ここまでの章では、OURの理念、訪問看護の基本、電話対応、接遇、そして利用開始業務を学んできました。
第6章は、利用が始まった「その後」の業務です。
実績の確認、保険請求、書類管理、加算の確認、月末月初の業務……これらはすべて、利用者の継続的な支援を支えるために欠かせない仕事です。
「難しそう」と感じる必要はありません。一つひとつのLessonで、なぜその業務が必要なのかから丁寧に説明します。
第6章を終えるころには、訪問看護事務の全体像が見えてくるはずです。
宮崎市全域、国富町、高岡町、綾町対応
“あなたらしい”在宅生活を、24時間・365日サポートします
☎ 0985-77-8266受付時間:9時〜17時
Lesson 6-0 第6章のオリエンテーション
このLessonで学ぶこと
第6章では何を学ぶのか、どんな流れで進んでいくのかを最初に整理します。
「請求業務は難しそう」「制度が複雑で自信がない」という方も、ここから一緒に進んでいきましょう。
第6章が大切な理由
訪問看護ステーションは、利用者の方々に継続して関わることで支援します。
一回の訪問で終わるのではなく、毎週・毎月、継続的に訪問しながら生活を支えていきます。
その継続的な支援を成り立たせるために、事務員が担う役割があります。
| 事務員が支えること | なぜ大切か |
|---|---|
| 正確な実績の把握 | 訪問した実績をもとに請求が行われる |
| 保険請求の処理 | 請求が行われないと収入が生まれず、ステーションが継続できない |
| 書類・指示書の管理 | 指示書がなければ訪問看護は実施できない |
| 加算・届出の確認 | 必要な届出をしていないと、受け取れる報酬が減る場合がある |
| 月末・月初業務 | 期限までに正確に処理することで、翌月以降もスムーズに動ける |
事務員の仕事は、現場スタッフが安心して訪問できるための「土台」です。
第6章のLesson一覧
| Lesson | タイトル | 学ぶこと |
|---|---|---|
| 6-0 | 第6章のオリエンテーション | この章の全体像 |
| 6-1 | 訪問看護事務の仕事を全体で捉える | 利用開始後の業務全体フロー |
| 6-2 | 利用開始から終了までの業務フロー | ライフサイクル別の業務 |
| 6-3 | 医療保険と介護保険の違い | 保険制度の基礎・比較表 |
| 6-4 | 保険証・公費・受給資格の確認 | 保険確認の実務 |
| 6-5 | 訪問看護指示書の管理 | 指示書の種類と管理 |
| 6-6 | 計画書・報告書・情報提供書類 | 書類の種類と提出先 |
| 6-7 | 実績管理 | 予定・実績・差異の確認 |
| 6-8 | 介護保険請求の基礎 | 国保連への介護給付費請求 |
| 6-9 | 医療保険請求の基礎 | 訪問看護療養費の請求 |
| 6-10 | 加算・届出・算定要件 | 届出が必要な加算の整理 |
| 6-11 | 月末・月初業務 | カレンダー別の業務一覧 |
| 6-12 | 返戻・請求漏れ・過誤への対応 | エラー時の対応方法 |
| 6-13 | 記録・保存・監査に備える | 保存ルールと保存期間 |
| 6-14 | よくあるケースで学ぶ | ケーススタディ集 |
| 6-15 | OURの事務員として | 章のまとめと心得 |
第6章で使う主な参照資料
| 資料名 | 内容 |
|---|---|
| 訪問看護業務の手引(令和8年6月版) | 制度・算定・書類の基礎資料 |
| 厚生労働省 診療報酬改定資料(令和8年度) | 最新の訪問看護療養費・加算 |
| 厚生労働省 介護報酬改定資料(令和8年度) | 最新の介護給付費・加算 |
⭐ POINT
第6章では「制度を丸暗記する」ことは目指しません。
「何を確認すべきか」「誰に聞くべきか」「どこを見ればわかるか」が分かる状態を目指します。
判断に迷ったとき、管理者や現場スタッフに正しく質問できる事務員になることが、この章のゴールです。
このLessonのまとめ
✅ 第6章は、利用開始後の事務業務全体を学ぶ章です。
✅ 実績・請求・書類・加算・月次業務の5つが中心テーマです。
✅ 丸暗記より「確認の仕方」を身につけることが目標です。
Lesson 6-1 訪問看護事務の仕事を全体で捉える
🎯 このLessonのゴール
利用開始後に事務員が担う業務の全体像を理解し、各業務がなぜ必要なのかを説明できるようになる。
はじめに
訪問看護の利用が始まると、現場の看護師やリハビリ職は訪問に出かけます。
そのあいだ、事務員は何をしているのでしょうか。
「電話を受ける」「書類を整理する」「請求書を送る」……それは確かにそうです。しかし、それぞれの業務には、必ず「理由」があります。
このLessonでは、利用開始後の事務業務の全体像を整理し、それぞれの業務がなぜ必要なのかを理解します。
なぜこの業務が必要なのか
訪問看護ステーションは、利用者の方への支援を継続するために、毎月の収入が必要です。
その収入は、訪問した実績をもとに国や自治体へ請求することで生まれます。

- ①訪問看護を実施する
- ②訪問した実績を記録する
- ③実績をもとに請求書を作成する
- ④保険者(国保連・審査支払機関等)へ請求する
- ⑤審査を通過して報酬が振り込まれる
- ⑥ステーションが継続して訪問できる
この流れが止まると、ステーションの運営が難しくなります。
事務業務は「書類仕事」ではありません。利用者の支援を続けるための「支援のインフラ」です。
利用開始後の業務全体フロー
利用開始から月末・翌月初までの事務業務の流れを整理します。
利用開始直後
| 業務 | 内容 | 担当 |
|---|---|---|
| 保険証・受給資格の確認 | 介護保険証・医療保険証・負担割合証などを確認 | 事務員 |
| 訪問看護指示書の受領 | 主治医からの指示書を受け取り、内容と有効期限を確認 | 事務員 |
| 訪問スケジュールの登録 | 訪問予定をシステムに入力 | 事務員 |
| 利用料の説明・契約 | 自己負担額・請求日・支払い方法を説明 | 事務員・管理者 |
| 関係機関への情報共有 | ケアマネジャー・医療機関へ利用開始の連絡 | 事務員・看護師 |
毎月の定期業務
| 業務 | 内容 | タイミング |
|---|---|---|
| 実績の確認 | 訪問記録と予定の差異を確認 | 月末まで |
| 訪問看護計画書・報告書の確認 | 作成・提出状況を確認 | 月初〜月末 |
| 請求データの作成 | 実績をもとに請求データを作成 | 月末〜翌月初 |
| 国保連・審査機関への請求 | 期限内に請求データを送信 | 翌月10日まで(介護)など |
| 返戻・エラーの確認 | 審査結果を確認し、返戻があれば修正・再請求 | 請求後 |
| 入金確認 | 支払いが正しく行われたか確認 | 入金後 |
| 利用者への請求 | 自己負担分の請求書を発行・送付 | 月次 |
随時発生する業務
| 業務 | 内容 |
|---|---|
| 保険変更への対応 | 介護保険から医療保険へ切り替わった場合など |
| 指示書の更新依頼 | 有効期限が切れる前に主治医へ更新を依頼 |
| 入院・退院への対応 | 入院中の訪問停止・退院後の再開処理 |
| 加算の確認・届出更新 | 届出要件を満たしているか確認 |
| 書類の保管・整理 | 記録・指示書・契約書などを保存 |
事務員が関わる範囲
事務員は、利用者・現場職・管理者・関係機関のあいだに位置しています。

⭐ POINT
事務員が一人で判断してよい範囲と、管理者に確認が必要な範囲を常に意識してください。
| 事務員が対応できる | 管理者確認が必要 |
|---|---|
| 書類の受取・コピー・ファイリング | 指示内容への疑問・変更 |
| 電話の取り次ぎ・記録 | 利用の可否・体制の変更 |
| 請求データの入力・集計 | 返戻への対応方針 |
| 保険証の確認・コピー | 保険変更時の取り扱い |
| スケジュールの入力(確定後) | スケジュール変更の判断 |
用語解説
第6章を通して頻出する用語を最初に整理します。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 実績 | 実際に訪問した記録。「予定」と区別して管理する |
| 請求 | 訪問した実績をもとに報酬を求めること |
| 国保連 | 国民健康保険団体連合会。介護保険請求の審査・支払いを担う |
| 審査支払機関 | 社会保険診療報酬支払基金など。医療保険請求の審査・支払いを担う |
| 返戻 | 請求内容に問題があり、差し戻されること |
| 指示書 | 主治医が訪問看護の実施を指示する書類 |
| 訪問看護計画書 | 今後の支援方針をまとめた書類。定期的に作成・提出が必要 |
| 訪問看護報告書 | 訪問看護の実施状況を主治医へ報告する書類 |
| 加算 | 基本の報酬に加えて算定できる追加の報酬 |
| 負担割合 | 利用者が自己負担する割合(1割・2割・3割など) |
| 給付管理 | 介護保険での支給限度額内に収まっているかをケアマネジャーが管理すること |
現場職・管理者との役割分担
事務員だけで完結する業務はほとんどありません。現場職・管理者と連携して進めることが大切です。
| 業務 | 事務員 | 現場スタッフ | 管理者 |
|---|---|---|---|
| 訪問スケジュール管理 | 入力・変更処理 | 訪問実施・記録 | 最終確認・承認 |
| 指示書管理 | 受領・保管・期限管理 | 内容確認 | 主治医への依頼判断 |
| 実績確認 | 記録の照合 | 訪問記録の入力 | 異常時の対応 |
| 請求処理 | データ作成・送信 | (関与なし) | 内容確認・承認 |
| 利用者への連絡 | 事務的な連絡(日程・料金) | 看護に関する連絡 | 重要事項の連絡 |
よくある失敗
❌ よくある失敗①:実績と予定の差異を放置する
「キャンセルがあったけど、訂正を忘れていた」
→ 実績のないサービスを請求してしまう可能性があります(不正請求になる)。
⭐ POINT:キャンセルや変更は、その日のうちにシステムへ反映する習慣をつけましょう。
❌ よくある失敗②:指示書の期限が切れていることに気づかない
「指示書があるから大丈夫」と思っていたら、有効期限が過ぎていた
→ 指示書のない期間の訪問は算定できなくなる可能性があります。
⭐ POINT:指示書の有効期限は必ず台帳で管理し、期限前に更新を依頼します。
❌ よくある失敗③:分からないことを独断で進める
「たぶんこうだと思う」で処理してしまい、後で大きな修正が必要になる
→ 返戻・過誤が発生し、修正に多くの時間がかかります。
⭐ POINT:「これで合っているか?」と感じた時点で管理者に確認します。迷ったら止める、確認する、が基本です。
実務チェックリスト
このLessonの内容を振り返るチェックリストです。
□ 利用開始後に事務員が行う主な業務を3つ以上挙げられる
□ 「実績」と「予定」の違いを説明できる
□ 請求の流れ(訪問→実績→請求→入金)を説明できる
□ 事務員が独断で判断してよい範囲と、管理者確認が必要な範囲を区別できる
□ 頻出用語(実績・返戻・指示書・加算・国保連)の意味を説明できる
理解度チェック
Q1(○×問題)
訪問看護の収入は、訪問した実績をもとに請求することで生まれる。
Q2(5択問題)
事務員が独断で対応してよい業務はどれか。
Q3(○×問題)
介護保険の訪問看護では、ケアプランがなくても訪問看護を算定できる。
Q4(3択問題)
「事務員の仕事は支援のインフラ」という言葉が意味するのはどれか。
