
パルスオキシメーターを見ると「93」「91」という数字が出ている。これは危険な状態なのか、それとも様子を見ていいのか。在宅で療養する家族を介護していると、この判断に迫られる場面が必ずやってきます。
「119を呼ぶべきだったのに呼ばなかった」「呼んだら大げさだったと言われた」.
そのどちらも避けるために、SpO2の数字を正しく読む力が必要です。この記事では、SpO2の基本と目安となる数値、在宅で見るべきポイント、OURの訪問看護師が現場で使っている判断基準をお伝えします。
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SpO2とは何か:
数字が示すもの
SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)とは、血液中のヘモグロビンが酸素をどれだけ運んでいるかをパーセントで示した値です。パルスオキシメーターを指先に挟むだけで、採血なしに測定できます。
正常値と目安
| SpO2 | 状態 | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 98〜100% | 正常 | 問題なし |
| 95〜97% | ほぼ正常 | 経過観察 |
| 90〜94% | 低酸素血症の可能性 | 主治医・訪問看護師に連絡 |
| 88〜89% | 中等度の低酸素 | 速やかに医療機関に連絡 |
| 87%以下 | 重篤な低酸素 | 救急(119番)を呼ぶ |
ただしこの数値はあくまで目安です。普段の値・変化の速さ・本人の症状を合わせて判断することが重要です。
「93でも元気そう」は油断できない
SpO2が93でも会話ができて食事もできている。この状態で「大丈夫」と判断するのは危険です。SpO2の低下は症状が出るより早く数値に現れることがあります。特にCOPD・心不全・肺炎などの既往がある方では、93という数字が急変の前兆である可能性があります。
SpO2が下がる原因:「なぜ低いのか」を把握する
主な原因
- 肺炎・気管支炎:感染で肺のガス交換が低下する
- COPD(慢性閉塞性肺疾患)の急性増悪:気道閉塞が悪化して換気が低下
- 心不全の増悪:肺に水が溜まり(肺水腫)、酸素が取り込めなくなる
- 誤嚥性肺炎:食べ物・液体が気道に入り肺の炎症を起こす
- 肺塞栓症:血の塊が肺の血管を詰まらせる(急に息苦しくなり、片足のむくみを伴うことがある)
- 貧血の悪化:ヘモグロビンが少なすぎると酸素を運べない(SpO2が正常でも実際の酸素量は少ない)
- 測定エラー:指が冷えている・マニキュアをしている・指先の血流が悪い場合は値が不正確になる
COPDの方は「普段の値」が基準
COPDの方は普段からSpO2が90〜93%台で安定しているケースがあります。この場合、93という値は「その人の普段」であり、急変ではない可能性があります。重要なのは「普段の値から何%下がったか」です。
今すぐ119を呼ぶべき状況
以下のいずれかに当てはまる場合は迷わず救急(119番)に連絡してください。
- SpO2が87%以下
- SpO2が急速に低下している(10分で5%以上下がった)
- 呼吸数が多い(1分間に30回以上)・あえいでいる
- 唇・爪が青紫になっている(チアノーゼ)
- 意識がぼんやりしている・呼びかけへの反応が鈍い
- 在宅酸素(HOT)の流量を上げても改善しない
在宅酸素療法(HOT)を使っている方への注意点
在宅酸素療法(HOT)を使用している方は、酸素流量の調整に関して主治医の指示を厳守することが基本です。
してはいけないこと
- 自己判断で流量を上げる(特にCOPD患者では高濃度酸素によってCO₂ナルコーシスを起こす危険がある)
- 「苦しいから」という理由で処方された流量以上に増やす
- 機器のアラームを無視する
正しい対応
- まず訪問看護師または主治医に電話で状況を伝える
- SpO2の値・呼吸の状態・意識レベルを伝える
- 指示を待つか、重篤な場合は119番
パルスオキシメーターの正しい使い方:測定エラーを防ぐ
正確に測るためのポイント
- 人差し指または中指で測定(親指・小指は避ける)
