により薬の識別が困難
  • 複数の疾患により服用する薬の種類が多い(ポリファーマシー)
  • 生活リズムの乱れによる飲み忘れ
  • 病識の低下による服薬拒否

家族側の課題

  • 介護負担による疲労・ストレス
  • 服薬の重要性への理解不足
  • 仕事との両立で常に見守れない
  • 薬の知識が不十分

OUR訪問看護ステーションでは、これらの課題に対して、利用者様一人ひとりの生活環境やご家族の状況に合わせた服薬管理の方法を一緒に考えています。


服薬管理の基本「6R」を押さえる

服薬管理の国際的な基本原則として「6R(Six Rights)」があります。これは医療安全の基本中の基本です。

6Rとは

  1. Right Patient(正しい患者)
    服薬する人が本当に正しいか確認する
  2. Right Drug(正しい薬剤)
    処方された薬と実際に準備した薬が一致しているか確認する
  3. Right Dose(正しい用量)
    薬の量が処方通りか確認する
  4. Right Route(正しい投与経路)
    内服、外用、点眼など、投与方法が正しいか確認する
  5. Right Time(正しい時間)
    服用するタイミングが処方通りか確認する
  6. Right Documentation(正しい記録)
    服薬したことを正確に記録する

OURでの実践例

私たちOUR訪問看護ステーションでは、この6Rを訪問時の必須チェック項目としています。特に複数のスタッフで利用者様を担当する場合、誰が訪問しても同じ水準のケアを提供できるよう、電子記録システムを活用して情報共有を徹底しています。


訪問看護師のための服薬管理チェックリスト

訪問看護師が現場で活用できる実践的なチェックリストをご紹介します。

📝 訪問前の準備チェック

□ 訪問看護指示書で処方内容を確認
□ 前回の訪問記録で服薬状況を確認
□ 残薬の有無を記録から確認
□ 処方変更の有無を確認
□ 必要な物品(お薬カレンダー、一包化容器など)を準備

📝 訪問時の確認チェック

1. 薬剤の確認

□ 処方箋またはお薬手帳と実際の薬が一致しているか
□ 薬の名称、用量、用法を声に出して確認
□ 複数の医療機関からの処方がある場合、重複や相互作用をチェック
□ 薬の外観(色、形、刻印)に変更がないか
□ 使用期限が切れていないか

2. 保管状態の確認

□ 薬の保管場所が適切か(直射日光、高温多湿を避ける)
□ 冷所保管が必要な薬は冷蔵庫に入っているか
□ 外用薬と内服薬が混在していないか
□ 開封後の使用期限を超えていないか
□ ラベルがはがれかけたり、読めなくなっていないか

3. 服薬状況の確認

□ 前回からの服薬状況をご本人・ご家族に聞き取り
□ お薬カレンダーや記録表で飲み忘れをチェック
□ 残薬数を数えて実際の服用状況を確認
□ 自己判断で中止・増減していないか確認
□ 副作用や体調変化がないか観察・聞き取り

4. セッティング時のダブルチェック

□ お薬カレンダーにセットする場合、処方箋を見ながら確認
□ 可能であれば、ご家族と一緒に確認
□ 朝・昼・夕・寝る前など、時間帯ごとに分類
□ 頓服薬は別の場所に保管
□ セット後、もう一度全体を見直す

📝 訪問後の記録チェック

□ 服薬状況を訪問記録に正確に記載
□ 残薬数を記録
□ 気づいた問題点(飲み忘れ、副作用など)を記録
□ 必要に応じて主治医・薬剤師・ケアマネージャーに報告
□ 次回訪問時の申し送り事項を明記
□ ご家族への指導内容を記録

利用者様・ご家族のための服薬管理チェックリスト

ご自宅で安全に服薬管理をしていただくためのチェックリストです。

📝 日々の服薬チェック

□ 今日飲む薬を朝のうちに確認
□ 飲んだら記録表やカレンダーにチェック
□ お薬カレンダーが空になっているか確認
□ 飲み忘れに気づいたら、すぐに訪問看護師に連絡
□ 体調の変化があれば記録しておく