Q5(5択問題)
利用者の保険証を受け取ったとき、最初に確認すべき内容として正しいものはどれか。
このLessonのまとめ
✅ 利用開始後の事務業務は「実績管理・請求処理・書類管理・加算確認・月次業務」の5本柱です。
✅ 事務員の仕事は、利用者の継続支援を支える「支援のインフラ」です。
✅ 事務員・現場スタッフ・管理者が連携することで、業務は成り立っています。
✅ 分からないことは独断で進めず、管理者に確認します。
🌱 次のLesson(6-2)では、利用開始から終了までのライフサイクル全体を時系列で整理します。
参照資料
- 『訪問看護業務の手引』(令和8年6月版)第1章(訪問看護制度の概要)
- 厚生労働省「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」(令和8年度改定版)
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(令和8年度改定版)
Lesson 6-2 利用開始から終了までの業務フロー
🎯 このLessonのゴール
利用者が訪問看護を開始してから終了するまでの全体の流れを把握し、各段階で事務員が行う業務を説明できるようになる。
はじめに
訪問看護の利用は「開始して終わり」ではありません。
毎月の定期訪問、体調の変化、入院と退院の繰り返し、状態の変化による訪問内容の変更……そのたびに、事務員が対応すべき業務があります。
このLessonでは、利用者一人ひとりの「ライフサイクル」に沿って、事務業務の流れを整理します。
利用開始から終了までの全体フロー

各段階の事務業務
① 利用開始時
| 業務 | 内容 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 契約書・重要事項説明書の交付・受領 | 利用者(または家族)との契約 | 署名・捺印が揃っているか |
| 保険証・負担割合証のコピー | 保険情報の記録 | 有効期限・負担割合を確認 |
| 訪問看護指示書の受領 | 主治医からの指示書 | 指示期間・押印を確認 |
| 訪問スケジュールのシステム入力 | 訪問予定の登録 | 曜日・時間・職種・担当者 |
| ケアマネジャーへの連絡 | 利用開始の報告 | 開始日・担当者名を連絡 |
| 利用料の説明・請求方法の確認 | 自己負担額・支払い方法 | 口座振替 or 現金など |
② 定期訪問中(月次業務)
| 業務 | 内容 | タイミング |
|---|---|---|
| 実績の確認 | 訪問記録と予定のずれを確認 | 月中〜月末 |
| 訪問看護計画書・報告書の確認 | 作成・提出状況の管理 | 月初・月末 |
| 指示書の有効期限管理 | 期限が切れる前に更新依頼 | 随時(台帳で管理) |
| 保険証・負担割合証の更新確認 | 毎年8月など更新時期に確認 | 年次(主に8月) |
| 利用者への請求 | 自己負担分の請求書送付 | 毎月(OURの運用による) |
③ 変更・調整があった場合
| 変更の種類 | 事務員が行う業務 |
|---|---|
| 訪問頻度の変更 | スケジュールの修正・指示書の変更確認 |
| 担当スタッフの変更 | 記録・スケジュールの修正 |
| 保険の変更(介護→医療 等) | 保険証の再確認・請求先の変更 |
| 住所変更 | 記録の更新・保険証の再確認 |
| ケアマネジャーの変更 | 連絡先の更新・情報共有 |
| 主治医の変更 | 新指示書の依頼・前指示書の保管 |
⭐ POINT
変更があったときは「記録の更新」だけで終わらず、「次の請求に影響しないか」まで確認することが大切です。たとえば保険変更は、変更日をまたいで請求先が変わるため、月途中の変更は特に注意が必要です。
④ 入院したとき
| 対応 | 内容 |
|---|---|
| 入院日の確認 | 現場スタッフから情報を受け取る |
| スケジュールの停止 | 入院中の訪問予定をキャンセル処理 |
| ケアマネジャーへの連絡 | 入院の事実を報告 |
| 指示書の有効期限確認 | 退院予定がある場合、指示書が有効かを確認 |
| 実績の確認 | 入院日以降に誤って実績が登録されていないか確認 |
⭐ POINT
入院した日に訪問していた場合、訪問看護と入院(入院基本料等)は同日に算定できないルールがあります。入院日の取り扱いについては管理者に確認してください。
⑤ 退院・再開したとき
| 対応 | 内容 |
|---|---|
| 退院日の確認 | 病院・家族・ケアマネから情報を受け取る |
| 指示書の確認 | 退院時に新たな指示書が出る場合があるため確認 |
| 特別訪問看護指示書の確認 | 退院直後に医師から出ることがある(最長14日・月2回まで) |
| 訪問スケジュールの再開 | 再開日からスケジュールを入力 |
| ケアマネジャーへの連絡 | 再開日・訪問予定の報告 |
⑥ 利用終了・中止
| 終了理由 | 主な事務対応 |
|---|---|
| 状態の改善 | 終了日の確認・最終請求の確認・書類の整理 |
| 施設入所 | 終了日の確認・ケアマネへの連絡・書類整理 |
| 転居 | 最終訪問日・転居先の確認・書類の送付など |
| 入院(長期・状態重篤) | 中止手続き・書類保管 |
| 死亡 | 死亡日の記録・最終請求の確認・書類の保存 |
⭐ POINT
利用終了後も、訪問記録や契約書などの書類は一定期間保存が必要です(詳しくはLesson 6-13で学びます)。終了後すぐに廃棄しないよう注意してください。
よくある失敗
❌ 入院連絡が遅れ、訪問が実施されてしまった
入院翌日も予定通り訪問してしまった場合、算定できない実績が発生する可能性があります。
→ 入院の情報は速やかに事務員へ連絡する体制を整え、当日中にスケジュールを調整します。
❌ 退院時に特別訪問看護指示書を見落とした
退院直後の利用者は、主治医から「特別訪問看護指示書」が交付されることがあります。これがあると訪問頻度が増える場合があり、対応が変わります。
→ 退院時は必ず「通常の指示書」と「特別指示書」の両方を確認します。
実務チェックリスト
□ 利用開始時に準備が必要な書類(契約書・指示書・保険証)を説明できる
□ 入院・退院時に事務員が行う業務を3つ挙げられる
□ 利用終了の理由に応じた対応の違いを説明できる
□ 変更があった際に「次の請求への影響」を確認することを知っている
理解度チェック
Q1(○×問題)
利用者が入院した翌日以降は自動的に訪問が停止されるため、事務員は何もする必要がない。
Q2(3択問題)
退院直後に主治医から出ることがある「月2回・最長14日」の指示書はどれか。
Q3(○×問題)
利用終了後も、訪問記録や契約書などの書類は一定期間保存が必要である。
Q4(3択問題)
担当スタッフが変更になった場合、事務員が行う主な業務はどれか。
Q5(5択問題)
月途中(15日)に利用者が介護保険から医療保険に変更になった場合、請求はどうなるか。
このLessonのまとめ
✅ 訪問看護の利用には「開始→継続→変更→入退院→終了」のライフサイクルがあります。
✅ 各段階で事務員が行うべき業務が異なります。見落としは請求漏れやトラブルにつながります。
✅ 変更・入院・退院の情報は速やかに事務システムへ反映することが基本です。
🌱 次のLesson(6-3)では、医療保険と介護保険の違いを整理します。
参照資料
- 『訪問看護業務の手引』(令和8年6月版)第5章(利用開始業務)・第7章(訪問看護療養費)
- 厚生労働省「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」(令和8年度改定版)
Lesson 6-3 医療保険と介護保険の違い
🎯 このLessonのゴール
訪問看護で使う「医療保険」と「介護保険」の違いを整理し、どちらが適用されるかを判断する基本的な考え方を説明できるようになる。
はじめに
訪問看護では、医療保険で請求する場合と介護保険で請求する場合があります。
どちらになるかは利用者の状態・年齢・保険の種類によって変わります。
「たぶん介護保険だと思う」で進めると、誤請求のリスクがあります。
このLessonでは、基本的な考え方と確認方法を整理します。
基本の原則:介護保険が優先
訪問看護では、介護保険の被保険者(40歳以上で要介護認定を受けた方)については、原則として介護保険が優先されます。

ただし、いくつかの例外があります。
医療保険が適用される主な例外
| 条件 | 詳細 |
|---|---|
| 厚生労働大臣が定める疾病等(別表第7) | 末期悪性腫瘍・多発性硬化症・ALS・パーキンソン病関連疾患など重篤な疾病(20疾患) |
| 特別訪問看護指示書が交付されている期間 | 医師が必要と判断した場合、最長14日・月2回まで医療保険で対応 |
| 精神科訪問看護 | 精神科を標榜する保険医療機関の医師が指示する場合 |
| 要介護認定がない方(医療保険のみ加入) | 65歳以上でも要介護認定がなければ医療保険 |
⭐ POINT
「厚生労働大臣が定める疾病等(別表第7)」に該当するかどうかは、主治医から受け取る指示書の内容や、管理者への確認が必要です。事務員が独断で判断せず、必ず管理者に確認してください。
📌 介護保険・医療保険どちらが適用されるか迷ったときは、OURの訪問看護サービス案内ページでも確認できます。
医療保険と介護保険の比較表
| 比較項目 | 医療保険 | 介護保険 |
|---|---|---|
| 対象者(主な例) | 40歳未満、別表第7該当者、特別指示書期間中 | 40〜64歳(特定疾病で要介護)、65歳以上(要介護・要支援) |
| 請求先 | 審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金 等) | 国保連(国民健康保険団体連合会) |
| 報酬単位 | 「円」(訪問看護療養費) | 「単位」(介護給付費) |
| 指示書の種類 | 訪問看護指示書(医療保険用)・精神科訪問看護指示書 | 訪問看護指示書(介護保険用)・居宅サービス計画との整合 |
| 利用者負担 | 1割〜3割(高額療養費制度あり) | 1割〜3割(支給限度額あり) |
| ケアプランとの関係 | ケアプランは不要 | ケアマネジャーが作成したケアプランが必要 |
| 上限回数 | 週3日まで(原則)・例外あり | ケアプランの範囲内 |
| 同日複数サービス | 他の医療サービスと調整が必要 | ケアプランで管理される |
保険の種類ごとの主な請求先
| 保険の種類 | 請求先 |
|---|---|
| 介護保険(介護給付費) | 国民健康保険団体連合会(国保連) |
| 医療保険(健康保険組合・協会けんぽ等) | 社会保険診療報酬支払基金 |
| 医療保険(国民健康保険) | 国民健康保険団体連合会(国保連)※介護とは別 |
| 後期高齢者医療 | 社会保険診療報酬支払基金 |
| 生活保護(医療扶助) | 都道府県・各市町村(福祉事務所経由) |
同一月内に保険が切り替わる場合
月の途中で医療保険から介護保険、または介護保険から医療保険へ切り替わることがあります。
たとえば:
- 特別訪問看護指示書が出ていた期間が終了し、介護保険に戻る
- 月途中で別表第7の疾病等の診断がついた
この場合、切り替わった日から請求先が変わります。同一月内に2つの保険で別々に請求する必要があるため、管理者と確認しながら処理します。
介護保険:支給限度額と給付管理
介護保険では、利用者ごとに「月に使える上限(支給限度額)」が設けられています。
訪問看護はその限度額の中に収まるように計画されます。
