
「高次脳機能障害と診断されたけど、どんな支援が受けられるの?」「障害者手帳は取れるの?」「障害年金ってどのくらいもらえる?」。退院後の生活設計を考えると、こうした疑問は避けて通れません。
高次脳機能障害は「見えない障害」と言われますが、制度的には障害者手帳の取得対象であり、障害年金・各種給付金・就労支援・医療費助成など、多くの制度が利用できます。2026年4月1日には「高次脳機能障害者支援法(厚生労働省)」も施行され、支援体制がさらに整いました。
この記事では、高次脳機能障害で利用できる主要な制度・給付金の種類と申請方法を、宮崎市のOUR(アワー)訪問看護ステーションがわかりやすく解説します。
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高次脳機能障害で使える主な制度の全体像
まず、利用できる制度の全体像を把握しましょう。高次脳機能障害に関係する制度は大きく4つに分けられます。
| 制度の種類 | 主な内容 | 窓口 |
|---|---|---|
| 障害者手帳 | 各種割引・税控除・サービス優先利用 | 市区町村の障害福祉課 |
| 障害年金 | 月額の年金給付(国民年金・厚生年金) | 年金事務所 |
| 障害福祉サービス | 訪問介護・就労支援・グループホームなど | 市区町村の障害福祉課 |
| 自立支援医療(精神通院) | 精神科外来の医療費が1割負担に | 市区町村の障害福祉課 |
これらは制度ごとに申請窓口・手続き・審査が異なります。なお、給付金額・認定基準は個人の状態・等級・年金加入歴によって異なるため、詳細は各窓口にご確認ください。
①障害者手帳
高次脳機能障害で取得できる手帳の種類
高次脳機能障害の場合、取得できる手帳は主に2種類です。
精神障害者保健福祉手帳
- 高次脳機能障害は精神障害者保健福祉手帳の対象です(「器質性精神障害」として扱われます)
- 等級:1〜3級(1級が最も重度)
- 有効期限:2年ごとに更新が必要
身体障害者手帳
- 麻痺(上肢・下肢・体幹)や言語障害が残っている場合は身体障害者手帳も取得できます
- 等級:1〜6級(1・2級が最重度)
手帳取得のメリット
| 分野 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 税制 | 所得税・住民税の障害者控除(等級により金額が異なる) |
| 交通 | バス・JR・タクシーの割引(地域・事業者により異なる) |
| 各種割引 | 映画・施設入場料・携帯料金の割引等 |
| 福祉サービス | 障害福祉サービスの利用資格 |
| 就労支援 | 障害者雇用枠での求職活動が可能に |
申請方法
- 市区町村の障害福祉課に相談・申請書類を受け取る
- 精神科・神経内科等の医師に診断書(精神障害者保健福祉手帳用)を作成してもらう
- 申請書・診断書・写真等を障害福祉課に提出
- 都道府県の審査を経て手帳が交付される(目安:申請から2〜3ヶ月)
宮崎市の窓口:宮崎市障がい福祉課(0985-21-1772)または各地域センター
②障害年金
高次脳機能障害での障害年金とは
障害年金は、病気や怪我で障害が残った場合に受け取れる公的年金です。高次脳機能障害は障害年金の対象となります。
年金の種類は2つ:
- 障害基礎年金(国民年金): 1・2級が対象。自営業者・学生・無職の方など
- 障害厚生年金(厚生年金): 1〜3級が対象。会社員・公務員など厚生年金加入者
2026年度の年金額目安
障害年金の額は毎年度改定されます。以下は目安であり、詳細は年金事務所にご確認ください。
| 区分 | 月額目安(2026年度) |
|---|---|
| 障害基礎年金1級 | 約8万3,000円/月 |
| 障害基礎年金2級 | 約6万6,000円/月 |
| 障害厚生年金3級 | 標準報酬月額・加入期間により異なる(最低保障あり) |
※子どもの加算(18歳未満の子が2人以上いる場合)等がある場合は加算されます。 ※具体的な金額は加入歴・等級・加算の有無によって大きく異なります。必ず年金事務所(または街角の年金相談センター)にご確認ください。
申請のポイント
障害年金の申請で重要なのは「初診日の証明」です。脳梗塞・頭部外傷などで初めて医療機関を受診した日を初診日として、その時点での年金加入状況が審査されます。
