コラム一覧に戻る
ともにつくるケアノート— あなたらしさを支える訪問看護のかたち —

「とろみ」はなぜ必要?嚥下障害のある方への食事・水分の工夫をわかりやすく解説

「なぜお茶にとろみをつけるの?」「とろみをつけた飲み物は飲みにくいと言って嫌がる」介護をしている家族からよく聞く声です。

嚥下障害(飲み込みの障害)がある方にとって、サラサラした液体は実は最も危険です。喉を通る速度が速すぎて、気管に入りやすくなるためです。これが誤嚥(ごえん)であり、誤嚥性肺炎の原因になります。

「本人が嫌がるから」とやめてしまうと、肺炎のリスクが上がります。でも、とろみのつけ方や食事の工夫次第で、食べる楽しみを保ちながら安全に食事できる方法があります。

この記事では、OURの訪問看護師が「なぜとろみが必要か」「適切なとろみの使い方」「食べやすい食事の工夫」をわかりやすく解説します。

宮崎市全域、国富町、高岡町、綾町対応

“あなたらしい”在宅生活を、24時間・365日サポートします

☎ 0985-77-8266受付時間:9時〜17時

嚥下障害とは|「飲み込み」の仕組みが崩れると何が起きるか

嚥下(えんげ)とは、食べ物・飲み物を口から喉・食道を経て胃に送り込む動作のことです。この一連の動作には、舌・咽頭・喉頭・食道の筋肉が協調して動く必要があります。

脳卒中・パーキンソン病・認知症・ALS・加齢などにより、この筋肉や神経の働きが低下すると嚥下障害が起きます。

嚥下障害のサイン(こんな症状はありませんか?)

  • 食事中・食後にむせることが増えた
  • 食べるのに時間がかかるようになった
  • 食事中に声がガラガラになる(湿性嗄声)
  • 食事の後に痰が増える
  • 体重が減ってきた・食欲が落ちた
  • 肺炎を繰り返している

これらは嚥下障害のサインです。1つでも気になる症状があれば、主治医または訪問看護師に相談してください。

なぜサラサラした液体が危険なのか

健康な方は、液体を飲むときに喉頭蓋(こうとうがい)というふたが気管をふさいで、液体が食道に送られます。嚥下障害があると、このタイミングがズレて液体が気管に入ってしまいます(誤嚥)。

サラサラした液体(水・お茶・ジュースなど)は流れる速度が速いため、飲み込みが追いつかず誤嚥しやすくなります。とろみをつけることで流れる速度を遅らせ、安全に飲み込めるようにするのです。


とろみのつけ方と3段階の濃さ

とろみ剤は薬局やドラッグストアで購入できます。主なメーカーには「ネオハイトロミールNEXT」「トロメリン」などがあります。

とろみの3段階

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会の分類では、とろみは3段階に分けられています。

濃さスプーンを傾けたとき用途
薄いとろみゆっくりと流れる軽度の嚥下障害
中間のとろみゆっくりとかたまりになる中程度の嚥下障害
濃いとろみスプーンですくってもほぼ崩れない重度の嚥下障害

どの濃さが適切かは、嚥下の状態によって異なります。主治医・言語聴覚士(ST)・訪問看護師に確認しながら決めましょう。OURでは、食事場面での観察を通じて適切なとろみ濃度のアドバイスも行っています。

とろみをつけるときの注意点

  • 規定量を守る(少なすぎると効果なし・多すぎると飲みにくくなる)
  • よくかき混ぜてからしばらく待つ(とろみが安定するまで30〜60秒)
  • 温かい飲み物はとろみがつきにくくなることがある(メーカーの指示を確認)
  • ゼリー飲料・市販の経腸栄養剤にはとろみ不要のものもある

嚥下障害がある方への食事の工夫

食べやすい食形態を選ぶ

食形態説明向いている方
普通食一般的な食事嚥下障害がない方
軟菜食やわらかく調理した食事軽度の咀嚼・嚥下障害
ミキサー食なめらかにペースト状にした食事中等度の嚥下障害
ゼリー食ゼリー状に固めた食事重度の嚥下障害

「見た目がおいしそうじゃない」というミキサー食の課題を解決するために、最近は嚥下調整食(ソフト食・ムース食)として、見た目を元の料理に近づけた製品も市販されています。食べる意欲を保つうえで、見た目はとても大切です。

食事環境の工夫

  • 姿勢:背筋を伸ばして座り、顎を少し引いた姿勢が安全(45〜60度程度の角度で食べることも有効)
  • 食器:スプーンは小さめのものが1口量をコントロールしやすい
  • 一口量:一度に口に入れる量を少量にして、しっかり飲み込んでから次を食べる
  • 食事中の会話:食事中の話しかけは、むせの原因になることがあるため少なめに
  • 食事後:食後30分は上体を起こした姿勢を保つ(食後の誤嚥予防)