| 要介護度 | 月の支給限度額(目安) |
|---|---|
| 要支援1 | 約50,320円相当 |
| 要支援2 | 約105,310円相当 |
| 要介護1 | 約167,650円相当 |
| 要介護2 | 約197,050円相当 |
| 要介護3 | 約270,480円相当 |
| 要介護4 | 約309,380円相当 |
| 要介護5 | 約362,170円相当 |
※上記は令和8年度の単位数に地域単価を掛けた目安です。正確な金額はケアマネジャーに確認してください。
ケアマネジャーが「給付管理」を行い、支給限度額を超えないようにケアプランを調整します。
事務員は、計画された訪問回数・内容がケアプランの範囲内かどうかを確認することが大切です。
よくある失敗
❌ 利用者が「65歳以上だから介護保険」と思い込んでいた
65歳以上でも、要介護認定を受けていない場合や別表第7の疾病等がある場合は医療保険になります。年齢だけで判断しないようにしましょう。
❌ 月途中の保険切り替えを翌月まで放置した
月途中に保険が変わったことに気づかず、誤った保険で1ヶ月分を請求してしまうことがあります。
→ 変更があったときは、その月の請求に影響する前に管理者へ連絡・確認します。
実務チェックリスト
□ 介護保険が優先される基本原則を説明できる
□ 医療保険が適用される主な例外条件を3つ挙げられる
□ 介護保険と医療保険の請求先の違いを説明できる
□ 月途中に保険が切り替わった場合の基本的な対応を知っている
□ 支給限度額の意味を説明できる
理解度チェック
Q1(○×問題)
65歳以上の利用者は、必ず介護保険で請求しなければならない。
Q2(3択問題)
介護保険の請求はどこに行うか。
Q3(○×問題)
40歳未満の方が訪問看護を利用する場合、原則として医療保険が適用される。
Q4(3択問題)
介護保険の「支給限度額」とは何か。
Q5(5択問題)
利用者(75歳・要介護3)が末期がんと診断された。以下のうち正しい対応はどれか。
このLessonのまとめ
✅ 訪問看護では介護保険が原則ですが、例外(別表第7・特別指示書・精神科)は医療保険になります。
✅ 医療保険は審査支払機関へ、介護保険は国保連へ請求します。
✅ 保険の判断は複雑なため、不明な点は必ず管理者に確認します。
✅ 月途中の保険変更は請求に影響するため、速やかに対応します。
🌱 次のLesson(6-4)では、実際に保険証や公費の確認業務を学びます。
参照資料
- 『訪問看護業務の手引』(令和8年6月版)第3章(保険の種類)・第7章(訪問看護療養費)
- 厚生労働省「厚生労働大臣が定める疾病等(別表第7)」(最新通知)
- 厚生労働省「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」(令和8年度改定版)
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(令和8年度改定版)
Lesson 6-4 保険証・公費・受給資格の確認
🎯 このLessonのゴール
利用者が持っている各種書類を正しく確認・記録できるようになる。また、どのタイミングで再確認が必要かを把握する。
はじめに
訪問看護を行うには、「この方はどの保険を使えるか」「自己負担はいくらか」を正確に把握しなければなりません。
保険証の確認を怠ると、間違った保険で請求してしまう・自己負担の説明が誤る・返戻が発生するなど、利用者にも事業所にも影響が出ます。
確認すべき主な書類
介護保険の場合
| 書類 | 確認内容 |
|---|---|
| 介護保険被保険者証 | 被保険者番号・氏名・要介護度・認定有効期間 |
| 介護保険負担割合証 | 自己負担割合(1割・2割・3割)・有効期間 |
| 居宅サービス計画(ケアプラン) | 訪問看護の計画が位置づけられているか・訪問回数・時間 |
⭐ POINT
負担割合証は毎年8月に更新されます(期間:8月〜翌年7月)。8月ごろに必ず再確認してください。
医療保険の場合
| 書類 | 確認内容 |
|---|---|
| 健康保険証(紙の保険証) | 記号・番号・氏名・有効期限・保険者名 |
| マイナ保険証(マイナンバーカード) | オンライン資格確認で確認(事務所のシステムによる) |
| 資格確認書 | マイナ保険証を持たない方への代替証明書(令和7年12月〜) |
| 高齢受給者証 | 70歳以上の方の自己負担割合を示す書類 |
| 後期高齢者医療被保険者証 | 75歳以上の方が使用する保険証 |
⭐ POINT
令和6年12月2日以降、紙の保険証の新規発行は停止されました。既存の紙保険証は有効期限まで使えますが、新たに利用を開始する方はマイナ保険証または資格確認書での確認が基本になります。マイナ保険証への対応方法は管理者に確認してください。
公費負担医療
一部の利用者は、保険診療に加えて「公費負担医療制度」を使えます。
公費がある場合、自己負担が減額・免除されることがあります。
| 公費の種類 | 対象 | 概要 |
|---|---|---|
| 自立支援医療(精神通院) | 精神疾患のある方 | 自己負担が原則1割(さらに軽減あり) |
| 自立支援医療(育成医療・更生医療) | 身体障害のある方 | 治療費の一部を公費負担 |
| 難病医療費助成(指定難病) | 特定難病の方 | 医療費の一部を公費助成 |
| 生活保護(医療扶助) | 生活保護受給者 | 自己負担なし(福祉事務所が管理) |
| 障害者総合支援法(重度障害者等包括支援) | 重度障害のある方 | 状況による |
| 小児慢性特定疾病医療費助成 | 18歳未満(一部20歳未満) | 医療費の助成 |
⭐ POINT
公費がある場合、通常の保険請求に加えて公費分の請求が必要になります。公費の受給者証を確認し、管理者へ情報を伝えてください。請求の方法は管理者・担当者が指示します。
高額療養費制度
医療費の自己負担額が一定の限度額を超えた場合、超過分が払い戻される制度です(または限度額適用認定証により窓口負担を軽減)。
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 限度額適用認定証 | 70歳未満の方が医療機関・訪問看護で提示することで窓口負担を軽減 |
| 高齢受給者証 | 70歳以上の方は自動的に自己負担上限が設定される場合がある |
事務員は、利用者から「限度額適用認定証を持っている」と言われた場合、管理者へ報告します。請求への反映方法は管理者が指示します。
確認のタイミング
| タイミング | 確認内容 |
|---|---|
| 利用開始時 | 全ての書類を確認・コピー |
| 毎年8月 | 負担割合証の更新確認 |
| 保険証の期限が切れるとき | 新しい保険証の提示を依頼 |
| 要介護認定の更新時 | 認定結果・有効期限の確認 |
| 利用者から「保険が変わった」と言われたとき | 速やかに確認・管理者へ報告 |
| 居宅サービス計画(ケアプラン)が変更されたとき | 訪問看護の位置づけが変わっていないか確認 |
よくある失敗
❌ 負担割合証を確認せず、昨年と同じ割合で請求してしまった
毎年8月に更新される負担割合を確認していなかった場合、自己負担の説明が誤ったり、利用者への請求書の額が変わったりします。
→ 8月は全利用者の負担割合証を更新確認するリストを作成し、漏れなく対応します。
❌ 公費受給者証があることを把握していなかった
利用者が自立支援医療や難病助成を受けていることを把握しておらず、自己負担を過大に請求してしまった。
→ 利用開始時に「他に受給者証はありますか」と確認し、すべての書類をコピーして管理します。
実務チェックリスト
□ 介護保険利用者から確認すべき3種類の書類(被保険者証・負担割合証・ケアプラン)を説明できる
□ マイナ保険証と資格確認書の違いを説明できる
□ 負担割合証の更新時期(毎年8月)を知っている
□ 公費負担医療の代表的な種類を2つ挙げられる
□ 限度額適用認定証の役割を説明できる
理解度チェック
Q1(○×問題)
介護保険の負担割合証は毎年4月に更新される。
Q2(3択問題)
マイナ保険証を持たない方が医療保険を使う際に提示する書類はどれか。
Q3(○×問題)
公費負担医療がある利用者の場合、通常の保険請求に加えて公費分の請求が必要になることがある。
Q4(3択問題)
利用者の自己負担割合を確認するための書類は何か。
Q5(5択問題)
利用者から「難病の受給者証をもらった」と連絡があった。事務員の正しい対応はどれか。
このLessonのまとめ
✅ 利用開始時は、介護保険証・負担割合証・医療保険証(または資格確認書)・公費受給者証を確認します。
✅ 負担割合証は毎年8月に更新されるため、見落としに注意します。
✅ 公費や高額療養費がある場合は、管理者への報告が必要です。
✅ 保険証類の確認は、返戻・過誤請求を防ぐ重要な業務です。
🌱 次のLesson(6-5)では、訪問看護指示書の管理方法を学びます。
参照資料
- 『訪問看護業務の手引』(令和8年6月版)第4章(保険の確認)・第9章(公費負担医療)
- 厚生労働省「マイナ保険証・資格確認書に関する通知」(令和6年〜)
- 厚生労働省「介護保険負担割合証について」
Lesson 6-5 訪問看護指示書の管理
🎯 このLessonのゴール
訪問看護指示書の種類・有効期限・管理方法を理解し、期限切れや未着が起きないよう日常的に管理できるようになる。
はじめに
訪問看護は、主治医が発行した「訪問看護指示書」がなければ実施できません。
これは法令上のルールであり、指示書のない期間の訪問は算定の根拠を失います。
事務員にとって指示書の管理は、「書類の保管」ではなく、「訪問看護が適切に続けられるかどうか」を守る業務です。
指示書の種類
① 訪問看護指示書(通常)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 誰が出すか | 主治医(かかりつけ医) |
| 有効期間 | 最長6ヶ月 |
| 使用する保険 | 介護保険・医療保険(状況による) |
| 主な内容 | 病名・主たる指示・注意事項・訪問頻度の指示など |
② 精神科訪問看護指示書
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 誰が出すか | 精神科を標榜する保険医療機関の医師 |
| 有効期間 | 最長6ヶ月 |
| 使用する保険 | 医療保険(精神科訪問看護として算定) |
| 対象 | 統合失調症・うつ病・双極性障害・認知症(BPSD)などの精神疾患 |
⭐ POINT
精神科訪問看護指示書は、通常の訪問看護指示書とは別の様式です。OURでは精神科病院経験のある看護師が在籍しており、精神科訪問看護にも対応しています。指示書の種類を混同しないよう注意してください。
③ 特別訪問看護指示書
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 誰が出すか | 主治医 |
| 有効期間 | 最長14日間 |
| 発行回数 | 月に2回まで(気管カニューレ挿入・真皮を超える褥瘡がある場合は制限なし) |
| 使用する保険 | 医療保険(特別指示書が出ている期間は介護保険者でも医療保険へ切り替わる) |
| 主な用途 | 退院後・状態が不安定な時期など、週4日以上の訪問が必要な場合 |
⭐ POINT
特別訪問看護指示書が交付された場合、その期間中は介護保険の方でも医療保険での算定に切り替わります。請求先が変わるため、管理者への速やかな報告が必要です。
指示書の管理フロー