- 指先が冷えている場合は温めてから測る(手を30秒こする・温水につける)
- マニキュア・ジェルネイルは外すか、爪の横で測る
- 光が当たる場所では値がずれることがある(遮光して測る)
- 10〜15秒間、値が安定してから読む(最初の数秒は不安定)
動いているときは測らない
歩いた直後・会話しながらでは正確な値が出ません。安静にして1〜2分後に測定することが基本です。
在宅でのSpO2管理:訪問看護師の実践
OURの訪問看護師は毎回の訪問でSpO2を測定し、記録します。注目するのは「今日の値」だけでなく「過去の値との比較」です。
「普段の値」を記録しておく
在宅療養を始めたとき、本人が元気な状態でのSpO2を記録しておくことが重要です。これが「その人の普段」の基準値になります。例えば「この方はいつも96%」がわかっていれば、93%になったときに「3%の低下」として正確に評価できます。
変化のパターンで読む
- じわじわ下がる:肺炎・心不全の慢性的な悪化を疑う
- 急に下がる:肺塞栓・気道閉塞・急性心不全を疑う
- 夜だけ下がる:睡眠時無呼吸症候群の可能性
- 体を動かすと下がる:COPDや間質性肺炎の悪化サイン
連絡すべき目安(OURが利用者家族にお伝えしている基準)
- 「普段の値より3%以上低い状態が30分続く」
- 「90%を下回った」
- 「SpO2に加えて、息苦しい・咳が増えた・熱が出たなどの症状がある」
よくある質問
SpO2 95%は大丈夫ですか?
健康な成人であれば95%はほぼ正常範囲です。ただし普段98%の人が95%になった場合、3%の低下は注意が必要です。また高齢者・COPD・心不全がある方は主治医が設定した目標値で管理します。
在宅酸素を使っているのにSpO2が上がりません。どうすればいいですか?
酸素流量を処方通りに使用してもSpO2が改善しない場合は、すぐに訪問看護師または主治医に連絡してください。酸素マスク・カニューラの位置ズレ・機器のトラブルのほか、病状の急激な変化の可能性があります。自己判断での流量変更は危険です。
パルスオキシメーターは市販品でいいですか?
家庭用として販売されている機器で問題ありません。ただし指が冷えているときや末梢循環不全がある方では値がずれやすいため、測定条件(安静・指先の温度)に注意してください。
夜中に測ったら90%を下回ることがあります。どうすればいいですか?
夜間の低酸素は睡眠時無呼吸症候群・COPD・心不全などの悪化サインである可能性があります。主治医に「夜間の値が下がっている」と伝え、夜間の酸素モニタリングや治療の調整を相談してください。
宮崎市でSpO2管理・在宅酸素の訪問看護に対応していますか?
はい。OURはCOPD・心不全・難病による在宅酸素療法(HOT)への対応実績があります。SpO2の変化を含むバイタルモニタリング・24時間オンコールで在宅療養を支援しています。
まとめ
- SpO2は95%以上が正常。90〜94%は主治医・訪問看護師への連絡目安、87%以下は救急を呼ぶ
- 大切なのは「今の数値」だけでなく「普段との比較」と「症状との組み合わせ」
- COPDの方は普段から低めの値の場合があり、「その人の普段の値」を把握しておくことが必要
- 在宅酸素使用中の方は自己判断での流量変更は危険。必ず医師・訪問看護師に相談する
- OURは24時間オンコールで「この状態で大丈夫か」の相談にも応じている
参考文献一覧
- 一般社団法人 日本呼吸器学会 https://www.jrs.or.jp/
- 国立循環器病研究センター「病気について知る」 https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/
- 厚生労働省「がん対策情報」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/gan/index.html
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/gaiyo/index.html
この記事を監修した人
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