OUR訪問看護ステーションによるサポート体制

OUR訪問看護ステーション(宮崎市)では、看護師・PT・OTが連携してご自宅でのケアを提供します。全スタッフが厚生労働省の精神保健研修を修了しており、身体疾患から精神疾患まで幅広い対応が可能です。24時間のオンコール体制を整え、夜間・休日でも緊急対応します。

「どんな状態でもまず相談」というスタンスで、宮崎市・国富町・綾町・高岡町エリアに対応しています。ご相談はお電話(0985-77-8266)またはウェブフォームからどうぞ。

在宅療養で医療保険と介護保険をどう使い分けるか

訪問看護は医療保険と介護保険の両方で利用できますが、どちらが適用されるかは疾患・状態によって異なります。介護保険認定を受けている方は原則として介護保険が優先されますが、がん末期・難病・精神疾患・特別訪問看護指示書がある期間は医療保険での利用となります。

保険の選択を間違えると給付が受けられないケースもあるため、OURがご利用者ごとに確認し、最適な方法でサービスを提供します。不明な点はOURにご相談ください。

よくある質問

「とろみをつけた飲み物は嫌だ」と本人が言います。どうすればよいですか?

とろみの濃さを薄めから試してみることで、受け入れやすくなることがあります。また、とろみ付きのゼリー飲料・ゼリー状の水分補給食品を活用すると、抵抗が少ないことがあります。本人の好きな味(フルーツ系・麦茶など)で試してみましょう。

牛乳・果汁・スープにもとろみは必要ですか?

サラサラした液体にはすべてとろみが必要です。牛乳・ジュース・スープ・お味噌汁も同様です。ただし、ヨーグルト・豆腐・茶碗蒸しのように最初からある程度の粘度があるものは不要な場合もあります。嚥下評価を受けた上で判断しましょう。

訪問看護師は食事の支援もしてくれますか?

OURでは、食事中の様子の観察・とろみの適切な濃さの確認・食形態のアドバイス・嚥下体操の指導を行っています。必要に応じて言語聴覚士(ST)との連携も可能です。「食事がうまくできているか心配」という場合もご相談ください。


嚥下障害があると食事はどのように変えればいいですか?

嚥下障害の種類と重症度によりますが、一般的に①形態の変更(刻み食・ミキサー食・ゼリー食)、②とろみの付加、③一口量を減らす、④姿勢を整えて食べる(30〜60度のリクライニング)が基本です。OURの看護師・STが実際の食事場面を評価し、安全な食べ方を指導します。

誤嚥性肺炎を繰り返しています。在宅でどう予防しますか?

①口腔ケアを毎食後・就寝前に丁寧に行う、②食後はすぐに横にならない(30分程度座位保持)、③嚥下機能に合った食事形態を守る、④胃食道逆流を防ぐ(食後の姿勢管理)が重要です。OURが口腔ケアの具体的な方法を指導し、肺炎の早期サインも観察します。

胃ろうを造設しましたが、今後の在宅生活はどうなりますか?

胃ろう管理はOURが担います。注入食の種類・量・速度の調整、カテーテル周囲の皮膚ケア、チューブ交換のスケジュール管理などを行います。胃ろうがあっても口からの摂食(少量・楽しみとして)を続けることは可能です。生活の質を大切に、ご本人の意向を尊重します。

まとめ:食べることの安全と楽しみを両立させたい

  • 嚥下障害があるとサラサラした液体は気管に入りやすく誤嚥のリスクが高い
  • とろみをつけることで流れる速度を遅らせ、安全に飲み込めるようになる
  • とろみの濃さは状態に合わせて選ぶ。主治医・看護師に相談しながら決める
  • 食形態・姿勢・一口量・食後の体位など、食事環境の工夫も重要

今日できる一歩:食事中に「よくむせる」と感じている方は、訪問看護師に食事場面の観察を依頼してみてください。必要なとろみ濃度と食形態のアドバイスができます。


宮崎市全域、国富町、高岡町、綾町対応

“あなたらしい”在宅生活を、24時間・365日サポートします

☎ 0985-77-8266受付時間:9時〜17時

参考文献一覧

次に読まれている記事

この記事を監修した人

OUR
TEAM

OUR訪問看護ステーション

看護・リハビリチーム

看護師7名・理学療法士1名・作業療法士3名 / 宮崎市

宮崎市を中心に24時間・365日の訪問看護を提供。在宅透析・人工呼吸器・CV管理などの高度医療処置から生活期リハビリまで対応。「あなたらしさをともにつくる」を理念に、認定作業療法士・中田富久が代表を務め、医師・ケアマネジャーと連携し利用者一人ひとりの在宅生活を支援している。帝人ファーマ「みんなの訪問看護アワード2026」大賞受賞。