指示書の内容確認チェック
受け取った指示書は、以下の項目を必ず確認します。
□ 利用者の氏名・生年月日が正しいか
□ 主治医の氏名・医療機関名・押印(または署名)があるか
□ 有効期間(指示期間)が記載されているか
□ 指示期間が前回の指示書と重複・空白がないか
□ 指示内容(病名・処置・注意事項等)が記載されているか
□ 前回の指示書と大きく内容が変わっていないか(変更があれば管理者へ)
有効期限の管理方法
指示書の期限管理は、訪問看護を継続する上で最も重要な事務業務の一つです。
| 管理方法 | 内容 |
|---|---|
| 台帳管理 | 利用者ごとに指示書の発行日・有効期間・次回更新予定日を一覧で管理 |
| カレンダー管理 | 更新が必要な時期をカレンダーに記入し、事前に確認 |
| システムアラート | 電子システムを使用している場合は期限アラート機能を活用 |
目安として、有効期限の1〜2ヶ月前に主治医へ更新依頼を行います。
主治医への依頼・受け取り方法
| 方法 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| FAX送付(依頼書を送り、記入後返送) | 一般的な方法 | FAXの受信確認・未着時の追跡 |
| 郵送 | 遠方の医療機関など | 到着に日数がかかるため早めに依頼 |
| 医療機関へ持参・受け取り | 確実だが手間がかかる | 受け取り時に内容を確認 |
| 電子交付(オンライン) | 令和8年度から普及促進中 | 対応システムによる |
指示書が届かない(未着)場合の対応
指示書の期限が迫っているのに届かない場合は、以下の順で対応します。
- 医療機関へ電話・FAXで状況確認
- 状況を管理者へ報告
- 管理者の判断で対応方針を決定(訪問を一時的に調整するかどうかなど)
指示書なしに訪問を継続することはできません。必ず管理者の指示を仰いでください。
主治医が変更になった場合
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| ① 変更の確認 | 利用者・家族・ケアマネジャーから情報を入手 |
| ② 新主治医の確認 | 新しい医療機関名・医師名・連絡先を確認 |
| ③ 新指示書の依頼 | 新主治医に対して訪問看護指示書の発行を依頼 |
| ④ 旧指示書の保管 | 前の主治医の指示書は廃棄せず保管する |
| ⑤ 管理者への報告 | 変更内容を管理者へ共有し、現場スタッフへも伝達 |
よくある失敗
❌ 指示書の期限が切れていることに気づかず訪問を続けてしまった
→ 台帳・システムでの期限管理を徹底し、期限1〜2ヶ月前に更新依頼を習慣にします。
❌ FAXで依頼した指示書が届いていないのに、「届いた」と思い込んでいた
FAXのトラブルや、医療機関側での処理遅延により届かないことがあります。
→ 期限内に届いていない場合は必ず確認の電話・FAXを行います。
❌ 精神科訪問看護指示書と通常の訪問看護指示書を混同した
精神科訪問看護には専用の様式が必要です。
→ 受け取った際に種類を確認し、担当スタッフへ正確に伝えます。
実務チェックリスト
□ 訪問看護指示書の3種類(通常・精神科・特別)の違いを説明できる
□ 通常の訪問看護指示書の有効期間(最長6ヶ月)を知っている
□ 特別訪問看護指示書の有効期間(最長14日・月2回まで)を知っている
□ 指示書を受け取ったときのチェックポイントを3つ挙げられる
□ 指示書の期限管理の仕組みを説明できる
□ 指示書が未着の場合の対応手順を知っている
理解度チェック
Q1(○×問題)
訪問看護指示書の有効期間は最長1年間である。
Q2(3択問題)
特別訪問看護指示書が交付されている期間中、介護保険の被保険者の請求保険はどうなるか。
Q3(○×問題)
指示書を受け取ったとき、事務員は押印・署名の有無と有効期間を確認する必要がある。
Q4(3択問題)
指示書の更新を依頼するタイミングとして適切なのはどれか。
Q5(5択問題)
指示書期限が来月末。FAXで更新依頼を送ったが1週間たっても返信がない。最初にすべきことはどれか。
このLessonのまとめ
✅ 訪問看護指示書は「通常・精神科・特別」の3種類があり、それぞれ有効期間・用途が異なります。
✅ 指示書の期限管理は事務員の重要な業務です。台帳・システムで一元管理します。
✅ 指示書が届いていない場合は、必ず確認し、管理者に報告します。
✅ 主治医が変わった場合も、速やかに新指示書を手配します。
🌱 次のLesson(6-6)では、訪問看護計画書・報告書・情報提供書類について学びます。
参照資料
- 『訪問看護業務の手引』(令和8年6月版)第6章(介護給付費)・第7章(訪問看護療養費)
- 厚生労働省「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」(平成12年厚生省令第80号・最終改正 令和8年)
- 厚生労働省「特別訪問看護指示書に関する留意事項」
Lesson 6-6 計画書・報告書・情報提供書類
🎯 このLessonのゴール
訪問看護に関わる書類の種類・作成主体・提出先・提出時期を把握し、事務員として何を管理すべきかを説明できるようになる。
はじめに
訪問看護では、訪問した記録だけでなく、「計画」と「報告」をまとめた書類を定期的に作成・提出する義務があります。
これらの書類は、主治医やケアマネジャーと情報を共有し、連携した支援を続けるために欠かせません。
事務員は書類の「作成者」ではありませんが、「提出されているかどうか」「期限内かどうか」を管理する役割があります。
主な書類の種類と概要
① 訪問看護計画書
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作成者 | 訪問看護師・リハビリ職(現場スタッフ) |
| 提出先 | 主治医・ケアマネジャー(介護保険の場合) |
| 提出時期 | 訪問看護開始時・定期的に(月1回が一般的) |
| 内容 | 訪問看護の目標・実施計画・訪問頻度・担当者など |
② 訪問看護報告書
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作成者 | 訪問看護師・リハビリ職(現場スタッフ) |
| 提出先 | 主治医・ケアマネジャー(介護保険の場合) |
| 提出時期 | 月1回(医療保険は月に1回以上) |
| 内容 | 訪問した内容・利用者の状態・経過・課題など |
⭐ POINT
訪問看護計画書・報告書を定期的に主治医へ送付することは、算定要件に関わります。送付の事実を記録として残してください。
③ 情報提供書類(主治医意見書・情報提供書など)
| 種類 | 主な用途 |
|---|---|
| 主治医への情報提供書 | 利用者の状態変化・緊急時などを主治医へ報告 |
| ケアマネジャーへの情報提供 | 月次報告・状態変化の共有 |
| 退院時共同指導記録 | 入院先との連携時に使用 |
| サービス担当者会議 議事録 | ケアプラン策定時の会議記録 |
④ 介護保険に特有の書類
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 居宅サービス計画(ケアプラン)の写し | ケアマネジャーが作成。訪問看護の位置づけを確認 |
| 給付管理票 | ケアマネジャーが管理。支給限度額内かを確認 |
| アセスメント記録 | 利用者の生活状況・課題の評価記録 |
事務員が管理するポイント
| 確認事項 | 内容 |
|---|---|
| 提出済みか否か | 計画書・報告書が毎月提出されているかを確認 |
| 郵送・FAXの記録 | 送付した日時・方法・宛先を記録 |
| 返信・確認の記録 | 主治医から受け取った確認書類(押印済み等)を保管 |
| 未提出の追跡 | 提出が遅れている場合は現場スタッフへ確認 |
⭐ POINT
事務員は「作らない・書かない」役割ですが、「出たか・届いたか・保管されているか」を管理する責任があります。「たぶん出していると思う」では管理とは言えません。
書類保管のルール(概要)
書類は利用者ごとにファイリングして保管します。保存期間については別途Lesson 6-13で学びます。
| ファイルに入れるもの | 例 |
|---|---|
| 指示書 | 訪問看護指示書・特別指示書 |
| 計画書・報告書 | 月次のもの・変更時のもの |
| 契約書類 | 重要事項説明書・利用契約書 |
| 保険証類 | コピーを保管 |
| 送受信記録 | FAX送受信記録・郵便記録 |
よくある失敗
❌ 計画書・報告書の送付記録が残っていない
「送った」と思っていても、記録がなければ証明できません。監査や問い合わせの際に困ります。
→ 送付日・方法(FAX番号や郵送先)・担当者を記録に残す習慣をつけます。
❌ ケアプランが更新されたことを把握していなかった
ケアマネジャーからケアプランが変更されたとき、訪問看護の内容が変わっていたり、位置づけが外れていたりすることがあります。
→ ケアプランの更新連絡があった際は、必ず内容を管理者へ共有します。
実務チェックリスト
□ 訪問看護計画書と訪問看護報告書の違いを説明できる
□ 計画書・報告書の提出先(主治医・ケアマネジャー)を知っている
□ 送付記録の取り方(いつ・どこへ・どの方法で)を説明できる
□ ケアプランの変更時に事務員が確認すべきことを知っている
理解度チェック
Q1(○×問題)
訪問看護計画書は事務員が作成する書類である。
Q2(3択問題)
訪問看護報告書の主な提出先はどれか。
Q3(○×問題)
計画書・報告書の送付記録(送った日時・方法・宛先)は残しておく必要がある。
Q4(3択問題)
ケアプランが更新されたとき、事務員が確認すべきことはどれか。
Q5(5択問題)
今月の計画書がまだ主治医に送られていないことに気づいた。正しい対応はどれか。
このLessonのまとめ
✅ 訪問看護では計画書・報告書を定期的に主治医・ケアマネジャーへ提出することが必要です。
✅ 事務員は「作成」ではなく「提出管理・記録保管」を担います。
✅ 送付記録・受取記録は監査時の証拠になります。必ず残しましょう。
🌱 次のLesson(6-7)では、実績管理(予定と実績の照合)を学びます。
参照資料
- 『訪問看護業務の手引』(令和8年6月版)第7章(訪問看護療養費)・第6章(介護給付費)
- 厚生労働省「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」(最新版)
Lesson 6-7 実績管理
🎯 このLessonのゴール
訪問の「予定」と「実績」の違いを理解し、実績の確認・照合・修正が正確にできるようになる。
はじめに
毎月の訪問看護の請求は、「実際に訪問した実績」をもとに行います。
予定通りに訪問できた日もあれば、キャンセル・変更・緊急対応があった日もあります。
事務員は、月末にこれらの実績を正確に確認し、請求データに反映させる役割があります。
予定と実績の違い
| 項目 | 予定 | 実績 |
|---|---|---|
| 内容 | 計画された訪問スケジュール | 実際に行った訪問の記録 |
| 登録者 | 事務員(スケジュール入力時) | 現場スタッフ(訪問後に記録) |
| 変更時期 | 事前 | 訪問後(事後) |
| 使用目的 | 訪問の計画・資源管理 | 請求の根拠 |
⭐ POINT
請求の根拠になるのは「予定」ではなく「実績」です。予定通りでも、実績が未入力なら請求できません。
実績として記録が必要な項目
