「最近、疲れやすくなった」「握力が弱くなった」「歩くのが遅くなった」。こうした変化はフレイル(虚弱)の始まりかもしれません。フレイルは要介護状態の手前の段階で、適切な運動習慣で改善・予防ができます。この記事では、フレイルの基準・リスク・自宅でできる運動を、宮崎市OUR訪問看護のPT・OTが解説します。
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フレイルとは何か。要介護との違いと「元に戻せる」可能性
フレイルとは、加齢に伴い身体・精神・社会的な機能が低下し、健康障害を起こしやすくなった状態のことです。国立長寿医療研究センターの定義では、フレイルは「健常」と「要介護」の中間の段階であり、適切な介入によって健常な状態に戻ることができます。
フレイルの判定基準(Friedの基準)として広く使われる5項目は以下の通りです。3項目以上に当てはまればフレイル、1〜2項目ならプレフレイル(予備軍)とされます。
| 項目 | 具体的な目安 |
| 体重減少 | 意図せず6か月で2〜3kg以上の体重減少 |
| 疲労感 | ほとんど毎日、何をするにも疲れを感じる |
| 筋力低下 | 握力低下(男性28kg未満、女性18kg未満) |
| 歩行速度低下 | 通常歩行速度が1.0m/秒以下 |
| 身体活動性の低下 | 週に1回以上の低〜中強度の活動が週150分に満たない |
厚生労働省のデータによると、75歳以上の地域在住高齢者の約10〜15%がフレイルに該当するとされています。
フレイルが進むとどうなるのか
フレイルを放置すると、転倒・骨折・入院・認知機能低下のリスクが高まり、要介護状態への移行が加速します。しかし最も重要なことは、フレイルは適切な運動と栄養で改善できるという点です。「もう年だから仕方がない」と諦める必要はありません。
自宅でできるフレイル予防運動
フレイル予防には、筋力・バランス・有酸素(歩行)の3種類の運動を組み合わせることが推奨されています。
筋力トレーニング(下肢を中心に)
椅子スクワット(大腿四頭筋・臀部の強化) 椅子の前に立ち、背もたれに軽く手を添えて、ゆっくり腰を下ろして座り、ゆっくり立ち上がる動作を繰り返します。1セット10回・1日2〜3セットが目安です。早くやるより「ゆっくり」が筋力トレーニング効果を高めます。
かかと上げ・つま先上げ(ふくらはぎ・すね) 立位でゆっくりかかとを上げる(10回)→ゆっくりつま先を上げる(10回)を1セットとして1日2〜3セット行います。転倒予防に直結する運動です。
足踏み(高く上げる)(股関節屈筋群) 椅子に座った状態、または手すり・壁に手を添えた立位で、片足ずつ太ももをできるだけ高く上げる足踏みを左右各10回行います。つまずき予防に効果的です。
ゴムバンド(セラバンド)を使った足の引き上げ 入手できる場合は、ゴムバンドを足首に巻いて抵抗をかけながら足の引き上げを行うとより効果的です。
バランストレーニング
片足立ち(転倒予防に最も効果的なバランス練習) 壁や手すりの近くで片足立ちを10〜30秒キープします。慣れてきたら壁から指先1本分離れて行います。左右各3回・1日2セットが目安です。転倒が怖い方は指先を壁に添えて行ってください。
タンデム歩行(一直線歩き) 片足のつま先にもう片足のかかとをつけるようにして、一直線上を歩きます。5〜10歩を1セットとして行います。コアのバランス訓練として効果的です。
重心移動(前後・左右) 手すりや椅子の背もたれを持ち、体重を前後・左右にゆっくり移動させます。「どこまで傾けても大丈夫か」という自分のバランス範囲を広げる練習です。
有酸素運動(歩行)
毎日の散歩(10〜30分) 歩行はフレイル予防において最もシンプルで継続しやすい運動です。「少し息が上がる」程度のペースで歩くことがポイントです。スマートフォンの歩数計で毎日の歩数を記録すると継続しやすくなります。
目標は1日5,000〜7,000歩です。外出が難しい場合は、室内を意識的に歩く時間を作るだけでも効果があります。
運動を続けるためのポイント
「完璧にやろう」としない
毎日10分続けることが、週1回1時間やるより効果的です。「今日は疲れたから椅子スクワット5回だけ」という日があっても構いません。続けることが最優先です。
