
「褥瘡(床ずれ)ができてしまった」「退院後も傷の処置が続くと聞いた」「在宅でも専門的なケアを受けられるのか」という不安を抱えるご本人・ご家族は多くいます。結論から言えば、適切な体制が整っていれば、褥瘡の処置・管理・予防は在宅でも十分に対応できます。重要なのは、訪問看護師による定期的な傷の観察・処置と、家族への予防ケアの指導です。
この記事では、褥瘡の基礎知識・在宅での処置と予防・訪問看護師が担う役割を、宮崎市のOUR(アワー)訪問看護ステーションが解説します。
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褥瘡(床ずれ)とは――なぜ起きるのか
圧迫・ずれ・湿潤の三重苦
褥瘡とは、身体の一部が長時間圧迫されることで皮膚および皮下組織への血流が途絶え、組織が壊死・損傷した状態です。「床ずれ」とも呼ばれます。
発生には以下の3つの要因が絡み合います。
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| 圧迫 | 骨が突出した部位(仙骨・踵・肩甲骨・耳介等)への持続的な圧力 |
| ずれ | ベッドの頭側を挙上した際などに皮膚だけがずれて深部組織が引き伸ばされる |
| 湿潤 | 発汗・尿・便による皮膚の浸潤で皮膚バリアが低下し傷つきやすくなる |
加えて、栄養状態の低下・低体重・脱水・皮膚の乾燥・糖尿病・免疫機能の低下なども褥瘡の発生を促進します。
重症度(ステージ)の分類
日本では、日本褥瘡学会が開発したDESIGN-R®2020という評価ツールが広く使われています。深さ(D)・滲出液(E)・大きさ(S)・炎症/感染(I)・肉芽組織(G)・壊死組織(N)・ポケット(P)の7項目で評価します。
| 深さの分類 | 状態 |
|---|---|
| d0 | 皮膚損傷なし・発赤のみ |
| d1 | 持続する発赤(ステージⅠ相当) |
| d2 | 真皮まで損傷(ステージⅡ相当) |
| D3 | 皮下組織まで損傷(ステージⅢ相当) |
| D4 | 筋肉まで損傷(ステージⅣ相当) |
| D5 | 骨・腱・筋に達する損傷 |
| DU | 深さの判定が不可能 |
深さが「大文字D」になると重症度が高く、在宅での管理には訪問看護師と主治医の密な連携が必要です。
在宅で褥瘡を管理するために訪問看護ができること
定期的な傷の観察と処置
訪問看護師は主治医の指示のもとで、褥瘡の処置を行います。
処置の具体例:
- 創部の洗浄(生理食塩水・水道水による洗浄)
- 滲出液・壊死組織・感染徴候の観察と記録
- 処置用材料(ドレッシング材・軟膏等)の適切な使用
- DESIGN-R®2020による経時的な評価と主治医への報告
- 悪化・感染徴候(発熱・膿・悪臭・周囲の腫れ)がある場合の緊急報告
ドレッシング材・軟膏の種類は創の状態(湿潤・乾燥・感染の有無)によって異なります。主治医と相談しながら状態に応じて選択します。
予防ケアの実施と家族指導
褥瘡は「できてから治す」より「できないように予防する」ことが大原則です。日本褥瘡学会のガイドラインも予防の重要性を強調しています。
体圧分散:
- 2時間ごとの体位変換(体を定期的に動かして同じ部位への圧迫を防ぐ)
- エアマット・ゲルパッドなどの体圧分散用具の活用(福祉用具貸与の対象)
- 踵・仙骨などの骨突出部へのクッション当て
皮膚の清潔と保湿:
- 排泄物による汚染を素早く取り除く
- 洗浄後の保湿剤塗布(皮膚バリア機能の維持)
- ポジショニングによる皮膚の引っ張り(ずれ)を防ぐ
訪問看護師は、家族が日常的にできる体位変換の方法・皮膚の観察のポイントを、実際にやって見せながら指導します。「何時間ごとに動かせばいいか」「この赤みは大丈夫か」という判断基準も共有します。