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 訪問日 | 何月何日に訪問したか |
| 訪問時間 | 何時から何時まで(開始・終了時刻) |
| 訪問した職種 | 看護師・理学療法士(PT)・作業療法士(OT) |
| 担当スタッフ名 | 誰が訪問したか |
| 訪問した人数 | 複数名訪問の場合は人数・職種の組み合わせ |
| 訪問の種類 | 定期訪問・緊急訪問・夜間・早朝・深夜・長時間 など |
訪問の種類と区分
訪問の種類によって、算定できる報酬が変わります。
| 訪問の種類 | 区分・条件 |
|---|---|
| 定期訪問 | 通常の計画訪問 |
| 緊急訪問 | 24時間対応体制のもと、利用者・家族の要請を受けて臨時で訪問 |
| 早朝訪問 | 午前6時〜午前8時の間に開始 |
| 夜間訪問 | 午後6時〜午後10時の間に開始 |
| 深夜訪問 | 午後10時〜午前6時の間に開始 |
| 長時間訪問 | 90分を超える訪問(医療保険の場合に加算あり) |
| 複数名訪問 | 複数のスタッフが同時に訪問する場合 |
キャンセル・変更の処理
| 状況 | 処理内容 |
|---|---|
| 利用者都合でキャンセル | 実績なし・予定をキャンセル処理 |
| 入院によるキャンセル | 入院日以降は実績なし・期間中のスケジュール停止 |
| 振替訪問(日程変更) | 変更後の日に実績を登録 |
| 緊急訪問(臨時追加) | 追加訪問として実績を登録 |
| 訪問時間の変更 | 実際の開始・終了時刻で記録 |
月末の実績照合の流れ
“` 月末が近づく ↓ 現場スタッフの訪問記録を確認 ↓ システムの実績データと予定を比較 ↓ 差異(キャンセル・追加・時間変更)を確認 ↓ 未入力・不明な実績は現場スタッフへ確認 ↓ 実績データを確定(修正・確認印等) ↓ 請求データの作成へ(Lesson 6-8・6-9) “`
よくある失敗
❌ 緊急訪問があったのに、通常訪問の記録にしか残っていなかった
緊急訪問は別の加算がつく場合があります。「緊急」かどうかを現場から正確に聞き取って記録します。
❌ 複数名訪問の記録が1名分しか入力されていなかった
同行スタッフの分が入力されておらず、算定漏れが発生することがあります。誰と誰が何分訪問したかを確認します。
❌ 月末に実績を確認したら、1週間分の記録が抜けていた
現場スタッフが訪問記録を入力しておらず、事務員が月末になって気づくケースです。
→ 週次で実績の入力状況を確認し、遅延があれば早めに現場へ連絡します。
実務チェックリスト
□ 「予定」と「実績」の違いを説明できる
□ 実績として記録が必要な項目を5つ挙げられる
□ 緊急訪問・夜間訪問・深夜訪問の区分を説明できる
□ キャンセル・振替・緊急追加のそれぞれの処理を説明できる
□ 月末の実績照合の流れを説明できる
理解度チェック
Q1(○×問題)
利用者がキャンセルした場合でも、予定していた訪問は実績として算定できる。
Q2(3択問題)
午後10時から翌朝2時まで行った緊急訪問は、どの区分に該当するか。
Q3(○×問題)
複数名訪問の場合、同行した全スタッフの訪問記録をそれぞれ記録する必要がある。
Q4(3択問題)
予定どおりとシステムに登録されていたが、実際はキャンセルだった。このまま請求するとどうなるか。
Q5(5択問題)
月末に1週間分の記録がシステムに未入力だったことに気づいた。最初にすべきことはどれか。
このLessonのまとめ
✅ 請求の根拠は「実績」です。予定と実績の差異を毎月確認します。
✅ 緊急・夜間・深夜・複数名訪問など、種類によって算定が変わります。
✅ 月末に大きなずれが出ないよう、週次で実績の入力状況を確認する習慣をつけます。
🌱 次のLesson(6-8)では、介護保険の請求業務の基礎を学びます。
参照資料
- 『訪問看護業務の手引』(令和8年6月版)第6章(介護給付費)・第7章(訪問看護療養費)
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(令和8年度改定版)
Lesson 6-8 介護保険請求の基礎
🎯 このLessonのゴール
介護保険における訪問看護の請求の仕組みを理解し、国保連への請求の流れを説明できるようになる。
はじめに
介護保険では、訪問した実績を「単位」で表し、国民健康保険団体連合会(国保連)へ請求します。
請求は毎月決まった期限内に行い、審査を経て翌々月ごろに報酬が振り込まれます。
このLessonでは、介護保険請求の基本的な仕組みと流れを整理します。
介護保険請求の基本構造

「単位」とは何か
介護保険の報酬は「円」ではなく「単位」で表示されます。
単位数 × 地域単価(円/単位) = 報酬額(円)
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 単位数 | サービスの種類・時間・加算ごとに決められた数値 |
| 地域単価 | 地域ごとに設定された1単位あたりの金額(宮崎市は「その他地域」等) |
| 所定単位数 | 基本の単位数 |
| 加算 | 追加の条件を満たしたときに加えられる単位数 |
介護保険 訪問看護の主なサービスコード
| 訪問時間 | 主なコード(例) |
|---|---|
| 20分未満 | 要支援者向け・身体の状態確認など短時間訪問 |
| 30分未満 | 基本的な訪問看護 |
| 30〜60分未満 | 一般的な訪問看護 |
| 60〜90分未満 | 長時間の処置や観察が必要な場合 |
| 90分以上 | 特別な事情がある場合 |
※正確なコードは令和8年度改定の告示・厚生労働省資料で確認してください。
支給限度額と給付管理
介護保険では、利用者ごとに「月の支給限度額」があります。
| 関係者 | 役割 |
|---|---|
| ケアマネジャー | ケアプランを作成し、支給限度額の範囲で各サービスを調整(給付管理) |
| 国保連 | ケアマネジャーが提出した給付管理票とサービス事業所の実績を突き合わせて審査 |
| 訪問看護ステーション | 実績を国保連へ請求(ケアプランの範囲内であることが前提) |
⭐ POINT
訪問看護ステーションが請求できるのは、ケアプランに位置づけられた範囲内の訪問です。ケアプランにない訪問は原則として算定できません。ケアプランが変更された際は、必ず内容を確認します。
返戻(差し戻し)とは
請求データに問題があると、国保連から「返戻(へんれい)」として差し戻されます。
| 主な返戻の原因 | 内容 |
|---|---|
| 資格エラー | 保険証番号・被保険者番号が誤っている |
| 給付管理との不一致 | ケアマネジャーの給付管理票と実績が合わない |
| 限度額超過 | ケアプランの限度額を超えた請求 |
| 指示書なし | 対象期間に有効な指示書がない |
| 算定要件を満たしていない | 加算の要件を満たしていないまま算定した |
返戻があった場合は内容を確認し、管理者へ報告します。修正後、再請求します。
過誤(誤請求の訂正)
いったん支払いが確定した請求内容が誤っていることに後から気づいた場合、「過誤調整」という手続きで訂正します。
過誤は返戻とは別のプロセスで、市区町村への申し出が必要です。管理者の指示に従って対応します。
利用者への自己負担請求
国保連への請求とは別に、利用者(家族)へ自己負担分(1割〜3割)を請求します。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 負担割合 | 負担割合証で確認(毎年8月更新) |
| 請求書の発行 | 月次で発行(OURの運用による) |
| 支払い方法 | 口座振替・現金・振込など |
実務チェックリスト
□ 介護保険の請求先(国保連)を説明できる
□ 「単位」の意味と地域単価の概念を説明できる
□ 国保連への請求の期限(翌月10日まで)を知っている
□ 返戻の主な原因を3つ挙げられる
□ 過誤と返戻の違いを説明できる
理解度チェック
Q1(○×問題)
介護保険の訪問看護は、ケアプランに位置づけられていない訪問でも算定できる。
Q2(3択問題)
介護保険の給付費請求の期限は翌月何日までか(一般的な目安)。
Q3(○×問題)
介護保険の報酬は「単位」で表され、地域ごとに1単位あたりの金額が異なる。
Q4(3択問題)
国保連から請求が「返戻」されたとき、まず行うべきことはどれか。
Q5(5択問題)
ケアプランの支給限度額を超えた訪問が実績として記録されていた。正しい対応はどれか。
このLessonのまとめ
✅ 介護保険の請求は「単位×地域単価」で計算し、国保連へ翌月10日までに送信します。
✅ ケアプランの範囲内であることが算定の前提です。
✅ 返戻があった場合は原因を確認し、管理者へ報告して再請求します。
🌱 次のLesson(6-9)では、医療保険の請求(訪問看護療養費)を学びます。
参照資料
- 『訪問看護業務の手引』(令和8年6月版)第6章(介護給付費)
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(令和8年度改定版)
- 厚生労働省「介護給付費請求の手引き」(最新版)
Lesson 6-9 医療保険請求の基礎
🎯 このLessonのゴール
医療保険における訪問看護療養費の仕組みを理解し、審査支払機関への請求の流れを説明できるようになる。
はじめに
医療保険の訪問看護請求は、介護保険とは仕組みが異なります。
報酬の単位が「単位」ではなく「円」であること、請求先が審査支払機関であること、算定できる回数や時間の考え方が異なることなどを理解します。
医療保険請求の基本構造

訪問看護療養費の主な構成
医療保険の訪問看護報酬は、大きく以下の種類に分かれます。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 訪問看護基本療養費(Ⅰ) | 保険医療機関以外のステーションによる訪問 |
| 訪問看護基本療養費(Ⅱ) | 同一建物居住者に対する訪問(複数人を同日訪問) |
| 訪問看護管理療養費 | ステーションによる管理費用・機能強化型は別途 |
| 精神科訪問看護基本療養費 | 精神科訪問看護の費用 |
訪問看護基本療養費の主な区分(令和8年度)
| 時間区分 | 主な対象 |
|---|---|
| 週3日まで(原則) | 通常の訪問 |
| 週4日以上 | 厚生労働大臣が定める疾病等・特別訪問看護指示書がある場合など |
| 90分以上の長時間訪問 | 長時間訪問看護加算として別途算定 |
※正確な料金・算定条件は厚生労働省の告示・通知を確認してください。
訪問看護管理療養費
毎月の訪問看護を管理するための費用(月1回算定)。
| 種別 | 概要 |
|---|---|
| 訪問看護管理療養費1 | 機能強化型訪問看護管理療養費(1・2・3・4)に該当しない一般のステーション |
| 機能強化型訪問看護管理療養費 | 届出を行い、要件を満たすステーションが算定できる上位区分 |
主な加算(医療保険)
| 加算名 | 概要 |
|---|---|
| 24時間対応体制加算 | 24時間の緊急対応体制が整っている場合(届出必要) |
| 特別管理加算(Ⅰ・Ⅱ) | 特別な管理が必要な利用者(在宅中心静脈栄養・人工呼吸器等) |
| ターミナルケア療養費 | 在宅での看取りを支援した場合 |
| 緊急訪問看護加算 | 緊急の臨時訪問を行った場合 |
| 長時間訪問看護加算 | 90分を超える訪問を行った場合 |
| 夜間・早朝・深夜訪問看護加算 | 時間帯によって加算 |
| 複数名訪問看護加算 | 複数名で訪問した場合 |