📝 週1回の確認チェック

□ 1週間の飲み忘れがなかったか振り返り
□ 残薬を数えて予定通りか確認
□ 薬の保管場所が乱雑になっていないか整理
□ 次回の処方日を確認
□ 記録表を見直して気づいたことをメモ

📝 処方時のチェック

□ 処方箋の内容を薬剤師に確認
□ 薬の名前、飲み方、飲む時間を理解
□ 副作用や注意点を確認
□ 飲み合わせの問題がないか確認
□ お薬手帳を毎回持参
□ 疑問点はその場で質問

服薬ミスを防ぐ実践的な工夫

1. お薬カレンダーの活用

お薬カレンダーは、視覚的に服薬状況が分かるため、飲み忘れ防止に非常に効果的です。

選び方のポイント

  • 1週間分が見やすく配置されているもの
  • ポケットのサイズが十分にあるもの
  • 壁掛けタイプか卓上タイプか、生活スタイルに合わせて選ぶ
  • 朝・昼・夕・寝る前が色分けされているものが便利

使い方のコツ

  • 毎週決まった曜日にセットする習慣をつける
  • セット時は処方箋を見ながら、声に出して確認
  • 可能であれば2人でダブルチェック
  • 空になったポケットを見れば飲んだかどうか一目瞭然

2. 一包化の活用

複数の薬を1回分ずつまとめて包装する「一包化」は、服薬ミス防止に非常に有効です。

メリット

  • 複数の薬を1つの袋にまとめられる
  • 飲み忘れ・飲み間違いが減る
  • 外出時の持ち運びが便利
  • 袋に日付と時間が印字されるので分かりやすい

注意点

  • 薬局に一包化を依頼する(追加料金が発生する場合あり)
  • 湿気に弱い薬は一包化できない場合がある
  • 一包化後の使用期限に注意

3. 服薬記録表の活用

シンプルな記録表でも、飲んだかどうかを明確にできます。

記録表の例

日付寝る前備考
12/1
12/2×昼忘れ
12/3

記録のポイント

  • 飲んだらすぐにチェックを入れる
  • 飲み忘れた時も正直に記録
  • 体調の変化があれば備考欄に記入
  • 訪問看護師がいつでも確認できる場所に置く

4. アラーム・リマインダーの活用

スマートフォンやタイマーのアラーム機能を活用しましょう。

設定のコツ

  • 毎日決まった時間にアラームをセット
  • アラーム音に「朝の薬」「夕方の薬」など名前をつける
  • スマホが苦手な方は、タイマー付きお薬ケースも市販されています

5. 生活リズムと紐づける

日常の習慣と服薬を結びつけると忘れにくくなります。

  • 朝食後の薬 → 朝食を食べる場所に薬を置く
  • 夕食後の薬 → 夕食の準備をする時に薬を食卓に出す
  • 寝る前の薬 → 歯磨きセットの横に置く

ICTツールの活用〜最新の服薬管理アプリ

2025年現在、服薬管理を支援するアプリが数多く登場しています。スマートフォンに慣れている方には非常に便利なツールです。

おすすめの服薬管理アプリ

1. EPARKお薬手帳

  • 利用者数No.1の電子お薬手帳
  • 処方箋の事前送信で待ち時間短縮
  • 服薬アラーム機能あり
  • 家族の薬も一括管理可能
  • 【無料】

2. お薬ノート

  • シンプルで高齢者にも使いやすい
  • 服薬時間にアラームでお知らせ
  • 飲んだ・飲んでいないを簡単記録
  • カレンダー表示で一目で確認
  • 【無料】