記録する
カレンダーや手帳に「今日できた運動」を書き留める習慣が継続につながります。「1か月前より片足立ちが長くできる」という実感が次の意欲になります。
デイサービス・体操教室を活用する
一人で続けるより、グループで行う体操・デイサービスのほうが続きやすい方も多くいます。宮崎市では地域の体操教室・介護予防事業が各地域包括支援センターの案内で利用できます。
運動と合わせて大切な栄養の話
フレイル予防には運動と同時に十分なたんぱく質の摂取が不可欠です。筋肉の材料となるたんぱく質が不足していると、どれだけ運動しても筋力が回復しにくくなります。
1日の目安:体重1kgあたり1.0〜1.2gのたんぱく質(体重50kgなら50〜60g/日)
- 肉・魚・卵・大豆製品・乳製品を毎食取り入れる
- 「食欲がない」という方は1食ずつ少量で回数を増やす
- 食欲不振が続く場合は主治医やOUR訪問看護師に相談する
OUR訪問看護でのフレイル予防サポート
OUR訪問看護のPT・OTが自宅に伺い、フレイル状態の評価と個別の運動プログラム提供を行います。
- 現在の身体機能(筋力・バランス・歩行)の評価
- 自宅でできる個別運動プログラムの指導と継続支援
- 栄養状態の確認と主治医・栄養士への連携
- 転倒リスクの評価と住環境の改善提案
転倒リスクとフレイルの関係は高齢者の転倒リスクをセルフチェックで詳しく解説しています。再転倒予防については転倒を一度経験した高齢者の再転倒予防もご参照ください。
よくある質問
フレイルは何歳から気をつければいいですか?
フレイルの有病率は75歳以上で急増しますが、プレフレイル(予備軍)は65歳以上で約50%に見られるとする研究もあります。「最近疲れやすい」「体重が落ちてきた」と感じたら年齢を問わず早めに対策を始めることをおすすめします。
フレイルは一度なったら戻りませんか?
戻れます。フレイルは「健常に戻れる可逆的な状態」という点が特徴です。適切な運動・栄養介入で健常な状態に改善した研究が多数報告されています。諦めずに取り組むことが大切です。
心臓病・糖尿病があっても運動していいですか?
基本的には運動できますが、強度と種類を主治医と相談することが必要です。OURのPTが主治医と連携しながら、安全な運動プログラムを組み立てます。「やってはいけない運動」と「推奨される運動」を個人の病状に合わせて判断します。
一人で運動を続けるのが難しい場合は?
訪問看護のPTが定期的に自宅を訪問して運動指導・継続支援を行います。また、デイサービスや地域の体操教室への参加もご案内できます。「一人では続かない」という方こそ専門職のサポートが効果的です。
体重が減っているのはフレイルのサインですか?
意図しない体重減少(6か月で2〜3kg以上)はフレイルの重要な指標です。食欲不振・消化器疾患・がんなど他の原因が隠れている場合もあるため、主治医に相談してください。
フレイルとはどういう状態ですか?
フレイルとは加齢による身体・精神・社会的機能の低下で、要介護状態の一歩手前の状態です。「体重減少・筋力低下・疲労感・歩行速度の低下・活動量の低下」の5つのうち3つ以上当てはまる場合をフレイルと言います。早期介入で改善できる可逆的な段階です。
まとめ
- フレイルは要介護の手前の状態で、運動と栄養の介入で改善できる
- 筋力(スクワット・かかと上げ)・バランス(片足立ち)・有酸素(散歩)の3種類を組み合わせる
- 「完璧にやろう」とせず毎日少しずつ続けることが最重要
- 運動と同時にたんぱく質(1日1.0〜1.2g/kg体重)の摂取が筋力回復に不可欠
- OURのPT・OTが自宅に伺い、個別評価と継続的な運動指導を行います
宮崎市全域、国富町、高岡町、綾町対応
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参考文献一覧
- 国立長寿医療研究センター(フレイル研究・予防情報)https://www.ncgg.go.jp/
- 介護予防・フレイル対策(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/yobou/index.html