| 精神科訪問看護関係加算 | 精神科訪問看護に関する各種加算 |
請求先の整理
| 保険種別 | 請求先 |
|---|---|
| 健康保険組合・協会けんぽ | 社会保険診療報酬支払基金 |
| 後期高齢者医療 | 社会保険診療報酬支払基金 |
| 国民健康保険(自営業等) | 都道府県国民健康保険団体連合会(介護とは別窓口) |
| 生活保護(医療扶助) | 都道府県・福祉事務所経由 |
返戻(医療保険)
医療保険でも、内容に問題があると審査支払機関から返戻されます。
| 主な返戻原因 | 内容 |
|---|---|
| 資格エラー | 保険番号・氏名・生年月日の誤り |
| 指示書期間外の算定 | 指示書がない期間に算定した |
| 回数超過 | 週3日を超えて算定したが、要件を満たしていない |
| 算定要件の不備 | 加算の要件を満たしていないまま算定した |
返戻があった場合は、内容を確認し管理者へ報告します。修正・再請求は管理者の指示に従います。
実務チェックリスト
□ 医療保険の請求先(審査支払機関)を説明できる
□ 訪問看護基本療養費と管理療養費の違いを説明できる
□ 医療保険の訪問看護では原則週3日まで(例外あり)であることを知っている
□ 主な加算を3つ挙げられる
□ 医療保険の返戻の主な原因を説明できる
理解度チェック
Q1(○×問題)
医療保険の訪問看護では、原則として週3日を超えて訪問した場合でも、すべて算定できる。
Q2(3択問題)
訪問看護療養費(医療保険)の請求先として正しいものはどれか(健康保険組合の場合)。
Q3(○×問題)
訪問看護管理療養費は、その月に訪問を行った場合、月1回算定されるものである。
Q4(3択問題)
医療保険の訪問看護で、特別管理加算(Ⅰ)の対象となるのはどれか。
Q5(5択問題)
医療保険で週4回以上算定できる条件として正しいものはどれか。
このLessonのまとめ
✅ 医療保険の訪問看護は訪問看護療養費として算定し、審査支払機関へ請求します。
✅ 原則週3日まで(別表第7・特別指示書は例外)であることを覚えておきます。
✅ 加算の種類は多いため、それぞれの算定要件を管理者とともに確認します。
🌱 次のLesson(6-10)では、加算・届出・算定要件を整理します。
参照資料
- 『訪問看護業務の手引』(令和8年6月版)第7章(訪問看護療養費)・第8章(関連診療報酬)
- 厚生労働省「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」(令和8年度改定版)
- 厚生労働省「訪問看護療養費の算定方法の留意事項」(令和8年度)
Lesson 6-10 加算・届出・算定要件
🎯 このLessonのゴール
訪問看護ステーションが算定できる主な加算と、届出が必要なものを整理し、事務員として何を管理するかを説明できるようになる。
はじめに
訪問看護の報酬には、基本の費用に加えて「加算」があります。
加算を算定するためには、「要件を満たしていること」と「届出が必要なものは届出をしていること」が前提です。
事務員は加算を計算するのではなく、「届出の状況・更新時期・算定要件が維持されているか」を管理することが主な役割です。
届出が必要な主な加算・体制
OURが算定できる(または算定を検討する)加算のうち、届出が必要なものを整理します。
| 加算・体制 | 届出先 | 届出のタイミング | 事務員が管理するポイント |
|---|---|---|---|
| 24時間対応体制加算 | 地方厚生局 | 体制整備後(随時) | 要件維持・記録 |
| 機能強化型訪問看護管理療養費(1〜4) | 地方厚生局 | 年次(前年実績に基づく) | 実績の集計・届出期限 |
| 特別管理加算(Ⅰ・Ⅱ) | 届出不要(算定要件を満たせば算定可) | 毎回算定時 | 対象者の把握・記録 |
| ターミナルケア療養費 | 届出不要(算定要件を満たせば算定可) | 算定時 | 対象要件の確認 |
| ベースアップ評価料(医療保険) | 地方厚生局 | 年次 | 届出・賃金記録 |
| 介護職員等処遇改善加算 | 都道府県(介護) | 年次(前期・後期) | 計画書・実績報告書の提出 |
| 医療DX推進体制整備加算 | 地方厚生局 | 体制整備後(随時) | 要件・機器整備状況 |
| 医療情報連携加算 | 届出不要(算定要件を満たせば算定可) | 毎回算定時 | 電子情報提供の記録 |
主な加算の概要
① 24時間対応体制加算
24時間・365日の緊急連絡・緊急訪問体制を整備しているステーションが算定できます。
OURは24時間・365日・オンコール対応を実施しています。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 24時間連絡体制 | 夜間・休日も電話で連絡を受けられる体制 |
| 緊急訪問体制 | 必要時に緊急訪問ができる体制 |
| 利用者への説明 | 文書で説明・同意を得ること |
| 届出 | 地方厚生局への届出が必要 |
② 機能強化型訪問看護管理療養費(1・2・3・4)
特定の体制・実績を有するステーションが、一般の管理療養費より高い報酬を算定できる区分です。
| 区分 | 主な要件(概要) |
|---|---|
| 機能強化型1 | 24時間対応・ターミナルケア・重症者・複数専門職 など高い実績 |
| 機能強化型2 | 機能強化型1より要件が緩やか |
| 機能強化型3 | さらに要件が緩やか |
| 機能強化型4 | 令和8年度新設・初めて機能強化型を目指す事業所向け |
※正確な要件は令和8年度の告示・通知で確認してください。OURの届出区分については管理者に確認してください。
⭐ POINT
機能強化型の届出は「前年の実績」をもとに行います。事務員は実績集計・書類作成の補助を担うことがあります。
③ 特別管理加算(Ⅰ・Ⅱ)
特別な医療処置が必要な利用者への訪問を行った場合に算定できます。
| 加算 | 対象の例 |
|---|---|
| 特別管理加算(Ⅰ) | 在宅中心静脈栄養法・人工呼吸器・気管カニューレなど |
| 特別管理加算(Ⅱ) | 留置カテーテル・在宅酸素療法・褥瘡(真皮を超えるもの)など |
④ ターミナルケア療養費
在宅での看取りを支援した場合(死亡日または死亡日前14日以内に訪問看護を行い、かつ一定の要件を満たす場合)に算定できます。
対象者が亡くなった月の請求に反映されます。管理者から情報を受け取り、適切に算定します。
⑤ ベースアップ評価料(医療保険)
看護師等の賃金改善を目的とした加算です(令和6年度新設)。届出が必要であり、賃金引き上げの実績を記録・報告する義務があります。
⑥ 介護職員等処遇改善加算(介護保険)
介護職員(訪問看護の場合は看護師等を含む場合がある)の処遇改善を目的とした加算です。
毎年度、計画書の提出と実績報告書の提出が必要です。期限を守って提出します。
届出の管理
届出が必要な加算は、一度届出を行えば終わりではありません。
| 管理が必要な事項 | 内容 |
|---|---|
| 届出年月日 | いつ届出をしたか |
| 受理通知 | 届出が受理されたことを確認・保管 |
| 更新・変更 | 年次更新や要件変更時の再届出 |
| 要件の維持 | 加算の要件が継続して満たされているか |
| 届出先 | 地方厚生局(医療保険)・都道府県(介護保険) |
実務チェックリスト
□ 加算を算定するために「届出」が必要な場合があることを知っている
□ 24時間対応体制加算の主な要件を説明できる
□ 機能強化型訪問看護管理療養費の区分(1〜4)があることを知っている
□ 特別管理加算(Ⅰ・Ⅱ)の対象の違いを説明できる
□ 届出の受理通知を保管する必要があることを知っている
理解度チェック
Q1(○×問題)
機能強化型訪問看護管理療養費の届出は、一度行えば更新不要である。
Q2(3択問題)
訪問看護ステーションの届出先(医療保険系加算)はどこか。
Q3(○×問題)
24時間対応体制加算を算定するためには、地方厚生局への届出が必要である。
Q4(3択問題)
ベースアップ評価料(医療保険)の主な目的は何か。
Q5(5択問題)
加算の届出受理通知書が届いた。事務員として正しい取り扱いはどれか。
このLessonのまとめ
✅ 加算には「届出不要で要件さえ満たせば算定できるもの」と「届出が必要なもの」があります。
✅ 届出加算は受理通知の保管・年次更新・要件維持が必要です。
✅ 事務員の役割は「計算」ではなく「管理・追跡・記録」です。
🌱 次のLesson(6-11)では、月末・月初の業務をカレンダーで整理します。
参照資料
- 『訪問看護業務の手引』(令和8年6月版)第7章(訪問看護療養費)・第8章(関連診療報酬)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 訪問看護関係」(令和8年3月)
- 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定 介護給付費加算関係」(令和8年3月)
Lesson 6-11 月末・月初業務
🎯 このLessonのゴール
毎月の決まった期限と業務内容を把握し、月末・月初の業務を漏れなく処理できるようになる。
はじめに
訪問看護の事務業務は、1ヶ月を単位として動いています。
請求の期限・書類の提出期限・確認のタイミング……これらを「なんとなく」ではなく、カレンダー上で管理することが大切です。
このLessonでは、月のサイクルに沿って、いつ・何をするかを整理します。
月間業務カレンダー(目安)
| 時期 | 業務 | 担当 |
|---|---|---|
| 月初〜随時 | 新規利用者の保険証・書類確認 | 事務員 |
| 月初〜随時 | 指示書の有効期限チェック・更新依頼 | 事務員 |
| 月中 | 実績の入力状況を週次で確認 | 事務員 |
| 月末までに | 計画書・報告書の作成・送付確認 | 現場スタッフ(事務は管理) |
| 月末までに | 全利用者の実績を確定 | 事務員・現場スタッフ |
| 月末〜翌月5日 | 請求データの作成・確認 | 事務員・管理者 |
| 翌月10日まで | 国保連(介護)・審査支払機関(医療)へ請求送信 | 事務員・管理者 |
| 請求後 | 送信完了の確認・控えの保管 | 事務員 |
| 返戻到着後 | 返戻内容の確認・管理者への報告・修正・再請求 | 事務員・管理者 |
| 翌々月中旬〜末 | 入金確認(介護・医療ともに翌々月ごろ) | 管理者(事務が補助) |
| 随時 | 利用者への自己負担請求書の発行・送付 | 事務員 |
| 毎年8月 | 負担割合証の更新確認(全利用者) | 事務員 |
| 毎年度 | 加算届出・処遇改善計画書の提出 | 管理者(事務が補助) |
月末処理で特に注意するポイント
ポイント①:実績の最終確認
月末は、すべての利用者について「その月に訪問した回数・時間・職種」が正しく記録されているかを確認します。
□ キャンセルはキャンセル処理されているか
□ 緊急訪問・夜間訪問は正しく種別登録されているか
□ 複数名訪問の記録が漏れていないか
□ 入院期間中の実績がゼロになっているか
ポイント②:指示書の有効期限
月末時点で、翌月の訪問に有効な指示書があるかを確認します。
□ 翌月中に期限が切れる指示書がある場合は、当月中に更新依頼を行う
□ 特別訪問看護指示書の期限(最長14日)を確認する
ポイント③:保険の状況変化
月をまたいで保険が変わっている場合や、新しい情報が入った場合の確認。
□ 負担割合の変更はないか(特に8月)
□ ケアプランの変更通知が来ていないか
□ 新しい公費受給者証が届いていないか
