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ともにつくるケアノート— あなたらしさを支える訪問看護のかたち —

高齢者の脱水チェックリスト10項目|「飲んでいる」のに脱水になる理由と在宅での対処

「水分はちゃんと飲んでいます」と言いながら、気づけば脱水になっている。訪問看護の現場では夏になると毎年こういったケースに出会います。

高齢者の脱水は、本人が気づかないうちに進むことが特徴です。口の渇きを感じにくくなるため、「のどが渇いた」というサインが出ないまま脱水が悪化し、ふらつき・意識の変容・熱中症へとつながります。

この記事では、在宅で使えるチェックリスト10項目と、高齢者が「飲んでいるのに脱水になる」理由、家族・訪問看護師にできる対処法をまとめます。

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高齢者が「飲んでいるのに脱水になる」3つの理由

高齢者の脱水は、若い人の脱水とは別の仕組みで起きます。「水分をとっているから大丈夫」という思い込みが危険なのは、以下の理由からです。

理由①:体内の水分量そのものが少ない

成人の体重の約60%が水分ですが、高齢者では50〜55%程度まで低下します。筋肉が減り、筋肉に含まれる水分が少なくなるためです。もともとの「水の貯蓄量」が少ないため、少し飲む量が減るだけで脱水になりやすくなります。

理由②:口渇感(のどの渇き)を感じにくくなる

加齢とともに、脳が「水分が足りない」と感知するセンサーが鈍くなります。若い人は血液が濃くなるとすぐに「のどが渇いた」と感じますが、高齢者はこのセンサーが働きにくいため、気づかないまま水分不足が進みます。

OURの訪問看護師が伺うと、「今日は特にのどが渇いた感じはない」とおっしゃる方でも、舌が乾燥していて脱水が疑われるケースは少なくありません。

理由③:利尿作用のある薬を飲んでいる

高血圧・心不全・むくみの治療薬に使われる利尿剤は、水分を尿として排出する働きがあります。薬の効果で尿量が増えているにもかかわらず、水分補給が追いつかない状態になることがあります。


高齢者の脱水チェックリスト10項目|朝・昼・夕に確認を

以下のチェックリストを、朝の起き抜け・昼食後・夕方の3タイミングで確認してください。3項目以上当てはまる場合は脱水が疑われます。

#チェック項目確認の仕方
1唇が乾燥してひび割れている目で見て確認
2舌が乾いてザラザラしている指で軽く触れて確認
3皮膚をつまんで放すと戻りが遅い(2秒以上)手の甲の皮膚をつまむ
4尿の色が濃い黄色・橙色になっているトイレ後に色を確認
51日の尿回数が3回以下になっている排泄記録をつける
6体重が前日より0.5kg以上減っている毎朝同じ条件で測定
7ぐったりして元気がない・目がうつろ表情・活気を観察
8頭痛や立ちくらみがある本人に聞く
9食事量が普段の半分以下になっている食事摂取量を確認
10発熱・下痢・嘔吐があるバイタル・症状確認

チェックが5個以上の場合、または意識が朦朧としている・呼びかけに反応が鈍い場合は、すぐに訪問看護師または医師に連絡してください。


在宅で続けられる脱水予防の3つのポイント

ポイント①:「のどが渇いた」を待たずにスケジュールで飲む

「のどが渇いたら飲む」ではなく、時計を見て飲む習慣をつけることが最も効果的です。

目安スケジュール(1日1,500mL前後):

  • 起床後:コップ1杯(200mL)
  • 朝食時:お茶200mL
  • 10時:お茶またはスポーツドリンク100mL
  • 昼食時:お茶200mL
  • 15時:お茶100mL
  • 夕食時:お茶200mL
  • 就寝前:コップ1杯(200mL)

夏季は発汗が増えるため、これに+300〜500mLを目安に追加してください。

ポイント②:スポーツドリンクの「薄め」活用

水だけでは体内の電解質バランスが保てず、水分が吸収されにくくなることがあります。スポーツドリンクを2倍に薄めたものや、経口補水液(OS-1など)は電解質を含むため、効率よく吸収されます。