栄養管理との連携
褥瘡の治癒には十分なタンパク質・カロリー・微量栄養素(亜鉛・ビタミンC・アルギニンなど)が必要です。訪問看護師は栄養状態(体重変化・食事摂取量・血液検査データ)を確認し、必要に応じて管理栄養士・主治医への連携を提案します。
褥瘡の在宅管理に関わる医療保険の仕組み
褥瘡管理のための訪問看護は医療保険・介護保険のどちらでも利用できます。
褥瘡の処置を行っている場合、特別管理加算(医療保険)や訪問看護管理療養費の加算の対象になることがあります。主治医に「褥瘡の処置を在宅で継続したい」と伝えることで、訪問看護指示書に処置内容が明記され、適切な保険請求が可能になります。
また、急激に褥瘡が悪化した場合など、一時的に頻回な訪問が必要なときは「特別訪問看護指示書」を主治医に発行してもらうことで、14日間は週の回数制限なく訪問できます。
退院後に褥瘡ケアを引き継ぐ際のポイント
病院で褥瘡の処置を受けながら退院する場合、在宅でのケアを円滑に引き継ぐために以下の情報を事前に確認してください。
| 確認事項 | 内容 |
|---|---|
| 処置の種類 | 使用中の軟膏・ドレッシング材の名称・交換頻度 |
| 処置の手順 | 洗浄→外用薬→被覆の順序と方法 |
| 創の現状 | DESIGN-R評価・深さ・感染の有無 |
| 主治医への報告基準 | 悪化とみなすサイン(膿・発熱・拡大等) |
| 使用物品の入手先 | 調剤薬局・医療用品店での入手方法 |
退院前カンファレンスに訪問看護師が参加できると、入院中の処置内容を正確に引き継げます。OURでは宮崎市内の病院との退院前連携に対応しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 褥瘡の処置を毎日してもらえますか?
創の状態・主治医の指示によって訪問頻度は異なります。感染や深い褥瘡がある場合は毎日の処置が必要なこともあります。医療保険で状態が悪化した際に特別訪問看護指示書を使えば、14日間は毎日訪問も可能です。状態が安定してきたら週2〜3回に減らすなど、柔軟に対応します。
Q2. 家族が処置できない場合はどうすればいいですか?
すべての処置を家族が行う必要はありません。訪問看護師が処置を担当し、家族には「観察の仕方」と「異常をどこに連絡するか」だけ伝える形でも対応できます。
Q3. 褥瘡予防のエアマットは誰が手配すればいいですか?
介護保険の認定を受けている方は、ケアマネジャーを通じて福祉用具貸与でエアマットを借りることができます。要介護認定前の場合は、医療機関・訪問看護ステーションを通じた手配になります。OURでもご相談いただければ適切な手順をご案内します。
Q4. 在宅での褥瘡が悪化した場合、病院に行かないといけませんか?
軽度の悪化(滲出液の増加・サイズの拡大程度)であれば、処置の変更・主治医への電話連絡で対応できることが多いです。深部組織の感染(骨髄炎)・蜂窩織炎・敗血症の疑いがある場合は入院が必要です。訪問看護師が「今すぐ受診が必要かどうか」を判断し、緊急時は速やかに主治医・救急に連絡します。
まとめ
褥瘡は在宅でも適切な処置と予防ケアによって管理できます。重要なのは、定期的な訪問看護師による傷の観察・処置・家族指導の組み合わせです。退院後のケア引き継ぎから在宅での長期管理まで、OURでは主治医・ケアマネジャーと連携しながら継続的な褥瘡管理を支援します。「傷が悪化しないか不安」「退院後の処置をどこに頼めばいいかわからない」という方は、まずOURにご相談ください。
この記事を監修した人
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