請求業務の流れ(月末〜翌月10日)

⭐ POINT
月によって期限が前後する場合があります(連休・祝日)。「10日が月曜日で前日が日曜の場合は9日まで」など、毎月のカレンダーを事前に確認して期限を把握しておきます。
年間の定期業務
| 時期 | 業務 |
|---|---|
| 毎年3月〜4月 | 加算届出の更新(前年実績をもとに) |
| 毎年4月 | 介護職員等処遇改善加算の計画書提出 |
| 毎年8月 | 全利用者の負担割合証更新確認 |
| 毎年11月〜12月 | ベースアップ評価料等の実績報告書提出(医療) |
| 毎年度末 | 処遇改善加算の実績報告書提出(介護) |
よくある失敗
❌ 請求期限ギリギリになって不備が見つかった
月末に実績の確認を始めるのでは遅すぎます。週次で実績を確認し、問題があれば早めに修正します。
❌ 翌月分の指示書が来ていないのに気づかなかった
月末に確認すれば翌月前に手配できます。指示書の有効期限は月末の確認項目に必ず入れましょう。
実務チェックリスト
□ 介護保険と医療保険の請求期限(翌月10日)を知っている
□ 月末の実績確認で確認すべき5つのポイントを挙げられる
□ 毎年8月に負担割合証の更新確認が必要なことを知っている
□ 加算届出の更新時期(毎年3〜4月)を知っている
理解度チェック
Q1(○×問題)
国保連への介護給付費の請求は、毎月末日までに行えばよい。
Q2(3択問題)
介護保険の負担割合証が更新される時期はいつか。
Q3(○×問題)
月末の実績確認では、入院期間中に実績がゼロになっているかも確認する必要がある。
Q4(3択問題)
加算届出の年次更新(機能強化型等)は通常いつ行うか。
Q5(5択問題)
月末に利用者の訪問実績が1件未入力だったことに気づいた。最初にすべきことはどれか。
このLessonのまとめ
✅ 請求期限は翌月10日。月末には実績の最終確認・指示書確認・保険状況確認を行います。
✅ 月単位の業務だけでなく、年間の定期業務(8月・年度末)も把握しておきます。
✅ 期限間際に不備が見つからないよう、週次での実績確認が重要です。
🌱 次のLesson(6-12)では、返戻・請求漏れ・過誤への対応を学びます。
参照資料
- 『訪問看護業務の手引』(令和8年6月版)第6章・第7章
- 厚生労働省「介護給付費請求の手引き」(最新版)
- 厚生労働省「診療報酬請求書等の記載要領等について」(最新版)
Lesson 6-12 返戻・請求漏れ・過誤への対応
🎯 このLessonのゴール
返戻・過誤・請求漏れそれぞれの意味・原因・対応方法を理解し、発生時に落ち着いて管理者と連携して対処できるようになる。
はじめに
請求に関するトラブルは「誰でも起こしうること」であり、「起きたらすぐ対応すること」が大切です。
このLessonでは、返戻・過誤・請求漏れの違いを整理し、それぞれの対処法を学びます。
返戻・過誤・査定の違い
| 用語 | 意味 | タイミング |
|---|---|---|
| 返戻(へんれい) | 審査機関が請求データを差し戻すこと。「この内容では審査できない」という状態 | 審査後(請求翌月ごろ) |
| 査定 | 審査機関が請求内容を一部認めないこと。算定要件を満たしていない部分が削られる | 審査後 |
| 過誤(かご) | いったん支払われた請求が、後から誤りであることが判明した場合 | 支払い後(いつでも) |
| 請求漏れ | 実際に訪問したのに、請求データに含めていなかった場合 | 請求時に未発見 |
返戻の主な原因と対応
| 原因 | 対応方法 |
|---|---|
| 被保険者番号・保険証番号の誤り | 保険証を再確認し、正しい番号で再請求 |
| 給付管理との不一致(介護) | ケアマネジャーへ連絡し、給付管理票との突き合わせ |
| 指示書がない・期間外 | 正しい指示書の有無を確認・管理者へ報告 |
| 資格喪失後の請求 | 保険の有効期間を確認 |
| 加算の算定要件不備 | 加算が取り消され、再算定が必要な場合あり |
返戻が届いたときの対応フロー

⭐ POINT
返戻には「再請求の期限」があります。返戻の通知が届いたら、先延ばしにせず速やかに対応します。
過誤の対応方法
過誤は「支払いが済んだ後に誤りに気づいた場合」です。
| ケース | 対応 |
|---|---|
| 算定していないはずの加算が算定されていた | 過誤申し立て(取り消し)→ 正しい金額で再請求 |
| 実績が誤っていた(架空の実績など) | 過誤申し立て・修正請求 |
| 保険が変わっていたのに古い保険で請求していた | 過誤申し立て・新しい保険で再請求 |
過誤の申し立て先:介護保険は市区町村(国保連を通じて)、医療保険は審査支払機関または保険者に報告します。管理者が主体となって対応します。
請求漏れへの対応
実際に訪問したのに請求に含まれていなかった場合は「月遅れ請求」として再請求が可能です。
ただし、月遅れ請求には期限(通常は翌月〜数ヶ月以内)があります。気づいた時点で管理者へ報告し、速やかに処理します。
再発防止のポイント
| 原因 | 再発防止策 |
|---|---|
| 保険証番号の入力ミス | 入力後に保険証との照合を行う |
| 実績の未入力 | 週次での実績確認を習慣化する |
| 指示書の期限切れ | 台帳・システムで期限管理を行う |
| ケアプランと実績の不一致 | ケアプラン変更時に実績との整合を確認する |
| 加算要件の勘違い | 加算ごとの算定要件を管理者と定期確認する |
よくある失敗
❌ 返戻通知を「後で見よう」と放置してしまった
返戻には再請求の期限があります。放置すると請求できなくなる場合があります。
→ 返戻通知が届いたら、当日中に管理者へ報告します。
実務チェックリスト
□ 返戻・過誤・請求漏れの違いを説明できる
□ 返戻が届いたときの対応フローを説明できる
□ 返戻の主な原因を3つ挙げられる
□ 月遅れ請求(請求漏れへの対応)があることを知っている
□ 再発防止のための日常業務(週次確認・台帳管理等)を知っている
理解度チェック
Q1(○×問題)
返戻と過誤は同じ意味であり、対応方法も同じである。
Q2(3択問題)
返戻が届いたときの最初の対応として正しいものはどれか。
Q3(○×問題)
実際に訪問したのに請求から漏れていた場合、「月遅れ請求」で対応できることがある。
Q4(3択問題)
保険証番号の入力ミスによる返戻を防ぐために、事務員が行うべきことはどれか。
Q5(5択問題)
先月の請求から1回分の訪問が漏れていた。正しい対応はどれか。
このLessonのまとめ
✅ 返戻は差し戻し、過誤は支払い後の誤り訂正、請求漏れは月遅れ請求で対応します。
✅ 返戻が届いたら速やかに内容を確認し、管理者へ報告します。
✅ 再発防止には、週次確認・指示書管理・保険証照合の習慣化が重要です。
🌱 次のLesson(6-13)では、記録の保存と監査対応を学びます。
参照資料
- 『訪問看護業務の手引』(令和8年6月版)第6章・第7章
- 厚生労働省「介護給付費過誤処理の手引き」(最新版)
- 厚生労働省「診療報酬請求に関する審査・支払い事務の概要」
Lesson 6-13 記録・保存・監査に備える
🎯 このLessonのゴール
保存が必要な書類の種類・保存期間・保管方法を理解し、適切な書類管理ができるようになる。
はじめに
訪問看護ステーションは、定期的に行政(都道府県・市区町村)による実地指導・監査を受けることがあります。
その際、書類が「ある」「ない」だけでなく、「正確に・整理された状態で」保管されていることが求められます。
事務員は「書類の守り手」でもあります。
保存が必要な主な書類一覧
| 書類の種類 | 主な保存期間の目安 |
|---|---|
| 訪問看護記録(訪問記録・看護記録) | 5年間(サービス提供完了日から) |
| 訪問看護指示書(通常・精神科・特別) | 5年間(最終指示日から) |
| 訪問看護計画書・報告書 | 5年間 |
| 契約書・重要事項説明書 | 5年間(契約終了日から) |
| 利用者同意書類 | 5年間 |
| 請求関係書類(請求書・領収書・控え) | 5年間 |
| 介護給付費明細書(国保連への請求控え) | 5年間 |
| 届出書類・受理通知 | 届出期間終了後5年間(目安) |
| 苦情・事故記録 | 5年間 |
| 雇用・給与関係書類 | 5年間(労働基準法上の義務による) |
⭐ POINT
保存期間の起算点(いつから数えるか)については、書類の種類によって異なります。正確な根拠は、指定居宅サービス等の事業の人員及び運営に関する基準(最新版)および訪問看護療養費の算定に関する告示・通知で確認してください。
書類の整理・保管方法
| 保管方法 | 内容 |
|---|---|
| 紙での保管 | 利用者ごとにファイリング・施錠できる場所で保管 |
| 電子保管 | 厚生労働省が定める電子保存の要件(真正性・見読性・保存性)を満たす必要あり |
| スキャン保存 | 原本の廃棄前に要件確認が必要(省令対応) |
| 終了後の保管 | 利用が終了した利用者の書類も所定期間は保管する |
電子保存について
令和6年度以降、電子的な記録・保存が推進されています。
電子保存を行う場合は、以下の要件を満たす必要があります。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 真正性 | 改ざんができない状態で記録・保存されていること |
| 見読性 | 必要な時にすぐ読み出し・印刷できること |
| 保存性 | 保存期間中に劣化・消失しないこと |
電子保存の詳細な要件については、管理者とシステム担当者に確認してください。
個人情報の保護
訪問看護の書類には利用者の氏名・住所・病名・医療情報など、多くの個人情報が含まれます。
| ルール | 内容 |
|---|---|
| 施錠管理 | 紙の書類は施錠可能なキャビネット・棚で管理 |
| PCへのアクセス制限 | 担当者以外がアクセスできないようにする |
| FAX送信時の確認 | 誤送信を防ぐため、番号を2回確認する |
| 廃棄方法 | 不要になった書類はシュレッダーで破棄 |
| 情報の持ち出し | 外部への持ち出しは管理者の許可のもとで行う |
実地指導・監査に備えて
都道府県・市区町村は定期的に指定居宅サービス事業者(訪問看護ステーションを含む)への実地指導を行います。
| 確認される主な内容 | 事務員が関わるもの |
|---|---|
| 人員基準の充足 | スタッフ名簿・勤務表 |
| 運営基準の遵守 | 重要事項説明書・契約書・同意書 |
| 記録の適切な作成・保管 | 訪問記録・指示書・計画書・報告書 |
| 請求の適正性 | 請求書控え・実績記録との一致 |
| 加算要件の維持 | 届出書類・受理通知・要件の記録 |
| 個人情報管理 | 書類の施錠管理・廃棄記録 |
⭐ POINT
「指導があるから書類を整える」のではなく、「いつ指導が来ても大丈夫な状態を日常的に保つ」ことが大切です。
よくある失敗
❌ 指示書を保管しているつもりが、古い指示書が見つからなかった
指示書は利用者ごとに時系列で保管します。「最新のものだけ保管すればよい」は誤りです。過去の指示書も保存期間中は保管が必要です。
❌ 利用終了した利用者の書類を処分してしまった
利用終了後も保存期間(5年間など)は書類を保管する必要があります。「使わなくなったから」ですぐに廃棄してはいけません。
実務チェックリスト
□ 訪問看護記録・指示書・契約書の保存期間(目安:5年)を知っている
□ 紙の書類は施錠できる場所で保管することを知っている