ただし、糖尿病や腎臓病のある方は糖分・カリウムの摂取量に注意が必要です。主治医・訪問看護師に確認してから取り入れてください。

ポイント③:食事からの水分補給を意識する

みそ汁・スープ・おかゆ・ゼリーなど、食事に含まれる水分も重要です。固形物が食べにくくなっている方は、食事のとろみ調整や、水分の多いメニューへの切り替えを訪問看護師・栄養士に相談してみましょう。


脱水になったとき:在宅でできる対処と受診の目安

軽度の脱水(意識あり・飲み込める)

経口補水液またはスポーツドリンク(薄め)を少量ずつ、15〜30分おきにゆっくり飲ませてください。一気に飲むと嘔吐の原因になります。

涼しい場所(28℃以下が目安)で横になり、保冷剤で首・脇・脚の付け根を冷やします。30分後に改善が見られない場合は訪問看護師に連絡してください。

中等度以上(呼びかけへの反応が鈍い・ふらついて立てない)

すぐに訪問看護師または主治医に連絡し、指示を仰いでください。点滴が必要になることがあります。意識がはっきりしない場合は、迷わず119番を呼んでください。


よくある質問

高齢者に「1日1,500mL飲んでください」と言うと嫌がります。どうすればいい?

一度に量を提示すると負担感が出やすいため、「このカップ1杯だけ」「10時になったらお茶にしましょう」と、小さな目標を小出しにする方法が有効です。OURの訪問看護師も、訪問時に「一緒に1杯飲みましょうか」と声をかけながら習慣づけをサポートしています。

水分をたくさん飲むと夜中にトイレが増えて眠れないと言っています

就寝2時間前からの水分摂取を控え、日中に多めに摂るよう調整してみましょう。夜間の排尿に悩む場合は、尿もれパッドの活用や、排尿習慣の見直しも含めて訪問看護師に相談してください。

経口補水液と普通のスポーツドリンクはどう違うの?

経口補水液(OS-1など)は医療用に設計されており、ナトリウムなどの電解質濃度が高く、脱水の回復に適しています。スポーツドリンクは日常の水分補給向けで糖分が多め。脱水症状が出ているときは経口補水液、予防・日常補給にはスポーツドリンクの薄め使いが適しています。

心不全や腎臓病があります。水分を多く飲んでいいですか?

心不全・腎臓病・透析中の方は、水分制限が必要な場合があります。「水分をたくさん飲ませてあげたい」という気持ちはわかりますが、病状によっては逆効果になることがあります。水分量は必ず主治医・訪問看護師に確認してから判断してください。


まとめ:脱水は「予防」が最大の対策

  • 高齢者は口渇感が鈍く、体内水分量が少ないため、自覚なく脱水になりやすい
  • チェックリスト10項目を朝・昼・夕に確認することで早期発見につながる
  • 「のどが渇いた」を待たず、時間を決めて飲む習慣が最も効果的
  • 心不全・腎臓病のある方は水分量の制限があるため、必ず医療者に確認する

今日できる一歩:冷蔵庫に経口補水液を1本ストックしておきましょう。「備えがある」というだけで、家族の初動が変わります。


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参考文献一覧

  • 高齢者の水分補給に関する留意事項(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/
  • 熱中症診療ガイドライン2024(日本救急医学会)https://www.jaam.jp/
  • 在宅高齢者の脱水予防と介護支援(日本老年医学会)https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/

この記事を監修した人

OUR
TEAM

OUR訪問看護ステーション

看護・リハビリチーム

看護師7名・理学療法士1名・作業療法士3名 / 宮崎市

宮崎市を中心に24時間・365日の訪問看護を提供。在宅透析・人工呼吸器・CV管理などの高度医療処置から生活期リハビリまで対応。「あなたらしさをともにつくる」を理念に、認定作業療法士・中田富久が代表を務め、医師・ケアマネジャーと連携し利用者一人ひとりの在宅生活を支援している。帝人ファーマ「みんなの訪問看護アワード2026」大賞受賞。