初診日から1年6ヶ月後(障害認定日)または現在の障害状態で申請できます。
申請窓口:最寄りの年金事務所、または市区町村の国民年金担当窓口
③障害福祉サービス(障害者総合支援法)
高次脳機能障害は「障害者総合支援法」の対象であり、以下のサービスを利用できます。
| サービス | 内容 |
|---|---|
| 居宅介護(ホームヘルプ) | 自宅での入浴・食事・排泄等の介助 |
| 就労移行支援 | 就職に向けた訓練・職場定着支援(65歳未満) |
| 就労継続支援A型・B型 | 雇用型・非雇用型の就労の場の提供 |
| 自立訓練(機能訓練・生活訓練) | 身体機能・生活能力の回復・維持訓練 |
| グループホーム | 地域での共同生活の場 |
| 相談支援 | 計画相談・地域移行支援 |
これらのサービスは「障害支援区分」の認定を受けたうえで利用します。申請は市区町村の障害福祉課で行います。
④自立支援医療(精神通院医療)
精神科・心療内科への継続的な通院治療に要する医療費を軽減する制度です。高次脳機能障害で精神科へ通院している場合、自己負担が通常3割から1割に軽減されます(所得制限あり)。
申請窓口:市区町村の障害福祉課
高次脳機能障害者支援法(2026年4月施行)
2025年12月に成立、2026年4月1日に施行された「高次脳機能障害者支援法(厚生労働省)」により、以下が法的に整備されました。
- 国・都道府県・市町村の責務が明確化された
- 専門的な相談支援・情報提供体制の整備
- 医療・リハビリ・就労・地域生活支援を切れ目なく受けられる体制の構築
- 高次脳機能障害への理解促進・啓発活動の推進
この法律の施行により、以前より支援を受けやすくなっています。
宮崎県でも「高次脳機能障がいについて(宮崎県)」のページで支援体制・支援協力医療機関・確定診断可能医療機関の一覧が公開されています。
FAQ
Q1. 高次脳機能障害で精神障害者保健福祉手帳は取れますか?
はい。高次脳機能障害は「器質性精神障害」として精神障害者保健福祉手帳の対象です。精神科・神経内科等で診断書を作成してもらい、市区町村の障害福祉課に申請します(参考:国立障害リハビリテーションセンター 高次脳機能障害情報・支援センター)。
Q2. 障害年金はいつから申請できますか?
初診日から1年6ヶ月が経過した日(障害認定日)以降に申請できます。また、障害認定日時点での状態が軽くても、その後症状が悪化した時点での申請(遡及請求)も条件によっては可能です。詳細は年金事務所にご相談ください。
Q3. 65歳を過ぎると障害福祉サービスは使えなくなりますか?
65歳以上になると原則として介護保険サービスが優先されます。ただし、介護保険に同様のサービスがない場合(就労移行支援など)は65歳以降も障害福祉サービスを継続できるケースがあります。詳細は市区町村の障害福祉課にご確認ください。
Q4. 手帳や年金の申請に診断書は必要ですか?費用はかかりますか?
いずれも医師の診断書が必要です。診断書の作成費用(文書料)は医療機関により異なり、一般的に5,000〜10,000円程度かかることが多いです。障害年金申請の場合、書類作成を社会保険労務士(社労士)に依頼する方もいます。
Q5. 宮崎市内で制度について相談できる窓口はどこですか?
宮崎市障がい福祉課(0985-21-1772)、または宮崎県身体障害者相談センター(https://www.shinsyocenter-miyazaki.com/)にご相談ください。OUR訪問看護ステーションでも担当ケアマネジャーとの連携・制度案内の相談を受け付けています。
まとめ
高次脳機能障害では、障害者手帳・障害年金・障害福祉サービス・自立支援医療など多くの制度が利用できます。2026年4月施行の高次脳機能障害者支援法により、支援体制もさらに整いました。まずは市区町村の障害福祉課、または担当のケアマネジャー・訪問看護師に相談してください。
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参考情報
- 厚生労働省「高次脳機能障害者支援法について」(令和8年4月1日施行)
- 国立障害リハビリテーションセンター「高次脳機能障害情報・支援センター」
- 日本高次脳機能学会
- 宮崎県「高次脳機能障がいについて」(支援協力医療機関・確定診断可能医療機関一覧掲載)