□ 電子保存の3要件(真正性・見読性・保存性)を説明できる
□ 実地指導で確認される主な書類を3つ挙げられる
□ 個人情報の保護に関する基本ルールを説明できる
理解度チェック
Q1(○×問題)
利用者との契約が終了したら、重要事項説明書は処分してよい。
Q2(3択問題)
電子保存の要件として「保存期間中に劣化・消失しないこと」に対応する要件はどれか。
Q3(○×問題)
指示書は最新のものだけでなく、過去の指示書も保存期間中は保管が必要である。
Q4(3択問題)
実地指導で確認される書類として正しくないものはどれか。
Q5(5択問題)
書類の保管・取り扱いとして正しいものはどれか。
このLessonのまとめ
✅ 主な書類の保存期間は5年間(書類の種類・起算点を確認)です。
✅ 紙は施錠管理、電子は3要件(真正性・見読性・保存性)を守ります。
✅ 実地指導はいつでも来られる状態を日常的に維持することが基本です。
🌱 次のLesson(6-14)では、よくあるケースをもとに実践的な対処を学びます。
参照資料
- 厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員及び運営に関する基準」(最新版)
- 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(最新版)
- 厚生労働省「介護サービス事業者の業務電子化について」(令和8年度)
Lesson 6-14 よくあるケースで学ぶ
🎯 このLessonのゴール
実際の業務で起きやすいケースをもとに、どう対応するかを自分なりに考えられるようになる。
はじめに
制度の知識を学んでも、現場では「教科書通りにいかない」ことが起きます。
このLessonでは、実際の業務でよく起きるケースを取り上げ、「まず何を確認するか」「誰に報告するか」「どう処理するか」を整理します。
ケース① 月途中で介護保険から医療保険へ切り替わった
状況: 利用者Aさん(80歳・要介護3)が今月15日から末期がんの診断がつき、別表第7に該当することになった。
確認すること:
- 15日以降はどの保険になるか → 医療保険(別表第7該当)
- 14日以前の実績 → 介護保険で請求
- 15日以降の実績 → 医療保険で請求
- 指示書の種類 → 医療保険用の指示書が必要か確認
事務員のアクション: 管理者へ報告 → 変更日を記録 → 保険の切り替えをシステムに反映 → 2種の請求データを別々に作成
ケース② 特別訪問看護指示書が出た
状況: 利用者Bさん(78歳・介護保険)が退院し、主治医から「特別訪問看護指示書(14日間)」が交付された。
確認すること:
- 指示書の有効期間(開始日・終了日)
- 特別指示書期間中は医療保険へ切り替わることを確認
- 通常の訪問看護指示書も引き続き有効か確認
事務員のアクション: 指示書を受領・内容確認 → 管理者へ報告 → 期間中は医療保険に切り替えて請求(実績記録・請求データとも)→ 期間終了後は介護保険に戻す
ケース③ 指示書の更新が期限に間に合わない
状況: 利用者Cさんの指示書有効期限が今月末。医療機関へ更新依頼のFAXを送ったが、1週間たっても返信がない。
確認すること:
- FAXが届いているか(受信確認をとる)
- 医療機関の対応状況(担当者へ電話で確認)
- 状況を管理者へ報告
事務員のアクション: 医療機関へ確認の電話 → 状況を管理者へ報告 → 管理者の判断に従い、翌月訪問の可否を現場スタッフへ伝達
ケース④ 負担割合が変更された
状況: 利用者Dさん(67歳・介護保険2割負担)から「8月に役所から封筒が来た」と連絡があった。
確認すること:
- 新しい負担割合証の確認を依頼(持参または郵送でコピー)
- 有効期間(8月1日〜)と新しい負担割合の確認
事務員のアクション: 負担割合証のコピーを取得 → 記録を更新 → 8月分の請求から新しい割合で処理 → 利用者への請求書も新割合で発行
ケース⑤ 入院日と訪問日が重なった
状況: 利用者Eさんが今日の朝に入院した。訪問スケジュールでは午後に訪問予定があったが、スタッフが訪問してしまった。
確認すること:
- 入院日と訪問した時刻の確認
- 入院日に訪問看護と入院の算定が重複できないルールの確認
事務員のアクション: 訪問の詳細(何時に実施したか)を現場スタッフから確認 → 管理者へ状況報告 → 管理者の判断に従い、実績の取り扱いを決定
⭐ POINT
入院当日の訪問看護の算定については、入院した時刻・訪問した時刻・病院側の入院受付時刻などが関係する複雑なケースです。独断で判断せず、必ず管理者へ報告します。
ケース⑥ 訪問実績が月末まで未入力だった
状況: 月末に実績を確認したところ、Fさん担当スタッフの今月分の記録が5日分未入力になっていた。
確認すること:
- 担当スタッフに何日に訪問したか、実施内容を確認
- 訪問がなかった日があれば理由(キャンセル等)を確認
事務員のアクション: 担当スタッフへ連絡・事実確認 → 正確な実績を入力 → 訪問がなかった日はキャンセル処理 → 管理者へ報告(特に月末ギリギリの場合)
ケース⑦ 加算要件を満たしていなかったことが後から判明した
状況: 先月から特別管理加算(Ⅱ)を算定していたが、対象要件を満たしていない利用者への算定が含まれていた可能性がある。
確認すること:
- 算定した利用者の状態・要件を管理者と確認
- 要件を満たしていない月の特定
事務員のアクション: 管理者へ速やかに報告 → 管理者が確認・判断 → 必要に応じて過誤申し立て(管理者主体)→ 再発防止策(加算対象者リストの作成等)
ケース⑧ 請求後に保険変更が判明した
状況: 先月に介護保険で請求したが、その後ケアマネジャーから「実は別表第7の疾病があった」と連絡が来た。
確認すること:
- 別表第7の疾病の確認(診断時期・診断書)
- 遡及して医療保険に変更が必要か管理者と確認
事務員のアクション: 管理者へ報告 → 管理者が主体となり、過誤申し立て・再請求の方針を決定 → 事務員は必要書類の準備を補助
実務チェックリスト
□ 月途中の保険変更時に、変更前後で別々の請求が必要なことを知っている
□ 特別訪問看護指示書が出た際の手順(医療保険への切り替え)を説明できる
□ 指示書が期限内に届かない場合の対応(管理者への報告)を知っている
□ 入院当日の訪問に複雑なルールがあることを知っている(独断で判断しない)
□ 加算の算定ミスや過誤は、速やかに管理者へ報告することを知っている
このLessonのまとめ
✅ 現場では「教科書通りにいかない」ケースが必ず発生します。
✅ どのケースでも「事実確認→管理者への報告→指示を受けて対応」の基本フローは変わりません。
✅ 独断で判断せず、確認することをためらわないことが大切です。
🌱 最終Lesson(6-15)では、章全体のまとめを行います。
参照資料
- 『訪問看護業務の手引』(令和8年6月版)各章
- 各ケースに応じた厚生労働省通知・告示(各Lessonの参照資料参照)
Lesson 6-15 OURの事務員として
🎯 このLessonのゴール
第6章全体を振り返り、OURの事務員としての心得と姿勢を確認する。
はじめに
ここまで、実績管理・保険制度・請求業務・書類管理・月次業務・トラブル対応と、多くのことを学んできました。
「覚えなければならないことが多い」と感じているかもしれません。
でも、最後に一番大切なことを伝えます。
すべてを一人で完璧にこなそうとしなくていい。
大切なのは、「確認する・報告する・連携する」この3つです。
第6章で学んだこと
| Lesson | 学んだこと |
|---|---|
| 6-1 | 利用開始後の業務の全体像 |
| 6-2 | 利用ライフサイクル別の業務フロー |
| 6-3 | 医療保険と介護保険の違い |
| 6-4 | 保険証・公費・受給資格の確認 |
| 6-5 | 訪問看護指示書の管理 |
| 6-6 | 計画書・報告書・情報提供書類の管理 |
| 6-7 | 実績管理(予定と実績の照合) |
| 6-8 | 介護保険請求の基礎 |
| 6-9 | 医療保険請求の基礎 |
| 6-10 | 加算・届出・算定要件 |
| 6-11 | 月末・月初業務のカレンダー管理 |
| 6-12 | 返戻・過誤・請求漏れへの対応 |
| 6-13 | 記録の保存・監査対応 |
| 6-14 | よくあるケースのシミュレーション |
OURの事務員として大切にしてほしいこと
① 制度を知ることは目的ではない
第6章で学んだ制度・算定・書類のルールは、「覚えること」が目的ではありません。
それを正しく使って、利用者の継続支援を守ることが目的です。
② 正確な事務が継続支援を支える
請求が通らなければ収入が生まれず、ステーションが続かなくなります。
利用者は訪問看護を失い、在宅生活が続けられなくなるかもしれません。
事務員の1つのミスが、利用者の生活に影響することを忘れないでください。
③ 判断に迷ったら確認する
分からないことを「たぶんこれでいいだろう」で進めてはいけません。
正しく聞くことは、弱さではなく誠実さです。
「これで合っているか確認させてください」と言える事務員が、信頼される事務員です。
④ 独断で進めない
とくに以下のケースでは、必ず管理者へ報告・確認してから動きます。
- 返戻・過誤が発生したとき
- 保険の変更が生じたとき
- 加算の算定に疑問があるとき
- 指示書が届かないとき
- 入院・死亡・緊急事態があったとき
⑤ 管理者が判断できる情報を整える
事務員の役割は「問題を解決すること」ではなく、「管理者が判断できるよう情報を整えること」です。
「〇〇の状況です。△△と□□の選択肢があります。どちらにしますか」という報告ができる事務員を目指してください。
OURが事務員に求めること
OURは、「その人らしく在宅生活を続けること」を支援するステーションです。
現場スタッフが安心して訪問できるのは、事務員が裏側で支えているからです。
書類が整っているから、 指示書が切れていないから、 請求が通っているから、 連絡がつながっているから、
現場スタッフは利用者のそばにいられます。
あなたの仕事は、利用者の在宅生活を守る仕事です。
第6章 まとめ
✅ 利用開始後の業務は「実績・請求・書類・加算・月次」の5本柱で動いています。
✅ 医療保険と介護保険の違いを理解し、請求先を正しく把握します。
✅ 返戻・過誤・請求漏れはすべて「速やかに管理者へ報告」が基本です。
✅ 書類は利用終了後も保存期間中は保管します。
✅ 制度を覚えることより、「確認・報告・連携」のできる事務員になることが最重要です。
🎓 第6章修了
お疲れさまでした。
訪問看護事務の実務は、覚えることが多く、最初は戸惑うことも多いと思います。
でも、一つひとつ丁寧に確認していけば、必ず理解できます。
迷ったとき、困ったとき、このサイトに戻ってきてください。
参照資料
- 『訪問看護業務の手引』(令和8年6月版)全章
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 訪問看護関係資料」
- 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定 介護給付費算定に係る体制等に関する届出関係」
- 厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員及び運営に関する基準」(最新版)
この記事を監修した人
宮崎市全域、国富町、高岡町、綾町対応
“あなたらしい”在宅生活を、24時間・365日サポートします
☎ 0985-77-8266受付時間:9時〜17時