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ともにつくるケアノート— あなたらしさを支える訪問看護のかたち —

関わりは、肩書きではなく共感から生まれる”訪問看護で私が気づいたこと”

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こんにちは。OURの中田富久です。

これまでのコラムでは、OURの立ち上げや理念についてお話してきましたが、今回は少しだけ視点を変えて、私たち訪問看護の現場で日々感じている“人と人との関係性”について綴ってみようと思います。

訪問看護は、技術や知識はもちろん必要ですが、それ以上に「誰かと向き合う力」が求められる仕事です。支援者として、医療職として、でも何より一人の人間として、どんなふうに関係性を築いているのか。そんな日常の一コマをお届けできたらと思います。

目次

  1. 1.利用者さんとの関係性「距離」と「信頼」のあいだで
  2. 2.忘れられない、ある出会い
  3. 3.スタッフ同士の関係性“フラットさ”を大切に
  4. 4.おわりに(次回予告)

1.利用者さんとの関係性「距離」と「信頼」のあいだで

訪問看護の現場で、私たちが最初に感じるのは「近さ」と「戸惑い」です。病院とは違い、利用者さんの“生活の場”に直接伺う訪問看護では、その人の暮らしや価値観に、文字通り“おじゃまする”形になります。

扉を開けて一歩踏み入れたその瞬間から、私たちはただの医療者ではなく、「生活に関わる存在」になる。信頼していただくには時間もかかりますし、時には警戒や拒否の態度に出会うこともあります。

それでも、こちらが無理に踏み込まず、必要な距離を大切にしながら、少しずつ関係を築いていく。そうして関係が生まれるとき、その人の“らしさ”がふっと見える瞬間があるんです。

2.忘れられない、ある出会い

あるご高齢の方の話です。
初めての訪問で出迎えてくださったときは、表情も硬く、必要最低限のやりとりしかありませんでした。病気の進行や生活環境への不安が背景にあるのはわかっていても、なかなか心を開いてはもらえず、正直、もどかしい日々が続きました。

それでも、毎回同じ時間に訪問し、天気の話やちょっとした雑談を少しずつ交えながら関わっていくうちに、ある日、ご本人がこれまでしてこられたお仕事について話してくださったんです。

その職業は、私がかつて企業勤めをしていた頃の仕事に少し似ていて、思わず「私も少しだけ似た仕事をしていたことがあるんです」と伝えると、急に空気が和らいだように感じました。

そこからは、現場の苦労ややりがい、当時の仲間とのエピソードなどを語ってくださるようになり、私も自分の経験を少しずつ重ねながら会話ができるようになっていきました。

異なる仕事をしてきた経験が、こうして思わぬ形でつながることもある。

このときほど、「人と人との関係性は、肩書きではなく“共感”から生まれるものだ」と実感したことはありません。

3.スタッフ同士の関係性“フラットさ”を大切に

関係性が大切なのは、利用者さんとの間だけではありません。
私たちスタッフ同士もまた、チームとして支え合う存在です。

OURでは、職種や役職に関係なく「まず話してみる」「わからないことは聞いてみる」という文化を大切にしています。何か意見を言えば否定される、というような空気ではなく、むしろ「それ面白いね」と一緒に考える。

私自身も、代表という立場ではありますが、スタッフとの距離感はなるべくフラットでいたいと思っています。指示や命令ではなく、「どう思う?」「どうしたらいいと思う?」と問いかけることを意識しています。

……とはいえ、まだまだですけどね(笑)。

スタッフから学ぶことも本当に多くて、「そんな見方があるんだ」と気づかされたり、「自分ならこうするだろうけど、違う選択肢もいいな」と思わされたり。関係性って、こちらがつくるものでもあり、育ててもらうものでもあるんですよね。
毎日のやりとりの中で、“わたしたちのOUR”が少しずつ形になっていくのを感じています。

そのほうが、スタッフも“自分の言葉”で考えられるようになるし、それぞれの“らしさ”もチームに活きてくると思うからです。

4.おわりに(次回予告)

今回は、訪問看護という仕事を通じて日々感じている“人と人との関係性”について書いてみました。
まだ経験の浅い私が言うのもおこがましいですが、
「その人と向き合う」という姿勢を大切にしています。関係性は一朝一夕に築けるものではありませんが、だからこそ、その過程こそが支援の本質だと感じています。

次回は、OURの“チーム”という側面にフォーカスして、組織としてのあり方や文化について、少し綴ってみたいと思います。

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