3. ノメタン

  • お薬手帳を撮影するだけで自動登録
  • 家族と服薬情報を共有できる
  • 離れて暮らす家族も確認可能
  • 飲み忘れ防止アラーム機能
  • 【無料】

4. パシャっとカルテ

  • お薬手帳だけでなく血圧・体重も記録
  • 検査結果も一元管理
  • グラフ表示で推移が分かりやすい
  • 【無料】

アプリ活用のポイント

導入時

  • まずはシンプルなものから始める
  • ご家族と一緒に設定する
  • 訪問看護師にも使っていることを伝える

継続のコツ

  • 毎日使う習慣をつける
  • 分からないことは遠慮なく質問
  • アプリだけに頼らず、紙の記録も併用すると安心

注意点

  • スマホの充電切れに注意
  • バックアップを定期的に取る
  • 紙のお薬手帳も持ち歩くと災害時も安心

服薬ミスが起きてしまった時の対応

どんなに注意していても、ミスは起こり得ます。大切なのは、起きてしまった時に適切に対処することです。

飲み忘れた場合

基本の対応

  1. 気づいた時点ですぐに訪問看護師または薬剤師に連絡
  2. 自己判断で2回分まとめて飲まない
  3. 次の服用時間まで時間があれば飲んでもよい場合もある
  4. 指示を受けるまで待つ

連絡すべき情報

  • どの薬を飲み忘れたか
  • 飲むはずだった時間
  • 気づいた時間
  • 次の服用時間

多く飲んでしまった場合

すぐに取るべき対応

  1. まず落ち着く
  2. 何の薬をどれだけ飲んだか確認
  3. すぐに主治医または訪問看護師に連絡
  4. 症状がある場合は救急車を呼ぶことも検討

連絡すべき情報

  • 薬の名前と量
  • いつ飲んだか
  • 現在の症状
  • 他に飲んでいる薬

違う薬を飲んでしまった場合

対応手順

  1. どの薬を間違えたか確認
  2. すぐに医師または薬剤師に連絡
  3. 指示があるまで何も飲まない
  4. 体調の変化を注意深く観察

OURの24時間連絡体制

OUR訪問看護ステーションでは、服薬に関する緊急の相談にも24時間対応しています。

連絡方法

  • 電話:0985-77-8266

「こんなことで電話していいのかな?」と迷う必要はありません。私たちはいつでもあなたの味方です。


まとめ

在宅での服薬管理は、利用者様の健康を守るために欠かせないケアです。この記事でご紹介したチェックリストや工夫を活用して、安全で確実な服薬管理を実践していきましょう。

この記事のポイント

✅ 6Rの原則を基本に、正しい服薬を確認
✅ 訪問看護師のチェックリストで訪問時の確認漏れを防ぐ
✅ 利用者様・ご家族のチェックリストで日々の管理を習慣化
✅ お薬カレンダー・一包化・記録表などの実践的な工夫を活用
✅ 服薬管理アプリも上手に取り入れる
✅ ミスが起きた時は自己判断せず、すぐに専門家に相談

OURからのメッセージ

私たちOUR訪問看護ステーションは、「あなたらしさを、ともにつくる」という理念のもと、利用者様一人ひとりに寄り添った服薬管理のサポートをしています。

薬のことで困ったこと、分からないことがあれば、どんな小さなことでも構いません。訪問時はもちろん、24時間いつでもご相談ください。利用者様とご家族が安心して在宅療養を続けられるよう、私たちOURスタッフが全力でサポートいたします。


関連記事


お問い合わせ

OUR訪問看護ステーション

  • 📞 電話:0985-77-8266(平日8:30-17:30)
  • 📱 24時間連絡体制:公式LINEまたは緊急電話
  • 📧 お問い合わせフォーム:https://our-co.jp/contact/
  • 📍 対応エリア:宮崎市全域、国富町、綾町、新富町

訪問看護サービスについてのご相談、見学のご希望など、お気軽にお問い合わせください。


執筆日:2025年12月
執筆:OUR訪問看護ステーション
監修:管理者 中田志保(看護師)


この記事を書いた人

OUR訪問看護ステーション

宮崎市を拠点に、「あなたらしさを、ともにつくる」を理念として、訪問看護サービスを提供しています。経験豊富な看護師・理学療法士が在籍し、24時間365日体制で、幅広い疾患に対応。利用者様とそのご家族が、住み慣れたご自宅で安心して暮らせるよう、専門性の高いケアを提供しています。

OUR訪問看護ステーションについて詳しく見る